食品EC市場が盛り上がりを見せている今、新たに食品をオンラインで販売したいと考えている方も多いでしょう。しかし、食品のオンライン販売には許可や資格の取得が必要になるため、どのように開業準備を進めれば良いのか分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、食品をオンラインで販売するために知っておきたいポイントを徹底解説します。これから食品のオンライン販売を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
食品をオンラインで販売する際に必要な許可・資格
食品をオンラインで販売する際は、「食品衛生責任者」と「食品衛生法に基づく許可」の2つの許可と資格が必要になります。ここでは、それぞれの概要について解説します。
食品衛生責任者
実店舗・オンライン問わず、食品を扱う事業を営む場合は「食品衛生責任者」の配置が必須となります。食品衛生責任者とは食品衛生法第51条に基づいて定められた「公衆衛生上必要な措置の基準」によって、食品衛生責任者を定めることを指しています。
食品衛生責任者の役割は営業車の指示に則って衛生管理を行うことであり、営業者は食品衛生責任者の助言を尊重することが求められます。
食品衛生責任者になるためには、都道府県知事等が行う所定の講習会を受講して修了する必要があります。もしくは、栄養士や調理師、製菓衛生師など一部の資格を保有する人でも食品衛生責任者になることができます。
講習会は各自治体が個別に実施しているため、所属する自治体のホームページなどから申込を行う必要があります。詳細な要件は異なりますが、受講資格は満20歳以上で日本語を理解できる方などとしているケースが多いようです。
食品衛生責任者の受講内容は「食品衛生学」「食品衛生法」「公衆衛生学」と受講後の確認試験で構成されており、全部で6時間程度の内容となっています。
食品衛生管理者との相違点
食品衛生管理者とは、食品衛生法第48条の規定に基づいて所定の食品を製造または加工する施設に配置することが義務付けられている資格です。食品衛生責任者とは異なり、国家資格に合格しなければ従事することができません。
食品衛生管理者を配置する必要があるのは、次の食品を製造または加工する施設です。
- 全粉乳(その容量が1,400グラム以下である缶に収められるものに限る)
- 加糖粉乳
- 調製粉乳
- 食肉製品(ハム、ソーセージ、ベーコンその他これらに類するものをいう)
- 魚肉ハム
- 魚肉ソーセージ
- 放射線照射食品
- 食用油脂(脱色又は脱臭の過程を経て製造されるものに限る)
- マーガリン
- ショートニング
- 添加物(食品衛生法第13条第1項の規定により規格が定められたものに限る)
また、食品衛生管理者として従事できる国家資格は、次の要件に当てはまっている必要があります。
- 医師、歯科医師、薬剤師、獣医師
- 学校教育法に基づく大学、旧大学令に基づく大学又は旧専門学校令に基づく専門学校において医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学、農芸化学の課程を修めて卒業した者
- 都道府県知事の登録を受けた食品衛生管理者の養成施設において所定の課程を修了した者
- 学校教育法に基づく高等学校若しくは中等教育学校若しくは旧中等学校令に基づく中等学校を卒業した者又は厚生労働省令の定めるところによりこれらの者と同等以上の学力があると認められる者で、食品衛生管理者を置かなければならない製造業又は加工業において食品又は添加物の製造又は加工の衛生管理の業務に3年以上従事し、かつ、都道府県知事の登録を受けた講習会の課程を修了した者
上記の4つのいずれかに該当する資格を持っていなければ、食品衛生管理者になることはできません。
食品衛生法に基づく営業許可
食品をオンライン販売するためには、食品衛生責任者を置くだけでなく、営業許可も取得する必要があります。
要件を満たす必要がある食品衛生法
食品衛生法による規定では、「飲食に起因する健康被害を発生させるおそれの比較的大きな営業または危険度はそれほど高くないが利用者の多い営業について、都道府県は業種別に施設について必要な基準を定めること」とされており、この業種に当てはまる事業者は保険所長の許可を得て営業を開始する必要があります。
これに照らし合わせてみると、食品のオンライン販売はどちらかといえば「危険度はそれほど高くないが利用者の多い営業」に該当するケースが多いといえるでしょう。「飲食に起因する健康被害を発生させるおそれの比較的大きな営業」には、レストランや喫茶店、居酒屋などの利用者が実店舗に来店して飲食をする事業が該当するケースが一般的です。
