UGCとは?マーケティングへの活用方法と成功事例を紹介!

UGCとは?マーケティングへの活用方法と成功事例を紹介!

「ユーザー生成コンテンツ」とも呼ばれるUGCは、近年のマーケティング施策で非常に重要視されている手法のひとつです。とはいえ、UGCが具体的にどのような施策なのかよく分からないという方もまだまだ多いのではないでしょうか。

SNSやレビューサイトなどを活用したUGCは、企業のマーケティングに好循環をもたらしてくれる可能性を秘めています。そこで今回は、UGCの概要やメリット、ECサイトや大手企業の事例などをご紹介します。

UGCの概要

UGCはマーケティングの分野において比較的新しい考え方であることから、まだ耳慣れないという方も多いかもしれません。そこで、まずはUGCの概要と重要視される理由、CGMとの違いなどについて解説します。

UGCとは

UGCとは「User Generated Contents」の略称で、「ユーザー生成コンテンツ」とも呼ばれています。インターネット上のあらゆる媒体でユーザーが生み出すコンテンツのことを指しており、SNSに投稿されたテキストや写真、飲食店の予約サイトのレビュー、宿泊施設予約サイトの口コミなどがUGCに該当します。

UGCと表現されると分かりにくい言葉のように思われますが、このような投稿やレビューは私たちが日常的に目にしているものであり、実際に商品の購入やサービスの利用に際して参考にしているという方も多いのではないでしょうか。

購入した商品の品質が高く、使い勝手の良さを他のユーザーにも広めたいと感じてSNSに感想を投稿すると、それはすでにUGCとなります。言葉の定義は堅苦しいように聞こえますが、何気ない場面でUGCは常に生み出され続けています。

マーケティングにおいては、UGCを活用してまだ商品を使用したことがない他のユーザーの認知度や企業への信頼感を高め、購買意欲を促進する手法が用いられます。

UGCがマーケティングで重要視される理由

現在ではSNSをはじめとしたインターネットが発展し、さまざまな媒体で情報収集が可能な時代になっています。

かつてのようにマスメディアが情報の中心だった頃にはマーケティングのアプローチ先も限られていました。一方で、インターネット上には無数に広告を出稿できるプラットフォームがあり、無数の競合他社がユーザーを獲得するためにそれらのプラットフォームに広告を出稿しています。

とはいえ、近年は検索エンジンやSNSもだんだんと寡占化が進んでおり、例えば検索エンジンならGoogleが世界で圧倒的なシェアを誇るように、ユーザーからの反応を得るために選択すべきプラットフォームは比較的限られてきているのも事実です。

このような状況においては、プラットフォーム内の限られた枠組みの中でコンテンツや広告を発信しなければなりません。競合他社と枠組みを奪い合わなければならず、リーチを獲得するのが難しくなっているといえるでしょう。

そこで、検索エンジンなどから得られる顕在層ではなく、UGCを活用してまだ商品を認知していない潜在層にアプローチしようというのがUGCの趣旨のひとつです。

SNSがメディアとしての影響力を強めており、多くの人に情報が拡散されやすくなったことから潜在層へのリーチを獲得しやすくなったため、UGCによるマーケティングが重要視されるようになりました。

UGCとCGMの相違点

UGCとCGM(Consumer Generated Media)はよく間違われがちですが、実際の意味合いは異なっています。UGCはユーザーが生成するコンテンツのことを指していますが、CGMは「ユーザーが投稿するコンテンツによって成立するメディア」のことを指しているという違いがあります。

UGCはSNSの投稿や写真、レビューなど、メディア内のコンテンツであるのに対して、CGMはUGCを投稿するメディアそのものです。

コスメ用品のレビューサイトやユーザーによるレシピ投稿サイトなどは企業が発信するコンテンツではなくユーザーが発信するコンテンツが中心となるため、UGCが無ければ成り立ちません。このことから、「一般消費者によって作られているメディア」という意味でCGMと称されています。

