ネットショップの開業方法を徹底解説|事例や成功の秘訣も合わせてご紹介

2021年9月7日

ネットショップの開業方法を徹底解説|事例や成功の秘訣も合わせてご紹介

ネットショップを開業したいと考えたとき、まず悩むのは「どのように開業すれば良いのだろう」という部分ではないでしょうか。開業方法にはECモールや自社ECのプラットフォームなど複数の種類があるため、予算や目的に応じて自社に合った方法を選択することが大切です。

それぞれメリットやデメリットが異なるため、概要を知った上で自社に適した手段を選定しましょう。今回は、ネットショップの開業方法の手段から成功の秘訣まで詳しくご紹介します。

ネットショップ開業の手段

ネットショップの開業は、ASPやパッケージ、フルスクラッチなどさまざまな手段を用いて行われます。それぞれの特徴を把握した上で、メリットやデメリットを総合的に考慮して自社に合った手段を選ぶことが大切です。

ここでは、ネットショップの代表的な開業手段をご紹介します。

ASP

ASPとは、事業者がネットショップの運営に必要なサービスを完成させた状態でインターネットを通じてユーザーに提供する開業方法です。コストを抑えながらネットショップの運営に必要な基本機能を使用できるため、事業規模が小さくても負担になりにくいのが特徴です。

IDやパスワードを設定しユーザー登録を済ませて、インターネットのブラウザからログインして利用する形式が一般的です。複数の事業者が同時に1つのサービスを使用するためカスタマイズ性が低いというデメリットはあるものの、利用開始までの期間が比較的短い点はメリットといえます。

Shopify

https://www.shopify.jp/

カナダ発祥のShopifyは、国内のネットショップだけでなく越境ECにも対応したカナダ発のASPサービスです。シェアは世界No.1を獲得しており、175もの国と地域で利用されています。

テンプレートは100種類以上用意されており、選択するだけで簡単に機能性が高くデザインもお洒落なECサイトを制作できます。HTMLなどの専門知識を持たない方でも、簡単にネットショップに必要な機能を実装できるでしょう。

ベーシックプラン、スタンダードプラン、プレミアムプランの3種類が用意されており、ベーシックプランなら1ヶ月あたり29ドルから利用できるため、コストを抑えたい方にもおすすめです。販売額が増えてきたら月額79ドルのスタンダードプランや月額299ドルのプレミアムプランに移行すると、販売手数料を抑えられます。

世界中のあらゆる決済方法に対応しているため、あまり越境ECの進出先としてメジャーではない国への進出を検討している場合でも安心です。ただし、サービスは日本語に完全対応しているわけではなく、一部英語表記となっている点には注意が必要です。

BASE

https://thebase.in/

2012年にサービスインしたBASEは、国産のASPサービスです。初期費用と月額費用が0円で、毎月の支払いは販売手数料のみである点がメリットです。まずはネットショップを開設してみたい、という方でも気軽に始められるサービスだといえるでしょう。

選ぶだけでネットショップの基本機能を使えるテンプレートも豊富に用意されており、HTMLの知識を持つ方であれば自在にカスタマイズも可能です。ただし、販売手数料が他社のASPサービスと比較するとやや割高なのはデメリットといえます。

「販売手数料3%+決済手数料3.6%+40円」の手数料がかかることから、できるだけ手数料を安価に抑えたいのであれば後述のSTORESなどを選択した方が良い場面もあるかもしれません。

基本的には無料で利用できますが、BASEのロゴを非表示にしたり不正決済保証を追加したりする際は追加料金がかかります。

STORES

https://stores.jp/

STORESは管理画面の見やすさが魅力的なASPサービスで、ネットショップの開業が初めての方でも比較的簡単にショップの設定が可能です。専門知識を持たない方でもすぐに販売を開始でき、新規導入の相談にも乗ってもらえるためネットショップをどのように制作すれば良いのか分からないという方でも安心して準備を進められるでしょう。

ただし、HTMLのカスタマイズに対応していないことから、デザインの自由度は先述した2種類のASPサービスよりも低めな点はデメリットになる可能性があります。また、一部機能はフリープランで利用できないため、月額費用がかかるスタンダードプランを選択する必要性が生じます。

