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ECサイトを通じた買い物が消費者にとって一般的になり、最近では同じ商品を手軽に購入し続けられる定期購入も人気を集めています。事業者にとって嬉しい固定収入にもなるため、これから定期購入を始めたいと考えている方もいるのではないでしょうか。
定期購入ECをスムーズに運営するためには、滞りなくユーザーに商品を届ける体制を整えることが大切です。そこで今回は定期購入ECの基礎知識や導入のポイント、おすすめのECカートなどについて解説します。
定期購入の概要
まずは定期購入がどのようなサービスなのかについて具体的に解説します。
定期購入とは|商品を継続的に購入するサービス
定期購入とは、「ユーザーとの契約に則って、一定周期ごとに同じ商品を継続的に配送するビジネスモデル」のことを指しています。例えば栄養補助用のサプリを6ヶ月間にわたって月1回届けたり、自社ブランドの化粧水を2ヶ月に1回届けたりするサービスなどが挙げられるでしょう。
後ほど詳しく解説しますが、定期購入はサブスクリプションと似ているようで異なるサービスです。定期購入は「決められた期間、毎回商品を購入してもらう販売形式」であり、クレジットカードで自動的に決済したり、銀行口座から代金を引き落としたりすることによってその都度購入する必要があります。例えば1ヶ月に1回配送する商品であれば、月1回ユーザーが商品を購入していることになります。
毎月必ず同じ商品を購入しているユーザーがたまたま買い忘れてしまうと、販売側にとっては本来売上につながったはずの1ヶ月分の費用が機会損失になってしまいます。ユーザーにとってもあらためて購入するという手間が発生するため、お互いにとってデメリットが大きいといえるでしょう。
定期通販なら一度契約を完了すると一定期間は注文しなくても商品が届くので、毎回新しく購入の手続きを踏む必要がありません。「なるべく継続して自社から商品を購入してほしい」と考える販売側と、「同じ商品を使い続けるのに毎回購入するのは面倒」と考えるユーザーの双方にとってメリットがあります。
ECの販売手法として需要が高まっている
一般的なECサイトでは「カートに入れた商品を一回ごとに決済して注文する」ビジネスモデルが主流ですが、この方式では次に同じユーザーが商品を購入するのがいつになるかは分からないので、「売上を上げ続けるには常に多くのユーザーに商品を購入してもらう必要がある」といえるでしょう。
ECサイトを運営するうえで毎月0から一定の売上を積み上げ続けることは難しく、毎月の売上が不安定になるというデメリットを常に抱えているといえます。季節変動などを見越してある程度の需要予測はできますが、想定よりも大きく売上が伸びたり落ち込んだりすることはめずらしくありません。
しかし、定期購入なら「ユーザーが毎月安定的に継続して同じ商品を購入する」ビジネスモデルなので、売上のベースを比較的容易に作り出せます。登録者数から売上を予測しやすく、目標を立てやすいというメリットもあるため、安定性の低いEC運営に安定をもたらす可能性がある定期購入は近年ECの販売手法として需要が高まっています。
定期購入の種類|サブスクやリピート通販との違いは?
