在庫管理システムについて徹底解説

2021年6月11日

在庫管理システムについて徹底解説

倉庫の在庫管理を適切に行うことは、適正在庫を維持して過剰在庫や欠品を防ぐ上で重要です。在庫の管理状況が顧客の信頼度や利益の最大化にもつながるため、在庫管理システムの整備を検討している方も多いのではないでしょうか。

これまでアナログで管理を続けてきた方も、さまざまなメリットが得られることから在庫管理をシステム化する意義は大きいといえます。そこで今回は、在庫管理システムについてあらゆる知識を徹底解説します。

在庫管理業務の概要

在庫管理業務とはどのような意味を持つのかよく分からないという方も多いでしょう。そこで、まずは在庫管理業務の概要について解説します。

在庫管理業務とは|資材や商品を管理すること

在庫管理業務とは、社内や倉庫内に保管されている資材・商品を管理することです。

顧客に対して商品を販売する事業者は、自社で生産した商品や他社から仕入れた商品を顧客からの注文があるまで適切な状態で保管しておかなければなりません。その過程で生じるさまざまな作業を総称して在庫管理業務と呼んでおり、入出庫管理や検品、棚卸、在庫分析やその他の業務など多岐に渡ります。

在庫管理業務が適切に行われていないと、過剰在庫や欠品を招いて廃棄リスクの上昇や販売機会の損失を招いたり、劣化した商品を誤って顧客に発送してしまう事故が起こったりする可能性があるので注意が必要です。

在庫管理業務の詳細

在庫管理業務の中でも代表的なものとして、次の4つが挙げられます。それぞれの詳細な業務内容を見ていきましょう。

入出庫管理・検品

工場で生産した商品や他社から仕入れた商品を、自社で所有している倉庫や契約している他社の物流倉庫に入庫したり、出庫したりする業務のことです。商品を倉庫に入庫する際は、入庫する商品の個数に間違いがないか、初期傷がないかなどを確認する「入庫検品」をセットで行うのが一般的です。

入庫検品が正しく行われていないと、誤った個数のまま入庫してしまい在庫にずれが生じたり、傷がある商品を顧客に発送してクレームの原因になったりするリスクが生じます。

入庫検品は事業者の信頼を守るために重要な業務であると同時に、物流業者にとっても初期傷のある商品をあらかじめ弾くことで、自社の責任による商品の劣化でないことを証明できます。

出庫の際にも、注文された個数と相違ないか、発送に支障がある傷や劣化が見られないかを確認する検品作業を行います。入出庫の際に必ず検品を行うことで配送事故などのトラブルを可能な限り軽減し、顧客からの信頼を維持することにもつながります。

棚卸

棚卸とは、倉庫内の現在の在庫がどのくらいあるのかを把握する目的で、定期的に在庫の数量を数える業務のことです。正確な在庫管理を行うためには棚卸は必要不可欠であり、帳簿上の在庫と実在庫にずれがあれば棚卸の際に訂正が行われます。

最も費用をかけずに棚卸を行う方法は人間が目視で数える方法ですが、近年ではヒューマンエラーの防止や作業効率の向上を目的としてハンディターミナルなどの機械的な手法がよく用いられています。アパレルなどでは読み取り専用の「RFID」というタグを商品に取り付けることで、大量の在庫をごく短時間で数えられる方法も普及してきています。

長く倉庫を運営していると、在庫差異はどうしても発生しやすくなります。定期的な棚卸で在庫差異を是正して最適な在庫管理を行える状態に倉庫を保つことで、欠品や過剰在庫を回避し機会損失の発生を未然に防止できます。

在庫分析・データ抽出

在庫分析やデータ抽出も、在庫管理業務の重要な項目のひとつです。自社の商品在庫を分析して、どの商品を重要視すべきなのかを導き出したり、期間を指定して在庫データを抽出することで販売動向を分析したりできます

