発注点とは|概要や決め方、押さえておきたいポイントをご紹介

2021年3月15日

発注点とは|概要や決め方、押さえておきたいポイントをご紹介

商品を発注するタイミングを見極められなければ、過剰在庫や欠品による廃棄コストの増大や販売機会の損失を招いてしまうかもしれません。発注点を適切に利用して、在庫管理を適切に運用したいと考えている方も少なくないでしょう。

発注点の決め方には複数の方式があり、どちらを選ぶ場合でも適切なポイントに則って管理することが大切です。そこで今回は発注点の概要や決め方、押さえておきたいポイントなどを分かりやすく紹介します。

発注点の概要

まずは、発注点とは何かについて分かりやすく解説します。

発注点とは|商品発注を行うタイミング

発注点とは「商品を発注するタイミングのこと」を指しています。より具体的に説明すると「この在庫数を下回ったら発注をかける」と定めた在庫量のことです。例えば発注点が15であれば、在庫数が15を下回った時点で該当の商品を発注します。

発注点を決めておくことで誰の目にも発注のタイミングが明らかになるため、安定的に商品の発注を実行できるのがメリットです。

発注点を利用した発注方法には「定期発注方式」と「定量発注方式」の2種類があります。

定期発注方式

定期発注方式は「最初に設定した期間ごとに発注する方法」のことです。例えば月初に設定しているなら、毎月1営業日目に必ず商品を発注します。発注するタイミングは決められていますが、在庫数に応じて発注量を柔軟に増減させることで適正在庫を保つように努めます。

定期発注方式のメリットは、発注のタイミングが固定されることで業務の効率化をはかれるという点です。

後述する定量発注方式のように在庫数が減少した時を発注タイミングに設定していると、1ヶ月の中でいつでも発注業務が発生する可能性が生じます。1週間の中で月曜日は商品Aと商品B、木曜日は商品C、金曜日は商品Dの発注業務を行わなけれならないいなどのシチュエーションも十分に起こり得るでしょう。

しかし、定期発注方式であれば毎月必ず同じタイミングで発注することからたびたび発注業務に追われることはありません。

一方で、発注量を適切に見極めるスキルが必要になるのがデメリットです。誤ると欠品や過剰在庫を招くリスクがあるため、需要を的確に予測できる人材でなければ運用が難しいという側面もあります。

定量発注方式

定量発注方式は最初にご紹介したように「在庫量が規定の数を下回った段階で発注をかける」方法です。定量発注方式は在庫量に基づいて発注のタイミングを設定するため、適切な発注点を設定できていれば欠品や過剰在庫に陥りにくいというメリットがあります。

ただし、不定期に発注が発生することから発注時期や支払いサイクルを固定できず、業務が煩雑になりやすいというデメリットも抱えています。また、在庫量を一定に保てるのはメリットでもありますが、キャンペーンやその他の事情で需要の増加が見込まれる場合には発注点を無視して発注をかけなければならないケースもあるでしょう。

頻繁に必要な在庫量が変動する現場では扱いにくいため、定期発注方式を採用して発注のたびに発注量を調整した方が運用しやすい場合もあります。

発注点・発注量の決め方

発注点や発注量を決める際には、意識しておきたいポイントがあります。具体的な考え方と計算方法について見ていきましょう。

商品数ではなく日数を主軸に考える

発注点を用いた定量発注方式を採用するのであれば、「日々の出庫数量」と「発注してから納品されるまでのリードタイム」を記録しておく必要があります。出庫数量は1日あたりの平均出荷数を求めるのに必要になるため、少しずつデータを蓄積していきましょう。

発注点を決めるには「商品がいくつ売れているか(どのくらい需要があるか)」ではなく「発注してから商品が納品されるまでの日数は何日か(リードタイムはどれくらいか)」を主軸に考える必要があります。

発注点を決める際の情報として需要が最も重要であると思われがちですが、実際にはそうではありません。需要は顧客の都合で日々変動するため、正確に予測し続けることは困難です。しかし、リードタイムはある程度正確な予測ができるので管理しやすく、発注点を決める際の基準としても扱いやすい指標といえます。

発注点を設定するには、まず「標準リードタイム」と呼ばれる「発注から納品までにかかる標準的な期間」を設定するところから始めましょう。また、発注点の計算には「安全係数×標準偏差×√発注間隔+調達時間」で求められる安全在庫も必要になるので、あらかじめ把握しておくことも大切です。

発注点の計算方法

発注点を算出するための計算式は「1日の平均出荷数×リードタイム+安全在庫」です。この式の計算結果によって求められる数が発注点になります。

例えば、1日平均10個出荷している商品の場合、発注から納入までに3日かかり安全在庫が4個だとすると「10個×3日+4個=34個」となり、在庫数が34個を下回ったタイミングで発注をかける必要があると算出できます。

