定期購入の規制強化について解説|定期通販で気を付けたいポイントもご紹介

openlogi2021年10月5日  
openlogi2021年10月26日

定期購入の規制強化について解説|定期通販で気を付けたいポイントもご紹介

定期購入とは、ある1つの商品を中長期に渡って継続的に購入してもらうビジネスモデルのことです。例えば1ヶ月に1回、決まった量のサプリメントをユーザー側の購入手続きなしで自動的にクレジットカードで代金を引き落とし、配送まで完了するなどの流れが一般的です。

定期購入は事業者側にとっては安定的な売上をもたらし、顧客側にとっては面倒な手続きを行うことなく欲しい商品を継続的に届けてもらえる双方にとってメリットのあるビジネスモデルといえるでしょう。

しかし、定期購入のビジネスモデルにはさまざまな規制が存在するため、事業化を検討している方は要点を押さえておくことが大切です。今回は、定期購入の規制強化や定期通販で気を付けたいポイントについて解説します。

定期購入の規制強化の詳細

近年では、消費者を悪質な取引から保護するために定期購入の規制強化が図られています。ここでは、規制強化の主な内容について解説します。

「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」の骨子案が2020年7月28日に提示されている

2020年7月28日に開催された「第5回 特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」の中で、「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会 骨子案」が提示されました。

この骨子案は、少子高齢化や技術の進展などを背景に消費者に対する悪質商法が広がるとともに、デジタル化の発展によってこれまでにはなかった新しい商取引が出現したことによる課題への対応を目的としてまとめられたものです。

消費者を悪質商法から守るために制定された骨子案の中には、「販売預託取引の原則禁止等」「消費者被害の拡大防止等を図るための措置」「詐欺的な定期購入商法」への対応 」「デジタル・プラットフォームを経由した取引等への対応」「国際化への対応 」などが記述されています。

これらの骨子案の要綱は、判断力が低下した高齢者やまだ社会経験が十分でない若年層を守るだけでなく、あらゆる消費者を悪質な商取引から守ることを目的としています。デジタル化の発展によって誰もが悪質な商取引に巻き込まれる可能性があることから、消費者を守れる社会を実現するための環境整備が重要であると結論付けています。

参考:特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会報告書骨子(案)

「送りつけ商法対策」も強化される

これまでは一方的に商品を送りつけてきて代金の支払いを要求する「送りつけ商法」に遭った消費者は、処分するまでに14日間保管しなければならないという決まりがありました。そのため、被害に遭っているにもかかわらず長期間自宅に送りつけられた商品を置き続けなければならず、トラブルの解決までに時間がかかるという問題があったといえます。

しかし、特定商取引法の改正によって、2021年7月6日以降は送りつけられた商品を直ちに処分できるようになりました。これにより、今後は購入した覚えのない商品を一方的に送りつけられたとき、消費者はその場ですぐに廃棄しても問題は生じません。

今回の法改正によって、「商品を一方的に送りつけるほど事業者が損をする構図」できあがったといえます。送り主の事業者から代金を請求されたとしても支払いの義務はないため、事業者側は消費者が購入していない商品を意図的でなかったとしても配送しないように注意を払う必要があります。

購入されていない商品を配送して代金が支払われてしまうと、消費者ホットラインなどに相談されて大きなトラブルに発展する可能性もあるので注意しましょう。

消費者利益の擁護増進のための規定も整備

消費者基本法に基づいて、消費者利益の擁護増進のための規定も整備されつつあります。令和3年法律第72号によって規定される「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律」においては、特定商取引法等改正案に対する修正案要綱が定められました。

主な修正点は「クーリング・オフを電子メール等で行う場合の効力発生時期に関する規定」「事業者が交付する書面の電子化に関する規定の施行の延期」「事業者が交付する書面の電子化に関する検討条項の追加」の3点です。

「クーリング・オフを電子メール等で行う場合の効力発生時期に関する規定」は、「クーリング・オフを電子メール等で行う場合の効力発生時期について、申込みの撤回又は契約の解除に係る電磁的記録による通知を発した時とすること」とされています。つまり、電子メールを利用してクーリングオフを申し込む場合、効力が発揮されるのは契約解除を申し出る電子メールを送信したとき、ということです。