在庫分析によってどの在庫をどのくらい持つべきかをコントロールできれば、適正在庫を維持して廃棄リスクを低下させられます。また、在庫データを分析して特定の期間に売れやすい商品が判明すれば、その期間は在庫を多めに持つなどの対策ができるため、販売機会の損失を最小限に抑えられるでしょう。

倉庫内の在庫には多くの情報が隠されているので、効果的に活用することで企業の利益拡大やスムーズな物流業務の進行につながります。

その他

在庫管理業務の中には、上記に数えられない仕事もあります。例えば顧客都合で返品された商品の管理や商品マスタ―の管理、在庫管理システムの設定変更など、常に発生するわけではないものの日常的に取り組まなければならない業務が該当します

一つひとつの業務にかかる時間は僅かであっても、積み重なると多くの時間がかかる可能性もあるので、あらかじめどのような業務があるのかを押さえておきましょう。

関連記事:在庫管理とは|在庫管理方法の詳細や適切な在庫管理で得られるメリットをご紹介

クラウド型在庫管理システムをご紹介

インターネットに接続できる環境であればどこからでも作業が可能なクラウド型在庫管理システムは、在庫管理業務を行いやすくおすすめです。ここでは、クラウド型在庫管理システムを提供している事業者をご紹介します。

ロジクラ

https://logikura.jp/

ロジクラは「通販の在庫管理をラクラクに」というコンセプトで開発された無料で活用できる在庫管理ソフトです。基本機能は永久無料で利用できるので、小規模事業者など基本機能だけで業務を完結できる場合はコストがかからずおすすめです。

また、在庫管理システムはPCからの操作にしか対応していないものも多い中で、ロジクラはiPhoneからでも入出荷処理や在庫確認を行えるのもメリットのひとつです。インターネット環境が整った現場であればちょっとした空き時間で在庫状況を確認できるので、PCを設置してある事務所に戻る必要がないのは嬉しいポイントといえるでしょう。

もちろんPCからでも利用は可能であり、複数ユーザーや複数拠点にまたがった在庫管理も行えます。在庫管理を全拠点で一元化することで、会社全体で所有している在庫を簡単に可視化できます。

一般的に在庫管理システムを活用した検品はハンディターミナルを導入しますが、ロジクラではiPhoneを活用して検品を行うことが可能です。設備投資が不要なのでコストを抑えられるのも魅力といえるでしょう。ハンディターミナルを導入すれば、高速スキャンも実現できます。

受注データを流用した送り状や納品書の作成にも対応しており、効率的な出荷業務を行えます。

mylogi

https://www.mylogi.jp/

mylogiは入出荷業務と在庫管理業務の2点の効率化に特化した在庫管理システムです。複数倉庫を管理できる機能が標準搭載されており、社内のどの倉庫に在庫が何個残っているかを分かりやすく可視化できます

倉庫間の在庫移動にも対応しており、直感的な操作で簡単に在庫を移動できるので、システムに不慣れな方でもスムーズに業務に取り組めます。

API連携によるデータ取り込みが可能なので、ECサイトを運営している方にとっては物流業務の完全自動化も実現できます。現在のところ連携範囲は一部に限られているものの、今後サービス範囲を拡大していく予定となっており、さらに広い範囲で自動化が可能になるでしょう。

「売上を継続的に上げ続けていく仕組み化」をコンセプトに掲げており、同社は物流がボトルネックになって事業を拡大できない状況を防止することが大切だという考え方を持っています。

「ワンポイントカスタム」という、基本機能にワンポイントだけ独自機能を開発するごく小範囲のカスタマイズに対応しているので、コストを抑えながらある程度自社の運用に合わせてシステムを利用できます。

小規模事業者向けの「mylogi lite」なら初期費用が0円、月額費用は8,800円から利用できます。

ZAICO

https://www.zaico.co.jp/

ZAICOは無料で始められるクラウド型の在庫管理ソフトで、利用者は12万人を突破するなど多くの支持を集めています。PCとスマートフォンの両方から利用可能なので、利用のハードルが低い点も特徴です。