定期購入とよく似たサブスクや、定期購入の一種でもある頒布会・単品通販など、「一定期間ごとに料金を支払って商品を購入したりサービスを受けたりする」ビジネスモデルは数多くあります。ここではそれぞれの違いについて詳しく解説します。
サブスクリプション
サブスクリプションは「商品を購入してもらいユーザーに届ける」定期購入とは異なり、「ユーザーに利用料金を払ってもらい、対価としてサービスを提供する」ビジネスモデルを指しています。定期購入は商品に対して、サブスクリプションはサービスに対して対価が支払われるという点で大きく異なるといえるでしょう。
もっと簡単に表現すると「毎月決められた料金を徴収してユーザーにサービスを提供する」ことです。サブスクリプションを縮めて「サブスク」と呼ぶ場合もあります。サブスク自体は近年浸透した言葉ですが、昔からある新聞や雑誌の定期購読も広義にはサブスクリプションに分類されます。
代表的なものでは利用料金を支払うと音楽を聴き放題になる「Spotify」や「Apple Music」などの音楽サブスク、動画が視聴し放題になる「Netflix」や「U-NEXT」などの動画サブスクなどが挙げられます。
他にもCDやDVDなどの定額レンタルサービスやOffice 365・Adobe Photoshopなどのソフトウェアサービスなど、幅広い分野でサブスクが登場しています。
サブスクリプションも定期購入と同様、安定的な売上が見込めるのがメリットです。一旦契約を結ぶと解約するまで課金され続けるため、売上のベースを作るうえで大きな役割を果たします。
関連記事:サブスクリプション型通販を成功させるには?|詳細やメリット・押さえておきたいポイントをご紹介
リピート通販
リピート通販は「ECサイトに訪問したユーザーにリピーターになってもらうことを目標とした販売形式」です。リピーターには定期購入を契約したユーザーも含まれます。
閲覧した商品をカートに入れて一回ごとに決済する一般的なECサイトのビジネスモデルを「総合通販」と呼び、「できるだけ多様なジャンルの商品を用意して選択肢を提示し、あらゆる年齢層のユーザーをターゲットとする」ことで売上を確保しています。
総合通販では常にさまざまな商品を在庫として持たなければならないため、在庫を保管する倉庫も十分な広さが必要となり、物流スタッフも少数で回すことは難しいでしょう。一方、リピート通販は「ある程度ジャンルとターゲットを絞り込んでリピーターを増やす」ことで売上を積み重ねていくことを目指したビジネスモデルであり、総合通販に比べると小規模な組織でも運用しやすい点が特徴です。
また、リピート通販には頒布会や単品通販といったカテゴリーも存在します。
頒布会
頒布会は定期購入の一種ですが、「毎月同じ商品が届く」定期購入とは異なり、「毎月違う商品が届く」のが特徴です。食品であれば「食品サブスク」に近い性質を持っているといえるでしょう。季節のフルーツや秋の味覚、お酒やお米など、四季を感じられる商品が多い傾向にあります。
定期購入はユーザーが欲しい商品を選んで毎月自動的に購入する仕組みですが、頒布会の場合は販売側が届ける商品を選ぶ(ユーザー側は何が届くか基本的には分からない)という違いがあります。
自分で購入する商品を選ぶ定期購入とは異なり、毎月異なる商品を受け取る楽しみを感じられるのがメリットのひとつです。中には食品に限らず「毎月少しずつパーツが送られてきて、最後まで購入するとプラモデルが完成する」などの頒布会も存在します。
定期購入は日用品などの「必要不可欠な消耗品」を商材に選ぶ傾向が強い一方で、頒布会はスイーツなどをはじめとした「娯楽性の高い商品」が商材になることが多いといえます。
単品通販
単品通販は「扱う商品やジャンルを限定した販売方法」のことで、定期購入のように「複数の商品を扱いつつ、それぞれの商品を継続的に購入してもらうことを目指す」のではなく、「自社ブランドの商品を1種類(またはごく少数)だけ取り扱い、その商品を継続的に購入してもらう」ビジネスモデルです。
例えば定期購入であれば「シャンプーA」も「シャンプーB」も扱い、それぞれにできるだけ多くの定期購入の契約者数を増やすことを目指しますが、単品通販は「オリジナルブランドのシャンプーC」のみを取り扱い、その商品に対するリピーターを増やすことを目指します。
単品通販も広義には定期購入に含まれますが、売り込む商品が1種類とよりシンプルな販売形式といえるでしょう。商品が1種類しかない分ターゲットを絞り込みやすく、マーケティング施策をピンポイントで行えるため比較的低コストで始められるのがメリットです。倉庫を広く確保する必要もないのでスタートアップ企業や小規模な組織でも管理しやすいのも魅力といえます。
