物流KPI(物流管理指標)とは?設定手順や計算方法を解説!

openlogi2026年2月6日  
openlogi2021年1月25日

物流KPI(物流管理指標)とは?設定手順や計算方法を解説!

自社の物流業務がどの程度効率的に運用できているかどうかを測るためには、物流KPIの導入が効果的です。現状の課題を認識して改善するための体制作りにもつながることから、物流KPIの設定を検討している方もいるのではないでしょうか。

物流KPIを設定する際は、目標を明確に設定したり関係者の意識を共有したりするプロセスが非常に重要です。そこで今回は、物流KPIの概要や具体的な設定方法、指標を導き出すための計算式などについて詳しく解説します。

物流KPIの概要

物流KPIという言葉を耳にしたことはあるものの、詳しい定義はよく分からないという方も多いでしょう。まずは、物流KPIの概要について解説します。

物流KPIとは|物流管理が適正か判断するための指標

物流KPIとは、物流管理が適正に行われているかどうかを判断するための指標であり「物流管理指標」とも呼ばれています。主に「コスト・生産性」「品質・サービス」「物流・配送条件」の3つのカテゴリーに対して適用されます。自社における物流の現状を知り、サービス品質の向上を図ったり、経営の効率化を目指したりする上で役立ちます。

KPIは「Key Performance Indicator」の略語で、目標に到達するためのプロセスを可視化できる指標です。物流の分野だけでなく、さまざまな場面で利用されます。

物流KPI設定で得られるメリット

物流KPIを設定することで、自社の物流がどのような課題を抱えているのかが明確になります。現場担当者の体感的な認識では把握しきれない問題点も、指標を使って数値化することで、誰の目にも分かりやすい指標として可視化できるのがメリットのひとつです。

また、データを用いて数値による客観的な判断を行うため、公平な評価を実現できます。努力が具体的な数値に反映されることで自身の評価にもつながるため、モチベーションのアップも期待できるでしょう。

物流KPI設定方法と計算式を解説

物流KPIを設定するにあたって具体的な手順と設定項目、計算式を解説します。

物流KPI設定手順

物流KPIを設定する手順は次の通りです。

既存のデータを整理し現状を分析・把握する

物流KPIを導入する前に、まずは既存のデータを整理して現状を分析・把握するプロセスを経る必要があります。専門部署を創設するのであれば物流KPIのデータ抽出にある程度専念できますが、一般的には通常業務と並行して必要なデータを整備しなければならないため、社内のデータを最大限に活用することが労力を最小限に抑える上で重要です。

初期の段階では物流KPIを設定するための特別なシステムの導入は必要なく、社内に存在するデータを収集するだけで十分でしょう。導入のステップが進み、より複雑性の高い分析が必要になった場合は、WMS(倉庫管理システム)やTMS(輸送管理システム)の導入を検討すると一歩進んだ分析が可能になります。

今後の戦略や目標を設定する

既存のデータを十分に集めて現状の分析ができたら、結果に基づいて今後の戦略や目標を設定するプロセスに移行します。業務改善においても目的を明確に設定することが重要であるように、物流KPIの設定も目的に基づいた戦略設計や目標の設定が重要です。

設定した物流KPIを達成するためには、荷主の協力が必要な場面もあるでしょう。とはいえ物流事業者は荷主に対して立場が弱い傾向にあり、両者が目的意識をしっかりと捉えることは難しい面もあります。お互いが抱えている課題を明確にした上で、物流事業者のKPI達成に荷主が協力するメリットを正しく伝えることが大切です。

もしお互いの経営トップが自社の問題点を把握できており、改善に向けた合意が取れているのであれば、比較的スムーズに話がまとまる可能性が高まります。荷主に協力を依頼する場合は「設定した物流KPIを達成で来たらゲインシェア(成果配分)する」などの取り決めをしておくと良いでしょう。双方が平等に利益を得られるように、契約内容は詳細に取り決めた上で、できるだけ明快に記載します。

物流KPIを浸透させるための施策を確立する

具体的な戦略や目標の策定が済んだら、実際に物流KPIを浸透させるための施策を確立しなければなりません。社内で数値を共有するための仕組みづくりを進める、策定した物流KPIの評価基準を認識してもらうための社内研修を開催するなどの施策を打ち出して、社内にスムーズに物流KPIが認知されるための道筋を整備しましょう。