複数人の利用に対応しており、クラウド型なのでどこからでも在庫情報を瞬時に確認可能です。スマートフォンによる入出庫検品や棚卸作業に対応しており、バーコードをスキャンするだけで誰でも簡単に面倒な業務を処理できます。ハンディターミナルなどの専用機器を導入する必要もないので、コストを抑えたい方にも便利です。

導入に不安がある場合は法人向けの無料導入相談を行っているので、専用相談フォームから問い合わせると現状の運用に最適なプランを提案してもらえます。メールによる質問や相談は24時間受け付けており、最短当日、遅くとも翌営業日までに回答が帰ってくるスピーディーな対応も安心感があります。

Webサイト上にヘルプページが用意されており、ZAICOの使い方が動画で分かりやすく開設されています。初期費用はかからず、最大200件のデータ登録と簡易検索機能だけの利用なら月額費用も無料で利用できます。

とはいえ機能不足感も否めないので、業務に利用する場合は月額980円(税抜)のエントリープラン以上のプランを契約するのが一般的となるでしょう。

flam

https://www.flamsv.com/

flamはクラウド型の販売管理システムであり、基本機能の中に在庫管理機能も含まれています。見積・受注・出荷・仕入・在庫管理などの基本機能が網羅されており、会計システムとのデータ連携にも対応しています。

年間70回を超える自動更新が行われており、常に最新の状態にバージョンアップされるにも関わらず、機能改善や機能追加は無料で提供を受けられるのも強みのひとつです。

セキュリティ対策が丁重に為されており、サーバーを多重化構築しているので稼働率が高く、99.99%以上の稼働率を誇り業務が停止することはほとんどありません。不正アクセスや通信暗号化対策も万全であり、ウイルス対策も実装されています。

また、日常的に専用サーバーにデータが自動的にバックアップされるので、万が一の消失の心配をすることなく安心して利用できます。

初期費用は無料で、利用料金はスタンダードプランが月額9,300円(税抜)です。標準で3アカウント使用できますが、アカウント追加の場合はオプション費用が必要になります。

W3 MIMOSA

https://www.dialog-inc.com/top/business/warehouse_management_services/about_w3_mimosa/

W3 MIMOSAは2015年にリリースされた「W3 SIRIUS」というハイエンドモデルのクラウド型在庫倉庫管理システムをベースに、より安価に提供されている倉庫管理システムです。

インターフェースの設定も簡単に完了できるので、直感的に利用開始が可能です。標準帳票が豊富に用意されているのが特徴のひとつで、ハイエンドモデルの「W3 SIRIUS」に搭載されていた帳票はひと通りカスタマイズなし、もしくは簡単な設定のみで活用できます

ハンディターミナルにも対応しており、必要があればレンタルも行っているので、高速なバーコードスキャンができます。画面設計はExcelのような使い心地なので、初めての方でもそれほど違和感なく使いこなせるでしょう。

外部への在庫数公開にも対応しているため、荷主様に在庫数を知らせなければならないケースでも活用できます。シリアル管理や賞味期限管理、フリーロケーションなど複雑な管理にも対応可能です。

価格は初期費用が20万円、月額費用は5万円となっています。小規模事業者にとっては少々負担が大きい金額設定なので、中規模の事業者向けのシステムといえるでしょう。在庫管理だけでなく、本格的な倉庫管理を行いたい事業者に特におすすめのシステムです。

@wms

https://www.atm-net.co.jp/atwms/

@wmsはリアルタイム在庫管理に対応したクラウド在庫管理システムです。ハンディターミナルに対応しており、賞味期限やロット、製造日別の管理にも対応しています。

在庫管理機能においては商品別やロケーション別の在庫参照や複数の在庫検索機能を搭載しており、目的の商品をスムーズに探し出せます。出荷までのトレース管理を徹底できるので、細かく情報を追わなければならない商品を扱っている場合に重宝するでしょう

