滞留在庫とは?発生の原因と未然に防ぐ対策法、発生時の対処法まで具体的に解説

滞留在庫とは?発生の原因と未然に防ぐ対策法、発生時の対処法まで具体的に解説

EC事業を行う上で、滞留在庫が倉庫を圧迫している、在庫が余って困っているなどのお悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。

EC事業において、「滞留在庫」と呼ばれる長く倉庫に残ってしまっている在庫への対処は、大きな課題のひとつとなっています。
滞留在庫があることで感じるデメリットもあるでしょう。

そこで今回は、滞留在庫発生の原因とともに、滞留在庫を未然に防ぐ対策や、発生してしまった後の対処法まで具体的に解説していきます。
在庫管理でお悩みの方は、ぜひご参考ください。

1. 滞留在庫とは?

滞留在庫とは、仕入れ後、一定の期間売れずに倉庫に残っている在庫のことを指します。
仕入れ後どの程度経過したら滞留在庫と呼ぶかは企業・商品や業界によっても異なり、例えば、食料品や医薬品などの期限があるものでは1ヶ月~2ヶ月でも滞留在庫とみなされたり、中には3年間は滞留在庫にはならないという場合もあります。
一般的には、3〜6カ月以上が目安となるでしょう。

  • 一定の期間売れ残っている商品
  • 仕入れ値よりも販売価格が下落してしまっている商品
  • シーズンを過ぎ、需要が減少している商品

などが、滞留在庫とされることが多いですね。
EC事業では仕入れた商品が思うように売れず在庫となってしまうこともありますが、商品の回転率も重要になります。
滞留在庫は、事業において負担になる課題のひとつと言えるでしょう

1-1. 余剰在庫・不良在庫との違い

滞留在庫と混同されやすい言葉に、「余剰在庫」「不良在庫」があります。
それぞれ、次のような意味を持ちます。

  • 余剰在庫:需要予測のズレなどにより売れ残り、一時的に余っている在庫
  • 不良在庫:商品の劣化や期限切れなど、法的・物理的に販売できない在庫

不良在庫は商品に品質不良などの問題があり売ることができないものですが、余剰在庫は、多く発注してしまったなど、一時的に在庫が余っている状態のものを指します。

余剰在庫の時点では将来的に売れる見込みがあり、事業上でのリスクにはなりませんが、余剰在庫が一定期間動きがなく、売れない状態が続く場合には、滞留在庫となります。

2. 滞留在庫が発生することによるデメリット

滞留在庫は、単に在庫が売れ残ってしまっているというだけではなく、発生することで企業に様々なデメリットをもたらします。

2-1. 保管コストの増加・スペースの圧迫

滞留在庫を保管しなければならないと、保管スペースを圧迫してしまうだけでなく、その分の倉庫の利用料や管理費、棚卸や商品の状態確認にかかる人件費など、様々な保管コストが発生します。
売れない商品を倉庫に置いておくだけで、そのスペース分他の商品の在庫を増やせず販売機会の損失につながる上、余計なコストが発生してしまうということです。
特に、温度や湿度などの管理が必要な商品が滞留在庫となってしまった場合には、保管環境を整えなければならず、より大きなコストがかかるでしょう。

2-2. 長期保管による品質低下

商品が長期間売れず、倉庫に保管されたままの状態になると、どうしても品質が低下してしまったり、ファッションアイテムなどのトレンド商品であれば、トレンドが終わって価値が急速に低下してしまったりと、本来の価値で販売できないリスクがより高まります
最終的に不良在庫になってしまわないよう、在庫数の適切な管理は重要です。

2-3. キャッシュフローの悪化

滞留在庫は売上にならないまま倉庫に保管されている状態のため、資金が滞留在庫に固定されてしまうことで、本来なら他の仕入れや事業に回せるはずだった資金が動かせず、事業拡大のチャンスを逃してしまう可能性があります
特にEC事業では、トレンドに合わせた商品展開が非常に重要になります。
倉庫のスペースが滞留在庫で埋まってしまえば、新商品をトレンドの変化のタイミングで市場に投入できず、市場での競争力を失ってしまいかねません。