CGMはSNSやレビューサイト、動画共有サイトなど、インターネット上のプラットフォームであれば形式は特に問われません。

UGCのECサイト事例

UGCを活用してECサイトの売上を向上させたいと考えていても、どこから始めれば良いのか分からないという方も多いでしょう。まずは他社の事例を参考にして、取り入れられる箇所があれば参考にしてみるのがおすすめです。

ここでは、3つのECサイトのUGC活用事例をご紹介します。

RAVIJOUR

https://www.ravijour.com/

RAVIJOUR(ラヴィジュール)は、「セクシーに活きる女性のためのランジェリーブランド」をコンセプトとして株式会社ベリグリが運営しているブランドです。20代~30代後半まで広い年代の人気を集めており、東京ガールズコレクションなどのイベントでも注目されるアイテムです。

従来のRAVIJOURのマーケティングは、Instagramアカウントを運用していたものの店舗ごとに運用が一任されており、訴求効果が分散してしまっているという課題を抱えていました。そこでInstagramの投稿をひとつのアカウントに集約し、最適化してUGCとして活用するために専用ツールの導入を決定したのです。

同時にレビュー収集によって広告運用の最適化も図り、「レビュー×Instagram」の2つのUGCによって大幅にCVRを向上させています。

ECサイトのCVRはUGC活用前の前年同月比に比べて150%にアップし、商品詳細ページの平均滞在時間は2倍にまで伸びています。UGCにユーザーが触れるようになったことで購買意欲が高まり、CVRがアップするという好例といえるでしょう。

ECサイトにInstagramから収集した写真や画像を掲載したところ、商品購入者の85%はこのUGCに接触していたという結果も出ています。

スノーピーク * Snow Peak

https://www.snowpeak.co.jp/

スノーピークはアウトドア用品を専門に扱うECサイトです。同社ではUGCによって新規顧客のコンバージョン率を高めるために、ユーザーレビューの項目に工夫を施しています。

同社にとってのUGCであるユーザーレビューを記入する際に「カスタムクエスチョン」が設けられており、レビューを記入する人のキャンプ歴や、どのようなシーンでそのアイテムを利用するのかなどを詳細に明記することにより、レビューを閲覧した他のユーザーが自分の利用シーンを想像しやすい商品ページ作りを実現しました。

この試みによって、UGCを閲覧したユーザーのコンバージョン率が閲覧しなかったユーザーと比較して2.7倍にも上昇するという成果が表れています。

UGCコンテンツの接触率は約47%にものぼり、およそ2人に1人はユーザーレビューを閲覧しているという結果も明らかになっています。売上の2割はUGC経由であり、UGCがもたらす販促力の高さが感じられます。

Bella Luna Toys

https://www.bellalunatoys.com/

玩具のオンラインショップを運営するBella Luna Toysは、初めてのEC事業の運営にあたり顧客との信頼を築く手法としてUGCに注目しました。Shopifyで構築したECサイト上でUGCを実現するために、レビュー収集ツールを使って4,500以上もの同社の商品に対するレビューを収集しています。

ECサイト上にはすぐにレビューにアクセスするための導線を設置し、訪問したユーザーが商品を検討する際にレビューを参考にできる環境を整えると同時に、Instagramに投稿されている商品の写真を収集して掲載するという試みを行っています。

Instagramに投稿された「写真」というUGCを掲載することで、リアルな商品の使用感や雰囲気が伝わって顧客の信頼感を高める効果を発揮します。

これらの施策によってコンバージョン率は15%アップし、EC事業未経験の状態から将来性あふれるEC事業へと成長させることに成功しました。「レビュー+写真」の複合的なUGC活用事例といえるでしょう。

UGCの大手企業事例

UGCは、ECサイトだけでなく大手企業でも次々と活用されています。ECサイトの事例に続いて、大手企業の事例もご紹介します。

サンスター株式会社

https://jp.sunstar.com/

サンスターは、オーラルケア用品や健康食品などのECサイトを運営している大手企業です。同社は健康食品の主力商品のひとつである「緑でサラナ」のマーケティングにUGCを活用しています。特定保健用食品である緑でサラナは、50代のユーザーをメインとして40~60代の広い年代から支持を集めています。