物流KPIを効果的に運用するためには、社員や現場スタッフをはじめとした関係者一人ひとりが意識して取り組むことが何よりも重要です。現場だけでなく、全社を巻き込んで物流KPIを設定した意図や将来的なビジョンをリーダーシップを持った経営層が伝えると良いでしょう。

最初から高いハードルを設定するとクリアしにくいため、比較的容易に達成できる目標から始めるのも手段のひとつです。スタッフに物流KPIが十分に浸透し、小規模な成果が挙がってから徐々にハードルを上げていくと難しい課題にも取り組みやすくなるでしょう。

運用開始後は定期的に見直しを行う

物流KPIの運用を開始した後は、一定の期間ごとに見直しを行って成果を確認します。目標値に対してどの程度の達成率だったのかを関係者一人ひとりが認識することで、改善点などを意識して今後の業務に取り組む姿勢を後押しできるでしょう。

見直しの際に物流KPIへの関係者の理解度は十分かどうか、モチベーションが維持できているかどうかなども確認して、物流KPIが継続的な取り組みになるように努めることが大切です。

改善点が見つかった場合は目標値や評価基準を見直しますが、従来の指標を刷新した際にはその都度社内に浸透させる試みを忘れずに行いましょう。古い指標を頭に入れたまま業務を続けると効率が落ちるだけでなく、関係者の間で温度差が生じてしまう原因にもなるからです。

物流KPIの設定項目と計算式

続いて、物流KPIの代表的な設定項目と計算式を紹介します。

コスト・生産性

【物流現場で使用できる指標】

  • 保管効率=保管間口数÷総間口数

倉庫や物流センターの商品保管スペースが適切に活用されているかどうかを商品保管効率を計測するための指標です。

  • 一定の数量あたりの物流コスト=物流コスト÷出荷数量

商品の一定の数量あたりの物流コストを計測する指標です。

  • 人事生産性=処理ケース数÷投入人時

仕分け作業や商品のピッキング、梱包などの業務の生産性を計測する指標です。時間帯やライン別、従業員別の数値を算出できます。

  • 日次収支=1日の収益-1日にかかったコスト

日次収支を計測できます。日常的に物流現場の状況を把握することで課題を発見しやすくし、業務改善につなげやすくする効果が期待できます。

【輸送に関する指標】

  • 実車率=実写距離÷走行距離

距離を用いて車両の稼働状況を計測することで、効率的な輸送を目指すための指標です。

  • 実働率=実働日数÷営業日数

日数を用いて車両の稼働状況を計測することで、効率的な配車を目指すための指標です。

  • 積載率=積載数量÷積載可能数量

車両一台あたりにどの程度の荷物を積んでいるかを計測します。顧客別、ルートごとなどさまざまな観点から算出し、最適なルートを見つけ出したり、コストダウンを図ったりする目的で使用されます。

  • 日次収支=1日の収益-1日にかかったコスト

車両ごとの日次収支を計測できます。日常的に車両の稼働状況を把握することで稼働率を高めるための対策に役立ちます。

品質・サービスレベル

  • 棚卸差異=棚卸差異÷棚卸資産数量

データ上の在庫数と実在庫がどの程度乖離しているのかを計測します。乖離の原因がどこにあるのかを究明する手段として有効であり、在庫管理業務の改善につながります。

  • 遅延・時間指定違反率=遅延・時間指定違反率が起こった件数÷受注数

総受注数に対して納期に間に合わなかったり、時間指定に違反したりした割合を計測します。

  • 誤出荷率=誤出荷が起きた件数÷受注数

総受注数に対して誤出荷が起こった割合を計測します。

  • 汚破損率=汚破損が起きた件数÷受注数

総受注数に対して商品が汚損・破損していたり、誤って不良在庫を発送してしまったりした割合を計測します。

  • クレーム発生率=クレームが入った件数÷受注数

総受注数または総出荷数に対して顧客からクレームが入った割合を計測します。現在のサービス品質を明らかにしたり、クレームの原因を突き止めたりすることで、サービス品質の向上を目指します。

物流・配送条件

【物流条件】

  • 出荷ロット
    計算式は不要で、出荷ロットの数値自体を指標とします。納品先別・顧客別に出荷ロットを把握することは、効率的な物流業務の実現につながります。
  • 出荷指示遅延件数
    計算式は不要で、出荷指示が遅延した件数を指標とします。納品先別・顧客別に遅延の割合を算出することで、どの部分がネックとなって出荷指示の遅延を招いているのかが明確になります。

