冷凍配送について徹底解説|日数や梱包方法などについて詳しくご紹介

openlogi2022年1月25日  
openlogi2022年3月8日

冷凍配送について徹底解説|日数や梱包方法などについて詳しくご紹介

ECサイトなどで注文された商品を届けるための方法のひとつに、冷凍配送があります。冷凍配送を活用することで遠方にいてもさまざまな事業者の商品を購入することができるため、一般消費者からも事業者からも重宝されている配送手段といえるでしょう。

冷凍配送をスムーズに行うには、冷凍配送がどのようなものかについてあらかじめ把握しておく必要があります。そこで今回は、冷凍配送の基礎知識や配送にかかる日数、具体的な梱包方法などについて分かりやすく解説します。

冷凍配送とは

冷凍配送とは、「-15℃に保った状態で荷物を配送する配送方法のこと」です。温度が上がると品質が劣化したり元の形を保つことが難しくなったりする荷物を配送する目的で利用されいます。一般的には、冷凍食品やアイスクリームなどの配送が多いでしょう。

一般的に、冷凍配送を行う際は国内の運送会社が提供している冷凍配送サービスや物流会社が提供している物流外注サービスなどを活用する例が多いといえます。

1ヶ月間に冷凍配送の荷物を扱う機会がそれほど多くないのであれば運送会社の冷凍配送サービスで十分対応できるケースもありますが、ある程度の物量がありビジネスを目的としているのであれば物流外注サービスを選択した方が良いケースもあります。

冷凍配送を行う際は、温度を維持するための専用車で荷物を配送します。光熱費や設備投資費、運用管理費などによって通常の配送に比べると配送コストは膨らむことから、運送会社や物流会社によって設定されている配送料金も通常の配送に比べると高くなる傾向にあります。

冷凍配送を行う際は、発送する荷物の梱包も荷物の内容に合ったものにすることが求められます。段ボールだけでなく、新聞紙、発泡スチロール、保冷剤、タオルなど、あらゆる道具を使って荷物の鮮度や温度を維持する工夫が大切です。

冷凍・冷蔵・常温の違い

物流における冷凍・冷蔵・常温の違いは、対応している温度帯で決められます。ここでは、それぞれの違いについて分かりやすく解説します。

冷凍

冷凍とは「フローズン」とも呼ばれており、-15℃以下で管理しなければならない荷物のことを指しています。3つの温度帯の中では最も温度が低く、アイスクリームのように常温で放置すると商品としての形を失ってしまうようなものも含まれます。

冷凍にはさらにC1級、F1級、F2級、F3級、F4級があります。C1級は-10~-20℃で管理される温度帯で、調理用の冷凍食品やパン生地などが該当します。F1級は-20~30℃で、アイスクリームが主に挙げられます。

F2級は-30~-40℃、F3級は-40~-50℃で冷凍マグロなどが主な保管品です。中にはF4級の-50℃以下で管理が必要なものもあります。

冷凍の温度帯は荷物の品質がすぐに変化してしまうため、冷蔵や常温に比べると管理に熟練したスキルが必要になるのが特徴です。-30℃を下回るような非常に低温の冷凍品を保管するためには専用設備も必要になります。

冷蔵

冷蔵は「チルド」とも呼ばれており、-5~5℃で管理される温度帯のことです。この中でも-3℃は「パーシャル」、-3~0℃は「氷温」と呼ばれることもあります。パーシャルは鮮魚類が、氷温は鮮魚類や漬物などがよく保管されます。

冷蔵の温度帯では肉や魚、野菜、乳製品などの「常温で放置すると鮮度が著しく落ちるもの」が保管されるのが一般的です。冷凍品ほどではありませんが、常温に比べると保管の難易度はやや上がります。

一般的な運送会社の配送サービスでは、「冷凍」と「冷蔵」の2種類に分けられているケースが多いといえます。後述する主要3社の中では3社全てが冷蔵に対応していますが、冷凍には2社のみが対応していることからも、冷蔵の方が比較的配送サービスの選択肢は多い状況にあるといえるでしょう。

常温

常温は「ドライ」とも呼ばれており、10~20℃で管理される温度帯のことです。ただし、夏場などの温度が高い季節には一定の温度に維持する必要があるため「定温」と呼ばれることもあります。

常温は一般的な物流倉庫などが該当し、全国各地で自社倉庫を持ちながら運用している企業も多く、比較的管理に手間がかかりにくい温度帯といえます。米や常温で扱える調味料、チョコレートなどの菓子類などが該当します。