日ごとの作業履歴の管理ができるので、トラブルが起こった場合でも過去に行った作業を遡って原因を割り出せます。

発注点切れの在庫を抽出して推奨発注数を確認したり、ロット割れチェックを行ったりできるなど、欠品しにくいシステムを実現しています。スマートフォンから在庫照会や移動ができるので、空き時間に作業ができるのは嬉しいポイントです。

オプションとしてハンディターミナルの利用や出荷ABC分析機能の追加、事前セット組による出荷作業の効率化などにも対応しています。

みえぞう

https://miezou.jp/

みえぞうはさまざまな業種に使える汎用的な在庫管理システムで、PCから利用可能です。複数拠点の在庫情報を一元管理可能なので、社内の在庫がどのくらいあるのかをひと目で把握できます。

データ連携と在庫の自動計算、引き当てや発注残の管理を一括で行うため、現在引き当てられる有効在庫数が常に最新の状態で表示されます。在庫差異が発生しにくく、効果的な管理が可能になるでしょう。

利用料金は月額29,800円(税抜)~利用できるので、小規模~中規模業者に向いているシステムであるといえます。ユーザーアカウントの登録に制限が設けられていないのが特徴的で、同時接続数が規定のログインユーザー数に達していなければ、ユーザーを何名設定しても月額料金の範囲内で利用できます

「データコレクター」と連携が可能になっており、入出庫や棚卸業務の効率化も図れます。無料試用版の提供があるので、まずは使ってみたいという方はWebサイトから申込んでみると良いでしょう。

eee CLOUD

https://www.net-land.co.jp/products/412

eee CLOUD(イークラウド)やシンプルで分かりやすい設計が特徴の「1画面で見える化する在庫管理システム」です。在庫管理システムだけでなく、受発注機能や請求書・納品書の出力も可能です。

複数倉庫の一元管理にも対応しており、倉庫数やユーザー数の登録は月額料金内で無制限となっています。ハンディターミナルの利用は標準機能で対応しているわけではありませんが、オプション契約で入出荷登録が可能になります。大きな仕様変更を伴わない簡易カスタマイズは無償で対応してもらえるため、幅広い業種・業態で利用できます。

他の在庫管理システムと異なる部分として、1画面の中で現在の在庫数と将来在庫が確認できることが挙げられます。将来在庫が自動計算されて発注点が判明し、在庫切れや納期遅延を起こす不安を解消可能です

利用料金は初期費用が100,000円、月額費用が30,000円~です。全業種型のシステムなので、どの在庫管理システムを利用すれば良いか分からないという方でも初めての在庫管理システムに選定しやすいといえるでしょう。小規模~中規模の事業者向けのシステムです。

SmartMat Cloud

https://www.smartmat.io/

スマートマッドクラウドは、700社以上の導入実績がある全業種対応の在庫管理システムです。在庫の重量を自動検知して自動的にクラウド上に記録し、増減検知を利用して自動発注を行うので、在庫管理業務を自動化・無人化できるのが特徴です

在庫管理の手間を最小限に抑えるために有効な、「重さを利用した在庫管理」であり、他の在庫管理システムとは少々異なるタイプだといえるでしょう。特に製造業や医療業界、商社などでよく用いられているようです。

サイズや荷姿の異なるさまざまな商品の重さを検知でき、外部システム連携を利用すれば残量データを受け渡すことも可能になっています。商品の重さは1gから1tまで検知可能なので、ネジなどの小形の部品からパレット管理の重量がある資材まで広く対応しています。

重さをあらかじめ指定しておき、設定値を下回るとメールで通知されるので、欠品が起こりにくい設計になっています。

初期費用や月額費用は公式ホームページに記載されていないため、利用を検討している場合は問い合わせが必要です。導入前にZoomによる無料Web相談も可能であり、サポート体制も整っているシステムです。