また、「事業者が交付する書面の電子化に関する規定の施行の延期」においては、「特定商取引法及び預託法の改正規定のうち、事業者が交付する書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供に関する規定は公布日から2年を超えない範囲で法律に基づいて思考すること」が規定されています。

3つ目の「事業者が交付する書面の電子化に関する検討条項の追加」に関しては、前述の「事業者が交付する書面の電子化に関する規定の施行の延期」が試行されてから2年が経過した後、修正すべきであると判断された時は適宜修正対応を行うことを規定したものです。

定期通販ストアを構築する際に注意したいポイント

定期通販ストアを構築する際は、次の3つのポイントを意識することが大切です。

購入者に分かりやすい表示にする

特定商取引においては、「商品の売買契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び金額、契約期間その他の販売条件を記載する」ことが定められています。

つまり、定期通販のように複数回継続して購入してもらうような商品は、ECサイトの商品ページなどの分かりやすい場所に金額と契約期間、販売条件を明示しなければなりません。

「その商品を最低何回継続購入する必要があるのか」「最低回数分継続購入すると、総額はいくらになるのか」「商品の引き渡しはいつになるのか」「代金を支払うタイミング」などをユーザーに分かりやすく明示しなければ、特定商取引違反としてトラブルに発展したり、法令に基づいて罰せられる可能性があるので注意が必要です。

定期通販ストアを運営する際は、自社の商品の販売条件を分かりやすい表示にすることを心がけましょう。

また、消費者が申し込みを確定する前に総額を記載しなければならないという決まりもあるため、申込内容の確認ぺージに総額の記載も忘れずに行いましょう。

自社の利益ばかりを追求したデザインにしない

自社の利益ばかりを追求したデザインにしてしまうと、ユーザーにとって非常に使いにくいサイトになってしまい離脱を招く原因になるため注意が必要です。

少しでも自社の商品やサービスを販促したいと考えるあまり、商品を過剰に宣伝するばかりで具体的な効果などの情報が分かりにくい設計のECサイトは避けることが大切です。ユーザーが商品の購入を押し付けられているように感じてしまったり、必要な情報が手に入らないことから購入に不安を覚えたりする可能性があるためです。

定期通販のECサイトを構築する際は、できるだけユーザーが使いやすいサイト設計を意識して、運営側の一方的な販促を押し付けないようなサイトを意識しましょう。設計を確定する前に顧客目線に立って「このサイトは商品を安心してスムーズに購入したいと思えるサイトかどうか」を考えてみると、ユーザーに配慮したサイトを構築しやすくなります。

また、商品を購入を決意したユーザーも、購入手続きが複雑だと途中で購入を諦めてしまうケースがあります。入力欄をできるだけ少なくしたり複数の決済手段に対応したりして、少しでも購入手続きに関する負担を軽減しましょう。

想定できるトラブルは事前に対策を立てておく

定期購入では、ユーザーが商品の性質を十分に理解した上で「この商品を購入したい」と思ってもらうことが重要になります。

従来は商品の性質が分かりにくい状態でセールスレターや広告を送り付け、半強制的に定期購入を契約させる「ワンステップマーケティング」が横行していました。このようなトラブルを避けることは、ユーザーからの信頼を維持する上で重要です。

定期購入通販ストアを運営するにあたって想定できるトラブルは、事前に対策を立てておくことをおすすめします。

商品画像や時には動画なども駆使してあらかじめ商品の性質を十分に分かりやすく解説し、購入時にはあらためて契約内容を確認するなど、本当にユーザーが契約に納得しているかどうかの意思確認を徹底することによってトラブルは大きく削減できます。

「試しに申し込んだつもりだったのに定期購入だった」「解約に違約金がかかるとは知らなかった」「解約方法が分かりにくい」などのトラブルを防止するために、契約条件や解約条件なども明示して、ユーザー側から見て疑問点がないクリアな状態にしておくことが大切です。

【コラム】物流アウトソーシングの利用でリソースを大幅に軽減

物流を社内で構築する負担が大きいと感じられる時は、物流アウトソーシングを利用するとリソースを大幅に軽減できます。ここでは、物流アウトソーシングのメリットを解説します。