同社は新規顧客の獲得とLTV(顧客生涯価値)の向上のためにUGCを活用しています。「顧客目線で見た場合に第三者目線の評価が重要であること」「マーケティング工数の削減」の2つの理由からUGCの活用を開始しました。

UGC施策として「新規モニター募集ページにUGCを掲載する」「定期購入への引き上げページにUGCを掲載する」という2つの施策を取り入れています。この2つの施策でABテストを実施した結果、どちらもコンバージョン率が1.1~1.3倍に改善し、緑のサラナへ月間1,000万円強の売上貢献を果たしました。

また、定期購入の転換率も2~3ポイント程度向上しています。マーケティングツールを使用してマーケティングにかかる工数も削減しており、今後は全てのチャネルでUGCを取り入れていきたい意向のようです。

株式会社奇譚クラブ

http://kitan.jp/products

奇譚クラブはガチャガチャを通じてフィギュアなどのホビー用品を販売している企業で、SNSをきっかけにヒットした商品が数多くあります。有名な「コップのフチ子」シリーズをはじめとした「コップのフチに引っかけるフィギュア」は累計1,000万個以上の大ヒット商品となり、今もさまざまな新作が登場し続けています。

同社の商品企画は「面白いこと」を大切にしており、月1回の企画会議を通過したアイディアが商品化される仕組みになっています。「コップのフチ子」を発表した当初はアイディアの斬新さが支持されてTwitterユーザーの間で爆発的な勢いで拡散され、多くの人々が奇譚クラブの製品の存在を認知するようになりました。

コップのフチ子シリーズそのものも大ヒットしていますが、「この商品が面白い」というTwitterユーザーによるUGCに触れて多くの人が奇譚クラブの商品を知り、日常的に購入するようになったことからコンテンツそのものが大きく成長したという事例です。

最近ではSNSで事前に情報を調べてから商品を購入しに来るユーザーも増えており、SNSの存在がビジネスにおいて欠かせない柱のひとつとなっています。

キリン株式会社

https://www.kirin.co.jp/

清涼飲料水やアルコール飲料などを販売する大手飲料メーカーのキリンでは、Instagramのアカウント運用にUGCを活用して成果を上げています。

当初、同社がInstagramアカウントの運用を始めた際は、高品質なコンテンツを安定的に供給するための方法に課題を抱えていました。ユーザーが楽しめる写真や画像を継続的に提供するためには多大なリソースが必要になることから、社内の負荷が大きく、運用に負担を感じていたようです。

そこでUGCのマーケティングに特化したプラットフォームを導入し、Instagramに投稿されているキリン製品に関連した画像や写真を収集して日常的な投稿に活用することにより、「コンテンツの量」を担保するという対策を講じました。

ユーザーがキリンの製品に親しんでいる写真や画像を投稿することでファンの目線に立ったコンテンツを提供でき、質も高めることに成功しています。

UGCを投稿に活用するようになってから、素材を集めるためにかかる工数を大きく削減でき、月に3~4本ほどだった投稿数が6~7本にまで増加しました。

社内で用意した素材を使用した投稿よりもUGCを活用した投稿の方がエンゲージメントも平均135%獲得できているなど、工数削減とエンゲージメント向上を同時に達成できている成功事例といえます。

UGC生成を促す方法

UGCの生成を促すためには、次の3つの方法が効果的です。ユーザーが発信するコンテンツを活用してマーケティングを行う手法であることから、ユーザーが自分から発信したいと思える働きかけを行うことが重要になります。

方法1:顧客とのコミュニケーションをこまめに行う

SNSやカスタマーサクセスなどを通じて顧客とのコミュニケーションをこまめに取ることで、顧客は自社への信頼感を高めて愛着を形成し、商品やサービスを購入したり使ってみたりした際にUGCを生成しやすくなります。

ユーザーが自発的に発信するコンテンツだからこそ、「この企業の商品ならレビューしたい」「たくさんの人に広めたい」と思ってもらえるような行動を取ることが大切です。

問い合わせがあった際は速やかに回答し、SNS上でいいねや拡散などの反応を企業側からも行っていくのもおすすめです。

また、日頃からSNSやオウンドメディアなどで顧客に対して積極的に情報を発信するとともに、自社がどのようなUGCを求めているのかが伝わりやすいコンテンツの作成を心がけましょう。

