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ネットショップを運営する際に、どのように商品を仕入れるかは重要な問題です。しかし、事業を始めたばかりであったり準備段階だったりする方にとっては、どういった手順で仕入れを進めていけば良いのかよく分からないと悩む場面もあるでしょう。
ネットショップの仕入れは、ある程度決まったプロセスが存在します。そこで今回は、ネットショップの仕入れ方法やおすすめの仕入れサイト、成功のコツなどを分かりやすく紹介します。
ネットショップの商品仕入れの流れ
ネットショップの商品を仕入れる際は、次の手順に沿って仕入れを進めるのが一般的です。ここでは、商品仕入れの具体的な手順についてご紹介します。
手順1:ストアのコンセプトを固める
まず最初に、運営するストアのコンセプトを固める必要があります。どのようなショップを運営したいのかによっても仕入れる商品や販売戦略は異なるため、土台となるコンセプトを時間をかけて十分に固めることが大切です。
最初からストアの完成形に対するイメージがある場合は、そのイメージをより具体的に詰めていきましょう。まだ漠然としているのであれば、競合他社になり得るECストアや、住んでいる地域の実店舗をリサーチしてみると良いアイディアが浮かびやすくなります。
ストアごとに販売スタイルは異なるため、複数のストアを眺めるうちに自分が理想としている運営の方向性が明らかになってくるでしょう。
自社で商品を生産するのではなく、他社から商品を仕入れて運営するのであれば、競合他社も自社と同じ商品を扱う可能性が高くなります。そのため「どのようなコンセプトのストアにしたいのか」を十分に確立しておかなければ、他社との差別化が難しくなり、商品の価格だけで購入を判断されてしまいかねません。
具体的なストアのコンセプトが決定したら、仕入れる商品の選定に移ります。
手順2:仕入れる商品を決める
ストアのコンセプトを確率できたら、どの商品を仕入れるのか決めていきます。「このストアのターゲットとなる訪問者はどのような商品を求めているのか?」をよく検討し、どのような商品を取り扱う必要があるのかを導き出しましょう。
仕入れる商品を探す際は、メーカーのWebサイトやECサイトなどを眺めて探す方法もありますが、複数のジャンルを取り扱っている展示会なども効果的です。展示会には認知度の高い大手メーカーも多数出展していますが、中には個性豊かな独自性の高い中小企業が出店している例もあるので、Web上で商品を探すだけでは出会えない掘り出し物を見つけられる可能性もあるでしょう。
ただし、「売りたい商品=利益につながる商品」ではないため、コンセプトに合致しつつ売上も上げられる商品を見つけることが大切です。
手順3:商品の販売状況を確認
仕入れたい商品を決めたら、市場のリサーチによって商品の販売状況を確認します。既に複数の競合他社によって取り扱われている商品は、自社に買い手が付きにくく、利益につながりにくい可能性があるからです。
一般的には、競合他社が少なく需要が高い商品ほど市場で買い手が付きやすいといえます。しかし、中には複数の競合他社が販売していても在庫を確保しにくく需要が高い商品であれば、上手く在庫を確保することによって利益を上げやすい商品もあります。
自社の販売戦略にもよりますが、さまざまな可能性を考慮した上でどのような商品を販売するか決めることが大切です。
手順4:仕入れ先の選定
販売する商品を決めた後は、その商品をどこから仕入れるのかを決定します。仕入先はWeb上の仕入れサイトや卸問屋、メーカーとの直接交渉など複数あるので、どの方法が自社にとって適切かをよく検討して選ぶことをおすすめします。
仕入れサイト
仕入れサイトとは、仕入れを専門としているネットショップから商品を購入して仕入れる方法です。会員登録するだけで多くの商品を仕入れられるので、手軽さでは他の方法に比べて優れているといえます。