在庫管理システム導入で得られるメリット

在庫管理システムを導入することで、次の3つのメリットを享受できます。どのようなメリットがあるのか、一つずつ詳しく見ていきましょう。

メリット1:在庫の状況を可視化

在庫の個数を正確に把握していないと、商品が不足していると勘違いして在庫が残っているにも関わらず追加発注してしまったり、商品の欠品に気がつかないまま補充されずに販売機会の損失を招いてしまったりするリスクがあります。

このことからも、倉庫に在庫がどのくらいあるのかを管理することは過剰在庫や欠品を防止する上で重要であるといえるでしょう。しかし、アナログな運用だけで正確に在庫を管理することは難しく、帳簿などの紙ベースやExcelへの打ち込みなどで管理を行っていると、どうしても倉庫の全体像が見えにくくなり、在庫差異が出てしまいがちになります。

在庫管理システムを導入すると、倉庫の在庫を自動的に管理できるようになり、ひと目で倉庫全体の在庫を可視化できます。どの商品が何個残っているのかを簡単かつ正確に把握できるようになるので、効率的な倉庫運用が可能になります

近年のECにおいては膨大なアイテム数を取り扱っているストアも増えており、在庫管理が煩雑になって在庫状況が見えにくくなりやすい状況にあります。在庫管理システムを導入してデジタルな管理を行うことで、倉庫の大量の在庫も手軽に把握可能です。

メリット2:コスト・リソースを削減

正確な在庫管理には正確な入出庫検品や定期的な倉庫の棚卸が必要になりますが、これらの業務、特に棚卸には非常に多くのリソースを割かなければなりません。

アイテム数が多い倉庫においては通常の体制では対応しきれず、本部や他の倉庫から応援を呼ばなければならなかったり、長い残業を行って対応しなければならなかったりするケースはよくあります。

このように多くのリソースを割かなければならないと、メイン業務に集中できる環境を維持できずに商品の企画や販促活動が遅れたり、事業の拡大に向けた取り組みがままならなかったりする可能性が生じます。

また、メイン業務が停滞することによって顧客満足度が低下し、せっかく自社のファンになってくれたリピーターの離脱を招いてしまうこともあるでしょう。

さらに、在庫管理業務をマンパワーでこなそうとすると、多大なリソースを必要とすると同時に人件費も膨大になりがちです。在庫管理システムを導入することで、これまで人の手で対応せざるを得なかった入出庫検品や棚卸を機械によって自動化でき、コストやリソースを大幅に削減できます

メリット3:人的ミスの防止

在庫管理業務に欠かせない入出庫検品や棚卸は、人の手で行うとどうしてもミスが起こりやすくなります。どれほど気をつけていても人間が作業を行う以上は完全に間違いを失くすことは難しく、ミスの可能性を減らすためにダブルチェック体制を敷こうとすれば、さらに現場のリソースが圧迫されて人件費も増大するでしょう。

在庫管理システムを導入してアナログからデジタルな管理に切り替えることで、目視による棚卸の数え間違いや入出庫時・ピッキング時の商品の取り違えを防止しやすくなり、人的ミスを削減できます

人的ミスが原因の誤配送などを起こしてしまうと顧客からクレームが入る可能性もあり、顧客満足度を低下させるだけでなく、場合によっては訴訟などの深刻な信用問題に発展するリスクもあります。

可能な限り人的ミスの発生を防ぐためにも、できる限り人の手で行う作業範囲を小さく抑えて、現場のデジタル化を進めることが大切です。

本記事でご紹介したクラウド型在庫管理システムを提供している業者の一部にもあるように、近年ではハンディターミナルなどの機器がなくてもスマートフォンで検品・棚卸を行えるシステムも登場しています。自社の予算感や事業規模に合わせて、適切なシステムを選択すると良いでしょう。

在庫管理システム導入のデメリット

在庫管理システムをの導入にはさまざまなメリットがありますが、一方でデメリットもいくつかあります。ここでは、考えられる3つのデメリットについて解説します。

デメリット1:新たな業務フロー・マニュアルの作成が発生

在庫管理システムを導入する際は、これまでの業務フローを在庫管理システムの活用を前提としたものに刷新しなければなりません。人の手による処理が多ければ多いほど、業務フローの刷新には手間と時間がかかるでしょう。

