越境ECの業者を選ぶポイントは?海外物流委託の注意点も解説

越境ECの業者を選ぶポイントは?海外物流委託の注意点も解説

海外への発送を行う越境ECでは、必要な書類や手続き、梱包など、国内での物流業務とは異なる点も多く、
「越境ECを始めたいが物流面でハードルが高い」
「越境ECの物流業務に不安や課題を感じている」
とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
今回はそんな越境ECにおける物流業務について、その注意点や、海外への物流の委託にあたって業者を選ぶポイントをご紹介します。

1.越境ECとは?

越境ECとは、その名の通り国境を越えて行われるEC(電子商取引)を指します。
多言語対応の通販サイトなどを通じて行われ、国外へ販路を拡大できるとして注目されるビジネスです。
近年、インターネットでの物の売買は当たり前となり、経済産業省による令和6年の調査では国内のBtoCのEC市場は26.1兆円と大きな市場規模を誇っています。
過去数年のデータを見ても4年連続で増加の一途をたどっているなど、今後も高い需要が見込まれるでしょう。

また、ECの需要は世界的にも高く、同調査による世界的な越境EC市場の拡大予測では、2024年に1.01兆USドルだった市場は、2034年には6.72兆USドルを超えるとされ、今後さらに大幅な市場拡大が期待されています

越境ECの開始には、言語や決済面の違いや物流の影響などのハードルもありますが、単純に国内だけでなく世界中の顧客に商圏を拡大できるという面でも、企業にとって大きなメリットがあるでしょう。
(参考:経済産業省|令和6年度 電子商取引に関する市場調査

2. 越境ECで物流が重要な理由

市場拡大を続ける注目のビジネスのひとつである越境EC。そんな越境ECを成功させるには、物流が非常に重要です。
国内でのEC事業でももちろん重要視される物流ですが、越境ECでは次のような理由から、その役割はより大きくなります。

2-1. 物流コストが利益に与える影響が大きい

国内でもEC事業において利益に対して物流コストが与える影響は少なくありませんが、越境ECでは特に、書類作成のコストや海外配送に耐えられる梱包にかかるコスト、配送そのものにかかるコストなど、多くの物流コストがかかります。

コストが削減できなければ利益を得るために配送料を高くせざるを得ず、結果的に市場での競争力が下がるなど、売上に大きく影響します。
そのため、どれだけ物流コストを削減できるかで、利益が大きく変わってきます
無理にコスト削減を行い配送が滞っては意味がありませんが、物流の最適化が利益の最大化にもつながるでしょう。

2-2. 顧客満足度に大きく影響する

EC事業はBtoCの消費者に向けた事業が主流のため、リピート率の向上や新規顧客獲得のために、顧客満足度が非常に重要になります。
商品の紛失や破損、配送の遅れは顧客の信頼を損ねてしまうため、商品は、迅速かつ丁寧に届けなければなりません。
しかし、越境ECは長距離の輸送になる分、国内ECよりもさらに商品の破損・紛失リスクが高くなります
また、海外では国内よりも発送日数・送料など配送のスピードと安さは重視されやすいため、その点にも力を入れたいところですが、通関手続きなどにより配送遅延も起こりやすいでしょう。

顧客満足度低下のみならずクレームにつながるなどトラブルを招かないよう、確かな物流体制の構築が欠かせません。

3. 越境ECでの物流の課題

ご紹介したように、事業成長のため越境ECでは物流が非常に重要になります。
しかし、越境ECの物流には、越境ECならではの次のような課題があります。

  • 通関のための手続きが複雑
  • リードタイムや発送可能商品が異なる
  • 破損などのリスクが高い

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1. 通関のための手続きが複雑

まずは、関税を通すための手続きが複雑な点です。
越境ECでは国境を超えるため関税がかかりますが、その内容・金額は配送先の国はもちろん、商品によっても異なり、その都度必要な書類・費用を用意します。

国やその状況などでも異なりますが、例えば基本として以下の書類が必要になります。

  • 送り状
  • 納品書
  • インボイス
  • 税関告知書

準備に時間がかかる書類などもあるため、早めに準備を進めておくと良いでしょう。
また、関税については仕組み・ルールが変わることも多いため、最新の法令は日々チェックし、対応に問題がないか日ごろから検証しておきましょう