一方で、1種類の商品の売上が企業の売上を大きく左右するというリスクも抱えています。他の商品の売上でカバーできないため、用意した商品が売れないと大幅な減収に直結します。
関連記事:単品通販とは|メリットやハードル・総合通販との違いをご紹介
定期購入ECのメリット
定期購入ECは一般的なECサイトに比べてさまざまなメリットがあります。ここでは、代表的な3つのメリットについて見ていきましょう。
メリット1:安定した利益を得やすい
定期購入の第一のメリットは、安定した利益を得やすいという部分にあります。ターゲット層を幅広く設定する一般的なECサイトでは、毎月の売上は基本的に0からのスタートです。毎回同じECサイトで商品を購入するリピーターも中にはいますが、複数のECサイトで買い物をするユーザーが多く、同じユーザーが次に自社のサイトで商品を購入してくれるのはいつになるか分かりません。
一方、定期購入は「毎月同じ商品を自社のサイトで継続して購入する」という契約なので、毎月安定して売上が上がることが見込まれている状態を作り出せます。定期購入者が多ければ多いほど何もしなくても毎月必ず一定の売上が積まれた状態でスタートできるため、余裕をもって次の施策を打ち出せるようになるでしょう。
とにかく売上を立てなければいけない状況に陥ると、ユーザーの満足度を高めるための施策などを満足に立てられない状況に置かれる可能性もあります。ユーザーを置き去りにすることでますます信頼を失う悪循環に陥ることも十分に考えられるため、時間をかけて関係を構築した定期購入ECのユーザーの獲得は重要であるといえるでしょう。
メリット2:価格競争になりにくい
定期購入はECモールなどの複数企業が参入しているプラットフォームではなく、自社が運用するECサイトでユーザーと個別契約を結ぶため、価格競争になりにくいというメリットがあります。
Amazonや楽天などの巨大ECモールでは、商品を検索すると1ページに複数のアイテムが並列に並べられるのが一般的です。大抵の場合は「同じ効果がある似たような商品」がずらりと並ぶので、ユーザーは「少しでも安く販売している企業から買おう」「信頼できそうな有名企業の商品を買おう」という意識が働きやすくなります。
他社と同じプラットフォームを使うので競合との差別化も難しく、結果的には「粗利を削って少しでも安く提供して買ってもらう」という価格競争に参入せざるを得ない状況に陥ることが少なくありません。
しかし、自社のECサイトなら競合他社と商品が並ぶこともなく、キャンペーン施策やターゲットへのリーチ方法も自由になります。「その商品独自の魅力」を存分に伝えることでユーザーに「この商品は購入する価値がある」と思ってもらえれば、安さを押し出さなくても購入につなげられるでしょう。
また、企業やブランドを気に入った顧客は「その企業の商品だから使いたい」と考えるようになり、リピーターとして継続的に自社の商品を購入してくれるようになる可能性も高まります。
メリット3:在庫を抱えるリスクが少ない
さまざまなメーカーの商品を仕入れて販売する「総合通販」と呼ばれる方法は、売れないと大量の在庫が残ってしまうリスクがあります。総合通販は参入時に膨大な初期投資を必要とするケースが多く、商品の仕入れの他に倉庫の管理費用や人件費も必要とします。
在庫が長期的に残って不良在庫となれば廃棄しなければならず、売れ行きが悪いと経営に影響を及ぼすほどの甚大な損失が発生する可能性もあるでしょう。このような性質から、基本的には大手企業以外の参入は難しいといわれています。
一方、定期購入ECは扱う商品数はそれほど多くないうえにジャンルもある程度絞られているため、在庫を抱えるリスクは比較的低く抑えられます。倉庫のスペースもそれほど広く必要とせず、ピッキングも複雑になりにくいため管理コストも最小限に留められる可能性が高いでしょう。
リスクを抱えて初期投資をしなくても事業を始められるので、在庫を抱えるリスクが少ないというポイントは定期購入の大きなメリットといえます。
定期購入ECのデメリット
続いて、定期購入ECのデメリットを紹介します。
デメリット1:顧客が離脱した際の影響が大きい
定期購入は「リピーターが付くことによって安定的に売上を確保できる」というメリットがある反面、顧客が離脱した際の影響が大きいというデメリットがあります。
定期購入は特別な営業活動を行わなくても毎月の売上が立つ企業にとってありがたい固定収入であると同時に、リピーターが離れた時の減収が大きくなりやすいため、リスクマネジメントが重要になるといえるでしょう。
