ネットショップを一人で運営するには|開業方法から成功ポイントまで徹底解説

2021年9月2日

ネットショップを一人で運営するには|開業方法から成功ポイントまで徹底解説

EC市場の発展によって、誰もがネットショップを持てる時代になりました。最近では個人がネットショップを運営する例も増えており、新たに開業してみたいと考えている方も多いのではないでしょうか。

ネットショップを一人で運営するためには、コンセプトの設計や事業計画の策定、ストア作成など、あらかじめ十分な準備が必要です。そこで今回は、ネットショップを一人で運営するための開業方法から成功ポイントまで詳しく解説します。

個人でネットショップを開業する方法

個人でネットショップを開業するためには、次の3つのステップに沿って準備を進めていくことが大切です。根幹となるコンセプトをよく考え抜かなければ軸がぶれてしまう可能性もあるため、最初のステップから慎重に準備を始めましょう。

STEP1:販売する商品・ストアのコンセプトを考え事業計画を立てる

まずはストアのコンセプトを決めて、どのような商品を販売するのかを選んだあとで事業計画を立てる必要があります。ストアのコンセプトは、例えば「流行に敏感な20代の男性に向けた安価なトレンドの洋服を販売しているショップ」など、具体的に決めることが大切です。

コンセプトはその後の商品選定やターゲット選定にも大きく影響してくるため、曖昧になっているとどの層にも響かないストアになってしまう可能性もあります。自分のショップをどのようなスタイルで運営していきたいのかを明確にした上で、詳細にコンセプトを決定しましょう。

コンセプトが決まると、どのような商品を販売すれば良いのかが見えてきます。前述の「流行に敏感な20代の男性に向けた安価なトレンドの洋服を販売しているショップ」を運営するのであれば、販売する洋服は20代向けであり、比較的購入しやすい価格帯のトレンドを意識した商品でなければなりません。トレンドは移り変わりが激しいため、早いサイクルで新商品に入れ替えていく必要もあります。

販売する商品やターゲットが決まったら、実際に事業計画を立てていきます。商品の仕入れはどこから行うのか、資金調達の方法はどうするのか、開業時期はいつにするのかなど、一つひとつの項目を詳細に決めていきましょう。

STEP2:出店方法や決済手段・配送方法を決めてストアを作成

コンセプトや事業計画が固まったら、運営するストアの出店方法や決済手段、配送方法などを決めていきます。ネットショップの出店方法は基本的に自社ECとECモールの2種類に分かれるため、まずはどちらで出店するのかを決める必要があります

自社ECは独自性を押し出したショップを展開でき、手数料などが発生しないために利益率が高いというメリットがありますが、集客を自社で行わなければならないためマーケティングに注力しなければならないというリスクもあります。

ECモールは企業が運営しているモールに出店して商品を販売する形式で、企業の認知度を活かして集客できるため、無名のネットショップであってもある程度の訪問を期待できるというメリットがあります。一方で、モール自体のプラットフォームに合わせて商品の販売ページを作らなければならないので、他社との差別化が難しいのはデメリットです。

どちらにもメリットとデメリットがあるため、商材やショップの認知度などを考慮して出店方法を選ぶと良いでしょう。場合によっては両方を利用するのも選択肢のひとつです。

決済手段はクレジットカードや銀行振込、代金引換、モバイル決済などさまざまな方法の中からいくつか用意するのが一般的です。配送方法にはヤマト運輸や佐川急便、日本運輸などの国内の運送会社の他、越境ECであればDHLやFedExなどの海外の運送業者を利用する方法もあります。

STEP3:開業届など必要な届出をして開業

ビジネスでネットショップを運営するのであれば、開業届の提出を行う必要があります。ネットショップによって得た利益は個人事業主として確定申告の対象になるため、事前に開業届を提出して個人事業主となったことを国に対して報告しておかなければならないからです。

現在のところ開業届を提出しなかったことによる罰則はありませんが、開業届を提出しなくても確定申告による税金の支払いは必ず行わなければなりません

開業届が未提出だと白色申告しかできませんが、開業届を提出していると青色申告が可能になって控除額が大幅に上がるため、ネットショップの開業と併せて提出しておくことをおすすめします。