3-2. リードタイムや発送可能商品が異なる

越境ECの注意点として、配送先の国によって配送にかかる日数、リードタイムが異なることは覚えておきましょう。
基本的には日本からの距離が遠いほどリードタイムが伸びていきますが、その国の物流の状況や税関を通る速さにも左右されます。
また、国によって輸出入に規制があり、配送できないものもあります
危険物にあたるもの・一部の動植物など全世界共通で配送が難しいものの他にも、例えば中国では化粧品の配送には登録証や届出証を事前に取得しておかなければならない、宗教上の理由や各国の法律で禁止されているなど、配送先の国ごとのルールもあります。
輸出できるかどうかと持ち込みが可能かどうか、事前に両方を確認しましょう。

3-3. 破損などのリスクが高い

3つ目は、前章でも触れたように長距離の輸送になる分、破損などのリスクが高いことです。
さらに海外では日本と比較すると荷物の扱いが乱雑な傾向にあるため、国内と同様の梱包では破損のリスクが高まります
ワレモノや精密機器などのデリケートな商品は特に、厳重な梱包を心がけましょう。
返品になれば、他言語でコミュニケーションを取らなければならず対応が難しかったり、返送にまたコストがかかったりという問題もあります。
破損などこちらが原因の場合は仕方ないですが、不当な返品が発生しコストを増やしてしまわないよう、返品・返金については事前にポリシーを定めましょう。

4. 越境ECの物流手段とは?

越境ECを運営する上で、海外発送を行うには、主に3つの方法があります。

4-1. 自社倉庫から個別で発送する

1つ目は、海外からの注文を受けたら、自社倉庫からピッキング・梱包や手続きを行い、個別で発送手続きを行うことです。
自社で物流業務を行うためすでにECを運営している方はいつでも始められ、初期費用は抑えられますが、毎回1つずつ発送費がかかり割高になることと、毎回通関手続きを行う必要があるというデメリットがあります。
出荷数増加によってさらにデメリットは大きくなるため、注文数が増加してきたら他の方法にシフトしましょう。

4-2. 現地の倉庫から発送する

次に、現地に自社倉庫を構え、そこから購入者に直接発送する方法です。
現地に倉庫があれば商品の移動自体は現地で行えるため、通関手続きも必要なく、配送費を抑えながら迅速に配送が可能です。
しかし、現地に倉庫を用意し、さらにその倉庫を維持・運用していくためには大きなコストがかかります
新たに越境ECをはじめたい方にとっては、大きなリスクです。

4-3. 海外物流代行サービスを利用する

3つ目は、物流業務を海外物流代行サービスを提供する業者に委託することです。
海外物流代行サービスでは、注文が入ったら業者に商品を送る、もしくは事前に倉庫での在庫管理から委託しておくことで、通関手続きや書類作成を含め、海外への発送手続きは業者に任せられます
海外物流のノウハウを持つプロによる、質の高い発送が可能です。

5. 海外配送に用いられる主な業者

越境ECでの海外配送では、自社での対応でも海外物流代行サービスへの委託でも、配送業者を利用します。
海外配送に用いられる主な業者をご紹介します。

5-1. 日本郵便

日本郵便は「万国郵便連合」に加入しており、120ヶ国以上への海外配送に対応可能です。
日本郵便での海外配送では、次の7種類の配送方法が利用できます。

EMS(国際スピード郵便)

  • 国際郵便の中で最優先に取り扱われる
  • 最大30㎏まで配送可能
  • 配達までの時間が最も短い(最短2~4日)
航空便
  • 飛行機での配送(最短3~6日)
  • 扱えるサイズ・重量の幅が広い
  • 船便と比較すると高い
船便
  • 船での輸送
  • 低料金で大量の荷物を運べる
  • 到着までに1~3ヶ月かかる
エコノミー航空便
  • 日本国内・配送先国内では船で、両国間は飛行機で配送
  • 航空便より安く、船便より早く届けられる
国際eパケット
  • 荷物を書留で航空便で配送できる
  • 3辺合計が90cm以内・2㎏以内
国際eパケットライト
  • 書留でなくポスト投函
  • 国際eパケットよりも安い
  • 国際eパケットと荷物の規格は同じ
  • 到着までに2~3週間かかる