【配送条件】

  • 配送頻度
    配送頻度=配送回数÷営業日数

1つの配送先にどの程度の頻度で配送しているかを算出します。最適な配車や庫内業務を行うためには、多すぎず少なすぎない適切な配送頻度を定めることが大切です。

  • 納品先待機時間
    納品先で発生した待機時間の平均を算出することで、指定時間に到着した上でどの程度待機時間によるロスが発生しているかを認識し、改善につなげることが可能になります。
  • 納品付帯作業時間
    納品先で発生した付帯作業時間の平均を算出することで、契約外の作業がどの程度発生しているかを数値で可視化できます。
  • 納品付帯作業実施率
    納品付帯作業実施率=付帯作業の実施回数÷納品回数

全体の作業回数に対してどのくらいの割合で納品付帯作業が発生しているかを算出できます。

参考:物流事業者におけるKPI導入の手引き(国土交通省)

物流KPI設定時のポイント

物流KPIを設定する際は、関係者の理解を得ること、評価基準を定めること、PDCAサイクルを回すことの3つのポイントを意識する必要があります。それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

ポイント1:導入目的を明確化して周知を徹底する

なぜ物流KPIを導入しなければならないのかを明確にした上で、関係者への周知を徹底しましょう。物流KPIの導入には現場の業務や既存の体制に変革を伴う場合が多く、十分に目的が伝わらないまま導入を決めてしまうと、現場の反発が起こって社内に浸透せず取り組みが失敗に終わってしまうリスクがあります。

策定した物流KPIを導入するとどのような目的を達成できるのか、その目的を達成することによってどのようなメリットがあるのかを手順を追って一つひとつ説明して現場の理解を得ることが、物流KPI導入の第一段階と言っても良いでしょう。現場の状況や課題をしっかりと理解した上で目的達成後の将来的なビジョンを説明すると、より理解を得やすくなります。

ポイント2:KPIの評価・見直しルールを定める

KPIの評価基準をあらかじめ詳細に定めた上で、基準に則って正しく評価することが重要です。全員が容易に認識できる指標と目標値を決定し、どの程度の達成率であれば成功とみなすのかなども事前に決めておきましょう。また、成功の要件を定義するのと同時に見直しのルールを定めることも大切です。

設定した目標と実績値がどの程度乖離しているのかを把握するためには、実績値を可視化するための仕組みの整備も必要です。数値を分かりやすい形で確認できれば、改善施策を容易に打ち出せるだけでなく、関係者のモチベーション維持にもつながります。

ポイント3:PDCAサイクルをしっかりと構築する

物流KPIに取り組んだ後は必ず評価を行って改善施策を立て、実行に移すことが重要です。PDCAサイクルを何度も繰り返し回すことにより、より精度の高い運用が可能になり、業務効率のさらなる向上も期待できるでしょう。

せっかく取り組んでも成果が出たのかどうか分からないままでは、その取り組みを続けるべきなのか、別の視点に切り替えるべきなのかを判断できません。従来の業務プロセスよりも効率が落ちている可能性も考えられるため、「業務が改善すると思われる仮説を立て、実際に実行して結果を評価・分析する」の流れを徹底しましょう。

物流KPIは複数回の試行錯誤によって少しずつ洗練されていくため、短期的に成果が挙がることはそれほど多くありません。軌道に乗るまで中長期的な目線で辛抱強く取り組み続ける必要があるため、関係者の意識共有やモチベーションの維持が重要になるのです。

物流KPIは明確かつ分かりやすく設定することが肝心

明確な数値を用いて自社の物流を客観的に評価できる物流KPIは、サービス品質の向上や業務効率の改善に大きく寄与する可能性が高い有用な取り組みであるといえます。これまで可視化されていなかった指標を認識することで、新たな改善施策が生み出されるかもしれません。

物流KPIを設定する際は、目標となる指標を誰の目にも明確かつ分かりやすく設定することが重要です。分かりにくい指標を設定してしまうと関係者間の意識の共有が難しくなり、モチベーションの低下や認識のずれを招いてしまうリスクが高まります。

取り組みの後には評価から改善につなげる試みを忘れずに実施し、PDCAサイクルをしっかりと構築しましょう。何度も試行錯誤を繰り返すことで、精度の高い物流KPIを実現できます。

 

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オープンロジマガジン 編集部

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