UGCの生成に企業が直接関わることは基本的にできませんが、企業の発信内容を見てユーザーが求められているUGCを理解し、自発的に企業の利益になるUGCを生成する流れを構築することは可能です。

方法2:SNSハッシュタグなどを用いたキャンペーンの実施

SNSには「ハッシュタグ」という機能があり、ハッシュタグを使って投稿すると同じ話題について複数のユーザー間で共有できるというメリットがあります。

そのような性質を利用し、オリジナルのハッシュタグを設定してユーザーにそのハッシュタグで投稿してもらうというキャンペーンを実施する手法がよく活用されています。

この手法では、期間内に指定のハッシュタグを使って投稿してくれたユーザーにクーポンやプレゼントを進呈したり、参加してくれたユーザーの投稿内容を自社のキャンペーン企画ページに掲載したりすることによって、ユーザーの積極的なハッシュタグの活用を促します。

ハッシュタグをSNS上で積極的に活用することで、タグを使って投稿しているユーザーの間でひとつのコミュニティが形成され、ユーザーの企業への愛着を育てられます。また、ハッシュタグが一般的になることによってブランドそのものの認知度が高まり、集客力の向上も期待できるでしょう。

キャンペーンを行っていない期間でも、プロフィールや投稿の中で「#〇〇というハッシュタグで投稿してほしい」という内容の記載をしておくとUGCが生成されやすくなります。

方法3:インフルエンサーを活用した施策を検討

インターネット上で大きな影響力を持つ「インフルエンサー」と呼ばれる人々を活用した施策を検討するのもUGC生成を促す方法のひとつです。

SNS上では個々のユーザーが自分の気になっているユーザーを自由にフォローして投稿内容を追いかけることができるため、フォロワーを数多く抱える影響力の強い人物に自社のブランドや商品を宣伝してもらうことによって、認知度の向上や売上アップを期待できます。

インフルエンサーに自社の商品やサービスを利用してもらい、感想をSNSやメディア上で発信してもらうことによって数万から時には数十万のユーザーに投稿内容が周知されます。

それによって自社の商品やサービスの認知度を向上させ、関心を持ったユーザーが実際に商品を利用して何らかの感想を抱いてレビューや口コミ、SNSの投稿などの何らかのUGCを生成しやすい環境を生み出せます。

インフルエンサーを起用する際は、自社の商品やサービスに関連性のある人材とタイアップすることが大切です。例えばコスメ用品なら美容系のインフルエンサーなど、自社の商品やサービスに興味を持ってもらえそうなフォロワーを抱えている人材でなければ期待通りの効果は出にくくなります。

UGCのメリット

UGCのメリットは、顧客の信頼度の向上やフィードバックの手軽さ、コスト削減などさまざまです。UGCを上手くマーケティングに取り入れることで、企業にはさまざまな恩恵を受けられます。ここでは、主な3つのメリットについて解説します。

メリット1:顧客目線を取り入れ信頼感を向上を狙える

企業がコンテンツを発信する際は、メリットや特徴を押し出したプロモーションになるのが一般的です。注意点という意味合いでデメリットを表記するケースはありますが、積極的に自社の商品の欠点を主張することは基本的にありません。

しかし、UGCの場合はユーザーが自らコンテンツを発信するため、企業目線の主張が含まれない率直な意見が発進されます。中には好意的な意見だけでなく、デメリットや改善点が指摘されるケースもあるでしょう。

そのような性質だからこそ、UGCによる意見が好意的であれば、ユーザーは第三者目線の公平かつ客観的な情報であると感じて企業への信頼感を高めていきます。

特にSNSなどではインフルエンサーと呼ばれる影響力の大きいユーザーも多く、個々のインフルエンサー自体にファンを抱えていることから、宣伝によって急激に商品の認知度や信頼感が高まる可能性も十分に考えられます。