一般的に発注点は1日の平均出荷数を利用して算出しますが、今後出荷数が増えることが見込まれる場合には1日の最大値を用いた方が良いケースもあります。また、1日の出荷数にばらつきがあるなら中央値を用いると安定しやすいため、状況に応じて適切な指標で計算するように心がけましょう。

計算にリードタイムを用いるのは、商品が届くまでの日数分の在庫を確保しておかなければ欠品になる可能性があるからです。1日10個出荷する必要がある商品が残り20個しかない状態で納入までに4日かかるとすると、発注から3日目は出荷できる商品がなくなって欠品となってしまいます。

このような事態を防ぐためにリードタイム分の在庫を確保した上で、さらに出荷量が変動しても対応できるようにするための安全在庫を加えて発注点を計算します。

関連記事:安全在庫とは|算出方法やメリット・注意点など詳しく解説

発注時に押さえておきたいポイント

商品を発注する際に押さえておきたい6つのポイントを紹介します。基本的な業務フローをはじめとして発注の優先度の設定や棚卸の実施など、一定のルールを取り決めることは健全かつ効率的な運用にもつながるため、一つひとつしっかりとチェックしておきましょう。

在庫管理業務フローを見直す

発注業務を最適化するには、現状の在庫数を正確に把握しなければなりません。しかし、現場の業務の属人化が進んでいると個々のスタッフの判断で発注をかけている可能性があるため、正しい在庫の把握が困難になっているケースがよく見受けられます。

人によって「10個になったら発注」「5個になったら発注」のような独自のルールを設けて業務を進めていると、毎回発注量がバラバラになって在庫が一定しなかったり、本来発注しなければならないタイミングよりも遅すぎて欠品が生じたりする可能性があります。

まずは既存の在庫管理業務のフローを見直し、現状の運用に問題点がないかどうかを一つひとつ確認していきましょう。全体の業務の流れを見直して、属人化している箇所があればルールを一本化します。

すべてのスタッフが統一化されたルールに則って同じ作業を実施することで正確な在庫数を管理できるようになり、発注点を正しく導き出せるようになります。

商品の優先度を決める

発注点を設定したとしても、すべての在庫が同時に出荷されるわけではありません。定量発注方式では発注のタイミングにはばらつきがあるため、複数の商品を同時に発注しなければならないケースもあるでしょう。

そこで、自社の商品の中でも優先的に発注しなければならない商品はどれなのかを見極めて優先度を設定することは重要です

商品に優先度を設定する方法としては、ABC分析がよく用いられます。ABC分析は「Aが全体の売上の70%を占める最優先すべき商品」「Bが全体の売上の20%~30%に相当する商品で中程度の優先度」「Cが10%未満で優先度が低い」という3つのカテゴリーに商品を分類する方法です。

例えばAに分類される商品とCに分類される商品を同時に発注しなければならない関係で、どちらかのリードタイムが1日長くならざるを得ないのであれば、Cを後回しにしてAを先に納品してもらうなどの判断が可能になります。

リードタイムの短縮化を図る

発注をかけてから納品が完了するまでのリードタイムの短縮化をはかることも大切です。自社で商品を製造している場合は「製造工程が完了するまでの時間をどれだけ短くできるか」という考え方になります。

一般的に、リードタイムが長ければ長いほど在庫の保管期間は長くなります。例えば平均出荷数が10個でリードタイムが3日、安全在庫が4個の発注点は前述の計算のとおり34個ですが、リードタイムを2日に短縮できれば発注点は24個に下がります。

これは10個分の在庫を常時持ち続ける必要がなくなることを示しており、在庫回転率が向上して在庫が無駄になる可能性を大きく下げられることを意味しているといえるでしょう。

元々回転の速い在庫であればそれほど心配する必要はありませんが、一度発注するとなかなか在庫が動かない商品の保管期間が長期化すると、劣化や陳腐化によって販売できなくなるリスクがあります。リードタイムの短縮化を達成できれば、在庫の保管期間も短縮して廃棄が発生するリスクを下げられます

日次棚卸を実施する

在庫管理が適切になされていないと、実在庫と見かけ上の在庫に差異が生じます。データ上では在庫が存在しているために注文を受け付けて在庫を引き落としたところ、実際に倉庫の保管場所に足を運んでみると商品が欠品していた、などのアクシデントが起こる可能性があることから、在庫管理の徹底は重要です。

データと実在庫の差異を修正するには棚卸を実施するのが効果的ですが、棚卸を習慣化していないと一度に倉庫内の大量の在庫を数えなければならず、膨大な時間をかけなければ終わらないことも考えられます。

棚卸の負担を軽減しつつ正確な在庫管理を行うためにも、毎日実施する日次棚卸に切り替えてこまめに在庫数を把握するように努めましょう。

季節性変動を考慮する

商品の性質によっては、季節によっても需要が大きく変動する可能性があります。例えば梅雨の時期には雨が続くことから傘やレインブーツの売上が伸びたり、冬になるとマフラーや手袋が売れ始めたりするように、発注を行う際に季節性変動を無視することはできません。

