物流拠点の分散について解説|メリットやデメリットを詳しくご紹介

2022年2月22日

物流拠点の分散について解説|メリットやデメリットを詳しくご紹介

これまで1つだけ運用していた物流拠点を複数に分散させることで、在庫分散を図ることが可能になります。しかし、在庫分散にはどのようなメリットがあるのか、自社は拠点を分散すべきなのかどうかお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

物流拠点の分散にはメリットとデメリットがあるため、どちらの側面も理解しておくことが大切です。そこで今回は、物流拠点を分散させるメリットやデメリットについて詳しくご紹介します。

物流拠点を分散するメリット

物流拠点を分散するメリットには、主に次の3つがあります。

メリット1:物流コストが抑えられる可能性

物流拠点を分散することによって、物流コストを抑えられる可能性があります。例えば物流拠点が1箇所に集約されている状態で納品先が遠い場所にあると、ドライバーに支払う人件費やトラックを走らせるための燃料費などのコストが増加します。

例えば東京から大阪まで荷物を運ぶためには長時間トラックを走らせる必要がありますが、拠点を東京と大阪の2拠点に分散させることによって、関東圏の荷物は東京の物流拠点から、関西圏の荷物は大阪の物流拠点から出荷することが可能になります。

これによって納品先までの距離が短くなるため、配送コストを大きく削減できます。結果的に、全体の物流コストも削減できる可能性が高まります。

メリット2:災害時などのリスク低減

物流拠点を分散させるメリットのひとつに、災害時などのリスク低減を図れるというものもあります。

1つの物流拠点だけを運用している場合、想定外の災害に見舞われると物流拠点の機能が全て停止してしまい長期的に業務を再開できなくなるリスクがあります。業務を継続できない状況が続けば売上は低下し、経営に大きな打撃を与える可能性は高いでしょう。

しかし、複数拠点を運用していればどこかの拠点がトラブルや災害などによって使えなくなってしまったとしても、他の拠点は稼働し続けることができます。

完全に機能が停止して業務に甚大な影響を及ぼす事態を避けられると同時に、停止した拠点の業務を他の拠点が速やかにカバーすることによって被害を最小限に抑えるような運用も可能になります。このように、物流拠点の分散はBCP対策の観点から有効であるといえます。

メリット3:配送スピードの向上

物流拠点を分散することによって、配送スピードの向上も期待できます。前述の「メリット1:物流コストが抑えられる可能性」で元々東京に構えていた配送拠点を東京と大阪の2つの拠点に分散させる例をご紹介しましたが、この例では、配送コストだけでなく配送リードタイムの短縮も実現できます。

例えば東京から大阪まで配送に3日間必要だった荷物を、大阪に拠点を構えてそこから出荷することで1日で届けられるようになるかもしれません。

配送スピードを向上させられれば余裕をもって物流業務に取りかかったり、納品先へいち早く商品を届けて顧客満足度の向上を図ったりすることが可能になります。配送スピードを重視する荷主は多いので、「スピーディーに配送できる」というメリットはそのまま自社の強みとして活かせます。

物流拠点を分散するデメリット

物流拠点を分散するメリットをご紹介していきましたが、一方でデメリットも存在します。ここでは、物流拠点を分散することで生じる2つのデメリットについて解説します。

デメリット1:在庫管理が大変

物流拠点を分散するデメリットのひとつは、在庫管理が大変になることです。物流拠点を1つだけ構えている場合は、在庫管理も1つの物流拠点のみで済みます。「総在庫数=物流拠点に保管されている全ての荷物」となるため在庫の全体像を可視化しやすく、入出荷のコントロールも比較的しやすい状況にあるといえるでしょう。

しかし、拠点を分散するとそれぞれの拠点で在庫管理を行わなければならないだけでなく、拠点間の在庫を総合的に管理して総在庫を把握する作業も必要になります。

例えばこれまで拠点Aのみを運用していた事業者が、拠点A、拠点B、拠点Cの3つの倉庫に拠点の分散を行ったとします。このとき、在庫管理を行う必要があるのは拠点A、拠点B、拠点Cの在庫数に加えて、3つの倉庫の在庫数を合計した社内全体の在庫数の全部で4パターンあります。