運送会社の通常配送サービスは「常温」の荷物を運ぶことが想定されているなど、私たちも日頃から意識せずに利用しているのが常温の温度帯です。

冷凍配送にかかる日数

冷凍配送にかかる日数は発送元と発送先の距離などによっても異なりますが、概ね発送日から1~2日後が多いようです。後述する国内の代表的な運送会社は土日祝日も冷凍配送を行っているため、基本的にはいつ発送しても翌日か翌々日には受取人のもとに届くと考えておいて良いでしょう。

例えば関東圏→関東圏に発送する場合は、発送日の翌日には受取人のもとへ荷物が到着します。しかし、関東圏→北海道や関東圏→沖縄県のように距離がある場合は、翌々日になるケースが多いようです。

冷凍配送は常温の荷物を発送する際と同様にお届け時間の指定をすることはできますが、本来の受取日よりも1日早く届ける「速達サービス」のようなものは用意されていないため、遠方地域に発送する場合は余裕をもって発送準備を進めることが大切です。

通常の荷物はコンビニなどから発送できるものも増えていますが、冷凍配送は専用のトラックで配送する都合上自宅への集荷か直営店への持ち込みで対応するのが一般的といえます。「仕事や外出のついでに発送しよう」という気軽さが他の荷物に比べると薄いため、いつ発送するのかをあらかじめ決めてから発送準備を行うことをおすすめします。

冷凍配送を受け付けている業者3選

国内で冷凍配送を受け付けている業者はいくつかありますが、中でも代表的なのはヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の3社です。ここでは、それぞれの冷凍配送サービスの特徴について解説します。

ヤマト運輸:クール宅急便

https://www.kuronekoyamato.co.jp/

ヤマト運輸の「クール宅急便」は、「冷蔵タイプ」と「冷凍タイプ」の2種類が用意されています。冷蔵タイプは0~10℃、冷凍タイプは-15℃以下の荷物に対応しているため、発送する商品の温度帯を確かめてから目的に合った方を利用しましょう。

常温であれば大きな荷物を送れるヤマト運輸ですが、クール宅急便では輸送上の品質劣化を防止する観点から120サイズ(大きさ120cmまたは重さ15kgまで)を超過する荷物を発送することはできません。サイズが大きくなりそうな場合は分割するなどの対応が必要になるため、事前にサイズや重さを確認しておきましょう。

冷蔵タイプは10℃以下で6時間以上、冷凍タイプは-15℃以下で12時間以上の予冷が推奨されており、保管期限は発送先地域によって3~4日間です。

クール宅急便の責任限度額も通常配送と同様に荷物1つあたり30万円(税込)までとなっています。

佐川急便:飛脚クール便

https://www.sagawa-exp.co.jp/

佐川急便の「飛脚クール便」は、冷蔵品2℃~10℃・冷凍品-18℃以下の2種類の温度帯に対応しています。前述のヤマト運輸と比較して取り扱いサイズの幅が広く、3辺合計140cm以内・重量20kg以内まで対応しているのが特徴的です。大きな荷物を送りたい場合は、飛脚クール便が重宝するでしょう。

「通常運賃+クール料金」という料金体系なので、発送費用が分かりやすいのは嬉しいポイントといえます。60cm以内・2kg以内の比較的小さな荷物であれば通常配送+275円で飛脚クール便を利用できます。

冷蔵品8℃以下で6時間以上、冷凍品-18℃以下で12時間以上の予冷が推奨されており、保管期限は4日間です。

日本郵便:チルドゆうパック

https://www.post.japanpost.jp/index.html

日本郵便の「チルドゆうパック」は、冷蔵温度帯で荷物を発送できるサービスです。前述の2社とは異なり冷凍の温度帯には対応していませんが、3辺合計150cm・25kg以内の大きな荷物を送れる点と、チルドの運賃が比較的安価な点はメリットといえます。

明確な温度帯の明記はありませんが、チルドゆうパックでも発送前の予冷が推奨されています。予冷を十分に行わなかった場合は荷物の引き受けを断られる可能性もあるため、しっかり温度を下げておきましょう。

チルドゆうパックは常温の配送と同様に保管期限が7日間あることから、他社のように受取を急がずにゆっくり受け取れる点がポイントです。とはいえ、生鮮品などは早めに受け取らなければ鮮度が落ちてしまうことも多いため、基本的には受取日時を事前に決めておくことが大切です。