自社発信によるメリットの周知も重要ではありますが、UGCによって購入を検討しているユーザーに客観的な判断ができる環境を提供し、購入意欲を促進することも大切です。

メリット2:フィードバックを手軽に得ることができる

UGCを活用したマーケティング戦略では、インターネット上の媒体で多くのユーザーが投稿する商品やサービスについての口コミやレビューを積極的に参照することから、フィードバックを手軽に得られるというメリットがあります。

SNSやブログ、レビューサイトの投稿には企業が想定していないデメリットや改善点などが投稿される可能性も高いため、書かれている意見を参考にすることで、アンケート調査などを自発的に行わなくても改善点を見つけ出して次の商品企画や既存事業に活かしていけるでしょう。

企業が直接アンケート調査などを行うと、素直な意見を書きにくい・発信しにくいという人も中にはいます。ユーザーが気軽に自分の意見を発信できるUGCでは、ユーザーの生の声を拾いやすいのが特徴です。

ユーザーの声を拾い上げる作業は、自発的に行おうとすると手間もコストもかかります。しかし、UGCからのフィードバックならある程度発信される媒体を絞り込めると同時に、調査のためのコストも削減できます。

メリット3:リソースとコストを押さえてコンテンツを増やせる

UGCを活用しない形式のマーケティングにおいては、企業がSNSや検索エンジン、外部企業の広告枠などに広告を出稿したり自社でオウンドメディアを運用したりして、ユーザーの興味・関心を高めて購入へとつなげるプロセスが一般的です。

しかし、広告の出稿にはまとまったコストがかかるため、予算を十分に確保できない事業者であれば認知度拡大のための広告運用が難しいケースも多いでしょう。出稿自体にもコストがかかりますが、広告を作成するためのリソースやコストも発生します。

また、自社のオウンドメディア運用は専門知識が必要になるケースもあるため、社内で運用が難しければ委託業者に依頼するためのコストがかかる可能性もあります。

UGCを活用したマーケティングでは「商品に興味を持ったユーザーがUGCを発信し、そのUGCを参照した他のユーザーが商品を購入して新たにUGCを発信する」という循環型のプロセスとなるため、コストをかけずにコンテンツを増やし続けられます。

自社のファンとなったユーザーが営業を兼ねてくれるようなイメージで、リソースやコストを抑えてコンテンツを増やすことが可能になります。

UGCのデメリット

UGCは企業にとってコストやリソースを削減しながらコンテンツを発信できる手法ですが、コンテンツのクオリティーや著作権などの面でデメリットになる部分もあります。あらかじめ次の3つのデメリットについて把握しておきましょう。

デメリット1:コンテンツのクオリティーが不安定になりがち

UGCは自社が主導でコンテンツを発信できるわけではないため、コンテンツのクオリティーが不安定になりやすいというデメリットがあります。

SNSでハッシュタグを使ってユーザーの情報発信を促す場合、ある程度のルールを設けたとしても表現方法は個々のユーザーに委ねられるため、企業が狙った内容の投稿が行われるとは限りません。あらかじめ分かりやすい方向性を示してルール化し、できる限り狙った投稿が集まるような対策を講じるしかできないという不確実さがあります。

また、インフルエンサーマーケティングを行うとしても、インフルエンサーが信用に足る人物かどうか、安定的なクオリティーのコンテンツを発信してくれるかどうかを見極めることが大切です。

インフルエンサーマーケティングはインフルエンサー自身の発言がきっかけで炎上を招き、ブランドイメージの大幅な悪化を招く恐れもあるため、発信内容は事前に打ち合わせて入念にチェックするように意識しましょう。

デメリット2:著作権などの権利を侵害する可能性

自社メディアであれば、発信するコンテンツの内容を自由に制御できます。しかし、それでも知らずのうちに著作権などの権利を侵害してしまう事例がたびたび発生します。自社メディアであっても権利侵害を起こしてしまう以上、UGCではさらにそのリスクは上昇するといえるでしょう。