3. 滞留在庫が発生する原因

滞留在庫の発生を防ぐためには、まずその原因を知ることが重要です。
滞留在庫が発生する原因としては、主に次の4つが考えられます。

3-1. 在庫管理が不十分

まずは、在庫管理が不十分であり、在庫数を正確に把握しないまま商品を発注してしまったケースです。
在庫があるのにも関わらず発注してしまい余剰在庫が発生したり、データの打ち間違えなどヒューマンエラーによる仕入れ数のミスが起こったりといったことが原因のひとつになるでしょう。

3-2. 需要の予測ミス

次に、需要予測のミスにより、需要に見合わない量を仕入れてしまったケースです。
市場調査やデータ分析ができていないと、需要予測のミスが起きやすいでしょう。
消費者の需要よりも仕入れ数が多ければ、売れ残り、滞留在庫となってしまうこともあるでしょう。
販売機会の損失を恐れて通常より多く商品を仕入れてしまうなども滞留在庫の原因となるため、発注は慎重に判断しましょう。
特に、社内の部門間連携が取れていない場合には、需要にそぐわない仕入れになってしまう可能性が高まります。

倉庫管理や経理部門では在庫が過剰になることを懸念していたり、逆に販売部門では機会損失のないよう多めに在庫を持っておきたかったりと、それぞれの部門で目標が異なる場合もあるため、情報の共有ができていないと、在庫管理が上手くいきません。

仕入れ担当者が持つ情報だけで判断せず、他部門ともしっかりと連携を取り、様々な情報をもとに仕入れ数を決められると良いですね。

3-3. シーズン・トレンドの変化

アパレル商品や食品、シーズン雑貨など、トレンドや季節に需要が大きく左右される商品は、販売期間が限定的になります。
そのシーズンやトレンドの変化を逃してしまうと再販するのは難しく、需要も急速に低下するため、在庫が大量に残ってしまい滞留在庫となる可能性があるでしょう。
また、マーケティング活動が十分にできておらず、在庫の回転を促進できていない場合もあります。

シーズンやトレンドの変化を敏感に察知し、例えばセールの実施やイベントなど、マーケティング施策を効果的に行いながら柔軟に在庫管理を行う必要があります。

3-4. 過剰な仕入れ

単純に、過剰に仕入れてしまったことで在庫が余る、というのも原因のひとつですね。
仕入れの際、商品やサプライヤーによっては、大量発注を行うことで安く仕入れられるというケースもあるでしょう。
安く仕入れられるからと大量に発注してしまい、その結果需要を上回る在庫を抱えてしまっては、本末転倒です。
結局滞留在庫となってしまえば、それ以上に保管コストがかかってしまう可能性もあります。
製造ロット単位で購入しなければならない、というケースも、過剰な仕入れとなってしまいやすいため注意しましょう。

4. 滞留在庫を未然に防ぐには?

様々なデメリットを防ぐためにも、滞留在庫が発生しないよう、未然に防ぐということが非常に重要です。滞留在庫を防ぐ対策としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 定期的な棚卸による在庫数チェック
  • 在庫管理システムの導入
  • AIなどを活用した需要予測精度の向上
  • 仕入れ・発注のプロセス・連兼体制の見直し
  • 物流代行業者の活用

それぞれ詳しく見ていきましょう。

4-1. 定期的な棚卸による在庫数チェック

まずは、棚卸を定期的に行い、在庫数を把握しておくということです。
現状の在庫数が正確に把握できていなければ、発注も適当になってしまい、滞留在庫の発生リスクが高まるのはもちろん、逆に在庫不足を起こす可能性もあります。

棚卸は最低でも年1回は行う必要がありますが、できれば半年に1回、理想としては四半期に1回のペースで行えると良いですね。

棚卸を行うことで商品の保管状態や劣化していないかなど品質の確認も合わせて行えるため、品質管理の観点でも役立ちます。
棚卸データを分析すれば、どの商品がどの程度の期間滞留しているかも把握できるため、滞留在庫への対策としても必要でしょう。