冷凍配送時の梱包方法

冷凍配送を行う際は、梱包方法に配慮する必要があります。ここでは、冷凍配送の梱包時に準備しておきたい道具や、具体的な梱包手順をご紹介します。

準備するもの

まずは、冷凍配送の荷物を入れるための資材を用意します。一般的にはダンボールや発泡スチロールなどを用意するケースが多いでしょう。サイズなども考慮して、配送物に適したものを選ぶことが大切です。また、各運送会社が用意している専用の梱包ボックスを購入して活用するのも方法のひとつです。

さらに梱包済みの資材に封をするためのガムテープや、荷物の隙間を埋めるための緩衝材も用意しておくと良いでしょう。場合によっては水が漏れ出ないようにするためのポリ袋やビニール袋を用意した方が望ましい場合もあります。

梱包手順

ここからは、冷凍配送の梱包手順を解説します。

手順1:梱包資材に緩衝材を敷く

資材に収めた荷物が配送中に動いて壊れたり液漏れしたりすることを防ぐために、梱包資材にあらかじめ用意しておいた緩衝材を敷き詰めます。敷き詰めるものは新聞紙などが一般的ですが、チラシなどを代用にしても良いでしょう。

ダンボールなどは厚みがあればある程度の水漏れには耐えてくれますが、それでも水濡れが激しいと強度が下がって配送中に破れてしまうなど破損の原因になるので、万が一を考慮して万全の状態にしておくことをおすすめします。

手順2:配送物を入れて緩衝材を詰める

緩衝材を敷き詰めた梱包資材に配送物を入れて、隙間がなくなるように緩衝材を詰めていきます。敷き詰めた新聞紙などの緩衝材には衝撃防止だけでなく水濡れ防止などの役割がありますが、隙間を埋めるための緩衝材には配送時の揺れから荷物を守るための役割があります。

特に冷凍状態で強い衝撃が加わると中の荷物が折れたり崩れたりする可能性があるため、荷姿が崩れて困るものに対しては入念に緩衝材で衝撃防止を行いましょう。運んでも動かない状態になることを確認したら、蓋を閉めます。

手順3:ガムテープ等で封をして伝票を貼り付ける

蓋を締めた梱包資材にガムテープなどで厳重に封をすれば、梱包は完了です。その後、送り先に合わせて発送伝票を用意し、荷物に貼りつけましょう。事前に伝票を用意する場合は、所定のクール便用シールを貼りつけなければならないものもあるため、忘れずに貼り付けることも大切です。

運送会社の事業所などで取り扱う場合は、その場で伝票を記入してシールなどは運送会社側で貼りつけてくれることもあります。伝票には発送希望日時と時間帯があるため、極力指定しておくことをおすすめします。

冷凍配送で荷物を送るときの注意点

冷凍配送で荷物を送るときは、次の3つのポイントを意識して発送することが大切です。

注意点1:予冷をする

冷凍配送で荷物を送る前に、「予冷」と呼ばれる処置をしておくことが大切です。予冷とは冷凍・冷蔵商品を発送する前にあらかじめ冷やしておくことです。一般的に、冷凍配送を扱っている運送会社では発送予定の荷物を直前まで冷やしておくことを推奨しています。

予冷が終わって梱包する際は、荷物についた氷や霜などが溶けて水分が外に漏れ出る可能性があるため、梱包前にポリ袋やビニール袋に入れておくことをおすすめします。

予冷を行わずに発送すると、荷物の温度が早いうちに上昇してしまい、荷物が冷凍配送用のトラックに積み込まれる前に品質が悪化してしまう可能性があります。場合によっては荷物の引き受けを断られてしまうこともあるので、予冷は忘れずに行っておきましょう。

注意点2:受取日時を決めておく

どのような荷物でも発送人と受取人の間で事前に受取日時を決めておくことは大切ですが、冷凍配送では特に受取日時を擦り合わせておくことが重要になります。冷凍配送の荷物を長期間受け取れずにいると、その間に品質が劣化する可能性があるからです。

冷凍配送時は専用のトラックに積み込まれているとはいえ、お届け先に届けるまでの間はトラックから取り出した状態で荷物を運びます。そのため、不在で何度も荷物を持ち出すことになれば荷物が解けたり凍ったりを繰り返す恐れがあり、大幅な品質低下を招く原因になります。

また、一般的に冷凍配送の荷物は保管期限が短い傾向にあり、例えばヤマト運輸の「クール宅急便」では3日間となっています。通常の宅急便は7日間であることを考えると、冷凍配送の荷物を受け取れる期限が非常に短いことが分かるでしょう。