UGCにおいてコンテンツを発信するのはユーザーであり、企業が発信内容に介入することは基本的にできません。そのため、著作権違反だと知らずにハッシュタグを使用した投稿内に権利侵害にあたる画像や音楽を使用してしまったり、インフルエンサーが薬機法に違反する内容の投稿をしてしまったりする事例が発生しやすくなります。

権利侵害は企業の信頼性を大きく低下させる原因になるため、前述のコンテンツのクオリティーの不安定さを解消する意味でも、あらかじめ禁止事項として著作権違反にあたるコンテンツを発信しないなどのルールを徹底しておくことが大切です。

また、ユーザーのUGCを企業が使用する場合に権利侵害を起こしてしまう可能性もあるので注意が必要です。無断で投稿主の姿が映っている写真を企業の宣伝に活用するなどは肖像権の侵害にあたる可能性があるため、コンテンツ活用の際は細心の注意を払いましょう。

デメリット3:情報精度の低下

企業が発信するコンテンツは情報の正確性を重視しなければ信頼が大きく損なわれることから、発信前に入念な監修やチェックが入るのが一般的です。専門知識に間違いがないか、日付やデータの数値などの基本的な内容が誤っていないかなどを確かめてから発信することで、情報の精度はある程度保たれているといえるでしょう。

しかし、一般消費者であるユーザーが投稿するUGCにおいては、発信の際に情報の正確性を企業レベルで確かめられる人はそれほど多くありません。そのため、投稿されたコンテンツの情報精度が低下しやすいというのは、UGCのデメリットのひとつであるといえます。

情報の精度が低いコンテンツが発信されることによって誤情報が広く拡散されてしまうと、プロモーションによって購買意欲を高めるはずが悪い方向に作用してしまう可能性もあります。SNSは一度広がり始めると加速度的に情報が展開されてしまうため、訂正が追い付かないまま他のユーザーが誤情報を信じてしまう事例は多いものです。

専門知識を持たないユーザーが投稿する内容であることから対策が難しい問題ではありますが、できる限り正確な情報を分かりやすく確実に伝えることが大切です。紛らわしい言い回しをしない、専門知識は平易な言葉で表現する、重要な部分を太字や赤字にするなどの方法で、ユーザーに自社の商品やサービスについて正確に伝わる方法を取りましょう。

UGCの注意点

UGCを中心にマーケティングを展開する際は、次の2つの点に注意しましょう。違反すると法律で罰せられたり、企業の信頼を著しく低下させたりする可能性があるため注意が必要です。

著作権や薬機法を事前に学ぶ

UGCによるマーケティングにはインフルエンサーによるSNS投稿なども含まれますが、インフルエンサーの投稿は「広告」とみなされます。そのため、発信の際には著作権や薬機法を厳格に守らなければなりません。

他社や個人の消費者が制作したコンテンツを無断で流用すれば、著作権違反となって法的に罰せられます。添付する画像に著作権の許諾を得ていないものを使用したり、動画に音楽を使用したりしないように注意しましょう。仮に悪意がなかったとしても、発信してしまった時点で著作権に対する意識が甘い企業だと思われてしまう可能性が高くなります。

また、薬機法への配慮も重要です。「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」という正式名称である薬機法では、医薬品や医療機器、健康食品などについて誇大広告を行うことを禁じています。

これは商品そのものの安全性を守るために規定されている法律であり、違反すると課徴金の納付が命じられたり、場合によっては逮捕されるケースも起こり得ます。

薬機法も著作権と同様に、悪意がなくても違反してしまうケースが多いといえます。例えば「このサプリメントは絶対にダイエットに効果があります!」など、明らかな誇張表現は薬機法に抵触する可能性が高いでしょう。

2つの法律を事前に学び、違反しないような運用を心がけることが大切です。

ステルスマーケティングはNG

一般消費者には広告であることを伏せた状態で商品やサービスを販促するステルスマーケティングも、企業の信頼を著しく損ねる可能性が高いことから注意が必要です。

インフルエンサーに化粧品のサンプルを渡して使ってもらい、サンプルを提供した事実を隠したまま、インフルエンサーが自分で購入したかのようにSNSやその他の媒体で「とても使いやすい商品でした!」などのようにアピールするような例はステルスマーケティングに該当します。

