中国越境ECとは|概要や市場規模、事業参入の方法など詳しく解説

2021年2月17日

中国越境ECとは|概要や市場規模、事業参入の方法など詳しく解説

中国越境EC市場は世界の中でも巨大な市場規模を持つため、上手く参入できれば一気に商圏を拡大できるチャンスとなります。中国ユーザー向けの越境ECに参入を検討しており、情報収集段階の方もいるのではないでしょうか。

中国越境ECは世界の越境ECの中でも少々特徴的な部分があり、法律などの規制が厳しい面もあるため、十分に知識を身につけておくことが大切です。そこで今回は中国越境ECの概要や市場規模、事業参入の方法などについて詳しく解説します。

中国越境ECの概要

まずは、中国越境ECの概要について分かりやすく解説します。

市場規模|店頭購入ではなくEC利用者が年々増加

中国越境ECの市場規模は拡大を続けており、実店舗での店頭購入ではなくECを利用するユーザーが年々増加しています。2018年には日本の越境ECを利用して中国のユーザーが商品を購入した総額は1兆5,345億円にものぼり、アメリカのユーザーが日本の商品を購入した総額である1兆3,921億円を上回る金額を記録しています。

日本のユーザーが中国のECサイトから商品を購入した金額は261億円であることを考えると、中国の越境EC市場がどれほど大きいかお分かりいただけるのではないでしょうか。

日本、中国、アメリカの3国に関しては今後2022年までにかけての越境EC市場の成長予測が出されており、中国は2018年の3兆2,623億円から2022年には5兆3,456億円にまで拡大するといわれています。

わずか5年の間に1.5倍の規模にまで発展することが予測されている中国越境ECは、今後のEC市場の発展が比較的緩やかであるといわれている日本企業にとっても事業拡大の大きなチャンスとなる土壌といえます。

詳細については後述しますが、中国は2019年に越境ECに関する規制を緩和しており、一部地域で税制などの優遇措置を取るなど越境ECの進出を後押ししています。その影響もあって、越境EC市場はさらに拡大しているとみられています。

インバウンドよりも需要が高い

2018年時点の中国旅行客による国内のインバウンド消費は1兆5,370億円であり、中国越境ECの1兆5,345億円に匹敵する流通総額となっています。2019年にはインバウンド消費がさらに2,000億円程度伸長しましたが、2020年にはコロナ禍の影響などもあり、インバウンド消費は激減することが予測されています。

越境ECは自国にいながら好きなタイミングで商品を購入できるため、今後コロナ禍の影響が長期化する可能性が予測されている現代においてはインバウンドよりも需要が高いといえるでしょう。

コロナ禍以前にも、中国国内や日本国内で有事があった際には国内への旅行客は減少しています。例えば2011年には日本で東日本大震災が起こりましたが、その年の中国からの日本への旅行客は明確に減少しています。

現在はコロナ禍の影響の只中にありますが、今後状況が回復した後にもどのような世界情勢になるかは分からないため、今回のようにインバウンドが激減する可能性は常に付きまとうといえるでしょう。

越境ECは国内外の情勢の影響を受けにくいビジネス形態であり、その点においてもインバウンドに比べて安定的な成長を見込める市場であるといえます。

中国の関税について解説

中国の関税には2種類あり、一般貨物と越境ECの貨物によってもかかる税金は異なります。事前に十分に調査しておかなければ分かりにくい面もあるため、詳しく解説します。

直送モデルと保税区モデルの二種がある

中国の関税は中国のユーザーと日本の事業者が直接取引する「直送モデル」と、一旦中国の保税倉庫に商品を預けてから配送する「保税区モデル」に分かれています。

直送モデル

直送モデルは個人の消費者が日本から直接商品を輸入することで、越境ECサイトで注文が成立した商品を日本の事業者が直接注文したユーザーへ配送します。間に業者などは介在せず、直接取引することから「直送モデル」と呼ばれています。

直送モデルでは一旦倉庫に商品を保管する必要がないため、保管費用などがかからないのが特徴です。小規模事業者やスタートアップ企業などでは物流のコストをいかに抑えられるかが課題となるため、余計な費用がかからないのはメリットだといえるでしょう。