ストアの作成方法

自社ECを利用する場合のストアの作成方法には、ASP、モール、パッケージの主に3種類があります。ここでは、それぞれの特徴やメリット、デメリットなどについて解説します。

ASP

ASPは事業者が既にサービスを完成させた状態でECの運営に必要な機能を提供する形式であり、自分でサーバーを構築する必要がないクラウド型が一般的です。国内でよく使われているのはShopifyやBASEなどのサービスで、比較的安価な料金で簡単にデザイン性の高いネットショップを作成できます。

ASPは既に完成済みの機能を利用できることから、利用開始までの期間が短いのがメリットです。後述するパッケージなどでは事前のヒアリングやシステム改修にある程度の期間がかかりますが、ASPなら最短数日程度で使い始められるものも多いでしょう。

小規模~中規模の事業者に適しており、毎月のコストを抑えつつネットショップを運営したい方に向いています。前述のShopifyやBASEはショップを開業後、月々の売上に対して所定の手数料を支払うことになるため、どのASPサービスを選ぶのか迷ったときは販売手数料の料率にも注目することが大切です。

ただし、カスタマイズ性は高くないため、独自の運用体制を実現したい場合にはあまり適していません。テンプレートから選択するだけでも機能性の高いネットショップを作成できますが、よりこだわりたいのであればHTMLなどの専門知識が必要です。

モール

モールは開業方法の項でも軽く触れたように、企業が用意している販売用のプラットフォームに出店して商品を販売する方法です。販売ページのテンプレートが決まっており、カスタマイズ性が高くないため出品がしやすいのがメリットといえるでしょう

出品用のツールも企業側が用意してくれているケースが多く、定められた手順に沿って情報を入力するだけで簡単に出品作業を完了できるのも強みのひとつです。

国内の代表的なモールとしてはAmazonや楽天、Yahoo!ショッピングなどが挙げられます。日常的にこれらのモールで買い物を楽しんでいるという方も多いのではないでしょうか。モールは月額基本料がかかるケースとかからないケースがありますが、いずれの場合も売上に対して一定の販売手数料を支払う形で収益を得ています。

既に多くのユーザーから認知されており集客を期待できるというメリットがあるため、まだネットショップを開業したばかりで知名度が低い場合はモールの集客力を頼るのもおすすめです。

ただし、検索一覧に表示される商品画像の並び方や商品ページのデザインが一定なので、独自性を押し出しにくく他社との差別化が難しいという性質から、価格競争に巻き込まれやすいというデメリットもあります。

パッケージ

パッケージはネットショップを運営するための基本機能を1本のソフトにまとめて販売する方法のことで、個々のショップに合わせて柔軟にカスタマイズできるのが特徴です

ASPはクラウドサービスであり、複数の事業者がひとつのサーバーを共有してサービスを利用するためにカスタマイズの柔軟性は低いというデメリットがありますが、パッケージは自社専用のサーバーを構築するケースが多いのでカスタマイズに対応できます。

独自の運用があったり機能追加を行いたかったりするのであれば、パッケージを選ぶと良いでしょう。ただし、コストはASPよりも高額になりやすい傾向にあるため、費用対効果を十分に検討する必要があります。小規模事業者はコストが見合わない可能性もあるので、負担が大きいようなら運用をサービス側に合わせる形でASPを利用するのも手段のひとつです。

個人でネットショップを開業する際の注意点

個人でネットショップを開業する際は、信頼の獲得やコスト計算、集客施策などやらなければならないことがたくさんあります。一つひとつの注意点を意識しながら、ユーザーの支持を集められるネットショップを育てましょう。

顧客から信用を得られるストア作りを意識する

ネットショップで商品を購入する際、信頼性が低いショップから商品を購入したいと考えるユーザーは少ないのが実情です。

誰が運営しているショップなのかが分からなければ、商品がきちんと届くのか不安を抱いて購入をためらってしまうでしょう。また、何かトラブルが起こった際に連絡先が書かれていないと対処の方法がないので、いざという時のリスクを回避するために購入を控えるユーザーも数多くいます。