まだ仕入れる商品が決まっていない段階においても、ストアの運営方針を決めるためのアイディアが浮かぶ可能性もあるため、実際に仕入れなくてもひとまず登録しておく、というのも手段のひとつです。
仕入れサイトは小ロットから仕入れられるケースが多く、商品によっては1点から購入できることもあります。大量の在庫を用意するのが不安な時は、仕入れサイトを活用すると在庫を抱えすぎずに運営できます。
卸問屋・問屋街
国内で運営している卸問屋や問屋街を直接訪問して、仕入れを交渉する方法です。近年ではインターネットを経由した仕入れが増えてきているものの、昔ながらの実店舗などは卸問屋や問屋街から仕入れを行っているケースは今でも多いといえます。
中には海外から商品を輸入して販売している卸問屋もあるので、海外から自分で買い付けなくても現地の商品を入手できる可能性もあります。
卸問屋は一般的に卸を対象として商品を販売しますが、個人や法人でも仕入れが可能な場合もあります。仕入れたい商品を見つけた時は、すぐに諦めてしまうのではなく、仕入れをさせてもらえるかどうか尋ねてみることをおすすめします。
作家やメーカーに直接交渉
ハンドメイドや美術品などの1点ものの商品は、作家に直接交渉して買い付ける方法もあります。また、卸問屋などの仲介業者を通さずにメーカーと直接交渉するスタイルの仕入れを行うケースもあります。メーカーから直接仕入れられれば仲介料を支払う必要がないため、販売時に商品価格を下げられるというメリットがあります。
ただし、比較的小ロットからでも商品を仕入れられる場合もある仕入れサイトや卸問屋とは異なり、メーカーからの仕入れは最低ロット数が大きい可能性もあります。ある程度のロット数を購入できないのであれば仕入れに応じてもらえないことも珍しくないため、直接仕入れのハードルは他の仕入れ方法に比べると高めです。
個人に比べると中小企業は交渉しやすい傾向にあるため、気になる商品があればまずはWebサイトの連絡先などから仕入れについて相談してみることをおすすめします。
手順5:発注前に支払い・販売条件など詳細確認
仕入れる商品と仕入れ先が決まったら、発注前に支払い方法や販売条件を詳しく確認します。
仕入れサイトなどでは銀行振込やクレジットカード、代金引換などが使えるケースもありますが、卸問屋やメーカーなどは昔ながらの商習慣に則って掛け払いを採用している企業が多いでしょう。仕入れサイトでも、掛け払いを基本としているサイトはあります。
支払いのサイクルを確認しておき、キャッシュフローが滞らないような運用体制を構築することが大切です。
手順6:商品を仕入れ販売
ここまでの準備が整ったら、実際に商品を仕入れます。仕入先が限られており1箇所から仕入れられないような状況もありますが、基本的には仕入先を複数用意しておくことをおすすめします。
仕入先を1箇所に限定すると、万が一のトラブルによって仕入先が商品を用意できなくなった時に、自社も販売を継続できなくなる可能性があるからです。
メーカーや卸問屋など、直接契約を取り交わしている場合は契約書の条件に従って仕入れを行います。しかし、仕入れサイトを利用するのであれば、仕入れサイトの規約に従うだけで仕入れを完了できます。
ドロップシッピングなどの無在庫販売を除き、仕入れた商品は顧客から注文があるまで自社の保管スペース内に適切に保管しておきます。商品が到着したらストアで実際に商品を販売し、注文が入るのを待ちましょう。
手順7:次の仕入れについて検討を開始する
無事に仕入れを終えても、商品の販売が続く限りは継続的に仕入れを続ける必要があります。そのため、仕入れを終えた段階で次回以降の仕入れについて検討を開始しなければなりません。