ただし、注文が成立した順に個別に配送しなければならず通関手続きも長くなりやすいため、リードタイムが延びやすいというデメリットも存在します。注文ごとの配送になるため、大量の荷物を配送する場合には商品を一時保管して配送する保税区モデルが向いているといえます。

直送モデルの場合は「行郵税」という税金が適用されます。状況に応じて10%、30%、60%の税率が適用されますが、50元までの取引については免税とされています。

保税区モデル

保税区モデルは中国国内の「保税倉庫」と呼ばれる倉庫に商品を一時的にストックしておき、倉庫から中国のユーザーに商品を配送する方法のことです。通関手続きは出庫の際に行われるためリードタイムを短縮しやすいというメリットがあり、大量の荷物を配送する場合は配送コストの削減も期待できるでしょう。

ただし、保税区モデルを利用する場合は保税倉庫で商品を保管するための保管料がかかります。直送モデルと保税区モデルのどちらがコストを抑えられるかは荷量によっても異なるため、事前にしっかりと検討することが大切です。

一般的に、日本から商品を購入した中国のユーザーにとっては保税区モデルの方が送料を抑えやすくなります。これは日本から直接購入すると海外配送料金がかかりますが、保税倉庫から配送される場合は国内配送を利用できるからという理由によるものです。

保税区モデルは直送モデルに比べて税率の計算が少々複雑な面があり、「増値税」「関税」「行郵税」の3種類が適用されます。しかし、総合的には直送モデルよりも保税区モデルの方が税率は多少低くなる傾向にあります。

一般貨物と越境ECの貨物はかかる税が違う

越境ECではない一般貨物と越境ECの貨物を比較すると、越境ECの貨物の方が税率は低くなります。また、通関手続きのハードルも越境ECの方が低い傾向にあり、一般貨物で厳しく規制されている商品も越境ECであればスムーズに通関できる可能性が高いといえます。

ただし、越境ECの税率が適用される購入金額には上限があり、上限額を超えた分の金額については一般貨物の税率が適用される点には注意が必要です。

越境ECで購入できる1回あたりの金額は5,000元であり、1年間の購入金額の上限は2万6,000元です。この金額を超えた分については一般貨物扱いで税率が上がるため、中国越境ECを検討する際はどの程度の事業規模を見込んでいるのかも試算する必要があるでしょう。尚、一般貨物については取引額の上限はありません。

また、中国に越境ECの対象商品を輸出する際には輸出する商品リストを中国当局に提出しなければなりません。提出を忘れたまま運営すると不法行為として罰せられる可能性もあるため注意が必要です。

中国越境ECの進出を検討している事業者にとっては、税率が優遇されるのは嬉しいポイントです。しかし、1回あたりや年間の上限額が設定されている点については忘れずに押さえておく必要があるといえます。

関連記事:越境ECの関税について|関税の基本知識や中国・アメリカ各国の関税の詳細を詳しくご紹介

中国越境ECに参入する方法

中国越境ECに参入するためには、次の6つの方法があります。慣れない事業者にとってはハードルが高く感じられる部分もあるため、どの方法を選ぶ場合でも、できるだけ現地の事情に詳しい業者などのサポートを受けながら進めていくことをおすすめします。

越境ECサイトを自社で開設

まずは越境ECサイトを自社で開設する方法です。サイト自体は国内のECサイトを開設する時と同じ要領で制作できますが、現地のユーザーに対応するために中国語対応や決済サービスの対応は必要不可欠といえるでしょう。

中国ではインターネットに独自の検閲システムが設けられているため、検閲の影響で越境ECサイトの接続が安定せず、表示が遅くなる可能性があります。なるべくユーザーがストレスなくショッピングを楽しめるように動作を軽くするための工夫が必要です。

自社の越境ECサイトを構築できれば顧客情報や売上情報などのデータを取得できるため、今後のマーケティング施策を打ち出しやすくなるなどのメリットがあります。ECモールに出店する場合のように決済手数料もかからないので、注文に対する利益率を最大化できるのも魅力だといえるでしょう。