料金体系にはフリープランとスタンダードプランの2種類があり、フリープランは初期費用と月額費用が0円で利用できます(別途、販売手数料5%が必要)。スタンダードプランは月額費用が1,980円かかりますが、販売手数料を3.6%に引き下げられます。

モール

ECモールは企業が運営しているプラットフォームに事業者が出店して、ECモール上の販売ページで商品を販売する開業方法です。既に販売ページの形がマニュアル化されているため、出品作業が比較的簡単なのがメリットです。

モールの知名度による集客が期待できるため、開業したばかりで認知度が不十分な企業でも訪問者を集めやすいでしょう。ただし、競合他社との差別化が難しかったり販売手数料を支払分ければならなかったりする点についてはデメリットといえますす。

Amazon

https://www.amazon.co.jp/ref=nav_ya_signin?

Amazonはアメリカ発祥の巨大ECモールで、現在では世界のさまざまな地域にローカライズされたプラットフォームが存在します。日本にも日本語向けのAmazonがあり、国内では2020年時点で約2兆1,900億円もの売上を記録しています。

出店の際は「マーケットプレイス」というプラットフォームから商品を簡単に出品できるため、管理の手間が少ないのがメリットといえるでしょう。巨大プラットフォームの知名度による集客力も期待できます。

ただし、販売手数料がカテゴリーによっては15%~20%と高額になるものもあるため、利益の確保が難しくなりやすい点には注意が必要です。

料金体系には「大口出品」と「小口出品」の2種類がありますが、企業は大口出品を選択するのが一般的です。月額費用は4,900円かかり、商品のカテゴリーに応じて所定の販売手数料を支払います。

楽天市場

https://www.rakuten.co.jp/

楽天市場は、楽天株式会社が運営するECモールです。2020年には流通総額が楽天全体で4.5兆円を突破し、会員数も既に1億IDを突破しています。

クレジットカードや旅行予約サイト、キャリア通信、電子書籍などの複数のサービスを展開しており、すべてのサービスをつなぐ共通ポイントシステムで顧客の囲い込みに力を入れています。楽天グループ全体の集客力を利用できるのは出店者にとっても強みといえるでしょう。

出店プランは「スタンダードプラン」「がんばれ!プラン」「メガショッププラン」の3種類があります。プランによる違いは固定費用やシステム手数料の料率、登録可能商品数、画像登録容量などで、自社の状況に応じて任意の1種類を選ぶ必要があります。

支払いは年間2回もしくは年間一括支払いが原則ですが、月額平均になおすとスタンダードプランは月額50,000円、がんばれ!プランが月額19,500円、メガショッププランは月額100,000円です。固定費用の他にも月間の販売額やプラン別に設定されたシステム手数料がかかるため、他の開業方法に比べるとコストはやや高額になる可能性があります。

パッケージ

パッケージは「基本機能が作り込まれた状態でパッケージ化されたソフトウェア」です。カスタマイズ性が高いため、開発によって自社独自の機能を実装できるのが特徴といえます。

ecbeing

https://www.ecbeing.net/

パッケージシェア12年連続No.1を獲得しているecbeingは、創業30年以上を誇る老舗企業です。国内最大級の400名以上ものエンジニアを抱えている技術集団であり、カスタマイズの要望にも素早く応えてもらえるのが魅力です。

ネットショップの構築だけでなくマーケティング支援も行っており、構築から集客までトータルで支援を依頼できるので初めての方でも訪問者を呼び込みやすいネットショップを開業できるでしょう。

導入費用は公開されていないため、導入を検討の際は問い合わせが必要です。

EC-ORANGE

https://ec-orange.jp/

EC-ORANGEはBtoBやBtoCを問わず柔軟にネットショップを構築できるパッケージです。オムニチャネルやVRコマースなど、独自性が高いネットショップも構築できるので、オリジナリティあふれるショップを構築したい方におすすめです。

安定したインフラを選択することで、月間の売上が数十億円以上の大規模なショップでも安定した運用を叶えられます

初期費用や月額費用は開発規模や導入するサーバーによって異なるため、利用の際は詳細な見積もりが必要です。他の開業方法に比べるとコストは高くなりやすいため、充実したサポートや安定性を重視する方向けといえるでしょう。