ストアを健全に運営していくためには、仕入れのタイミングを見極めることが大切です。早すぎる仕入れは倉庫の在庫を増加させ、過剰在庫による廃棄を招いたり管理コストを増大させたりするリスクがあります。しかし、遅すぎると欠品を招いて販売機会の損失につながる可能性もあります。
POSの販売データや在庫の管理情報なども参考にしながら、「どの段階で商品を発注するか」を慎重に検討することによって、需要と供給をできる限り均衡に保つことが大切です。
また、仕入先を変更するかどうかも併せて検討しておきましょう。価格や供給状態に問題がなければ継続し、何らかの不都合があるようなら他のルートから商品を仕入れるのも選択肢のひとつです。
ネットショップ仕入れサイトをご紹介
ネットショップから商品を仕入れるのであれば、数ある仕入れサイトの中からどのサイトを選定するのか決める必要があります。ここでは、おすすめのネットショップの仕入れサイトをご紹介します。
TopSeller
トップセラーは、ネットショップの仕入れサイトの中では定番サイトのひとつであり、25万点もの取り扱い商品の中から気になった商品をドロップシッピング形式で販売可能です。ドロップシッピングであることから商品が売れるまで在庫を持たずにストアを運営できるので、低リスクで利益を上げやすいのが魅力といえます。
ドロップシッピングは競合他社と取り扱い商品が重複しやすいというデメリットもありますが、TopSellerは膨大なアイテム数を誇るため、商品の選定を十分に検討すれば競合のリスクも減らせるでしょう。
利用料金は選択できる商品の数によって分かれており、1ヶ月に5点までなら月額費用は0円です。本格的に利用する場合は「セレクトコース」と「全商品コース」のどちらかからコースを選ぶことになりますが、2種類の中にも細かいプランが用意されているため、用途に応じて柔軟にコースを選択可能です。
NETSEA
NETSEA(ネットシー)は「サプライヤー」と呼ばれる卸会員が提供している商品を仕入れられるサイトで、新たに商品の取り扱いを増やしたいと考えている事業者や、既存の仕入れ先に加えて新たに仕入れられる取引先を探している事業者におすすめです。通称「ネッシー」とも呼ばれており、公式サイト上でも使われて親しまれています。
NETSEAは商品を購入して自社ストアで販売する形式なので、仕入れの場合は在庫を持って販売することになります。会員登録は無料なので、とりあえず登録してみて自社で扱えそうな商品を探してみるのもおすすめです。
Sweets Market
Sweets Marketは、事業者向けのスイーツ&食品卸サイトです。洋菓子や和菓子、今話題になっている商品など、さまざまなスイーツと食品を安価な価格で仕入れられます。食品のECストア運営を行うのであれば、ぜひチェックしておきたいサイトのひとつです。
直接買い付けて自社ストアで在庫販売を行うことが可能なので、運営方針に沿った柔軟な方針を採用できるのもメリットといえるでしょう。
会員登録は無料で、最小発注単位は1個からとなっています。サイト内に掲載されている画像は無料で利用できるので、ストアに掲載する商品画像を新たに用意しなくても簡単に商品を取り扱えます。
amazonの売れ筋商品特集などのコーナーもあるため、眺めているとトレンドを把握することにも役立つかもしれません。
オロシー
オロシーは生活雑貨やファッション、美容などを中心とした商品を多数扱っている仕入れサイトです。他にも家具やインテリア、家電、エンタメなど、幅広い品揃えから仕入れる商品を見つけられます。
生活に密着したさまざまなアイテムをブランド別に紹介しており、サイトも洗練されていてデザイン性が高く、見ているだけでもアイディアが浮かんできそうなつくりになっています。
「SNSで話題のブランド」や「トレンド特集」などのコーナーがあり、最新のトレンドをキャッチしやすいのもポイントです。