ただし、知名度が低い状態から越境ECサイトの訪問者を増やして売上を拡大させるためには、適切な集客施策が必要不可欠です。言語の壁などの問題で国内ECサイトよりもさらに苦労する可能性があるため、実現可能かどうかを十分に検討しておきましょう。

中国の越境EC事業者に業務を委託

自社で越境ECサイトを運営するのが難しい場合は、中国の越境EC事業者に業務を委託するという方法もあります。この手法は自社で出店の手続きなどを行う必要がないため、商品と物流体制を整えれば比較的早い段階で中国越境ECに参入できるというメリットが考えられます。

中国越境ECは法律への理解がハードルとなって参入を断念してしまう事業者も多いため、難易度の高い部分を現地の事業者に任せられるのは心強いといえるでしょう。

ただし、外部委託のため委託料を支払う必要があるというデメリットはあります。また、さまざまな事業者が越境ECの運営委託を受け付けているので、どの事業者が良いのか判断がつかず、事業者選びに失敗してしまったというケースも少なくありません。

事業者を選定する際は価格だけではなく「十分な実績があるかどうか」「他社にはない強みがあるかどうか」などの部分に注目して選ぶことをおすすめします。

中国の越境ECモールに出店

中国国内の越境ECモールに出店するのは比較的ハードルも低く、自社で越境ECサイトを運営するよりも高い集客力を期待できるため有効性の高い方法のひとつです。詳しくは後述しますが、中国国内には「天猫国際」や「京東商城」などの大規模なECモールが存在しており、日本企業も数多く出店しています。

越境ECモールであれば、中国国内で知名度が高くない状態でも自社の取り扱っている商品をユーザに見つけてもらえる可能性が高まります。海外で1から集客を始めて十分なユーザを集めるためには長い時間がかかるため、まずは越境ECモールに出店して売上を積み上げていく判断をする企業も少なくありません。

一方で、越境ECモールに出店するには日本国内のECモールと同様に所定の決済手数料がかかるというデメリットもあります。顧客データや売上データを取得できないため、詳細な分析をしたい企業にとっては不便に感じられる面もあるでしょう。

中国でパートナー企業を見つけ商品を卸す

中国でパートナー企業を見つけて商品を卸すという手段も考えられます。この方法は自社が直接商品を販売するのではないため、運用の手間がかからないというのが最大のメリットでしょう。

パートナー企業の規模や知名度にもよりますが、現地の企業の集客力を活用できるため、自社に十分な知名度がない場合でも商品を手に取ってもらえる可能性が高まります。

ただし、メリットにもデメリットにもなり得る要素として、相手の企業にマーケティング戦略がある程度一任されるという側面もあります。自社の自由にキャンペーン施策を展開できるわけではないため、パートナー企業の戦略が不十分だと満足なブランディングができずに商品が売れない可能性も考えられます。

パートナーとなる企業が十分な実績を有しているかどうか、信頼できる相手かどうかを事前に見極めたうえで提携することが大切です。

中国の個人オークションサイトに出品

日本でもオークションサイトを活用して商品を販売しているECサイトはよく見かけますが、中国でも個人向けのオークションサイトを活用する例は少なくありません。大量の商品を扱う事業者が参入する例はそれほど多くないものの、中古販売や少数の商品を取り扱う場合には参入を検討しても良いでしょう。

中国の代表的なオークションサイトはCtoCの「タオバオ」です。以前は純粋に入札によって落札価格を決定するオークション形式での販売がメインでしたが、最近では日本のオークションのように固定価格で取引が行われるケースもよく見られます。

オークションサイトは中国に法人を設立しなくても越境ECを始められるというメリットがありますが、まとまった取引が期待しにくいというデメリットも考えられるでしょう。自社の知名度やブランド力の向上を目的としているのであれば、越境ECモールに出店したり自社の越境ECサイトを構築するのがおすすめです。

中国法人で無い場合、出店は専用の越境ECモールに限られる可能性

越境ECモールに出店を検討している場合に注意したいのが、「中国法人でなければ専用の越境ECモールにしか出店できない可能性がある」ということです。例えばアリババグループが運営している「天猫」は中国国内最大手の規模を誇るECモールですが、中国に法人を持つ企業以外の出店は認められていません。