ただし、扱っている商品によっては1つの営業形態だけでなく、複数の営業形態で営業許可を取得しなければならない場合がある点には注意が必要です。例えばオンライン販売のために菓子とアイスクリームを製造しているとすると、「菓子製造業」と「アイスクリーム類製造業」の2つの許可を得なければならない可能性があります。
自社に必要な営業許可はどれなのかを十分に確認した上で、適切な許可を申請する必要があります。また、許可の取得には業種によって所定の手数料がかかります。
食品によっては営業許可が不要な場合もアリ
食品衛生法に基づく営業許可の取得対象になるのは、定められた34の業種を営む場合に限られます。したがって、34の業種以外のオンライン販売を行う場合には、営業許可が不要になる可能性もあるといえます。
対象の業種は「調理業」「製造業」「処理業」「販売業」の4つに大別されており、その中でさらに細分化されたものが次の34業種です。
- 調理業
- 飲食店営業
- 喫茶店営業
- 製造業
- 菓子製造業
- あん類製造業
- アイスクリーム類製造業
- 乳製品製造業
- 食肉製品製造業
- 魚肉ねり製品製造業
- 食品の冷凍又は冷蔵業
- 清涼飲料水製造業
- 乳酸菌飲料製造業
- 氷雪製造業
- 食用油脂製造業
- マーガリン又はショートニング製造業
- みそ製造業
- しょう油製造業
- ソース類製造業
- 酒類製造業
- 豆腐製造業
- 納豆製造業
- めん類製造業
- そうざい製造業
- かん詰又はびん詰食品製造業
- 添加物製造業
- 処理業
- 乳処理業
- 特別牛乳さく取処理業
- 集乳業
- 食肉処理業
- 食品の放射線照射業
- 処理業
- 乳類販売業
- 食肉販売業
- 魚介類販売業
- 魚介類競り売り営業
- 氷雪販売業
営業許可取得までの流れをご紹介
食品衛生法に基づく営業許可は、一般的に次のような流れで取得します。必要なステップを順番に見ていきましょう。
STEP1:保健所に相談する
まずは、保健所に新規の営業許可を取得したいことを相談しましょう。あらかじめ保健所に相談しないまま営業準備を進めると、いざ条件に合致していないことが判明したときに膨大な工数を費やして修正作業を行わなければならない可能性があるためです。
実店舗であれば施設の図面などを持参しますが、オンライン販売のみであれば店舗は存在しないので、取り扱う予定の品目をできるだけ詳細にまとめて提示するのが望ましいでしょう。相談先は保健所の食品衛生担当になります。
相談の結果営業に問題があるようなら、該当の箇所を指摘してもらえるので開業前の段階で修正して再度相談しておくと良いでしょう。問題がなくなった時点で次のステップへ進んだ方が、スムーズに営業許可の取得が叶う可能性が高いといえます。
STEP2:申請書類の提出
保健所への相談が一段落して申請へのハードルがなくなったら、営業許可を取得するための申請書類を記入して提出します。
実店舗であれば施設完成予定日の10日前程度を目安に提出するのが望ましいですが、オンライン販売であれば施設を用意するわけではないため、営業開始日にかかわらずできるだけ早めに申請準備を進めた方がスムーズです。申請書類の提出先も、管轄の保健所になります。
STEP3:確認検査の打ち合わせ
営業許可申請の書類提出を終えると、営業する店舗が営業許可の要件を満たしているかどうか保健所の担当者が確認検査を行います。オンライン販売の場合は、商品を販売するECストアをチェックする形になります。
検査基準は全国的に似通ってはいますが、厳密には事業者の業態や自治体の保健所によって少しずつ異なっているため、確認検査について不明点があればSTEP1の事前相談の段階で確認しておくことをおすすめします。
ECストアの構築が完了してしまってから改善点の指摘を受けると、システム改修のコストがかかるだけでなく営業開始が延びてしまう可能性もあります。そのため、疑問点はできるかぎり事前相談の段階で解決しておくことが大切です。
STEP4:確認検査の実施
事前にすり合わせた実施日に、ECストアが営業許可を取得するに値するかどうかの確認検査を行います。事前申請の内容に沿っているか、保健所の基準に合致しているかどうかを丁寧に判断した上で、問題がなければ営業許可の発行が許可されます。
確認検査には、営業車の立ち合いを求められるのが一般的です。要件を満たさない場合は許可が下りず、改善指示を受けて後日あらためて確認検査を受け直すことになるため注意が必要です。
営業許可の発行が許可されれば、確認検査修了のタイミングで営業許可書公布予定日のお知らせが交付されます。
STEP5:営業許可書の交付