「バイヤーアカウント」と「サプライヤーアカウント」に分かれており、商品を仕入れるためにはバイヤーアカウントを作成する必要があります。会員登録にあたって費用はかからないので、まずは気軽に登録してみることをおすすめします。
支払い方法は請求書支払いのみになるため、支払いサイトをしっかりと確認することが大切です。
卸の達人
https://www.oroshi-tatsujin.com/e-commex/cgi-bin/ex_index.cgi
卸の達人は、名前の通り卸を専門とした仕入れサイトです。美容・健康グッズやダイエット食品、サプリメントなどに注力しており、ジャンルに特化した豊富な品揃えが特徴です。会員登録自体は無料であり、月額費用も0円なので、新たな商品に出会うためのリサーチにも活用できます。
送料が一律税込770円なので、仕入れ額が小さくても比較的負担になりにくいといえるでしょう。税込32,400円以上購入すると送料が発送元の負担になるため、ある程度まとまった量を仕入れるとさらに負担を軽減できます。
ただし、クレジットカード決済に対応していない点には注意が必要です。銀行振込か代金引換の2種類の支払い方法から選ぶ必要があるため、現金を手元にあまり用意していない運用方針であれば仕入れに苦労する場面もあるかもしれません。
Cmall
Cmallは、中国のレディースファッションを中心とした仕入れサイトです。「激安レディースファッション通販サイト」を冠しており、アパレル製品やファッション雑貨を安価に仕入れられます。
高価な商品も扱っていますが、売れ筋の商品は数百円~2,000円程度の安価な商品が多く、購入しやすい価格帯のレディースファッションサイトを運営しようと考えている方にはおすすめの仕入れサイトです。
会員登録は無料であり、会員ランクに応じて1~5%の割引を受けられたり、割引クーポンの配布があったりするため、実際には表示価格より安価に仕入れられるチャンスもあるでしょう。
1回の注文が20,000円以上で送料無料になるなど、無料になる基準が低いのもバイヤーにとってはメリットです。PayPalやクレジットカード、銀行振込など支払い方法も幅広く対応しているため、自分に合った方法を選択できるのも強みといえます。
Ditt-Datt
https://www.ditt-datt.com/index.php
Ditt-Dattは、北欧雑貨を中心に扱う仕入れサイトです。北欧から直輸入したさまざまなブランドを取り扱っており、他社でも見られるような定番の北欧ブランドだけでなく、現地でなければ手に入らないような北欧感を感じられる商品まで幅広く取り扱っています。
小ロットにも対応しているので、小規模事業者でも比較的使いやすいでしょう。商品カテゴリーはキッチンタオルやテーブルなどの生活雑貨が多く、北欧の暮らしを思わせる商品を取り揃えています。
会員登録は無料ですが、登録時に所定の審査が必要です。審査を通過すると登録が完了し、商品の注文が可能になります。1回の最低注文金額が1万円に設定されていますが、サイト全体の購入金額も比較的高めなので、それほどハードルにはならないでしょう。注文金額が3万円以上の場合、送料は無料です。
TOPWHOLE
TOPWHOLEは、アパレルに特化した大手仕入れサイトです。会員登録には月額3,000円かかりますが、有料である分だけ豊富なアパレル商品が揃っています。季節に合わせた商品や、トレンドに沿った商品も幅広く仕入れられるのが魅力です。
仕入れは1点から可能であり、出荷が早いのもTOPWHOLEの特徴です。最短で翌日出荷なので、「すぐに仕入れて販売したい」という場合でもスムーズに対応できるでしょう。サイト内の商品画像を自社のECサイト内に流用できるため、商品画像を撮影する必要なく販売を開始できるのは嬉しいポイントです。