まずは現行の業務フローを現場からのヒアリングを行いながら明らかにして、どの業務を在庫管理システムに置き換えなければならないのかを把握する必要があります。そのためには現場に在庫管理システムの導入の必要性を理解してもらい、協力的な状況を作り出すプロセスも必要不可欠です。

経営層が一方的にシステムの導入を言い渡しても、実際にシステムを活用して業務を行うのは現場のスタッフです。彼らが主旨を理解し納得した上で導入に協力してもらえなければ、効率的なシステム運用はままなりません。それどころか、せっかく導入しても活用されずに従来の運用に逆戻りしてしまう可能性さえあります。

また、新たな業務フローの全体像が見えたら、システムを運用するためのマニュアル作成業務も発生します。誰もが同じ手順で在庫管理システムを活用できる環境を整えるためには、口頭で使い方を伝えるのではなく、マニュアルを整備するのが効果的だからです。

デメリット2:トラブル発生時の対応に遅れが出る可能性

在庫管理システムの導入はスムーズな在庫管理を実現してくれますが、トラブル発生時の対応に遅れが出る可能性もあります。

例えば、電話やFAXで受注を受け付けて紙の帳簿で在庫を管理している倉庫であれば、急な受注内容の変更があっても帳簿の記載を書き換えるだけで簡単に在庫を移動できます。倉庫間でモノをやり取りするだけで作業を終えられるため、柔軟な対応は比較的取りやすいといえるでしょう。

一方で、システムを利用した在庫管理を行っている場合は、急な受注内容の変更があると逐一システム上で変更処理をかけなければなりません。出荷済みの在庫の操作に制約を設けているケースも多く、倉庫間の在庫の移動を簡単に行えない可能性もあります。

また、システムトラブルによって在庫管理システムそのものが使えなくなると、出荷業務全体がストップして配送遅延を招く可能性もあるでしょう。復旧までに時間がかかると顧客からのクレームの原因にもなることから、万が一の状況が起こった際の業務フローを適切に設定しておく必要があります。

デメリット3:運用に新たなコストがかかる

システムを新たに導入するためには、新規システムの構築や契約にあたって初期費用を投じる必要があります。特にこれまでまったくシステムを利用したことがない事業者にとっては、システムの負担が重く感じられる場合もあるでしょう。小規模事業者の場合は高額な初期費用に費用対効果が見合わず、導入を断念せざるを得ない場面もあるかもしれません。

また、システムは初期費用だけでなく月額費用やシステム更新費用もかかります。月額費用にはシステムの利用料や保守費用などが含まれており、毎月の運用に必要不可欠な固定費となります。受注が多くない月であっても固定費の負担は削減できないので、本当に導入の必要があるかどうかは慎重に検討する必要があるでしょう。

古くなったシステムは定期的にバージョンアップしたり機能追加を行ったりする必要があることから、一度導入すれば半永久的荷使い続けられるというわけではありません。一定周期でシステムを新規構築する費用と同程度のコストがかかることを想定しておかなければならないという注意点もあります。

さらに、システム自体の費用だけではなく、運用にかかる人件費もコストの一部であることを覚えておきましょう。システムを運用できる人材がいない場合は新たに確保しなければならず、予定外の支出が発生する可能性もあります。

在庫管理システム選定のポイント

在庫管理システムを選定する際は、次の3つのポイントに注意する必要があります。コストだけに注目すると扱いにくいシステムを選んでしまい、結果的に長続きしなくなってしまう場合もあるので、システムの内容にも十分に目を向けましょう。

ポイント1:自社の必要な機能・サービスは揃っているか

在庫管理システムの選定に失敗してしまう理由としてよく挙げられるのが、「価格の安さだけに注目して選んでしまう」ことです。

長く使い続けるシステムなので、初期費用や月額費用を安価に抑えられるのは確かに魅力的です。しかし、価格にばかり注目して使いにくかったり機能不足だったりするシステムを選んでしまうと、必要な機能を果たせずに社内に浸透せず、従来のアナログな運用に逆戻りしてしまうリスクがあります