ネットショップを開業する際は、電話番号や運営者を明確に記載し、商品の購入や配送、返品など詳細な規約を分かりやすい場所に明示しておくことが大切です。ユーザーに信頼される要素を取り入れることで個人であっても信頼できるショップだと判断し、安心して購入してもらえる可能性は高まります。

もちろん、基本的な情報を明記したからといってそれだけで信頼が継続されるわけではありません。スムーズで確実性の高い配送や迅速なカスタマーサクセスなど、ユーザーの信頼度を高めるような対応を積み重ねていくことが重要です。

コストの計算は綿密に行う

ネットショップの運営にはさまざまなコストがかかります。見切り発車で開業してしまうと想定外の費用がかかって回収しきれなかったり、回収までに膨大な時間がかかったりする可能性があるため、コストの計算は綿密に行いましょう。

開業前はショップの構築や決済システムの整備、商品の仕入れなどにどのくらいのコストがかかるのかを詳細に算出し、開業費を十分に準備しておくことが大切です

ネットショップは開業してすぐに売上が上がるとは限らないため、キャッシュフローが滞ると事業の継続が困難になってしまいます。事前の計算を綿密に行うことで自社の支出予定を明らかにしておき、計画的に運用できるように意識しましょう。

開業後は、日々の帳簿付けを忘れずに行うことも重要です。その日の売上がいくらだったのか、仕入れやその他のコストがどのくらいかかっているのかなど、収支を常に把握しておくことで今後の運営方針も定めやすくなり、想定していなかったコストに運営が圧迫されることもなくなります。

システムの利用料や保守費用、広告宣伝費など、小さな経費の積み重ねが大きなコストにつながるため、不要な部分がないかどうかを振り返る習慣をつけることをおすすめします。

集客対策を怠らない

どのような出店方法を選んだとしても、ネットショップを運営するのであれば集客対策は必要不可欠です。特に自社ECの場合は知名度がまったくない状態からユーザーを呼び込まなければならないため、SEO対策やSNS運用、広告出稿などさまざまな方法で自社のブランディングを行うように努めましょう。

自社ECの集客は短期で効果が表れるものはあまり多くなく、中長期的に運用して初めて成果が表れるのが一般的です。そのため、開業して間もない売上があまり立たない期間も乗り切れるようにキャッシュフローが健全な経営を目指す必要があります。

モールへ出店する場合は、モールの集客に頼りすぎないことも重要です。何もしなくてもユーザーを呼び込めるからといって対策を怠ってしまうと、競合他社にユーザーを取られて十分な売上が立たなくなってしまう可能性もあります。

モールで十分な認知度を獲得すれば、自社ECに移行するという選択肢も取れるようになるでしょう。事業拡大のためには、どちらの方法を選んだとしても集客対策がカギになるのです。

ネットショップの集客対策方法

ネットショップの集客対策にはさまざまな方法がありますが、最近ではSEO対策やSNS運用、セールやイベントなどが活用されるケースが多いといえます。ここでは、代表的な集客対策について解説します。

ストアのSEO対策

検索エンジンでキーワードを入力して検索した際に、自社のストアが上位に表示されるようにするためのSEO対策も重要です。

一般的にユーザーが検索した後にクリックして閲覧するサイトは1ページ目が大半だといわれており、2ページ目以降はほとんどクリックされない傾向にあります。そのため、自社のストアがどれだけ上位に表示されているかは、そのまま集客力に直結します

例えば30代女性向けのダイエット食品を販売しているサイトなら、「30代 女性 ダイエット」といったキーワードを検索した際に一番上に表示されると、自社のストアがクリックされる可能性が高くなり、流入数がアップするというイメージです。

最近では多くのユーザーが自分から積極的に情報収集を行うようになっており、検索エンジンを通じて情報を得る機会は格段に増えています。自社の商品ページの情報を充実させたり、コラムや商品の使い方などのユーザーの利益になる記事を数多く用意したりして、検索エンジンから上位に表示する価値が高いストアだと判断されるような対策を施しましょう。