有料会員制なので、完全無料のサイトに比べると仕入れにコストはかかります。しかし、無料会員制の仕入れサイトに比べると競合が少ないというメリットもあります。オリジナリティのある商品を仕入れられる可能性が高いため、競合他社との差別化を図り、価格競争に巻き込まれるリスクを軽減したい事業者にはおすすめです。
ネットショップ仕入れ成功のポイント
ネットショップの仕入れを行う際は、次の3つのポイントを意識すると成功に近づきやすくなります。ストアのコンセプトを明確にした上でトレンドを掴み、差別化を図れる商品を選ぶことが重要です。
ポイント1:他店舗との差別化が図れる商品を仕入れる
競合他社と同じ商品を取り扱っているストアは、価格だけで商品の購入を判断されやすくなります。私たちが購入側に立ったとき、ECモールで10社が見た目も効果も全く同じ商品Aを販売しているとすれば、まずは価格をチェックすることが多いのではないでしょうか。
特にECモールは検索機能が用意されており、並べ替えによって価格が安い順に表示させることも可能です。どのストアから購入しても同じ効果を得られるのであれば、少しでも安いストアから購入したいと考えるのが一般的な消費者心理といえるでしょう。
また、どこでも買える商品は同じストアから購入する必要がないためにリピーターを獲得しにくいというデメリットもあります。実店舗を例にすると、「今日はスーパーAよりもスーパーBの方が価格が安いからこちらで購入しよう」と判断するケースは多いといえます。この減少と同じことが、ネットショップでも起こり得ます。
つまり、他店舗と同じ商品を取り扱うのではなく、独自性をアピールできる商品を取り扱うことが仕入れの成功には重要です。顧客が「この商品はここでしか購入できない」と判断すれば、その顧客は自社のリピーターとして定着する可能性が高くなるでしょう。また、希少性が高い商品は、多少価格が高くても購入してもらいやすいといえます。
市場を十分にリサーチした上で、競合他社と同じ商品を扱うことはできる限り避けて、自社ならではの商品を仕入れることが大切です。
ポイント2:ストアのコンセプトを明確にする
ストアのコンセプトがブレていると、ターゲットも不明瞭になってしまい、どの層にもリーチできないストアになってしまう可能性があります。「どのようなストアにしたいのか」を明確に定めておくことによって、ターゲットや取り扱うべき商品が見えてきます。
前述のポイント1では他店舗との差別化を図ることが重要だとお伝えしましたが、コンセプトを明確にすることによって、自社のオリジナリティも見出しやすくなります。自社が競合他社と異なる点はどこなのかをはっきりさせておくことによって、自然と他社と差別化できる部分も見えてくるでしょう。
ポイント3:トレンドの商品を常に把握する
ネットショップの仕入れを成功させるためには、入念に市場のリサーチを行ってトレンドを把握しておくことも大切です。現在流行しているのはどのような商品なのかを理解することによって、参入して利益を得られる分野を絞り込みやすくなります。
売りたい商品があったとしても、その商品にニーズがなければ売上にはつながりません。中にはターゲットが限られているニッチなジャンルにあえて参入する販売戦略もありますが、一般的には需要が大きいほど売上を拡大できる可能性は高まります。
また、トレンドの商品を把握できても、すぐにその商品の販売を決めるのは早計です。その商品を取り扱っている競合他社はどのくらいいるのかもしっかりと把握しておかなければ、先行して参入している競合他社に埋もれて自社の商品が売れない可能性もあるからです。
トレンドや競合他社、市場規模など、複数の観点から市場を分析してどの商品を仕入れるべきかを見極めることが大切です。
また、トレンドは常に移り変わっていくため、一度把握したからといって市場リサーチを怠ってはいけません。常に最新のトレンドを把握しておき、流行が移り変われば柔軟に対応していくための準備を整えておきましょう。
【コラム】ドロップシッピングとは?