システムを選定する際は、自社の必要な機能やサービスが揃っているかどうかを十分に確認しましょう。まずは現場で行われている業務を洗い出し、倉庫の業務フローを明確にした上で、これまで人の手で行われていた業務をカバーできるシステムを選ぶことが大切です。

業務フローを洗い出す際は、現行の業務が最適化されているかも併せて検討することをおすすめします。当たり前のようにこなしている業務であっても、実は不要だったり効率化を図れたりする手順が混ざっていることはよくあります。業務を見直す良い機会だと捉えて、倉庫全体の業務を効率化する業務フローを新たに構築し直してみましょう。

ポイント2:サポート体制は整っているか

システムの価格と機能は重要ですが、サポート体制が整っているかどうかも注目しておきたいポイントです。価格が安価で機能が充実していたとしても、サポート体制が不十分だとトラブルが起こった時に復旧に膨大な時間がかかって損失が大きくなったり、使い方が分からなくなっても解決までに長い時間を要したりする可能性があります

在庫管理システムを提供している企業のサポート体制にはさまざまな形式があり、電話やメールでサポートを受け付けている場合もあれば、電話のみ、メールのみだったり、遠隔操作による支援を行っていたりする場合もあります。

自社に必要なサポート範囲はどの程度なのかをあらかじめ協議した上で、求めているレベルのサポート体制を実現できる業者のシステムを選定しましょう。

一般的に、サポート体制が簡素であるほど保守費用が安価になる傾向にありますが、価格だけで選ぶと後から十分な運用ができずに苦労する可能性もあります。できる限り二人三脚で自社に寄り添ってくれる業者を見つけることが大切です。

ポイント3:他システムとの連携は可能か

最近では、さまざまな連携機能を搭載した在庫管理システムが多くの業者から提供されています。例えばECサイトの注文をシステムに取り込んで出荷指示をかけ、注文情報に基づいて在庫の引き落としをかけるまでの流れをAPI連携によって自動化するなどの処理が可能になれば、物流業務にかける時間は大幅に短縮できます。

そのため、在庫管理システムを選定する際は他システムとの連携が可能かどうかを確認しておくことをおすすめします。自社ECやECモールなどと連携するケースはよくありますが、複数倉庫を所有している場合は倉庫間の連携が可能かどうかも重要な判断基準です。

また、自社の基幹システムと連携を必要とする場合もあるでしょう。その場合は一般的にシステム開発を行って在庫管理システムに基幹システム側からのデータの取り込み口を作る必要があるので、ある程度開発費用がかかることも想定しておかなければなりません。

他システムと連携できる在庫管理システムを選んだ方が、業務効率が向上する可能性は高くなります。基本機能も重要なポイントですが、どのようなシステムと連携できるかという点にも注目しましょう。

【ご紹介】オープンロジなら在庫管理含めた物流業務を一気に自動化!

オープンロジでは、在庫感を含めた物流業務を一気通貫で自動化するフルフィルメントサービスを提供しています。ここでは、当社のサービスを簡単にご紹介します。

在庫の状況をリアルタイムで把握可能

倉庫にとって在庫状況の把握はスムーズな物流対応と利益の最大化のために非常に重要であり、在庫管理システムは複雑化するEC業務にとって必要不可欠な存在になりつつあるといえるでしょう。

オープンロジが提供するWMSをご利用いただくと、在庫の状況をリアルタイムで把握できます。さまざまなECプラットフォームやECモールとデータ連携が可能であり、API連携を通じて注文情報を自動的にWMS上に取り込んで受注処理を行い、在庫の引き落としも一連の流れの中で自動処理されます。