TwitterやInstagramなどSNSを活用

検索エンジンもよく使われるようになりましたが、近年では情報源の大半をSNSに依存しているユーザーも多くなりました。テレビやラジオ、雑誌といったマスメディアから情報を得るのではなく、TwitterやInstagramなどのSNSを通じてトレンドを把握するため、SNSに露出していない企業の情報はほとんど取得できないというユーザーも少なくありません。

そのため、現在は企業も積極的にSNSアカウントを運用してマーケティングを行う必要があるといえます。自社の商品画像やPR動画、キャンペーン情報などをSNSでアピールしてファンを増やし、自社のブランドイメージを向上させて商品やサービスの認知度を高めたり購入したいと思ってもらったりするための施策が重要です。

SNSは媒体によってさまざまな性質があるため、自社の商品やサービスとマッチしている媒体を選ぶことが大切です。例えばTwitterは拡散性が高く、共感を得られる投稿ができれば幅広いユーザー層に認知してもらえる可能性が高いといえます。

Instagramは画像や写真中心のSNSで、見栄えの良い商品写真などを駆使して自社のイメージ工場に努めて「購入してみたい、使ってみたい」と思わせるような使い方が向いています。他にはFacebookやLINEなども、SNSマーケティングにはよく使われています。

セールやイベントの開催・参加

ネットショップに訪問者を増やすには、セールやイベントを開催するのもおすすめです。ストアや自社のホームページ、メルマガ、SNSなどの媒体を通じてイベント情報を告知したりクーポンを配布したりして、少しでも多くのユーザーに周知する工夫も忘れずに行いましょう。

セールを行うと、普段はショップに訪れないユーザーも「とりあえず覗いてみよう」という気持ちで訪問してくれる可能性は高まります。魅力的な商品やサービスを提供できていれば、それがきっかけで商品を購入しリピーターになってもらえる場合もあるでしょう。

代わり映えのしないネットショップはユーザーが飽きてしまい、「訪問してもいつも更新されていない」という印象を与えてリピーターを離脱させる原因になります。セールやイベントを行って定期的にユーザーに新しい情報を提供することで、離脱を防止しつつユーザーに利益をもたらしてイメージアップも図れます。

個人ネットショップの成功事例

個人のネットショップを開業するなら、成功事例を参照すると参考になります。ここでは、個人ネットショップの成功事例を2つご紹介します。

ödül(オジュール)

https://shop.odul.jp/

「ödül(オジュール)」は天然石をメインに取り扱うジュエリーブランドです。気軽に購入できるように、なるべく価格を抑えたジュエリーを意識して提供しています。有名百貨店でのポップアップショップでは4日間で販売数が1,000個を超えるなど、ブランドとして成長を続けています。

Instagramを活用した集客が功を奏して4万人以上のフォロワーを抱え、LINEによる販売告知も効果的に作用しています。

同社は自社ECプラットフォームのShopifyとオープンロジの物流サービスを活用して物流の自動化を実現し、これまで10時間かかっていた物流業務にほとんど時間がかからなくなりました。1日150個の配送を行っていた時は朝10時から夜の8時まで梱包作業を行っていた日もあったようです。

Shopifyで商品が売れるとオープンロジに移行させるボタンを押したり、注文者の住所が間違っていた時に表示されるアラートに基づいてデータを修正したりするだけで作業は完了するため、梱包作業を外注化によって効率化できた事例といえるでしょう。

Morphun

https://www.morphun.jp/

イギリスの会社が製作する知育玩具「Morphun」は、自社ECサイト以外にAmazonやYahoo!などのECモールでも並行して販売しています。元々は卸売りのみの取り扱いでしたが、並行輸入品が数多く出回っているのを見て一般消費者向けにも販売を開始しました。

実店舗を構えずにECサイトによる販売を行うことにしましたが、最初からオープンロジへの外注を決めたことで物流に関する悩みを抱えることなく基幹業務に専念できたようです。