保管期限を過ぎた荷物は発送人のもとへ返送されてしまうため、確実に受け取れる日付を指定することで品質劣化や行き違いを防げます。

注意点3:常温の配送価格とは異なる

冷凍配送は、常温の配送価格よりも高額になるのが一般的です。頻繁に冷凍配送を利用する機会がある方は、コストがどのくらいかかるのかを事前に調べておくことが大切です。

特にEC事業などのビジネスで冷凍配送を行うのであれば、常温との価格差によって配送コストに大きな差が出る可能性が高いといえます。「思ったよりも配送コストが高くなりすぎて思うように売上が上がらない」ということが起こらないように、計画的に運用しましょう。

ある程度荷量が多いようなら、本記事でご紹介したような運送会社を利用せずに冷凍・冷蔵商品に対応している物流会社へ物流代行を依頼するのも方法のひとつです。

【コラム】ECで冷凍配送するなら外注がおすすめ

ECで冷凍配送を行うなら、外注を検討するのがおすすめです。ここでは、冷凍配送に外注をおすすめする理由を解説します。

冷凍配送は品質管理が大変

お伝えしてきたように冷凍配送にもさまざまな温度帯があり、それぞれの商品の性質によって厳格な温度管理が必要になります。商品に適した温度帯から外れてしまうと品質が劣化したり、最悪の場合は販売が困難な状態になって廃棄せざるを得なくなることも考えられます。

このように品質管理に手間がかかるため、冷凍配送を行うには熟練した知識やスキルを持った人材の確保が必要不可欠です。とはいえ人材不足などの影響もあり、希望の人材がすぐに見つかるとは限らないなどの課題もあるという背景が、冷凍配送の実現をますます難しくさせているといえます。

しかし、冷凍配送を外注すればプロの技術を持った作業員が万全の状態で品質管理を行い、必要な時に必要な梱包・配送を行うことが可能になります。自社で在庫管理を行う必要もないため、設備投資も不要です。

三温帯倉庫を利用すれば柔軟な商品管理が可能

常温・冷蔵・冷凍を全て管理できる三温帯倉庫を利用することによって、柔軟な商品管理が可能になります。EC事業者によっては複数の温度帯で管理が必要な商品を扱っているケースもあるため、自社で物流を構築すると管理の手間は膨大になります。

冷凍配送だけでも十分な人材確保が難しい中で、三温帯全ての倉庫を十分な品質で管理し続けるのは非常に難易度が高いといえます。また、管理する温度帯が増えるほど設備投資も増加するため、それほど規模が大きくない小規模事業者にとっては十分な設備を整えるハードルも高いでしょう。

外注化を検討すれば、常温・冷蔵・冷凍の三温帯で管理しなければならないさまざまな商品を扱っていたとしてもスムーズに商品を管理できます。それぞれの商品に合わせて最適な品質管理を行うため、容易にクオリティの高い冷凍配送を実現できます。

物流外注でコストを抑えられる可能性も

物流外注によって、コストを抑えられる可能性もあります。自社物流を構築する場合、一般的には一度採用した作業員を簡単に増減することは難しいため、閑散期に余剰人員が生じて人件費が無駄になってしまうことはよくあります。

とはいえ、閑散期に合わせて採用すると繁忙期に人手が足りず配送遅延の原因になるため、必要以上に減らすこともできないのが実情です。

しかし、物流外注ならその時の物量に合わせて柔軟に人員を調整しながら作業を行うため、物流にかかる人件費を最適化できます。結果的に、自社物流に比べて大きくコストを削減できる可能性があります。

冷凍配送の知識を深めて最適な配送を実現しよう

冷凍配送を活用することによって、従来では販売が難しかった遠方地域の消費者に対して商品を届けることが可能になります。自社の商品を販売したいEC事業者や遠方の商品を取り寄せたい消費者にとっては、非常に便利な配送方法といえます。

冷凍配送で荷物を送る際は、サイズや冷凍・冷蔵の区分などをよく確認した上で、予冷などにも注意しながら運送会社の規定に従って送ることが大切です。配送中のトラブルで荷物の品質が低下しないように、厳重な梱包を心がけましょう。

冷凍品は取り扱いに手間がかかるため、事業として冷凍配送を行うのであれば物流業者に外注を依頼するのも選択肢のひとつです。冷凍配送に関する知識を身につけた上で、個々の状況に合った配送方法を選択することが大切です。

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オープンロジマガジン 編集部

物流プラットフォーム「オープンロジ」のマーケティングメンバーにて編成。物流のことはもちろん、ネットショップやマーケティングのことなど、EC事業者に役に立つ情報を幅広く発信していきます。

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