海外の法人は「天猫国際」のみの出店に限られるなど、現地法人を持たない企業が中国の越境ECに参入するには一定の制約が課せられるといえるでしょう。

もし中国国内のECモールに出店したい場合は、中国に法人を設立した上で営業許可証などを取得し、所定の手続きを取らなければなりません。法人を設立せずに現地のECモールに参入するなら、中国国内でECサイトを運営している企業と提携して商品を卸すなどの方法が考えられます。

日本の事業者が出店しやすい中国ECモールをご紹介

中国国内にもさまざまなECモールがありますが、中でも日本の事業者が比較的出店しやすい2種類のECモールをご紹介します。

天猫国際

https://www.tmall.hk/?spm=875.7931836/B.2016004.2.66144265fyEa3H&acm=lb-zebra-148799-667861.1003.4.2429983&scm=1003.4.lb-zebra-148799-667861.OTHER_14561833841102_2429983

 

天猫国際(Tmall Global)はアリババグループが運営する「天猫(T-Mall)」の越境ECサイトであり、中国国内でも最大規模のECモールです。国内に占めるEC市場の取引額の50%以上を天猫が占めており、中国に住んでいる人であれば知らない人はほとんどいないといえるでしょう。天猫と合算した累計流通額はおよそ84兆円にも及びます(2017年実績)。

アリババグループは「タオバオ」というECモールの運営でも有名ですが、タオバオはCtoC(一般消費者同士の取引)が中心であり、天猫はBtoCが中心で住み分けがなされています。元々はタオバオも天猫も同じサイトでしたが、規模の拡大に伴って2012年1月からBtoC向けの天猫が独立して運営されるようになりました。

天猫国際は出店基準が比較的厳しく設定されていますが、これは「偽物を排除する」という方針があるため、基準に満たないECサイトを出店させないことを目的としています。天猫国際に限りませんが、中国国内の営業には許可証の提出なども必要になるため、出店の際は十分な事前準備を行いましょう。

天猫国際における日本製品の需要は比較的高いため、高品質な商品を提供できれば大きな利益を上げられる可能性は十分にあります。扱っている商品はさまざまですが、日本製品だとアパレルや食品、家電などのカテゴリーが人気です。

京東商城

https://www.jd.com/2017

京東商城(ジンドンしょうじょう)は天猫、タオバオに続いて中国国内では3位(どちらもアリババグループの運営であり、実質2位)の規模を誇るECモールです。2004年のEC参入から7年連続で200%の成長率を達成するなどの急速な拡大を経て、現在も成長を続けています。2017年自店の流通総額は約20兆円ともいわれ、中国国内の巨大なEC市場の一角を担っているECモールといえるでしょう。

元々家電の販売からスタートしたこともあり、中国国内のユーザーからの認識は家電量販店に近い扱いですが、実際にはさまざまな商品を取り扱っています。販売形態は事業者が出店するよりも京東が仕入れた商品を販売する形式が大半を占めています。

ヤマトグローバルロジスティクスジャパンが京東と配送に関する業務提携を結んでおり、京東で日本の事業者に注文があってから中国国内のユーザーの手元に商品が届くまで4日間という迅速な配送を実現しています。

出店は家電やデジタル機器を扱っている企業が中心になりますが、上手く参入できれば販路を大きく拡大できるでしょう。

中国越境EC事業成功のポイント

中国越境EC事業を成功させるためには、次の3つのポイントを意識しながら運営に取り組むと良いでしょう。

ポイント1:集客はSNSを最大限に活用する

中国のSNS事情は他国と異なり、TwitterやFacebookなどは規制の関係でほとんど使われていないのが現状です。そのため、SNSを利用して集客する場合は中国国内で人気を博している「WeChat」や「Weibo」「TikTok」などが中心となるでしょう。

世界で一般的なSNSが使われていないからといって中国でSNSが浸透していないというわけではなく、国内の70%にあたる約10億人以上のユーザーがSNSを利用しているという結果もあるため、中国越境ECの集客はSNSの利用がおすすめです。

中国でもSNSのアカウントは基本的に無料で開設できるため、コストをかけずに集客できるのは大きなメリットといえます。しかし、現地のSNSであることから中国語の活用が必須であるという点はデメリットになるかもしれません。