元々副業販売を始めたこともあり、配送業務などに時間をかけることが難しいと判断したことからあらかじめ物流の外注化を判断し、オープンロジの価格の安さやWMSのインターフェースの分かりやすさに魅力を感じてサービスを使い始めたといいます。

ネクストエンジンと連携して複数店舗を一元管理しており、ShopifyとAmazonの注文を同時に処理できる点にも魅力を感じているようです。現状ではECサイト、Amazon、Yahoo!ショッピングの3社でMorphunを取り扱っていますが、受注時にはほとんど作業の手間がかからない点をメリットに挙げられています。

【コラム】ネットショップの物流は重要なポイント

ネットショップをスムーズに運用するためには、物流が非常に重要なポイントになります。ここでは、なぜ物流が重要なのか、物流のどのような点に注目しなければならないのかについて解説します。

配送のスピードだけでなくクオリティにも着目

一般的に、ユーザーは少しでも早く商品を配送してくれるショップを良いショップだと判断する傾向にあります。同じ値段で同じ商品を扱っているのであれば、1日で到着するショップと2日で到着するショップなら1日で到着する方を選ぶケースが大半でしょう。

そのため、ネットショップの運営者はこぞってリードタイムを短縮しようとしています。その取り組み自体は悪いことではありませんが、早く配送しようとするあまりにクオリティが犠牲になってしまえば意味がありません

早く届いて喜んだものの、箱を開けてみたら激しく傷ついていたり商品が破損したりしていれば、ユーザーは満足できずにクレームを入れるかもしれません。せっかく早く届いたとしても返送のための時間がかかり、事業者側にとっては返送のためのコストが発生するため、双方にとってデメリットが大きい結果となってしまいます。

ネットショップの物流を考える際は、配送のスピードだけでなくクオリティにも着目することが大切です。商品に合わせた荷姿で適切な資材や緩衝材を使用して届けることが、結果的に顧客満足度の向上につながるからです。

商品の配送品質はブランドイメージにも影響あり

商品の配送品質は、ブランドイメージにも大きな影響を及ぼします。例えば高級化粧品が全くロゴや装飾のない簡素な段ボールに入って送られてきたらどう感じるでしょうか。おそらく、商品そのものの品質は変わらないのに、なんとなく高級感が薄れたように思える方が多いでしょう。

商品のブランドイメージは、商品だけでなく広告やSNSによるマーケティング、梱包によるブランディングにも大きく左右されます。高級感のある商品には高級感を感じさせる梱包など、商品やサービスに合った配送を行うことでユーザーは価値を感じやすくなるからです。

「商品が届けばどのような荷姿でも良い」というわけではなく、ブランドの価値を高めるためには商品の配送品質を意識することが重要になります。壊れていないきれいな状態で商品を届けることは前提として、商品を包んでいる緩衝材や資材にもこだわることで、統一されたブランドイメージを伝えられるようになるでしょう。

実店舗に商品が並ぶわけではないネットショップにとっては、梱包もマーケティング活動のひとつであるともいえます。商品が届いた時に一番最初に目にする部分だからこそ、こだわりを持った物流を整備する必要があります。

物流業務は工数が多くかかる

物流業務は、数あるネットショップの業務の中でも非常に多くの工数を占有します。物流業務自体は生産性が高い業務ではないにも関わらず、万全に対応しなければユーザーからのクレームの原因になりかねないため十分なリソースを確保しなければなりません。

物流業務には倉庫に商品を収めるための入庫作業や、適切な状態に維持しておく保管業務、注文に応じて商品をピッキングして梱包・出荷し、配送を行うというさまざまなプロセスがあります。これら一つひとつの作業を的確に行わなければ誤配送や配送遅延が起こり、自社の評価を著しく下げるリスクがあります。

品質を維持するためには多くのリソースを物流に割り振らなければなりませんが、小規模事業者や個人が対応できる範囲には限界があるのも事実です。

対応しきれない物流業務は、配送業者を利用して補うのも手段のひとつです。特に個人で大量の注文を受けると発送業務を処理しきれずにパンクしてしまう可能性もあるため、早めの対応が大切です。