フルスクラッチ

フルスクラッチは、1から全てオリジナルのネットショップを構築する開業方法です。予算はかかりますが、自社の運用方針や販売方法に完全に合わせたショップを完成させられるのがメリットです。

ただし、全ての開業方法の中で最もコストがかかる可能性が高く、1,000万円を超えることもごく一般的です。開業までに業者との綿密な打ち合わせも必要になるため、コストと時間を捻出できる中規模~大規模事業者向けの方法といえるでしょう。

ネットショップ開業までの流れ

ここからは、ネットショップを実際に開業するまでの流れについて解説します。

1:ショップのコンセプトと販売する商品を決める

まずは「どんなショップを開業したいのか」という、ショップの根幹となるコンセプトを決めていきます。

コンセプトはショップをどのような方向性で運営するかの軸となる部分であり、コンセプトが定まっていないショップはターゲットを決定しにくく、取り扱う商品に統一性がなくなりやすい傾向にあります。そのため、まずはコンセプトをしっかりと固めた上で販売する商品を決めることが大切です。

どのようなショップを開業したいのかが定まれば、ターゲットや取り扱うべき商品も絞り込みやすくなります。コンセプトが定まったら、「このショップを訪れたユーザーはどのような商品を必要としているのか」をユーザーの視点に立ちながら突き詰めてみると良いでしょう。

コンセプトとユーザーニーズがずれていると売上につながりにくいネットショップになってしまう可能性が高いため、慎重に検討することをおすすめします。

2:出店場所を決める

コンセプトを決めたら、どのような場所にネットショップを出店するのかを決定します。ネットショップの出店方法は大きく分けて「自社ECを構築する方法」と「ECモールに出店する方法」があるため、自社に合っているのはどちらなのかを検討して適切な方法を選択しましょう。

一般的に、自社ECは構築コストや運用管理に手間がかかりますが、プロモーションの自由度が高く競合他社との差別化を図りやすいというメリットがあります。加えてECモールへ支払う手数料がかからないことから、利益率を高めやすい点も魅力です。

一方ECモールは全てのネットショップが同じプラットフォームを利用して出店するため、他社との差別化が難しいというデメリットはあるものの、ある程度出品形式が決まっているので管理が手軽な点は魅力といえます。また、認知度が低いネットショップでも一定の集客力が期待できるというメリットもあります。

3:商品を仕入れ・製造する

どのような商品を取り扱うのかを決めたら、実際にその商品の仕入れ・製造を行います。

他社メーカーの製品を販売するのであれば、問屋やインターネット上の仕入れサイトなどから商品を仕入れる必要があるでしょう。自社ブランドの商品を販売するなら、具体的な生産計画に基づいて商品を製造し、ネットショップの開業にあたって十分な個数を確保しなければなりません。

商品は準備しすぎても不良在庫化する恐れがあるため、あらかじめ市場のニーズを十分にリサーチして適性な個数を準備することが重要です。過剰在庫を招くと廃棄リスクが高まり、売上どころか廃棄コストが発生してしまう可能性もあるので気を付けましょう。

4:開業準備をする

場所の選定が終わったら、商品準備と並行して開業準備も進めます。自社ECの構築やECモールへの出店登録、商品登録など、実際の開業に向けて必要な手続きを行いましょう。

どちらも一定の時間がかかるケースが多いため、出店方法を決めたらできるだけ早めに準備に取りかかることが大切です。

5:決済方法を決める

ネットショップを開業するには、決済方法も決めておく必要があります。クレジットカードや銀行振込、代金引換などさまざまな方法があるため、自社の商品の性質や想定されるユーザーの特徴なども考慮しながら適切なものを選択しましょう。

複数の決済方法に対応しているほどユーザーの利便性は向上しますが、コストも膨らみやすくなるためバランスを取って選ぶことが大切です。

6:配送準備

ネットショップを後悔するためのひと通りの準備が終わったら、配送の準備も忘れずに行う必要があります。スムーズな配送はユーザーの信頼を獲得するために必要不可欠であり、問題が起こればあっという間に信頼を失うことにもなりかねません。