ステルスマーケティングは一般消費者をだます形になるため、事実が明るみに出ると信頼低下だけでなく炎上を招きやすいといえます。企業のブランドイメージを悪化させて売上にも多大な影響を及ぼしやすいため、広告を打ち出す際は必ず広告であることを明示しましょう。

全てのケースに該当するとは限りませんが、ステルスマーケティングは景品表示法や軽犯罪法に抵触する可能性もあります。刑事罰に問われるリスクがあることも意識して運用することが大切です。

【コラム】リソースの確保に物流外注は有効?

UGCを行うにあたって社内の多くのリソースを割り当てる必要がありますが、社内の物流業務がネックになって十分なリソースを確保できないという問題を抱える事業者様は少なくありません。

最近では、リソースの確保に物流外注を検討する方も増えています。なぜ物流外注が効果的なのか、その理由を3つの観点からご紹介します。

物流はルーティン作業が多い

物流業務は受注から出荷指示、ピッキング、梱包、検品、配送まで決まった流れで進むケースがほとんどであり、大半の業務がルーティン作業です。ユーザーとの信頼関係を維持するために重要な業務ではありますが、生産性が高いとはいえないのが実情です。

物流業務を外注して浮いたリソースを基幹業務に割り当てることで、業務効率を向上させて生産性も上がり、新規商品の企画やUGCのようなマーケティング戦略にもじっくりと時間をかけられるようになります。

UGCに力を入れたいと考えているのにルーティン作業に疲弊して後回しになっているという方は、物流の外注がおすすめです。

プロに任せることでクオリティの維持に繋がる

自社で物流業務を行う場合は、物流の知識がそれほど深くないスタッフが発送業務を担当するケースが少なくありません。時にはリソース不足で経験が十分ではない即席のアルバイトやパートを雇用しなければならない場面もあり、物流の品質を維持するのが難しいとお悩みの事業者様もいらっしゃるでしょう。

物流を外注すれば、委託先の倉庫で働くプロの物流スタッフが最適な物流を提供するため簡単にクオリティを維持できます。社内の人材を活用してプロの物流スタッフに並ぶ経験を積むためには膨大な手間や時間、コストが必要になるため、簡単にプロのクオリティをユーザーに提供できるのは外注のメリットです。

コストが抑えられる可能性

物流を外注化することで、リソース不足の解消や物流のクオリティ維持だけでなくコストを抑えられる可能性もあります。

自社で倉庫スタッフを雇用して物流業務を行う場合、毎月の人件費は固定費になります。閑散期でスタッフの余剰が出たとしても容易に削減することはできず、本来は支払う必要のない固定費が嵩んでしまうでしょう。また、繁忙期にスタッフが不足した場合、高額な費用を支払ってスタッフを雇用しなければなりません。

しかし、外注であれば毎月の物量に合わせて委託先の倉庫が柔軟に人員を調整するため、常に最適化されたコストで運用が可能になります。物流費を変動費に変換できることから、人件費の余剰分のコストを削減できます。

UGCは有効なマーケティング手法のひとつ

UGCを活用することで、企業のマーケティング活動においてさまざまなメリットが得られます。顧客の信頼感向上やフィードバックの獲得、リソース不足の解消やコスト削減が課題になっているのであれば、ぜひ挑戦したい手法のひとつであるといえるでしょう。

ただし、UGCに取り組む際は安定的なコンテンツのクオリティ維持や法令違反のリスクに注意を払うことが大切です。好影響を期待して始めたUGCが自社にとって不利益をもたらさないためにも、十分に管理が行き届いた環境で実践しましょう。

UGCに取り組むなら、できるだけ多くのリソースを確保するためにも物流の外注化をおすすめします。プロのクオリティを提供しながらコストも抑えられる点がおすすめです。

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オープンロジマガジン 編集部

物流プラットフォーム「オープンロジ」のマーケティングメンバーにて編成。物流のことはもちろん、ネットショップやマーケティングのことなど、EC事業者に役に立つ情報を幅広く発信していきます。

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