中国のSNSに広告を出稿したり、インフルエンサーに接触してPRを依頼したりするのも手段のひとつです。この2つの手法はSNSで自社のアカウントを運用するのに比べてコストもかかりますが、ターゲットを絞りやすくなり訴求力が高まるというメリットがあります。

ポイント2:取扱商品はトレンドを常に意識する

中国越境ECで取り扱う商品はトレンドを常に意識して選定しましょう。国内のECサイトでも同様ですが、流行は頻繁に移り変わるため、常に最新のトレンドを把握して時流に乗らなければ商品が陳腐化して不良在庫化し、売上につながらないばかりか廃棄コストがかかるケースも考えられます。

定期的にインターネットや現地調査を通じて中国国内で何が流行しているのかを捉え、トレンドに敏感になることが売上を効率的に上げ続けるポイントです。現地のニュースを定期的にチェックしたり、SNSでよく発信されているキーワードを把握したりして、自社のECサイトが過去のものにならないために工夫し続けることが大切しましょう。

2019年には中国国内のECに関連する法律が改正されましたが、法改正によってトレンドが変化することも考えられます。

この法律については後述しますが、規制緩和があれば該当のエリアや品目については越境ECが盛況になる反面、規制が厳しくなれば今まで順調に売れていた商品の売上が一気に軟調化することも考えられます。常に現地の状況にアンテナを張り、最新の情報を仕入れ続けることが大切です。

ポイント3:中国の消費者にとってメジャーな決済方法を採用する

中国越境ECに進出する際は、中国の消費者にとってメジャーな決済方法を採用することが大切です。中国ではWeChatなどのSNSと連動する決済サービスなどが盛んであり、日本のように銀行振込や代金引換のような決済手段を用いることはほとんどありません。

中国国内で代表的な決済手段のひとつに「Alipay」があり、モバイル決済サービスにおいては50%以上ものシェアを占めるといわれています。そのため、中国越境ECではAlipayへの対応が必要不可欠だといえるでしょう。Alipayは銀行口座と情報を紐づけることによって、日本におけるデビットカードのような役割を果たします。

また、前述のWeChatと連動する決済サービスの「WeChat Pay」も人気です。WeChat Payもモバイル決済サービスの一種で、実店舗とECのどちらでも利用可能です。中国国内のモバイル決済サービスはAlipayとWeChat Payでシェアを二分しているため、どちらにも対応していることが望ましいといえます。

また、上記の2種類に比べると利用者は少なくなりますが、デビットカードのように使える「銀聯カード」というキャッシュカードを利用する方式や、SNSのアカウントに金融機関の口座を紐づけて引き落としができる「クイック支払い」などの決済手段も利用されています。

中国越境ECに関する法律を解説

中国越境ECに進出するためには、現地のさまざまな法律をよく理解しておく必要があります。中国越境EC進出に関わる5つの法律について解説しますので、あらかじめ要点を押さえておきましょう。

越境ECに関する新制度(2019年1月1日に一部改正)

中国政府が2016年4月8日に導入した越境ECに関する新制度は、「越境ECの電商税」「ポジティブリスト」「取引限度額」の3つのポイントについて規定したものです。

越境ECの電商税については「保税区」として認められた一部地区については越境ECの税率優遇措置が適用されるという制度です。該当地域で越境ECを営む場合は、関税率が0%、増殖税と消費税がそれぞれ70%となります。2019年1月現在、保税区モデルに認定されているのは37都市です。

ポジティブリストは「保税区モデルで取り扱いが認められる品目一覧」のことで、ポジティブリストに掲載されていない商品は越境ECでの取引に税率優遇措置を適用しないと取り決められています。2019年1月1日から適用されたこのリストは1,321品目が掲載されており、リスト外の商品については一般輸入の関税や増殖税、消費税がかかります。

また、取引限度額はこれまで1回につき1,000元までと定められていましたが、2019年現在では5,000元にまで引き上げられています。年間取引上限額は2.6万元で、取引限度額を超えない範囲であれば、保税区モデルにおいて電商税を適用できます(直送モデルでは行郵税)。