物流にかかるリソース負担は大きい

物流は生産性の高い業務ではないものの、そのリソース負担は非常に大きいといえます。物流業務は入庫や出庫、ピッキング、検品、梱包など多岐に渡り、全ての工程を高い精度で行わなければ顧客からのクレームにつながる可能性もあるシビアな業務です。

しかし、小規模事業者などでは十分な物流知識を持った人材を物流担当にできるほどリソースに余裕がない場合も多く、物流にかかる負担がどんどん重くなっていくように感じられることも多いでしょう。

売上が拡大するほどに扱う商品数は増えていき、在庫管理の手間も増加します。特に誰もがSNSを利用するようになった近年では、予想できない場面で急激に需要が増加する「波動」が起こりやすくなっているという背景もあり、物流対応がままならなくなる場面もあるといえます。

そんな時は、物流アウトソーシングを利用することで社内の物流リソースを解放して従業員の負担を軽減できます。不慣れな物流業務から解放されるだけでなく、プロの物流クオリティをを簡単に取り入れられるため、常に高品質な物流を提供できるのもメリットです。

空いたリソースはストア構築などの基幹業務に

物流業務には多くのリソースを割く必要があることから、受注量が増えれば増えるほど基幹業務に手が回らなくなり、売上拡大のための施策が停滞してしまう可能性が高まります。万が一問い合わせ対応などが疎かになれば、顧客満足度を大きく押し下げてしまう可能性もあるでしょう。

事業を立ち上げたばかりの頃はまだ受注もそれほど多くないため、商品開発やマーケティングを行っている従業員が片手間に物流業務を担当することも可能です。特に小規模事業者は少ないスタッフで運営していることもめずらしくないため、そのようなスタイルを採用しているケースも多いでしょう。

しかし、これまでは片手間に物流業務をこなせていたとしても、需要が急激に増加すると基幹業務に手が回らなくなってしまう例は非常によく見られます。

手が回らなくなる前に物流を外注することで、物流に割り当てなければならなかったリソースを他の基幹業務に回せるようになります。ストア構築や商品開発、マーケティング施策など重要業務に集中できる環境を作り出せるため、売上や販路の拡大も目指せます。

基幹業務が停滞するとせっかくのビジネスチャンスを逃すことにもなりかねないので、できるだけ早い段階で物流の外注を検討することをおすすめします。

小規模からでも利用可能なサービスがある

物流アウトソーシングは大量の商品を預けなければ利用できない、とお考えの方も多いでしょう。実際に「まとまったアイテム数がないから取り扱いは難しい」と断られてしまった経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、中には小規模からでも利用可能な物流アウトソーシングサービスは存在します。

物流アウトソーシングサービスを扱う物流業者は、小規模~大規模まで対応している規模感もさまざまであり、自社に合った規模のサービスを取り扱っている業者を選ぶことが大切です。

「うちはまだ商品数が少ないし、スタッフが何とかやれているから物流アウトソーシングは必要ない」とお考えの方も、可能であればまだ事業が小さいうちからアウトソーシングを検討することをおすすめします。

新たにアウトソーシング先を決めるにはある程度の時間が必要なので、受注量が増えてから検討し始めると社内の物流が混乱した状態が長く続く可能性があるためです。あらかじめ物流を外注しておけば、急激に需要が増加したとしてもプロのスタッフに物流業務を全て任せられるため、自社の従業員は安心して基幹業務に専念できます。

定期販売を始める前に規制強化について知識を深めよう

定期購入は事業者に安定した利益をもたらし、顧客に利便性を付与する双方にとってメリットがあるビジネスモデルです。しかし、デジタル化の進展によって悪質な取引が増えている背景からさまざまな規制強化が図られていることから、事業者は内容を押さえて法令を遵守することが重要になります。

定期通販ストアを構築する際は、事業者側の都合だけでなく、ユーザーにとって使いやすいかどうかを意識したECサイトを構築しましょう。あらかじめ想定されるトラブルに備えておき、スムーズに運用できる準備を整えることが大切です。

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オープンロジマガジン 編集部

物流プラットフォーム「オープンロジ」のマーケティングメンバーにて編成。物流のことはもちろん、ネットショップやマーケティングのことなど、EC事業者に役に立つ情報を幅広く発信していきます。

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