配送業者の選定ポイント

配送業者を選定する際は、次の3つのポイントを意識することが大切です。やみくもに選ぶと運用がスムーズに進まなくなる可能性もあるため、じっくりと時間をかけて比較・検討しましょう。

ポイント1:自社の商品・ストアとの相性

ネットショップで扱う商品は非常にさまざまであり、ジャンルも多種多様です。配送業者が得意としている商品のジャンルは一定ではなく、食品を得意としていたりアパレル用品を得意としていたりと、業者によっても大きく異なります。まずは自社の商品のジャンルを得意としている配送業者かどうかを見極めた上で、契約するかを判断することが大切です

自社の商品を得意としているかどうかは、ホームページに掲載されている導入事例を参考にするのがおすすめです。過去に似たような商品を扱った事例があるようなら、比較的信頼のおける事業者だと判断しても問題ないでしょう。

まったく異なるジャンルの商品を得意としている配送業者に任せてしまうと、業種・業態に関する知識がなく、見当違いな運用を提案されるケースがよくあります。品質やコストも重要ではありますが、自社の業種に理解があるかどうかは重要です。

また、商品に関する事例が豊富であっても、ストアとの相性が合わなければ円滑な運用は難しくなるでしょう。ピッキングや入出庫、梱包、流通加工など、物流サービスは配送の他にも複数あるため、自社が必要としているサービスを提供しているかどうかを見極めましょう。

ポイント2:サービス内容とコストのバランス

配送業者によっては自社の運用に合わせた柔軟な物流サービスを提供してもらえる場合もありますが、完全に自社の運用に合わせようとするとカスタマイズ範囲が広くなり、高額なコストがかかります。サービス内容とコストのバランスを十分に検討した上で、落としどころを見つけることも大切です

カスタマイズ範囲を拡げれば拡げるほど、自社の運用に合わせた理想的な物流体制を構築できます。しかし、カスタマイズしすぎると膨大なコストがかかり、予算に見合わない可能性が高くなります。ある程度配送業者の用意している基本のサービスに運用を合わせて、コストを抑える工夫も重要です。

委託範囲をどの程度にするか迷ったときは、運用の中で譲れない部分に優先順位を付けていくと良いでしょう。物流業務の中でも絶対に委託しなければならないプロセスはどこなのか、独自運用に合わせなければならない部分はどこなのかを明確にすることで、委託範囲の切り分けを行えます。

個人の場合は比較的配送業者のサービス内容に自分の運用を合わせやすいため、コストを抑えたいなら運用体制をじっくりと見直すことをおすすめします。

ポイント3:物流にかかる具体的な作業工数を算出

配送業者によって、提供しているサービス内容は異なります。得意としている業種や業態、アイテムも多種多様なので、自分が運営するネットショップに合った配送業者を選ぶことが大切です。

配送業者を選定する際は、物流業務全体にかかる具体的な作業工数を算出することも忘れずに行いましょう。物流業務は配送だけではなく、入出庫や保管業務など多岐に渡ります。配送のみを委託するのではなく、物流業務全体の外注化も検討すると業務効率が高まる可能性は上がります。

まずは現状の物流工数の全体像を把握した上で、どの部分を委託すれば業務効率化やコスト削減につながるのかを冷静に判断しましょう。一部の業務を委託するよりも、全体を委託したほうが結果的にコストを削減できることも少なくありません。

物流においては、一つひとつのプロセスを最適化することが全体の効率化につながります。一部分だけを見つめるのではなく、全体を俯瞰して物流を設計しましょう。

【ご紹介】オープンロジは商品1点から利用可能

オープンロジでは商品1点から倉庫を利用可能で、初期費用や月額固定費もかかりません。三温帯倉庫や独自梱包資材の作成にも対応しているため、事業者様のご要件に合わせた柔軟な物流サービスをご提案いたします。

固定費用0円!使った分だけの従量課金制

オープンロジでは「初期費用0円、月額固定費0円の完全従量課金制」を採用しています。毎月のご請求は使った分だけなので、商品1点からでも安心して預けていただけます

一般的な倉庫では月額固定費を設定しているケースも多く、倉庫をほとんど使わなかった月でも支払いが発生してしまいます。しかし、当社は倉庫をお使いいただいた分だけのご請求であり気軽な気持ちで利用できるのがメリットです。