営業許可書交付予定日になったら、確認検査のときに公布された「営業許可書交付予定日のお知らせ」と「認印」を保健所に持参して、営業許可書の交付を受けます。
営業許可書の作成は確認検査に合格した後開始されるため、交付までに数日程必要になります。事業の開始日については、保健所と事前に相談しておくことをおすすめします。
STEP6:営業開始
営業許可書を取得できたら、いよいよ営業開始となります。オンライン販売を開始した後も、ECストアが食品衛生法の基準に則って管理されているかを定期的に点検することが大切です。
食品は衛生面の管理も重要になるため、取り扱いには十分注意して、消費者にとって安全な食品を販売するように意識することが求められます。もし営業中に変更があったり廃業したりする場合は保健所へ届け出が必要になるため、忘れずに手続きを行いましょう。
食品をオンラインで販売する際に知っておきたい条例と法律
食品をオンラインで販売する際は、特に次の5つの条例について押さえておくことをおすすめします。それぞれの概要について見ていきましょう。
景品表示法
景品表示法とは、正式名称を「不当景品類及び不当表示防止法」という法律のことです。
一般的に消費者は自分にとってメリットがある良質な商品やサービスを選びたいと思うものですが、悪意のある事業者によって実際の品質よりも明らかに良いものであるように誇大表示されていると、正常な判断ができなくなって品質の低い商品やサービスを購入してしまい、不利益を被る可能性があります。
このような消費者の不利益を防ぐための法律が景品表示法であり、法律に則って商品やサービスの品質や内容、価格等を適切に表示するように義務付けられています。同時に過剰な景品付き販売を防止するために景品類の最高額を制限して、景品につられて正しい判断ができずに商品を購入してしまう消費者を守る役割も果たしています。
そのため、食品をオンラインで販売する際は景品表示法に則った適切な表示を行うことを意識しましょう。景品表示法が制定されていることによって、消費者がより良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選択できる環境を守ることにつながっています。
食品表示法
食品を製造した際は、食品表示法に則って食品の情報をラベルに記載するように義務付けられています。誤表示や情報の漏れが発覚すると、法律に基づいて処罰の対象になる可能性もあるので注意が必要です。
食品表示法では、「品質事項」「衛星事項」「保険事項」の3つのカテゴリーについてラベル表示することが定められています。品質事項とは、JAS法で定められていた食品の品質表示を適正化するための表示事項のことです。衛星事項は食品衛生法によって定められていた、消費者の健康保護の観点から必要な食品に関する表示事項のことをいいます。
また、保険事項とは消費者の健康増進を図るために必要な食品に関する表示事項を指しており、この3つのカテゴリーの中にもさらに細かく項目が定められています。
食品表示の内容は扱う食品の種類によっても多少異なっており、加工食品、生鮮食品、添加物、遺伝子組換え食品に関する事項など細かい指定があるため、自社で販売する食品がどのようなラベル表示を行わなければならないのか必ず確認しておきましょう。
健康増進法
健康増進法とは、誇大広告によって過大な健康増進効果が期待できると誤解させるような表現を規制するための法律です。近年、消費者には健康志向が広がっていることから、健康食品がオンライン販売でもよく取り扱われています。
ECサイトなどでは健康食品の健康効果をアピールするためにさまざまな広告や宣伝が行われていますが、このような広告の中には効果が科学的に実証されていないにもかかわらず、必ず効果が表れるような表現を行っている悪質な事業者も存在します。このことから政府は健康増進法によって、このような虚偽や誇大広告を厳しく取り締まっています。
健康増進法の規制対象となるのは「健康食品」であり、この健康食品はさらに「健康食品」と「保健機能食品」の2種類に分けられます。健康食品とは「健康増進法に定める健康保持増進効果等を表示して販売される食品のこと」で、保健機能食品とは、「健康食品の中で、生理学的機能などに影響を与える保険機能成分を含んでいる食品」の総称です。
食品をオンライン販売する際は、健康増進法に抵触していないかどうかもチェックする必要があります。
米トレーサビリティ法
米トレーサビリティ法とは、米や米加工品に何らかのトラブルが起こった際の流通ルートをスムーズに特定するために、生産されてから販売・提供されるまでの各プロセスの詳細な記録を作成・保存しておくことを定めた法律のことです。