ネットショップの仕入れのひとつに、ドロップシッピングという方法があります。
ドロップシッピングは在庫を持たずに商品を販売できるため、リスクを抑えたECストアの運営が可能です。ここでは、ドロップシッピングの概要やメリット・デメリットについて解説します。
無在庫で商品を販売する方法
ドロップシッピングは、「自社のストアで在庫を持たず、商品情報のみをストア内に掲載し、注文が入った段階で商品を仕入れて顧客に商品を配送する」方法です。
配送は商品を製造しているメーカーや販売業者から直接行われるため、物流の手間がかからないのもメリットのひとつです。実質的な無在庫販売であり、「商品を紹介して利益を得る方法」ともいえるでしょう。
ドロップシッピングとアフィリエイトがしばしば混同されがちですが、ドロップシッピングとアフィリエイトは性質が大きく異なります。
アフィリエイトは「紹介した商品が販売先で成約したら、その件数に応じて報酬を得る」という仕組みですが、ドロップシッピングは「自社のストアで商品を紹介・販売して売上を立てる」という仕組みです。
アフィリエイトは他社で販売している商品を紹介しますが、ドロップシッピングではあくまでも自社で販売している商品を紹介するため、販売価格を自由を決められます。仕入れ額は変動しないため、販売方法を工夫すると利益率を高められる可能性もあります。
メリット:低コストで在庫を抱えずに事業を開始できる
ドロップシッピングの最も大きなメリットは、低コストで在庫を抱えずに事業を開始できる点にあります。商品を仕入れるのは売れた後なので、仕入れたものの在庫がなかなか捌けずに売上につながらないリスクを回避できます。ECストアの構築費用や運営準備のための諸費用があれば、簡単に運営できるのは強みといえるでしょう。
また、商品を発送するのはドロップシッピングを提供している販売業者になるため、自社で商品の保管スペースや物流体制を整える必要もありません。物流には設備投資や人件費が必要になるため、物流費用を丸ごとカットできるのもメリットのひとつです。
デメリット:競合他社との差別化が難しい
ドロップシッピングはどの競合他社も同じサイトから商品を仕入れるため、販売する商品が重なりやすく、競合他社との差別化が難しいというデメリットがあります。結果的に販売価格を下げて購入してもらう価格競争に陥りやすく、独自性を押し出しにくい販売方法であるといえるでしょう。
ECストアの商品の見せ方を工夫したり、独自のキャンペーンを開催したりするなど、商品以外の部分で競合他社と差別化できるような工夫をすることによってデメリットを軽減することが大切です。
ネットショップ仕入れ時の注意点
ネットショップで仕入れを行う際は、次の2つの注意点を押さえておきましょう。特に届出や許可を怠ると無認可で販売することになり、法律によっては罰則の対象になるケースもあるので注意が必要です。
注意点1:商品によっては届出や許可が必要なこともあるため要確認
ストアで取り扱う商品の種類によっては、あらかじめ届出や許可が必要なものもあります。販売に届出や許可が必要な商品の代表例としては、次のようなものが挙げられます。
食品/健康食品/酒類/中古品/化粧品/医薬品/輸入品
食品を販売するためには、「食品衛生責任者」という資格の取得が必須であり、「食品衛生法」に従って許可を得なければなりません。ただし、健康食品については食品衛生責任者の資格は必須ですが、許可を得なくても販売は可能です。
種類に関しては、「酒類の販売業免許」を取得する必要があります。古着や美術品、骨とう品などの中古品を販売する際は、「古物商許可」の取得が必要です。
化粧品や医薬品は複数の許可や資格を取得しなければならないことから、あらかじめ内容を確認して取得漏れが無いように準備を進めることが大切です。化粧品は販売資格こそありませんが、「医薬部外品製造販売許可」と「化粧品製造販売許可」の2種類の許可が必要不可欠です。
医薬品の販売には「薬剤師資格」や「登録販売者」の資格が必要であり、なおかつ「医療品販売許可」「薬局開設許可」「特定販売届出」などの複数種類の許可を取得しなければなりません。他の商品に比べると、販売のハードルは比較的高いのが特徴です
注意点2:適切な数量を仕入れる
ネットショップの仕入れにおいては、適切な数量の仕入れが非常に重要です。商品を仕入れすぎると過剰在庫になり、倉庫の保管スペースを圧迫するだけでなく、経年劣化による廃棄リスクも発生します。
仕入れすぎた商品がいつまでも倉庫に保管されたまま売れずにいると、適切な方法で保存されていたとしても少しずつ劣化は生じます。商品を廃棄すると売上が立たないだけでなく、廃棄コストも発生するため、過剰在庫が自社の売上にもたらす悪影響は大きいといえるでしょう。
需要を見極めて適切な数量を仕入れられれば、過剰在庫を回避して廃棄リスクも軽減できます。商品によっては想定外の波動などが起こる可能性もあるため、正確な需要予測は難しい面もありますが、蓄積した販売データなども活用して適正在庫を設定しておくことが大切です。
発注数量を判断するにあたっては、在庫回転数の把握も効果的です。「どのくらいの期間で在庫が1回転したか」を算出できれば、仕入れのひとつの目安になります。
【コラム2】仕入れた在庫管理はどうすればいい?