物流の外注は自社に商品を持たないことから、最新の情報を把握しにくい点をデメリットとして捉える事業者様も少なくありません。しかし、オープンロジのWMSではインターネットに接続できる環境であれば常に最新の在庫情報を把握できるので、実際に商品を預けている倉庫が遠方にあったとしても問題なく倉庫の実態を把握できます。

在庫情報が明らかになっていれば、想定外の欠品や過剰在庫の防止につながります。トラブルの際もWMS上から状況を迅速に把握できるので、初動対応も取りやすいでしょう。

リアルタイム性を重視することによって「商品を手元に持たない」ことによる不安を感じさせない運用が可能です。

管理画面はシンプルで見やすい

オープンロジが提供するWMSの管理画面は、シンプルで見やすく直感的な操作が可能になっています。複数の荷主様の荷物を預かっている場合であっても簡単に案件を管理できるので、抜け漏れが発生する可能性を最小限に抑えて、効率的な運用を叶えられます

日常的に利用するシステムだからこそ、誰が担当者であってもスムーズに操作できる環境が整っているシステムは重要です。専門的な知識がないと操作できないシステムは活用できる範囲が狭まってしまうので、シンプルかつ機能が充実している在庫管理システムが望ましいといえるでしょう。

設定画面も簡単に設計されており、倉庫への出荷指示もボタンひとつで簡単に作成できます。海外発送も同じ画面から指定できるので、海外向けの荷物は別の画面から処理しなければならないなどの複雑な対応もなく、越境ECをお考えの事業者様でも安心してご利用いただけます。

受注確認から出荷指示、在庫管理やロケーション管理まで、倉庫業務に必要な機能は一通り網羅されているので、これまでアナログな運用を続けてきた現場の業務効率化にも役立ちます。

料金は使った分だけの従量課金制

比較的小規模の取引がメインの事業者様にとって、初期費用の負担が大きいからと物流倉庫の利用を諦めてしまうケースは少なくありません。物流がボトルネックになっているにも関わらず自社で対応し続けなければならず、メイン業務に割り当てられるリソースが限られてしまい、事業の拡大やサービス品質の維持に支障をきたしてしまうこともよくあります。

オープンロジでは「初期費用・月額費用0円の従量課金制」を採用しており、毎月のご請求は倉庫をご利用いただいた分のみとなっています。倉庫の利用は商品1点からでも可能なので、「扱っている商品の数が少ないから物流倉庫に預けるのは難しい」と諦めている方も、ぜひお気軽にお問い合わせください。

小規模事業者様の中には、「少し大変だけど、それほど注文が多いわけではないから物流倉庫に委託する必要はないだろう」とお考えの方も多くいらっしゃいます。しかし、将来的な事業拡大を見据えるのであれば、注文が急激に増加してから物流の外注を検討するのは現場に非常に大きな負荷がかかります。

注文が少ないから時期尚早だと判断するのではなく、できるだけ早い段階で外注化を検討することで、メイン業務に集中して安定的に成長し続けられる環境を整えられます。

在庫管理はEC運営の重要業務のひとつ

在庫管理を行って倉庫の適正在庫を維持することは、自社の利益の最大化を図るだけでなく、時には顧客満足度の維持・向上にも直結します。アナログな管理は在庫差異が発生しやすく、多大なリソースを必要とすると同時にコストも膨らみやすいので、在庫管理システムによって自動的に管理できる仕組みを整えることをおすすめします。

在庫管理システムを選定する際は、価格だけでなく機能やサポート面にも注目して、総合的に充実しているサービスを選びましょう。ひとつの側面だけ見て決定してしまうと、後から失敗したと感じる可能性もあります。

自社で在庫管理を行うのが難しい場合は、外注化を検討するのも手段のひとつです。外注を利用することでスムーズな在庫管理と安定したクオリティで、高品質な物流を実現できます。

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オープンロジマガジン 編集部

物流プラットフォーム「オープンロジ」のマーケティングメンバーにて編成。物流のことはもちろん、ネットショップやマーケティングのことなど、EC事業者に役に立つ情報を幅広く発信していきます。

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