過去の売上データなども参考にしつつ、時期に合わせた適切な発注を意識することが大切です

また、季節性の商品は売れる時期を過ぎると需要が大きく低下するものも多いため、過剰在庫には十分な注意を払う必要があります。需要以上に発注しすぎると売れないまま在庫として長期間保管しなければならないだけでなく、陳腐化して商品としての価値を失い、売上につながらないどころか廃棄コストがかかるリスクもあります。

どの商品も慎重に発注数を決めることは重要ですが、季節性変動がある商品は特に意識して発注量をコントロールしましょう。

需要予測を立てる

需要は常に一定ではなく、さまざまな要因で変動するものです。一度決めた発注点を変更しないままだと需要と大きな差異が生じてしまい、あらかじめ取り決めた通りに発注したとしても結果的に欠品や過剰在庫につながるリスクが発生してしまいます。

発注量を適正に保つためにはこれまでに蓄積してきた売上データや業界の動向、国内情勢などあらゆる要因を加味して需要予測を立てることが重要です。基本的には情報量が多ければ多いほど正確な分析が可能になるので、日頃から細かなデータを収集しておきましょう。

とはいえ、正確に需要を予測して発注量を決めることはそれほど簡単なことではありません。予測が必ずしも的中するとは限らないため、発注量貼誤差を見越した上で決めましょう。

最近では需要予測に特化した支援ツールなども登場しているため、より正確な発注量を予測したいのであれば導入するのも手段のひとつです。ある程度のコストはかかりますが、正確性が上がって業務効率も向上させられる可能性があります。

関連記事:在庫管理とは|在庫管理方法の詳細や適切な在庫管理で得られるメリットをご紹介

在庫管理を適切に行う方法

在庫管理を適切に行うための方法はいくつか考えられます。複数の選択肢の中から、自社に合った方法を選択すると良いでしょう。

エクセルで管理する

Officeは企業の業務用のPCにあらかじめインストールされていることも多いため、エクセルシートを用いた管理方法は比較的手軽に実行できる方法のひとつです。特別なツールを導入しなくてもすぐに始められるので、なるべく早く発注の体制を整えたいという方にも向いているでしょう。

マクロや関数を上手く使えばある程度複雑な管理も自動化できるので、一定の業務効率化を実現することも可能です。とはいえ、マクロや関数は専門知識がなければ作成できないので、エクセルは基本的な入力や計算ができないという方にはあまり適していないかもしれません。

また、最初に作成した設定の数値が誤っていると正確なデータの算出が困難になることや、在庫の変動は手入力で管理しなければならないことからヒューマンエラーが発生しやすいというデメリットがあります。

在庫システムを導入する

導入コストはかかりますが、在庫管理システムを導入する方法もあります。システム上で自動的に在庫を管理できるため、ヒューマンエラーの発生を最小限に抑えた正確性の高いデータ管理が可能です

また、ハンディターミナルで商品のバーコードをスキャンするだけで簡単に実在庫を登録できるなど、棚卸機能が搭載されているものも数多くあります。単に正確な在庫数を把握するだけにとどまらず、物流業務全般の業務効率を改善する効果が期待できます。

高性能なものになるとPOSデータと連携して需要予測を実行できるシステムなどもあるため、予算をかけられるのであれば導入してみるのも良いでしょう。ただし、初期費用だけでなくランニングコストも含めた費用対効果は導入前に十分に検討する必要があります。

物流業務を外注する

適切な在庫管理を行えるノウハウを十分に持たない場合や、物流業務に割り振れるリソースが不足している場合は物流業務を外注するのも手段のひとつです。プロに任せることによって高品質な物流を実現でき、浮いたリソースは自社の重要な業務に投入できるようになるので業務を大幅に効率化できる可能性が高まります。

自社で物流を構築する場合は在庫管理に限らずさまざまな作業手順を策定し、スタッフの教育も行わなければなりません。しかし、外注ならマニュアルの整備や教育に時間を割く必要はなくなります。

「外注するとコストがかかる」というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、設備投資や倉庫の維持費などを考慮すると大幅にコストカットできる可能性もあるため、一度外注も含めて自社の物流の在り方を見直してみるのもおすすめです。

発注点について理解し在庫を適切に管理しよう

それぞれの商品にとってのベストな発注点を適切に設定し、適正在庫を維持し続けることは過剰在庫や欠品を防止する意味でも大切です。自社に合った発注方法を選択して、上手く発注業務を回せる体制を整えましょう。

発注業務を最適化したいと考えた時、業務フローの見直しは非常に重要になります。社内ルールの統一化を推し進めて、スタッフの業務の平準化をはかることで初めて発注点を取り決めることも可能になります。

在庫管理を行う方法はエクセルの利用や在庫管理システムの導入などさまざまですが、物流業務自体を外注してしまうという方法もあります。物流業務は手間も時間もかかるため、外部へ委託してメイン業務に注力できる環境を作り出すのも選択肢のひとつです。

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