例えば100人のユーザーが3,000円の商品Aを1年に1回購入した場合、翌年に商品Aを購入したユーザーが0人だったとしても、売上の減少額は1年間で30万円です。しかし、100人の顧客が3,000円の商品Aを定期購入している場合、顧客が10人(10%)減少しただけであっという間に10人×3,000円×12ヶ月=36万円もの減収につながります。
リピーターは自社のブランドに価値を感じて愛用してくれていた貴重な存在であり、同じだけの愛着を持って商品を購入し続けてくれるユーザーをもう一度育てるのは決して簡単ではありません。そのため「一度つかんだリピーターをいかに離脱させないか(離脱率を下げるか)」が重要であるといえます。
デメリット2:常にニーズを捉えたサービスを提供し続けなければならない
定期購入は初期のサービスを長い間提供し続けていると商品の目新しさが薄れてしまい、時間を経るごとに離脱するリピーターが増えてきます。定期購入ではリピーターを失うと減収額が大きくなりやすいため、常にユーザーのニーズをとらえたサービスを提供し続けることが重要です。
同じ商品であっても常に改善点を見つけてブラッシュアップしたり、時には大幅なリニューアルを決行したりして、ユーザーが必要とする商品であり続けるための企業努力が必要になるでしょう。時間とともに流行は移り変わるため、常にリサーチを欠かさずに最新のニーズを商品に取り入れることを意識しなければなりません。
大幅なリニューアルが難しい場合や、その商品の機能自体が時代に適さなくなってきた場合には、後続の商品などに乗り換えてもらうための施策も検討すると良いでしょう。もちろん、そのためにはユーザーが新たに使いたいと思える魅力的な商品を開発することが大切です。商品を開発している部署とECの運用担当部署、マーケティング担当が一丸となってユーザーをつなぎ止めるための施策を打ち出す必要があるといえます。
また、サポートの品質もユーザーの満足度を高める重要な要素のひとつです。「前はトラブルにすぐ対応してくれていたのに最近は対応が良くない」「こちらの疑問に的確な答えが返ってこない」などの不満が募ると、商品が良くても解約率は格段に上がるので注意しましょう。
デメリット3:軌道に乗せるまで時間がかかる
自社で運営するECサイトは立ち上げたばかりだと認知度が十分ではないケースが大半なので、まずはユーザーに自社のブランドコンセプトや商品について知ってもらうための集客施策を練らなければなりません。
大規模なECモールなどに出店するとモール自体の知名度である程度の集客が期待できますが、自社のECサイトは自らユーザーを呼び込まない限り訪問者を増やすことは難しいでしょう。InstagramやFacebook、LINEなどのSNSを最大限に活用して自社の魅力を伝えたり、インターネット上のさまざまな媒体に広告を出稿して興味を持ってもらうためのマーケティング施策を的確に実行したりする必要が生じます。
最初はほとんど売上がなかったり、広告施策の反応が鈍くなかなか流入が増えなかったりする期間が続くかもしれません。すでに知名度が高い大企業でない限りは、安定的にユーザーを獲得して信頼を高め、定期購入のECサイトの運営を軌道に乗せるまでにはある程度の時間がかかるケースが多いといえます。
定期購入ECを行う際のポイントとは?
ここでは、定期購入ECを行う際の5つのポイントについて解説します。
ポイント1:自社の取扱商品が定期購入に向いているか確認
定期購入は「消耗品で定期的に購入する必要がある商品」や「長い期間使わなければ効果を発揮しない商品」が向いています。定期購入に適さない商品を選んでしまうとリピーターが期待できずに売上につながらないため、自社の取扱商品が定期購入に向いているか忘れずに検討しましょう。
例えばシャンプーやトリートメントなどの日用品は毎日使われるため、一定の期間で確実に使い切ることが見込まれます。特にいつも使っている商品が近所の実店舗などでは手に入りにくいと、ECサイトを通じて定期購入するメリットがユーザーに生まれるため契約が成立しやすいといえます。
また、化粧品や健康食品など消費サイクルが早い商品も売上のベースを作りやすいでしょう。「1日1錠で14日分のサプリメント」「1回の使用量の目安が決まっている化粧水」など、使い切るまでの期間を予測しやすい商品がおすすめです。
一方で、家具や家電などの購入する機会が少ない商品や、頻繁には手に取りにくい高級品は定期購入に適していません。
ポイント2:定期購入事業に割けるリソースを確保