販売されているお米の産地がどこであるかを、取引先や消費者に伝えることを目的としています。
米トレーサビリティの対象者は「対象品目となる米・米加工品の販売、輸入、加工、製造又は提供の事業を行うすべての方(生産者を含む)」となっているため、オンライン販売の事業者も対象となります。
対象品目は米穀、主要食糧に該当するもの(米粉、米穀をひき割りしたもの、ミール等)、米飯類、米加工食品となっているため、これらの食品をオンライン販売する際は米トレーサビリティ法に基づいて産地表示の伝達と取引等の記録の作成・保存が義務付けられます。
東京都消費生活条例
東京都消費生活条例は東京都が独自に制定している条例であり、法令で規定されていない品目や事項について東京都が独自に表示基準を設けて基準に合った表示を行うように事業者に義務付けているものです。
現在東京都が義務付けている対象品目は「 調理冷凍食品 」「 かまぼこ類 」「はちみつ類」「 カット野菜及びカットフルーツ」の4品目となっています。
この条例は東京都独自のものではありますが、オンライン販売を行う場合は東京都に住む消費者が自社の食品を購入する可能性も大いにあるため、あらかじめ対応しておく必要があるといえます。対象となっている品目を取り扱うのであれば、忘れずにチェックしておきましょう。
食品をオンラインで販売する際の注意点
食品をオンラインで販売する際は、次の3つの注意点を意識して販売準備を進めることが大切です。
注意点1:ラベルには表示義務があるため事前に要確認
前述のように、食品の販売は実店舗・オンライン問わず食品表示法に基づいて所定の成分や品質をラベルに表示する義務があります。法律で定められているため、違反すると懲役や罰金等の処罰の対象になる可能性がある点を念頭に置き、事前に必ず表示内容を確認しておきましょう。
食品表示法とは、もともとJAS法、食品衛生法、健康増進法(栄養表示)の3つの法律で規定されていた内容を平成25年に1つの法律にまとめて公布された法律です。その後平成27年に施行され、現在も適用が続いています。
2020年3月までは旧JAS法、食品衛生法、健康増進法の3つの法律による表示が経過措置として認められていましたが、現在では既に食品表示法に一本化されているため旧法律に基づいた表示では基準を満たすことができません。
食品表示法では、以前の3つの法律と比較してアレルギー表示ルールの改定や栄養成分表示の義務化、機能性表示食品の表示の追加、食品表示のレイアウト改定などの面が異なっています。いずれもより消費者にとって食品表示が分かりやすくなるように配慮されたものであり、安全な食品を販売・提供するためには必要不可欠な内容となっています。
注意点2:商品だけでなくストア構築・運営も妥協しない
機能性が高くメリットが大きい商品を扱うことも重要ではありますが、ストア構築や運営に妥協せず取り組むことも大切です。オンライン販売では、自社のECストアにどれだけ訪問者を集められるかが第一の関門になります。どれだけ素晴らしい商品を揃えていたとしても、存在を認知してもらえなければ購入につながることはないからです。
自社のECストアに多くの訪問者を集めるためには、丁寧に作り込まれた興味を引きつつ使いやすいストアの構築が重要になります。簡素なページに商品情報が書かれているだけのストアよりも、商品の特徴が詳細に説明されていて、なおかつ画像の豊富なストアに惹かれるという方は多いでしょう。
また、動画で商品の魅力が紹介されていたり、独自の役立つコラムが掲載されていたりすると、定期的に通ってくれるファンを増やすことにもつながります。「自社のファンを増やす」ことを意識したストア構築を行い、事業を開始した後も妥協せずに丁寧な運営を継続することで、自社の認知度が高まってリピーターが増加し、売上向上にもつながります。
注意点3:食品の衛生・在庫管理は細心の注意が必要
食品を扱う上で特に注意しなければならないのは、衛生面を意識した在庫管理です。特に生鮮食品のような賞味期限・消費期限が短い食品を取り扱う場合は、期限切れの商品を販売してしまうと消費者の健康被害につながるおそれもあり、重大な信用問題に発展するリスクがあるといえます。
保管している在庫の賞味期限や消費期限は適切に管理し、倉庫の全体像を常に把握できる状態にしておくことが大切です。期限を過ぎた商品は速やかに廃棄等の対応を行って、誤って消費者のもとに届くことがないような体制を整えましょう。
また、食品は種類によって冷凍・冷蔵・常温などさまざまな温度帯で管理する必要があることから、鮮度を最適な状態に保つことができているかのチェックも必要です。温度管理が適切に為されていないと急速な品質の劣化を招き、自社の評価を落としてしまうことにもつながるため、可能であれば食品管理に熟練したスタッフを配置するのが望ましいでしょう。