コストや配送リードタイムなども十分に考慮した上で、自社とユーザーの双方にとって有益な配送方法を選択しましょう。

7:開業・集客

全ての準備が整って開業したら、集客も随時行います。方法としてはWeb広告の出稿やSNSアカウントの運用、SEO対策などが挙げられます。

集客施策は必ず効果測定を行いましょう。ただやみくもに行ってしまっては適切な集客対策ができているのか判断がつかず、コストに見合った効果を得られない可能性があります。期待どおりの成果が出ているかどうかをしっかりと確認し、適切に改善しながら運用していくことが大切です。

ネットショップのメリット

ネットショップには、実店舗にはないさまざまなメリットがあります。ここでは、実店舗との違いを交えながらネットショップのメリットをご紹介します。

メリット1:全国を商圏にできる

インターネット上には年齢や性別、興味・関心、居住地などさまざまな背景を持ったユーザーがおり、全国各地から好きなタイミングでショップにアクセス可能なことから全国を商圏にできるというメリットがあります。

実店舗を構える場合であっても、ネットショップと同様にコンセプトを定めて市場のニーズに沿った店舗を立ち上げることはできるでしょう。しかし、実店舗は本拠地が固定されてしまうという性質上、店舗へ足を運べる距離に住んでいるユーザーにしか商品を販売できません。

実店舗の周辺エリアがビジネスの中心となることから、商圏は限りなく絞られてしまうのが一般的です。

しかし、ネットショップであればショップを訪れるユーザーがどこに住んでいても関係なく商品を購入できます。配送手段をしっかりと確保していれば、全国どこへでも自社の商品を届けられるため、商圏が限定されやすい実店舗に比べると大幅に販路を拡大できる可能性があるといえるでしょう。

特定のターゲット層に向けたプロモーション活動もしやすいため、自社のコンセプトに沿った運営を行いやすいというのもメリットのひとつです。

メリット2:24時間稼働可能

実店舗を運営する場合は、基本的に店舗にスタッフが常駐していなければ商品を販売できません。開店時間までに商品の陳列などの開店準備を済ませてお客様を迎え入れる準備を整える必要があり、閉店後にはその日の売上の集計などの事務作業も必要になります。

ほとんどの実店舗では開店時間と閉店時間が決まっているため、一部の24時間営業のショップを除くと限られた営業時間の中で売上を確保しなければならないという課題を抱えています。

しかし、ネットショップであればスタッフを用意することなく24時間稼働し続けることが可能です。カスタマーサービスや物流スタッフは必要になるものの、購入する商品を探し出してカートに追加し、注文手続きを進めて決済を完了するまでのプロセスはユーザー主体で行われるので、ユーザーが自由なタイミングで商品を購入できます。

24時間稼働できるということは、「お店が開いていなかったから商品を購入できなかった」という機会損失が発生しないということでもあります。個々のユーザーが思い思いのタイミングで自由に買い物を楽しめる点は、ネットショップの何よりのメリットであるといえるでしょう。

メリット3:低コストかつスピード感を持って開始できる

実店舗に比べると、ネットショップは低コストかつスピード感を持って開始できるのもメリットです。

実店舗を構える場合、自社のコンセプトに合わせたショップが受け入れられそうなエリアをリサーチして土地を購入し、さらに店舗を設計して建築するという手間がかかります。地代や建築費用、デザイン費などの初期投資は大きいため、事業が上手く行かないと膨大な損失が発生する可能性があるといえます。

一方で、ネットショップは最低でも販売する商品と商品の保管スペースさえあればビジネスを始められるので、非常に低コストで始めやすいのが魅力です。

実店舗ではある程度在庫を用意しなければ見栄え良く商品を陳列できないため廃棄リスクがありますが、ネットショップは最低限の個数からでも販売を開始できるので、初期投資だけでなく過剰在庫のリスクも抑えられるというメリットもあります。

ネットショップのデメリット

ネットショップには多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットも存在します。ここでは、代表的な3つのデメリットについて解説します。