電子商取引法

中国国内の電子商取引における企業活動を守るために、2019年1月1日に施行された法律です。この法律では電子商取引を営む法人の経営者に法人や自然人などの登記や、税務登記を義務付けるもので、架空取引や偽の口コミなどがあった場合は違法行為として処罰の対象とすることを規定しています。

中国の電子商取引法は第1条から第87条までありますが、ECに関する規定は第10条から第26条までとなります。ただし、この法律は「中国でEC事業を運営する事業者」に適用される点については注意する必要があるでしょう。

例えば「中国のECモールに出店している事業者」や「中国で現地法人を開設して越境ECサイトを運営している事業者」は電子商取引法の対象になりますが、「日本で中国向けの越境ECサイトを運営している事業者」は法律の適用対象外となります。

中国で越境ECサイトを運営する場合は営業許可証をサイト内の分かりやすい部分に掲載しなければならないなどの規定もこの法律によるものです。違反すると罰金や罰則の対象となる可能性があるため、必ず規定を確認して対応しましょう。

罰金は最高50万元に及ぶ可能性があり、この金額は日本円になおすと約800万円程度となります。

越境EC輸入税収政策に関する通達

越境EC輸入税収政策に関する通達とは、越境ECに関する取引にかかる税金について詳しく規定したものです。現在、越境ECの取引で税制の優遇措置を受けられる上限額は「1回あたり5,000元、1年間あたり2万6,000元まで」となっています。

改正前は1回2,000元、1年間2万元でしたが、2019年1月1日を境に上限額が拡張されました。また、この通達では個人利用を目的として購入した商品を転売することを禁止しています。

さらにこの通達によって、一般貨物で必要だった「輸入時の法定検査」と「化粧品を輸入する際の認可」が不要になっており、総じて越境EC取引の簡便化が図られています。

総合的に見ると、越境ECの減税措置を受けられるのであれば税制面のメリットは大きいといえます。高級化粧品を例として比較すると、個人輸入の場合は50%もの税率が適用されますが、越境ECの優遇税制が適用されれば25.5%にまで税率が下がります。

支払わなければならない税率が下がれば、商品の価格に反映してより安価にユーザーに提供することも可能になるでしょう。詳細を十分に理解して、最大限に活用したい制度であるといえます。

越境EC小売輸出入商品監督管理に関する公告

越境EC小売輸出入商品監督管理に関する公告によれば、越境ECに関わる事業者は事業所の管轄の税関へ登録しなければならないと規定されています。これは越境ECサイトだけではなく、関連する物流事業者や決済システムを提供する事業者、その他越境ECに関連するすべての事業者が対象となるため、見落としがないように注意しましょう。

責任者となるのは越境ECサイトを運営する事業者なので、取引の流れを十分に理解し、関わっているすべての企業を把握しておく必要があります。

越境ECで輸入した商品を個人利用目的で使用する場合は、中国国内の「インターネット購入保税輸入」という政策に基づき、輸入許可や登録などの特別な届出は不要であると定義されています。

また、越境ECサイトを運営する事業者や商品の販売企業、物流業者などは取引や決済、物流などのデータを税関にアップロードする必要があり、そのデータについて責任を負わなければなりません。

税関に登録された事業者は納税義務者である消費者(商品を購入するユーザー)に代わって消費税を納めなければならないとことも本公告によって規定されています。

中国越境ECは事前の情報収集がカギ

中国越境ECは今後も規模を拡大していくと見られており、今から参入を検討している事業者でも十分に販路の拡大を期待できるでしょう。直送モデルと保税区モデルなど税制が少々複雑な面もあるので、十分に情報収集を重ねた上でどのような参入方法を選ぶか決定することが重要です。

中国国内でECサイトを運営するには中国法人の設立が必要になるなど、現地法人を持たない事業者にとっては参入方法に悩む面もあるかもしれません。自社の状況を十分に考慮しながら最適な方法を選びましょう。

中国越境ECを成功させるためには、物流体制を十分に整えることも重要です。少しでも業務を効率化して最短のリードタイムで商品を届けるためには、外注を利用して物流の自動化を図ることも選択肢のひとつです。

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