自社が扱っている食品を管理するためにはどのような環境が必要になるのかを十分に理解した上で、必要な設備と人員を用意して最適な物流体制を構築することが求められます。
【コラム】食品オンライン販売の物流は外注も視野に入れよう
食品のオンライン販売を始めるなら、事前に外注化を検討しておくのが効果的です。なぜ外注化がおすすめなのか、その理由をご紹介します。
物流業務はリソース負担が大きい
物流業務は、EC事業の中でもリソースの負担が大きい業務です。まだ事業を始めたばかりで荷量が少ない段階では、基幹業務と並行して物流業務を担当することもできるかもしれません。しかし、事業が起動に乗ってくると物流業務に追われ始めて、基幹業務に手が回らない状態になってしまうケースはよくあります。
特に食品販売では、冷凍・冷蔵・常温といった温度管理が必要になるケースも多いことから、常温品のみを取り扱っている事業者に比べて物流の負担は重くなりがちです。温度管理を適切に行うためには熟練したスキルを持った人材を採用する必要がありますが、近年の物流の需要増から十分な人材確保が難しい場面も多いでしょう。
物流品質を維持ながら通常業務も万全の状態で進めるためには、想像以上に多くのリソースを必要とします。しかしEC事業は少人数で運営を行う事業者が非常に多く、十分なリソースの確保が困難だという悩みを抱える方は多いといえます。
物流を外注することで、手間のかかる物流業務から解放されて、プロの技術で最適な温度管理も実現できます。物流の中でも特に難しいとされる温度管理のクオリティを維持できることは、外注を検討する上で大きなメリットといえるでしょう。
外注することで他の基幹業務に注力できる
物流業務を外注することによって、他の基幹業務に注力できるというメリットもあります。一般的にEC事業は規模が拡大するたびに物量が増えて、物流業務に手間がかかるようになってきます。
これは販売量が増えるほどに出荷数が増えることからも避けようのない流れであるといえますが、物流に割り当てられるリソースが限られた状態で事業が成長し続けると、物流業務に対応するだけで一日が終わってしまうどころか日々の出荷能力を超えた受注が入ってしまうことさえあります。
自社で対応できる出荷数を超えて注文が入り続けると出荷遅延などにもつながり、顧客からの信頼を低下させてしまう可能性もあるでしょう。
あらかじめ外注化を進めておけば、やらなければならない作業が数多くある物流業務はプロに任せて、自社のスタッフは他の基幹業務に注力できる環境を整えられます。新商品の企画やマーケティング、キャンペーン施策などさまざまな業務を展開しやすくなり、さらなる事業拡大を目指せます。
事業規模が拡大しても物流品質を維持
物流を外注すると、事業規模が拡大しても物流品質を維持することが可能になります。自社物流では、顧客満足度を維持できるような高品質な物流体制を維持したまま事業規模を拡大するためには非常に膨大なコストとリソースが必要になります。
しかし、現実には他の業務に割いているリソースを物流業務に回すことが難しいケースは多く、特に少数精鋭で運営している事業者が多いECにおいては、物流の専門知識を持たないまま物流業務に取り組んでいることも少なくありません。
物流外注を活用することによって、物流知識を十分に持たない事業者や物流体制の構築に回せるリソースが不足している事業者でも、プロのスタッフを活かした高い物流品質を手軽に実現できます。自社のリソースは不要で高い物流品質を維持できるため、リソース不足を理由にして事業規模の拡大を悩む必要もなく、目の前にある成長のチャンスを逃さずにつかみ取れます。
また、豊富な知識やスキルを持った人材を確保するために高額な人件費をかける必要がなく、外注先の設備を利用できることから設備投資が不要なことも、物流外注をおすすめしたい理由のひとつです。
食品をオンラインで販売するためには事前リサーチが必須
食品をオンライン販売するためには、食品衛生責任者の配置や食品衛生法に基づく営業許可が必須になります。今回ご紹介した概要や手順も参考にしながら、オンライン販売を検討している場合は必ず許可や資格を取得しましょう。
業種や扱っている商品の種類によっても取得しなければならない許可の内容や料金が異なるため、事前に十分なリサーチを行うことが必要不可欠です。どのような商品を取り扱うのか明らかになった段階で、まずは一度リサーチのための時間を確保することをおすすめします。
食品には衛生管理や温度管理が関わってくる場面もあるため、物流が複雑化しやすいといえます。場合によっては外注も検討して、できるだけ効率的な運用体制を整えることが大切です。