UGX(ゆうグローバルエクスプレス)

  • 長さ2.3m、横周3.8m、重量50kgまで配送可能

5-2. 各社の国際宅配便

ヤマト運輸や佐川急便など、各社の国際宅配便でも海外配送が可能です。
ヤマトでは3辺合計160cm以内・重量が25kg以内、佐川では1梱包の3辺合計が260cm以内・重量が50kg以内の荷物が取り扱えます。
料金は国内宅配と同様サイズや重量、また配送先の国によっても異なります。
また、日本にも店舗を構えているドイツの国際輸送会社DHLやアメリカを本拠地に置く物流会社FedExなど、海外の配送業者を利用することも可能です。

6. 海外物流代行サービスを利用するメリット

海外への発送を行う手段として「自社でひとつずつ行う」「現地倉庫を構えそこから配送する」「海外物流代行サービスを利用する」の3つをご紹介しましたが、中でもコスト面・業務効率・顧客満足度など様々な面でおすすめなのは、海外物流代行サービスへの委託です。

海外物流代行サービスの利用には、様々なメリットがあります。

  • 越境EC参入へのハードルを下げられる
  • コア業務に集中できる
  • ミスやトラブルを削減できる
  • 配送コストを抑えられる

特にこれから越境ECに参入する場合や今後越境ECの出荷数を増やしていきたいという場合には、海外物流代行サービスを利用することで、梱包面や面倒な手続きなど、海外配送の課題をクリアできます

時間と知識のいる海外配送業務を自社で行うには負担が大きいですが、海外物流代行サービスに委託すれば、その分のリソースを販売促進や新商品開発などのコア業務に割けるため、企業の成長につながります。

さらに海外物流代行サービスでは海外配送のノウハウを持つスタッフが対応するため、誤発送などのミスや梱包による破損トラブルなども削減できます。
また、海外物流代行サービスでは配送業者との大口契約やまとめての配送により配送コストを抑えられます。
料金体系によっては配送にかかる費用を変動費化できるため、結果的にコストの削減や最適化も実現可能です。

7 海外物流代行サービスの選定ポイント

海外物流代行サービスを提供する業者は、複数あります。
前章でご紹介したようなメリットを最大限に活かすには、どの業者に委託するかはとても重要です。
委託する海外物流代行サービスを選ぶ際には、次の3つのポイントをチェックしましょう。

7-1. 費用・料金体系

まずは、費用感と料金体系です。
物流コストが利益に与える影響は大きいため少しでもコストは削減したいところですが、安ければいいわけでもありません。
価格だけで委託する業者を選ぶと、サービスの質が低く満足いかなかったり、サービス内容が自社に合わなかったりと後悔につながります。結局業者を移転したり、オプションで費用がかさんだりと、当初の予定よりコストがかさむこともあり得ます。
委託時には見積もりを複数社からとり、価格とサービス内容・内訳を比較して、納得できるサービスを選びましょう

また、全体費用だけでなく料金体系も重要です。
サービスによって料金体系も様々で、定額制のサービスや従量課金制のサービスなどがあります。
まだ出荷数がそれほど多くなかったり月によって変動がある場合には、従量課金制のサービスを選ぶとコストの無駄なく利用できるなど、料金体系も自社の規模や状況に合わせて選択しましょう。

7-2. サービスの範囲

次に、サービスの範囲です。
入庫から受注処理、返品対応まで委託できるフルフィルメントのサービスなどもあり、強みとするサービスや特徴は業者によって異なります。
重要なのは範囲が広いかどうかではなく、自社が求めているサービスと合っているかどうかです。