定期購入は軌道に乗るまでにある程度の時間がかかるため、片手間の運用はおすすめできません。専門の部署を用意したり社内でチームを発足したりして、できるだけ集中的に定期購入事業に取り組める環境を整備することが大切です。
最初はなかなかユーザーの訪問が増えない期間が続くことも考えられるため、成果が上がらなくてもトライ&エラーを繰り返しながら長い目で見ることを意識しましょう。上手く行った部分は継続して、失敗した部分は何を改善すれば良いのかを常に検討しながら運用を続けることで、少しずつ訪問者やリピーターが増えていきます。
また、人員だけではなく予算面のリソースの確保も重要です。ECサイトの運用にはWeb広告の出稿なども必要になる場面があるため、定期購入事業に割ける予算もあらかじめ確保しておきましょう。
ポイント3:初期費用だけでなくランニングコストも要確認
カートを選ぶ時は、つい初期費用に目が向きがちです。初期費用はまとまった金額になるため、少しでも安く導入できるシステムを選びたいと考えるのは当たり前のことではありますが、見た目の安さだけを追い求めると想定外にランニングコストが高くつき、長い目で考えると総額が膨れ上がる可能性もあることを覚えておきましょう。
例えば次のような2種類のカートを5年間の総額で比較すると、ランニングコストの重要性が分かります。
- 初期費用が100万円で月額費用が5万円のECカートの場合
100万円+(5万円×60ヶ月)=400万円
- 初期費用が10万円で月額費用が10万円のECカートの場合
10万円+(10万円×60ヶ月)=610万円
一見すると初期費用100万円の方が高く見えますが、長期的に考えると初期費用10万円の方が高くなっています。長く使えば使うほどランニングコストによる価格差は大きくなるため、目先の価格にとらわれすぎないように注意しましょう。
ポイント4:定期購入に必要な機能が充実したカートを利用
一見カートの機能が充実しているように見えたとしても、定期購入に必要な機能が不十分なカートではスムーズな運用が難しくなってしまいます。自社が取り扱う予定の商品を定期購入で販売しやすいかどうかに注目してカートを選びましょう。
中には毎月のお届け日を設定できたり、配送サイクルをユーザー別に細かく指定できたりするECカートもあります。定期購入に特化したECカートも数多く提供されているので、一般的なカートではなく、定期購入に強みがあるカートを選ぶことをおすすめします。
また、自社に適したカートを選ぶためには自社に必要な機能を事前に洗い出しておくことも大切です。定期購入にも健康食品や化粧品など複数のジャンルがあるため、定期購入に特化しているカートだからといって自社の扱う商品に適しているとは限りません。検討中のカートが本当に自社の運用に合っているか慎重に確認しましょう。
ポイント5:カート選定時は決済方法にも注目
ECサイトで買い物をするユーザーは、さまざまな方法で決済したいと考えています。全員がクレジットカードを持っているわけではないため、銀行振込や代引き、スマホ決済アプリや電子マネーなど、どのような決済方法に対応しているかにも注目しましょう。
ユーザーにとって「自分が使える決済方法が用意されているか」は購入を判断する重要な部分です。クレジットカードを持っておらず、銀行振込でしか代金を支払えない人がクレジットカードのみのECサイトで商品を購入したいと思っても「お金を払う方法がないから諦めよう」と思ってしまい、機会損失につながる可能性があります。
定期購入は毎月繰り返し注文処理を行う必要があるため、クレジットカード情報を登録すると自動的に決済が完了する「継続課金」の機能が備わっているかは特に重要です。クレジットカードに対応していても毎回購入処理を自分で行わなければならないECカートでは定期購入ECとして運用できないため、事前に忘れずに確認しましょう。
定期購入に特化したおすすめカート6選
ここからは、定期購入に特化したおすすめカートを6種類紹介します。
導入実績が豊富「楽楽リピート」
株式会社ネットショップ支援室が開発した「楽楽リピート」は導入実績が豊富で数多くの企業に支持されているECカートです。シンプルな設計で画面が見やすく、「顧客をリピーター化するためのノウハウ」が存分に詰まっています。
受注件数が1ヶ月あたり1,000件程度を目安とした小規模事業者向けの「ライトプラン」なら、「初期費用68,000円~、月額費用49,800円~」で利用できます。受注件数・出荷件数によって従量課金が発生することはないので、毎月同じ価格で利用できる点は安心です。
標準機能が充実「侍カート」