デメリット1:競合が多い

実店舗であれば競合他社が少ないエリアをあらかじめ調査して、自社の出店しようとしているジャンルやカテゴリーを取り扱っているショップが存在しないエリアに意図的に出店することは十分に可能です。しかし、ネットショップは全てのショップがインターネット上に集結するため、どうしても競合が発生しやすい状況に陥ってしまいがちです。

特にECモールへの出店を選択するのであれば、出店先の選択肢はいくつかに限られます。限られたプラットフォームに多くのショップが出店すると、似たようなコンセプトのショップが集中する事態になりやすいといえるでしょう。

デメリット2:価格競争が激しくなりがち

実店舗でも同一エリア内の他店より安い価格で商品を提供するために、利益を削って販売価格を下げることはよくあります。しかし、ネットショップに比べると同一エリア内の競合他社の数は限られているため、際限のない値下げ合戦が行われることはそれほど多くありません。

一方で、ネットショップはすぐに他のショップとの商品価格の比較ができてしまうことから、少しでも安価なショップで商品を購入したいと考えるユーザーが多くなります。

結果的にユーザーを確保したいと考えたショップ側が他店よりも価格を下げて商品を購入してもらおうと値下げを繰り返し、利益を削る価格競争が熾烈になりやすいという特徴があります。

デメリット3:集客が難しい

ネットショップはインターネット上の膨大な潜在顧客にアプローチできますが、ターゲットを明確に選定してマーケティングに取り組まなければ思ったようにユーザーを獲得できない可能性もあります。

また、ネットショップを開設したばかりの事業者はほとんどのユーザーに認知されていないため、ショップの存在が市場に浸透して十分な売上を立てられるようになるためにはそれなりの時間がかかるケースも多いといえるでしょう。

的確なマーケティングを行いつつ常に効果測定を行って改善に努め、時間もコストもかけなければならない集客施策を負担に感じる事業者は少なくありません。

ネットショップ成功の秘訣

ネットショップの開業を成功させるためには、次の3つのポイントを意識することが大切です。ちょっとした工夫が大きな売り上げ増につながる可能性もあるため、些細な部分であっても注意を払って開業準備を進めましょう。

カゴ落ち・サイト離脱を防ぐ工夫が必要

ネットショップでは、カゴ落ちやサイト離脱がしばしば売上を低下させる課題となります。

カゴ落ちとは「商品をカートに追加したものの、決済されないまま放置されている状態」を指しています。後で購入しようと思ってカートに追加したまま、実際に注文を行わないままなんとなく時間が経ってしまったり忘れてしまったりする経験をお持ちの方も多いでしょう。このようなカゴ落ちを最小限に抑えることで、売上を大きく向上させられる可能性があります。

カゴ落ち対策によく用いられるのは、カートに商品が入ったままのユーザーに対してリマインドメールを送る方法です。「商品の購入をお忘れではありませんか?」などのようにカートに入ったままの商品をメールで案内することにより、決済される可能性を高められます。

また、閲覧途中でサイトを離脱してしまうユーザーをできる限り減らすことも大切です。商品の購入ページへの導線を分かりやすくしたり、決済ページの入力項目を最小限に抑えたりして、ユーザーが離脱しにくいショップづくりを心がけましょう。

顧客が安心して利用できる環境作りにこだわる

顧客が安心して利用できる環境を整備することは、ネットショップの信頼を確保する上で非常に重要です。ネットショップでは決済方法にクレジットカードなどの個人情報が含まれた情報を扱う場面も多いため、セキュリティ対策がしっかり為されていなければ安心して商品を注文することは難しくなってしまうでしょう。

万が一個人情報の漏えいなどが発生すれば、信用問題に発展してショップの信頼が大幅に低下するだけでなく、重大性によっては訴訟問題などに発展する可能性があります。

決済システムは信頼できる企業のものを選ぶように努め、安さを重視するあまりセキュリティの低いシステムを選んでしまわないように注意しましょう。

また、ネットショップでは氏名や住所、メールアドレスなどの多くの顧客情報を扱います。顧客管理を適切に行い、情報が外部に流出しないための対策を十分に取ることも大切です。