複数拠点の在庫をアナログで管理しようとすると、煩雑さから集計ミスを起こす可能性が高くなります。そのため在庫管理システムなどの導入も検討する必要がありますが、システム導入にはコストがかかるというデメリットもあります。

デメリット2:リソース負担が大きくなる

物流拠点の分散には、リソース負担が大きくなりやすいというデメリットも存在します。これまで1つの拠点で行っていた物流業務が複数拠点に分かれるということは、拠点数分の作業員を確保しなければならないということでもあるためです。

分散によって一つひとつの倉庫の運用規模が小さくなったからといって、単純に作業員の数を半分や三分の一にできるかといえば、そうではありません。物流業務を維持するためには最低限こなさなければならない業務が数多くあり、運用規模の縮小に伴って削減できる作業員数は思っていたより限定的になる可能性も十分に考えられます。

その上新たな拠点で働く作業員を増やさなければならないため、新たなリソースを大量に確保しなければならない状況をあらかじめ想定しておく必要があるでしょう。

また、拠点が増えると出荷時の倉庫指定などの新たな業務が発生します。これまで1つの拠点のみで運用していたときには不要だった業務が発生することによって物流業務が煩雑になり、対応するためにより多くのリソースが必要になる可能性も考慮しておくことが求められます。

【コラム】物流拠点は「分散」「集約」どっちがいい?

物流拠点を分散するメリットとデメリットについてお伝えしてきましたが、結局のところ物流拠点は「分散」と「集約」のどちらが良いのでしょうか。ここでは、分散と集約を選択するときのヒントになる考え方をご紹介します。

どちらの方法もメリット・デメリットがある

物流拠点の分散と集約は、どちらの方法であってもメリットとデメリットの双方が存在します。拠点を分散するメリットは、前述のとおりコスト削減や災害時のリスク低減、配送スピードの向上などが挙げられます。一方で、在庫管理が煩雑になり、リソースの負担も大きくなるというデメリットを抱えています。

分散を選択するのであれば、配送費の削減を図りたいと考えていたりBCP対策を重視していたりする場合が適しているといえるでしょう。

一方で、拠点の集約にもコストを削減できるというメリットはあります。ただし、このメリットは拠点を分散する場合のメリットとは性質が異なっており、複数拠点を運用するための人件費や設備投資費用を削減できるという意味合いでのコスト削減を図ることが可能です。そのため、拠点数が多ければ多いほどコスト削減効果は高くなりやすいといえるでしょう。

また、拠点の集約には転送が不要になることによって配送効率が向上したり、在庫状況の把握がしやすくなったりするメリットもあります。

一方で、集約した拠点の所在地によっては従来よりも納品先までの距離が長くなって配送費が増加する可能性もあります。また、集約した拠点が災害などによって使えなくなると経営上大きなダメージを受けるリスクがあるという点も、集約を選択するデメリットのひとつです。

自社の状況や商品の特性を考慮して選定することが大切

拠点の分散と集約にはそれぞれメリットとデメリットがあるため、自社の状況や商品の特性を十分に考慮した上で運用手法を選定することが大切です。

例えば拠点数が多すぎて在庫管理が上手く行われておらず、過剰発注や期限切れによる廃棄ロスが深刻になっているなどの問題が常態化している場合は、拠点を集約することによって問題の解決を図れる可能性があります。

納品先が遠い状況にあり、配送リードタイムの短縮が難しいことによって顧客ニーズを満たせず業務上支障をきたしているのであれば、拠点を分散することで配送リードタイムを短縮し事態の解決を図れるでしょう。

このように、自社が置かれている現状を正確に分析した上で取らなければならない対応を明らかにして、拠点を分散するか集約するかを決めることをおすすめします。

関連記事:物流拠点の集約について解説|メリットやデメリット、集約先の選定ポイントをご紹介

【ご紹介】オープンロジは独自の倉庫ネットワークで物流の課題を解決!