株式会社FIDが提供する「侍カート」は標準機能が充実している、商材を問わずに使いやすいECカートです。定期購入に特化しているため、必要な機能は一通り揃っています。「送料無料まであと××円」表示や「代引無料まであと××円」表示など、ECサイトを運用するうえで押さえておきたい機能が網羅されているため、不便を感じることは少ないでしょう。
まずは使ってみたい方向けの「ASPプラン」が用意されており、「初期費用70,000円~、月額費用100,000円~」侍カートのほとんどの機能を利用できます。カスタマイズしたい場合はワンランク上の「カスタマイズプラン」を選ぶと独自機能を実装できるのも魅力的です。
業務自動化でコスト削減「リピートPLUS」
https://www.w2solution.co.jp/Product/repeatplus_cp/
w2ソリューション株式会社の「リピートPLUS」は豊富な機能を取り揃えてコスト削減が最大限に考え抜かれたECカートで、月額費用も0.98万円~と比較的安価に使えます。直感的に使えるユーザーインターフェースで誰でも簡単に受注処理を一括で自動処理できるので、これまで人の手で行っていた業務の大幅な効率化が期待できます。
「ONEプラン」という安価な価格設定のプランを用意しており、「初期費用9,800円~、月額費用9,800円~」の手頃な価格で機能の充実したECカートを使える点が魅力です。初めてECカートを導入する企業におすすめのシステムのひとつです。
カスタマイズ性が高い「リピスト」
株式会社PRECSの「リピスト」は定期通販に特化したECカートで、安価な価格設定が魅力です。「充実の基本機能+リーズナブルな料金プラン」は初めてECカートを利用する方でも使いやすく、アカウント継続率は98%を誇ります。
導入している企業の約9割は「ライトプラン(初期費用29,800円~、月額費用14,800円~」を選択しており、「コストを抑えつつ、定期購入の運用に十分な機能を備えたECカートを使いたい」という企業にはぴったりです。事業が拡大した場合は「スタンダードプラン」などの上位プランにも移行できるので、まずはECカートを使ってみたいという企業にもおすすめです。
各種分析機能が充実「EC Force」
分析機能を重視する方には、株式会社SUPER STUDIOが開発した「EC FORCE」がおすすめです。ユーザーが注文などの行動を起こした割合を計測した「コンバージョン率(CVR)」は業界トップの水準で、スタートアップ企業から比較的大規模な企業まで幅広く対応しています。
「マーケティングの費用対効果を最大化する」というコンセプトに基づいて、さまざまな分析機能が備わっており、多角的な分析が可能です。
プランは3種類ありますが、移行プランは他社カートからの移行専用なので、基本的にはスタンダードプランとエキスパートプランのどちらかを選択します。スタンダードプランは初期費用148,000円、月額費用49,8000円からです。
リピート通販に強い「たまごリピート」
テモナ株式会社が提供するたまごリピートは、定期購入に特化したリピート通販に強いシステムです。定期購入専用メニューが設けられており、定期通販の配送日や商品内容の変更、支払い方法などの細かい設定をいつでも簡単に調整できます。
また、リピート購入を解約した人の割合を示す「離脱率」を下げるためのプレゼントや割引などのキャンペーン施策にも対応しています。
料金プランは「ASP」と「GOLD」の2種類から選択できます。ASPは基本機能を一通り利用できるプランで初期費用69,800円、月額費用49,800円(税抜)です。GOLDプランは比較的規模の大きい事業者向けで、機能はASPプランと同様ですが、専用サーバーが用意されます。
定期購入を理解しEC事業を発展させよう
定期購入は通常のECサイトと異なり、自社の商品をターゲットに繰り返し購入してもらうことを目的とするビジネスモデルです。安定した売上を確保できるだけでなくユーザーにとってもメリットのある販売形式なので、商材を選定して上手く運用できれば大きな利益につながるでしょう。
定期購入ECを運用する際は、定期購入に特化したECカートを選ぶことも大切です。自社に合ったカートはどれなのかをじっくりと検討して、スムーズな運営ができるものを選定しましょう。
ECカートの選定は初期費用だけでなくランニングコストも考慮することが重要です。商品数が比較的少ないことから、物流の外注を併用するとさらにコストダウンにつながる可能性もあるので、カートの費用と併せて外注も試算してみることをおすすめします。