社内で顧客情報管理に関するルールを厳格に定め、外部に漏れ出ることのないような運用を徹底しなければ、クレジットカードなどと同様にセキュリティ事故が起こって信頼性の低下を招く可能性があります。

常に最新の情報を入手しサイトに反映する

EC業界では、常に市場のトレンドが移り変わり続けています。特に最近多くの人が利用しているSNSなどでは数時間単位で話題になっている事柄は変化していき、非常に短いスパンで流行は刷新される傾向にあります。

そのため、ネットショップにも最新のトレンドを反映し続けなければすぐに情報が古びてしまい、せっかく獲得したユーザーも「なかなか新しい情報が入ってこないショップだな」と飽きられてしまう可能性は高くなってしまうでしょう。

自社が扱っているジャンルやカテゴリーに関する最新情報は常に仕入れておき、迅速にサイトに反映できる体制を整えておくことは重要です。

ユーザーはいつ訪れても新しい情報を提供してくれるショップに好感を持ちやすいため、コラムやセール、新製品の取り扱い、独自の視点から取り扱い商品の特集を組むなど、あらゆる方法でユーザーの興味を惹きつける取り組みが必要不可欠です。

自社商品のジャンルやカテゴリーに留まらず、国内情勢や海外情勢によってトレンドが大幅に変動することも考えられます。さまざまな分野にアンテナを張り、トレンドの変動を逃さないように注意しましょう。

【コラム】ネットショップの物流は早期外注が最適?

ネットショップの物流は事業者にとっては悩みの種になりがちです。物流の課題を解決するのであれば、まだ事業が拡大しきっていない早期の段階で外注を検討すると良いでしょう。

急激な物量の変化にも対応

近年ではインターネットメディアやSNSの影響により、これまで安定的に売れ続けていた商品の需要が急激に増加して物流対応が追い付かなくなるという現象がよく見られるようになりました。

テレビ番組で特集を組まれた翌日には題材となった商品が売り切れる光景がしばしばみられるように、インフルエンサーと呼ばれる人々や著名なメディアに取り上げられると、瞬く間にネットショップには大量の注文が押し寄せます。

これまで安定的に推移していた物流需要が急激に変化することを「波動」と呼びますが、波動が起こると既存のスタッフだけでは十分なクオリティで発送業務を行うことが叶わなくなり、忙しさからくる配送ミスや人手不足による配送遅延などを招いてしまう可能性が高まります。

どのようなタイミングで需要が増加するかを推測することは難しい側面がありますが、あらかじめ物流を外注しておくことで、急激な物流の変化にもスムーズに対応できます。想定外の事態にも慌てずメイン業務に集中できる環境を整えるには、物流の外注は非常に有効です。

商品1点から登録可能な企業も存在する

物流業務を外注すると聞くと、「商品をたくさん取り扱っていないと受け付けてもらえない」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。中には、実際に断られてしまった経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、小規模事業者や個人など少数のアイテムを取り扱うショップでも活用できる、商品1点から登録可能な企業も存在します。「まとまった取り扱い個数はないものの、物流業務には手間がかかっているから外注したい」とお考えであれば、商品1点から預けられる物流会社を探すことをおすすめします。

また、倉庫利用には費用の悩みも付き物です。「登録のために高額な費用がかかるから難しい」「使わないかもしれないのに毎月固定費を支払うのが勿体ない」とお考えの方は、初期費用0円、毎月の固定費0円の企業を選ぶと最小限のコストで倉庫を利用できます。

倉庫を使わない月があっても決められた費用を支払わなければならない条件で倉庫を契約すると、事業規模が小さなネットショップにとっては負担が大きくなりすぎるでしょう。毎月使った分だけ請求が行われる「従量課金制」の物流会社を選ぶと、そのような悩みを解決できます。

外注した方がコストが抑えられる可能性

自社で全ての物流業務を行おうとすると、非常に多くの手間とコストがかかります。一見すると、「社内のスタッフが担当しているのだから外注よりも費用がかかっていないのでは」と思われるかもしれません。