例えば国内と海外の出荷を同じ倉庫から対応してほしい、ラッピングやチラシ同梱などの流通加工に力を入れたい、多言語対応でカスタマーサポートを行ってほしいなど、必要とするサービスはEC事業者によっても違います。
事前に求めるサービスを明確にし、そのサービスを提供している業者から選定しましょう。
また、今後の事業拡大を考えている場合や出荷数の増加などが予測される場合には、ある程度の見込みを立て、どれくらいの量の在庫管理・出荷件数まで対応が可能かも確認しましょう。
実際に突然出荷数が増加した場合にキャパシティを超えてしまい、移転に迫られる可能性があります。

7-3. 海外物流の実績

物流代行サービスを提供する企業の中には、海外物流の実績がない、越境ECには対応していない業者もいます。
通関手続きや梱包、必要書類、各国のルールなど、海外発送を委託するには特に専門的知識やノウハウを要するため、海外物流代行の実績が豊富かどうかはしっかり確認しましょう。
海外への配送手段の種類も豊富にあり、柔軟に対応できる業者であるとより良いでしょう。
また、信頼できる業者かどうかを確認するには、問い合わせ時の対応が丁寧かどうかや回答のスピードなどを参考にするのもおすすめです。
返品対応やカスタマーサポートなど、今後、顧客との直接的なコミュニケーションを任せられるかどうかは大切なポイントです。
特に、トラブル発生時などに迅速に対応ができないと、自社のブランドイメージ低下にもつながります。

8. 越境ECの物流はオープンロジで!

オープンロジでは、

  • いつでも自由に拡張できる倉庫スペース
  • 顧客満足度を高める梱包・発送への取り組み
  • ギフトラッピングなどの流通加工・マーケティング施策への対応
  • 豊富なオプション

など、様々な特徴を持つ発送代行サービスをご提供しております。
システムを活用したAPI連携により、在庫管理・発送業務を自動化できるオープンロジの活用で、物流業務の効率化を叶えます。

さらにオープンロジは、初期費用・固定費用ゼロの従量課金制
使った分だけのお支払いで、無駄なコストなく発送代行サービスをご利用いただけます。
出荷量増加によるキャパシティ拡充のための依頼や他社倉庫からの切り替え、また新規ECの立ち上げ時にもお任せください。
固定費を抑えながら、ご希望に合った倉庫をご用意させていただきます。

もちろん海外発送代行も、国内と同様のオペレーションでワンストップで利用可能です
世界120か国への発送に対応しており、ご希望に合わせて各種海外配送キャリアを選定いたします。
インボイスなどの海外物流に必要な各種書類作成や万が一に備えた返品倉庫の確保もお任せいただけ、手間なく海外への出荷が可能になります。

また、発送業務はもちろん、越境ECを自社で導入できるかどうかのご相談や越境ECスタート時の構築・集客なども、専門のパートナーと連携してサポートさせて頂きます。

「越境ECをスタートしたいけど、海外発送はハードルが高い……」
「関税の問題などが複雑で難しい」
など、越境EC物流でお悩み・疑問をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

今回の記事では、高い需要のある越境ECでの物流業務について、その重要性や越境ECにおける物流の課題、また海外への発送手段としておすすめの海外物流代行サービスのメリットから選定のポイントまで詳しくご紹介しました。

海外物流をはじめ、自社のニーズに応えられるEC物流代行サービスをお探しの方は、ぜひオープンロジにお気軽にご相談ください。

記事監修者紹介

監修者・有田秀夫のイラスト

有田 秀夫(ありた ひでお)

某大手物流企業にて業務設計や法人営業を経験後、老舗通販物流企業にて20年近く数多くのクライアントの物流課題を解決に導いてきた物流のプロ。

現職のオープンロジではその経験を活かし、物流ネットワーク開発に携わっている。

オープンロジロゴ

オープンロジマガジン 編集部

物流プラットフォーム「オープンロジ」のマーケティングメンバーにて編成。物流のことはもちろん、ネットショップやマーケティングのことなど、EC事業者に役に立つ情報を幅広く発信していきます。

物流のお悩み、お気軽に
ご相談ください

オープンロジについて疑問や不安がある方は、お気軽にご相談ください。自社で導入できるかどうかのご相談も可能です。
各種お役立ち資料もご用意していますので、物流の構築を検討中の方はぜひお役立てください。