案件管理にはオープンロジが独自開発したWMSをご利用いただく形を取っており、システム利用料もかかりません。メールアドレスを用意して登録するだけですぐに利用準備が整うことから、面倒なシステム調整などの手間も削減できます。

自社ECやモールなどのさまざまなプラットフォームに対応しており、注文データを自動的に取り込んで受注処理を行い、倉庫への出荷指示データを作成する部分まで完全自動化も実現できます。これまで物流に割かなければならなかったリソースを大幅に削減できるため、メイン業務に集中できる環境を整えられます。

冷凍・冷蔵品など三温帯にも対応可能

常温倉庫だけではなく冷凍・冷蔵品に対応した倉庫とも提携しており、三温帯にも対応可能です

コールドチェーン物流を自社で構築するためには膨大なコストがかかり、管理するために求められるスキルも高くなることから人件費も高額になりやすいといえます。物流を外注して外部のコールドチェーンを活用することで、人件費を削減しながらプロの技術による高品質な冷凍・冷蔵物流を提供できます。

かつては自社で物流を完結させることが当たり前だったため、倉庫の保管スペースや設備の問題で三温帯倉庫を持つのが難しい事業者も少なくありませんでした。

しかし、現在では外注化によって比較的簡単にコールドチェーンを利用できるようになったことから、小規模事業者であっても全国各地に温度管理の必要な商品が配送可能になり、販路を容易に拡大できるようになっています。

外注先の設備を利用すれば、経年劣化による設備の更新費用を用意する必要もありません。冷凍・冷蔵品の外注化をご検討なら、ぜひオープンロジへご相談ください。

独自梱包資材も一気通貫で作成できる

オープンロジでは独自梱包資材の制作サービスも提供しておりますので、自社独自の梱包資材を使ってユーザーに商品を発送したいというご要望にもお応えできます

これまでの物流では、独自梱包資材を利用したい場合はまず資材作成サービスを提供している会社と連絡を取って調整を重ね、そこで制作した資材を物流会社に送って配送に活用してもらう、というプロセスが必要不可欠でした。

そのため、せっかく外注したにも関わらず複数の外注先と連絡を取らなければならない手間が発生し、物流業務からなかなか解放されないという悩みを抱える方が多かったといえます。

しかし、独自梱包資材も一気通貫で作成できるようになれば、複数社と連携を取りながら物流業務を進めなくてもオープンロジが制作した梱包資材を自動的に倉庫へ搬入し、その資材を使って梱包・配送をスムーズに行えます。毎回資材の発送指示や個別の発注を行う必要がないため、物流業務にかかる手間を削減できます。

本来の形でアウトソーシングの効果を実感できると同時に、独自梱包資材によるユーザーへの訴求効果も高められるので、資材の制作は一気通貫で行うのがおすすめです。

ネットショップは事前準備と物流が成功のポイント

誰でも気軽にネットショップを運営できるようになったからこそ、成功させるためには十分な事前準備が重要になります。コンセプトをしっかりと固めてからストアを作成し、出店方法や配送手段、決済手段まで詳細に決めておくことが大切です。

ネットショップを開業する際は、顧客から信頼されるショップであるための工夫を怠らないようにしましょう。SEO対策やSNS運用による集客にも注力するなど、なるべく多くのユーザーに訪問してもらえるような環境づくりも重要です。

配送業者を選ぶ際は、自社との相性やサービス内容とコストのバランスも見ながら選定する必要があります。オープンロジでも商品1点からご利用いただけるフルフィルメントサービスを提供しておりますので、物流の外注をご検討の際はお気軽にご相談ください。

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オープンロジマガジン 編集部

物流プラットフォーム「オープンロジ」のマーケティングメンバーにて編成。物流のことはもちろん、ネットショップやマーケティングのことなど、EC事業者に役に立つ情報を幅広く発信していきます。

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各種お役立ち資料もご用意していますので、物流の構築を検討中の方はぜひお役立てください。