しかし、実際には物流業務に割いている生産性の低い業務を外注することによって、より生産性の高い業務に注力できる状況を作り出せます。

また、単純に目に見えるコストを削減する効果も期待できます。自社物流の場合は繁忙期と閑散期に合わせて人員を調整することは簡単ではなく、閑散期に合わせて人員を確保すると繁忙期に人手不足に陥りますが、繫忙期に合わせて人員を確保すれば閑散期に余剰人員が生じて人件費が膨らみます。

外注を活用することで、繁忙期と閑散期の状況に合わせて外注先の倉庫が柔軟に人員調整を行いながら作業を行うため、人件費を削減できる可能性は高まります。

これまで必ず支払わなければならなかった固定費を外注によって変動費に転換させることによって、無駄なコストの削減を削減して社内全体の生産性も高められるというメリットがあります。

成功事例

株式会社LÝFT

https://lyft-fit.com/

ネットショップを通じてトレーニングウエアなどのフィットネスアパレルを販売しているLÝFTでは、少数精鋭の4人チームによるショップ運営を成功に導くために、オープンロジを物流パートナーに選んで物流を外注化しています。

ブランドの立ち上げ当初から外注化の方針は定まっており、物流を外部企業に任せることによってクリエイティブな作業に集中する環境を手に入れたいと考えてのことでした。

同社は創業1年の時点でセット販売商品300個がわずか5分で完売するほどの人気を集めており、少数精鋭を維持しながら増え続ける物流需要に対応するためには外注化が必要不可欠だったとのことですな状況になっています。

しかし、同社は早期の段階で外注化を確立させたことによって特別な混乱を招くのを事前に防ぐことに成功しました。そして現在、同社のチームメンバーはネットショップ運営に必要な「生産性の高い自社にとっての価値を生み出すための業務」に集中することができています。

MAMORIO株式会社

https://company.mamorio.jp/

MAMORIO株式会社は、「なくすを、なくす」というミッションを掲げて、落とし物防止デバイスなど自社独自のユニークな製品を世に送り出し続けています。

同社は公式サイトの他に複数のECモールへ出店していることから物流に課題を抱えており、数十万人の会員を抱えるECからの注文を処理するための物流体制を整えなければならない状況にありました。

そこでネクストエンジンとオープンロジを導入し、複数モールの在庫を一元管理しながら物流業務の自動化を実現しました。これによって以前は2時間程度かかっていた物流業務はほぼ完全になくなり、ネットショップで欠かすことのできない新商品の開発やサイトの作り込みといった他の主力業務に集中できるようになっています。

ラズホールディングス株式会社

https://luz-holdings.com/

ラズホールディングス株式会社は、上質なモンゴルレザーにこだわりつつもシンプルなレザー製品を製造しています。物流面に手間を感じていたことから、Shopifyを利用して構築したネットショップをオープンロジと連携させて物流業務を外注しました。

同社では「資本力がなく少人数で行っているブランドであれば外注業者にお願いした方が良い」という考え方を持っており、事業拡大のためにクリエイティブな作業に集中できる環境を整えるべく物流パートナーを選定しています。

Shopifyとの連携によって自動出庫が可能になっており、今後は東南アジア諸国への越境EC進出も検討しているようです。順調に事業は成長しており、ますます販路を拡げていく段階に差し掛かっています。

成功事例から学び自社ネットショップを成功させよう

ネットショップの開業方法に迷ったときは、自社がどのような事業規模で、ECの構築にかけられる予算はどのくらいなのかを明確にしてみると良いでしょう。開業にはさまざまな資金が必要になることから、一連のコストを洗い出した上で予算を設定することが大切です。

どのような方法を選択する場合であっても、カゴ落ちやセキュリティ対策は万全に行いましょう。顧客が安心して買い物を楽しめる場を提供することが、信頼感と売上アップにつながります。方向性に悩んだら、成功事例から学びを得るのもおすすめです。

ネットショップは物流がネックになりやすいため、可能であれば早期の外注化を検討しておくと良いでしょう。急激な物流増加にスムーズに対応できる環境を整えておけば、安心して日々の業務に集中できます。

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オープンロジマガジン 編集部

物流プラットフォーム「オープンロジ」のマーケティングメンバーにて編成。物流のことはもちろん、ネットショップやマーケティングのことなど、EC事業者に役に立つ情報を幅広く発信していきます。

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