仕入れ先から仕入れた商品は、注文があるまで品質を保ったまま保管しておかなければなりません。しかし、まだ事業を始めたばかりの頃は十分な保管スペースを用意するのが難しい事業者様も多いでしょう。
そんな時はどのように対応すれば良いのか、在庫管理に関するお悩みの解決方法について解説します。
物流アウトソーシングを利用すれば負担が少ない
仕入れた在庫を保管するには、物流アウトソーシングの活用をおすすめします。物流業者の倉庫を利用できるため保管スペースを用意する必要がなく、注文があるまで商品の特徴に合わせた最適な保管方法で品質を維持し続けることが可能です。
注文があると速やかに委託先の物流倉庫で出荷作業を行い、顧客の元へ商品を届けられます。物流を自社で対応すると負担が大きくなりがちですが、アウトソーシングを利用すれば物流の負担を気にせず商品の販売に集中できます。
少ない数量でOKな企業もある
「物流アウトソーシングを利用するなら、大量のアイテムを扱っていないとならないのでは?」とお考えの方も多いでしょう。実際に、物流業者によっては大規模事業者を対象としており、中小規模の事業者からのアウトソーシングを受け付けていない事例もあります。
しかし、少ない数量でも商品を預けられる物流業者も中にはあります。商品1点から預けられる物流業者にアウトソーシングを依頼すれば、扱っている商品が少ないからという理由で断られることはありません。
今後の事業拡大を見据えるのであれば、早めにアウトソーシングを検討して販売に集中できる環境を整えておくことも重要です。初期費用や月額料金がかからない物流業者もあるので、低コストで物流業務をプロのスタッフに一任できます。
自社で作業するよりコストダウンに繋がる可能性
自社物流は、思っているよりもさまざまなコストがかかります。商品の保管スペースを確保するためには倉庫をレンタルする費用がかかり、商品の状態を維持したまま保管し続けるためには温度管理のための光熱費も必要です。
扱う商品が増えてくると複数の物流スタッフを用意しなければならず、新たに採用するのであれば人件費が発生します。しかし、多くの場合自社物流を担当するのは物流のプロではないため、非効率な作業になってしまうケースも少なくありません。
物流アウトソーシングを検討することによって、委託先の設備を利用できるので保管スペースや光熱費を気にすることなく高品質な物流体制を構築できます。プロのスタッフが効率よく作業を行うため、非効率な業務による人件費の無駄も発生しません。
繁忙期と閑散期で柔軟に人員数を調整できることから、常に同じ数のスタッフを抱えておく必要もなく、人件費を固定費から変動費に切り替えてコストダウンを図れます。
ネットショップの仕入れはコンセプトの明確化と作業の効率化がカギ
ネットショップの仕入れを成功させるためには、コンセプトを明確にして作業を効率化することが非常に重要です。コンセプトが明確になっていれば、ターゲットや仕入れるべき商品は自然と見えてきますが、曖昧なままだと誰にもリーチできないショップになってしまう可能性もあるからです。
また、トレンドを常に把握して競合他社のリサーチを行うことも重要です。トレンドは移り変わりが激しく、流行を無視してしまうと商品が売れなくなってしまうリスクがあります。
仕入れた商品の管理を効率的に行うのであれば、物流アウトソーシングの利用も選択肢のひとつです。今回ご紹介した手順も参考にしながら、ぜひ効率的なネットショップの仕入れを行ってみてください。