4-2. 在庫管理システムの導入

滞留在庫を発生させないため、在庫管理を適切に行うのに効果的なのが、在庫管理システムの導入です。

リアルタイムで在庫状況を把握できるクラウド在庫管理や実店舗まで合わせて管理できる統合管理システムなど、近年では在庫管理システムも進歩し、充実した機能を持ちます。
自社の状況に合わせて在庫管理にシステムを導入することで、在庫状況を正確に把握できるだけでなく、商品ごとにどれだけ売れているかや保管期間なども自動で計算してくれます。
滞留在庫になりそうなリスクの高い商品を早期に特定することも可能になり、よりスムーズに滞留在庫への対策が行えるでしょう。

4-3. AIなどを活用した需要予測精度の向上

近年では、AI・ビッグデータの発達により、AIを活用した需要予測システムなども登場しています。
AIにより精度の高い需要予測が可能になり、適切な発注数やトレンド・シーズン商品の適切なタイミングでの入れ替えなどにも対応できます。
在庫管理システムとの併用により、ヒューマンエラーを減らすことにもつながり、在庫の最適化が叶います。
導入にはシステムの利用料や従業員へのトレーニングなどコストがかかりますが、長期的に見ると人件費削減や在庫最適化によるコスト削減が期待できるでしょう。

4-4. 仕入れ・発注のプロセス・連携体制の見直し 

仕入れ・発注のプロセス、連携体制を見直すことでも、仕入れのムダを削減できるでしょう。
過去の販売データ・需要予測結果を踏まえた上で、適切な仕入れができる仕組みを整えます。
また、サプライヤーや物流代行業者など、関係者との連携体制を強化することで、出荷までのリードタイムを短縮でき、需要やトレンドの変化などにも素早く対応できるでしょう。
大量仕入れでなければ仕入れられない商品なども、サプライヤーに交渉したり、共同購入を持ちかけたりなど、無駄をできる限り削減できるよう検討しましょう。

4-5. 物流代行業者の活用

在庫管理・出荷作業をより効率的に行い、適切な在庫状況を保つために、おすすめなのが物流代行サービスを活用することです。
物流代行サービスは、物流代行業者に商品の入庫から在庫の管理、出荷作業までを委託できるサービスです。
物流の豊富なノウハウを持つ物流代行業者を活用することで、最新の倉庫管理システムによる在庫管理や業務効率化により、滞留在庫の管理・予防がスムーズに行え、滞留在庫が発生しにくい環境づくりが叶います
特に、扱う商品が増え在庫の管理が難しくなっているような状況では、自社の人的リソースも物流業務に多く割かれてしまい、本来の業務に手が回りにくくなっているケースもあるでしょう。

物流代行業者に委託すれば、自社では商品開発や販促活動など本来のコア業務に集中できます。

5. 滞留在庫が発生してしまったら?

滞留在庫を防ぐため在庫管理に注意していても、需要を完全に予測することは難しく、滞留在庫が発生してしまう可能性もあるでしょう。
そうなった場合には、次のような方法で滞留在庫を解消しましょう。

  • セールや値下げでの販売
  • ノベルティやセット販売での活用
  • 専門業者に買い取ってもらう
  • 廃棄処分

それぞれご紹介していきます。

5-1. セールや値下げでの販売

滞留在庫の一般的な対処法は、セールや値下げでの販売です。
セール価格や期間限定のタイムセール、アウトレット販売などで販売できれば、利益率は下がってしまいますが、在庫を長期間保管するよりも損失は最小限に押さえることができ、滞留在庫の対処法としては効果的でしょう。
しかし、どの程度値下げするかとセールの実施タイミングは、慎重に考える必要があります。
極端に値下げしてしまうとブランド価値を損なってしまう可能性もありますが、だからと言って値下げ幅が小さいと売れにくく、在庫削減の効果があまり感じられません。
また、セールを定期的に行ってしまうと、顧客がセールを待つようになってしまい、通常価格で売れない原因になってしまうというリスクもあります。