オープンロジでは、独自の倉庫ネットワークでお客様の課題を解決する物流サービスを提供しています。ここでは、当社のサービスについて簡単にご紹介します。

全ての提携倉庫に同一のシステムや標準化されたオペレーションを導入

オープンロジの物流サービスでは、全ての提携倉庫に独自開発のWMSや標準化されたオペレーションを導入しています。そのため全国各地にある提携倉庫で高い物流品質を維持するとともに、どの倉庫に預けられているのかを意識することなくいつでも同じオペレーションで物流業務を完結できます。

自社で独自に複数の物流業者に荷物を預けると、それぞれの物流業者が定めるルールに沿って納品や出荷指示などを行わなければなりません。これでは物流の手間を削減するはずが、かえって手間が増えてしまうなどの問題が生じる可能性があるといえます。

オープンロジなら全ての物流業務を当社のWMSを通じてインターネット上で完結できるため、日々の物流業務にかかる手間を大幅に削減できます。

業務拡大や急激な物量変動など柔軟に対応

オープンロジの物流サービスは、業務拡大や急激な物流変動などにも柔軟に対応いたします。

一部の物流サービスでは事業が拡大して受注量が増えるとサービス範囲内で対応しきれなくなり、倉庫の移転が必要になってしまうケースも散見されます。しかし、オープンロジでは小規模~大規模事業者様まで幅広く対応しているため、お客様の事業規模に合わせて柔軟に業務を拡大していくことが可能です。

また、自社で物流を運用すると、マスメディアで取り上げられたりSNSで情報が拡散されたりすることによって起こる急激な物流変動に対応しきれず、配送遅延や配送ミスを起こしてしまうこともありがちです。あらかじめ物流サービスを活用することで、急激な物流変動への対策も行えます。

在庫分散でリスクを低減

オープンロジでは、全国各地で提携している複数の倉庫の中から荷主様の条件を考慮した上で最適な倉庫を選んで業務を行います。適宜在庫を分散して保管することも可能な体制を整えているため、在庫分散によるリスク低減も図ることができます。

特に小規模事業者様の場合は、自社運用の倉庫を複数拠点に分散するのが難しいケースも多いといえます。拠点を増やすほど人件費や設備投資費用が増加するため、本来は拠点を分散したいと考えていても、コストの観点から1拠点のみで運用することを余儀なくされている事業者様もいらっしゃるでしょう。

オープンロジに物流業務をお任せいただければ、状況に応じて最適な提携倉庫に自動的に荷物を振り分けるため、自社で複数拠点を構えなくても拠点の分散を実現できます。納品先に近い倉庫から出荷することによって配送リードタイムの短縮も実現可能です。

オープンロジの倉庫ネットワークについては、こちらでも詳しくご紹介しています。物流拠点の分散をご検討中の方は、ぜひ一度ご覧ください。

物流拠点の分散について知り自社にあった方法を選ぼう

単一で運用していた物流拠点を分散させることによって、物流コストの削減や災害時のリスク低減、配送スピードの向上などが期待できます。一方で在庫管理が煩雑になったり必要リソースが大幅に増加したりする可能性もあるため、拠点を分散すべきかどうかは慎重に検討する必要があるといえます。

まずは自社の現状課題を洗い出した上で、課題を解決するためには分散と集約のどちらを選択すべきなのかを見極めることをおすすめします。

拠点の分散に自社だけで対応するのが難しい場合は、ぜひオープンロジまでお気軽にご相談ください。全国各地に提携倉庫を持つ広大な倉庫ネットワークを駆使して、リスクを低減する在庫分散を実現するとともに、お客様にとって最適な倉庫運用を行い物流業務を効率化いたします。

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オープンロジマガジン 編集部

物流プラットフォーム「オープンロジ」のマーケティングメンバーにて編成。物流のことはもちろん、ネットショップやマーケティングのことなど、EC事業者に役に立つ情報を幅広く発信していきます。

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