5-2. ノベルティやセット販売での活用

滞留在庫をそれ単体で売るのではなく、

  • ノベルティとして活用する
  • 人気商品とセット販売する
  • 限定商品として再パッケージ化する

など、新たな商品価値をつくり出し、クロスセルやアップセルに活用するのも対処法のひとつとしておすすめです。
クロスセル・アップセルでの活用はセールのようにブランド価値を損なうリスクも低く、合わせて人気商品を販売促進するという効果も期待できます。
セット商品の価格設定や組み合わせは在庫や需要を考慮しながら慎重に検討する必要がありますが、効果的に滞留在庫を解消することができるでしょう。

5-3. 専門業者に買い取ってもらう

ユーザーに売れない商品であっても、専門の業者であれば買い取ってくれることがあります。

在庫買取業者は独自の販路を持っているため、通常の小売市場では売りにくい商品も買い取ってくれるでしょう。
また、ユーザーに販売するのとは異なり、大量の在庫を一括で売却することができ、迅速に資金が回収できるため、在庫の保管スペースの確保と資金の回復を同時に行えます。

ただ、買取価格はどうしても市場価格を大きく下回ってしまうため、高額の商品の場合は損失が大きくなってしまうこともあります。
ブランド価値の保護や取引先との関係維持など、様々な点を考えて、安易に買取業者に売却するのは避けた方がよいこともあるでしょう。

5-4. 廃棄処分

セールなどでも売れる見込みがなく、買取業者への販売も難しい場合には、専門の業者に依頼し、廃棄処分するという方法もあります。
滞留在庫を廃棄処分してしまうと、仕入れ原価は回収できないという損失はありますが、スピーディに滞留在庫を処分でき、倉庫での保管コストは削減でき、保管スペースを空けることができます。
棚卸で在庫として確定したものは会社の資産になり、在庫が増えるほど税金も増えていくことになるため、滞留在庫を廃棄することは税金を減らす意味でも役立つでしょう。

6. 物流の最適化はオープンロジにお任せください

「物流業務にかかる負担やリソースが気になっている」

「商品増加に伴い、在庫管理が難しくなっている」

など、EC運営において物流業務にお悩みをお持ちの方は、ぜひ1,3000社以上の豊富な導入実績を持つオープンロジの物流フルフィルメントサービスをご利用ください。
オープンロジでは、全国に所有する倉庫をネットワーク化し、ITを活用することで入荷作業、検品作業、在庫管理、発送作業といった一連の物流業務を自動化できるサービスを提供しております。
これにより滞留在庫の発生も防ぎながら、在庫の最適化が叶うでしょう。
セール時期など、需要に合わせて保管スペースを柔軟に拡張することも可能なため、無駄な在庫の発生を防げるだけでなく、売上の最大化にも役立ちます。

また、オープンロジの大きな特徴のひとつが、その料金体系です。

記事内でもご紹介したように、オープンロジは初期費用・固定費ゼロの従量課金制となっています。

入荷・保管といった倉庫の利用料と配送料などを使った分だけのお支払いでご利用いただくことができ、物流業務に関わる無駄なコストの削減が可能です。

その他にも、ギフトラッピングや同梱物対応、海外発送など様々なニーズにもお応えできるオプションメニューもご用意しております。

小ロットでのご利用やスポット利用も可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

今回の記事では、EC事業において大きな課題のひとつである滞留在庫について、その発生の原因をご紹介しながら、滞留在庫を防ぐ方法から滞留在庫発生時の対応策まで、詳しく解説しました。
滞留在庫を未然に防ぐためには、物流代行業者への委託と在庫管理システムの導入により、効率的かつ適切な在庫管理を行うことが重要です。
在庫管理の最適化・物流最適化のためアウトソーシングをお考えの方は、オープンロジにお気軽にお問い合わせください。

記事監修者紹介

監修者・有田秀夫のイラスト

有田 秀夫(ありた ひでお)

某大手物流企業にて業務設計や法人営業を経験後、老舗通販物流企業にて20年近く数多くのクライアントの物流課題を解決に導いてきた物流のプロ。

現職のオープンロジではその経験を活かし、物流ネットワーク開発に携わっている。

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オープンロジマガジン 編集部

物流プラットフォーム「オープンロジ」のマーケティングメンバーにて編成。物流のことはもちろん、ネットショップやマーケティングのことなど、EC事業者に役に立つ情報を幅広く発信していきます。

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