越境EC物流の勘所|物流は越境ECを成功させるためのキーポイント

openlogi2023年11月9日  
openlogi2019年10月4日

越境EC物流の勘所|物流は越境ECを成功させるためのキーポイント

越境ECは物流の勘所であると言えます。越境ECは国をまたぐ取引のため、国内EC・ネットショップとは違った課題点がたくさんあります。

国内での物流ならばトラブルが発生しても、すぐに対処可能なことが多いです。しかし越境ECの場合は国際的なやりとりのため、事前に対策を考えておかなければ難しい場合があります。

今回は越境ECの物流に注目して、越境ECを成功させるためのキーポイントである物流について詳しくご紹介していきます。越境EC事業をスタートするときの参考にしてください。

越境ECで物流が重要視される理由|物流の質は顧客満足度や売上に直結する

越境ECは国境を越えて商品を対販売国のお客様の元へ届けます。国内ECとは異なるポイントのひとつとして物流があります。国境をまたぐ物流は国内で完結するEC・ネットショップとは勝手が違うため、越境ECにおいて物流は重要なキーポイントといわれています。

ここでは越境ECの物流が重要視される理由について詳しく紹介します。越境ECを始める前に今一度、物流についての見識を深めましょう。

物流業務は売上に直結している

物流業務には商品の入庫から発送まで業務の工程は多数存在します。それぞれの作業内容は単純ですが工数が豊富なため、時間と人員を多く消費します。

物流業務で取り扱う商品は消費者に売れることで利益となります。つまり自社で取り扱う商材は売上に直結しています。売上に繋がる商品をお客様の元へ届ける直接的な作業である物流業務は、しっかりとシステムを構築して確実に運営する必要があります。そのためには適宜自社のフェーズに合った物流業務の見直しが必要です。

もし物流業務を疎かにすれば在庫管理ミスや配送トラブルなどを招きかねません。物流業務のトラブルや停滞は、お客様に直接マイナスの影響を与えてしまう原因のひとつです。またトラブルが原因でお客様の販売意欲を削いでしまえばリピーターが減るだけでなく、口コミによって新規顧客の流入も望めなくなる可能性があります。

売上は自社の経営に大きく響くポイントのひとつです。越境ECを行うときは売上に直結している物流業務をしっかりと構築することが重要でしょう。

参考記事:
在庫管理とは|在庫管理方法の詳細や適切な在庫管理で得られるメリットをご紹介

配送の日数や料金は購入者にとっても気がかりな部分

越境EC事業をしている多くの事業者様が抱える課題のひとつが配送です。越境ECは国内のEC・ネットショップとは違い国境を越える取引のため、国内配送とは異なった箇所が多数あります。

その相違点のひとつが配送日数と料金です。国際配送は国内配送よりも日数がかかり、料金も国内配送と比べると比較的割高です。配送日数や料金は越境EC事業を行う事業者様だけでなく、購入者にとっても越境ECを利用するときに気になるポイントのひとつです。

商品が魅力的でも届くまでの日数が長かったり関税を含めた配送料金が高いと、消費者は購入をためらいます。しかし消費者ニーズに答えたいばかりに商品と配送方法のバランスを検討せず、値段と配送日数のみで配送方法を検討するのは危険です。

配送方法によってメリットやデメリットは異なります。しっかりと商品に見合った配送方法を選定することが重要です。

海外へ配送するときのよくある課題|手続きや配送品質など様々

越境ECでハードルのひとつとして考えられるのは海外への配送です。海外配送は国内での配送とは異なる手続きがたくさんあります。

越境EC事業を始めるときには、事前に海外配送の知識を得ておくことは必須です。事前に知識を深めて対策を立てておけば、商品が売れたときに戸惑うことなくスムーズに配送することができます。

ここでは越境ECのハードルのひとつである海外配送について詳しく紹介します。

通関までの手続きが複雑

海外発送時に事業者様が戸惑う点として挙げられるのが通関です。通関とは、輸入・輸出時に必要な一連の手続きのことを指します。この一連の手続きは複雑な手続きのため、自社で行うには専門的なノウハウが必要です。

越境ECを初めて行う事業者様がハードルであると感じやすい通関手続きですが、越境ECは国境を越える取引のため必須事項です。通関手続きをスムーズに行うことができなければ、お客様に商品をお届けするまでの日数が大幅にかかります。

また通関には関税がかかることもあり、商品によっては高額になります。関税は商品を購入したお客様が支払う場合もあります。事前説明なしで関税がかかればお客様は驚くだけでなく不満を抱きます。前もってしっかりと説明をしましょう。

取扱商品によっては対象国に輸出できなかったり、事前に別途許可が申請が必要な場合があります。対象国を決めたら自社の取り扱う商品が通関可能か、事前にきちんと調査しておくことが大切です。

物流状況により配送日数が変動する

越境ECの課題として多くの事業者様が気にしているのが配送日数です。国内でのEC・ネットショップの配送は、既定の日数で商品をお客様の元へ配送できる場合がほとんどです。

しかし越境ECの物流は国内配送に比べると日数がかかるだけでなく、対象国の情勢や物流状況、通関などの状況により既定の日数よりもが大幅に変動してしまう可能性があります。

日本から対象国への配送日数は配送方法により異なりますが、規定の日数は提示してあります。しかしこの日数はあくまで目安として考えることをオススメします。

物流が発達している国では比較的、目安の日数内にお客様の元へ届けられます。しかし都市郊外や発展途上国など物流が発展していない国の場合、お客様が商品を注文してから届くまでに1ヶ月以上要することもあるのです。

物流状況は通関や気候・国の情勢などさまざまな要因が絡んで変動する可能性があります。消費者とのトラブル・クレームを回避するためにも、配送日数については対象国を事前に調べて現状を理解しておくことが重要です。

配送中の商品の品質維持

発送中の商品の品質維持も越境ECでは課題となることが多いです。国内では問題のなかった配送方法でも、対象国によっては商品品質を保つために工夫が必要な場合があります。

日本と海外では気候や湿度・温度が異なります。商品によっては暑さや寒さの気候変動によって劣化や故障を引き起こしてしまう可能性があるでしょう。自社商品によっては適温を保った状態で配送しないと、お客様のもとへ届いた時には品質が変わっていたということも起こり得ます。

完璧な状態で商品を届けなければ、越境ECを利用したお客様は不満に思います。クレームや売上の減少に繋がる可能性もあるでしょう。対応には時間とコストもかかるため、他の業務を圧迫します。国内配送では問題のなかった配送方法であっても越境ECの配送方法は今一度、対象国の気候・環境などをリサーチし、適切な配送可能であるかきちんと検討することが望ましいです。

また梱包の状態も重要です。国外では日本よりも荷物がやや手荒く扱われています。そのことを踏まえた梱包をしておかなければ商品が破損してしまい、お客様の元へ届いても返品されてしまうでしょう。海外に発送する商品は国内配送時よりも、しっかりと強固に梱包するよう心がけましょう。

越境ECの物流の形|自社のフェーズによって方法を変えよう

越境ECの物流の形は、大きく分けると3つあります。それぞれの配送方法をしっかりと理解し、自社のフェーズにあった方法を選択することが大切です。

ここでは越境ECの物流の形を詳しく紹介します。自社のフェーズと照らし合わせて、物流方法を検討するときの参考にしてください。

スモールスタートしたいなら|自社から直接商品を配送する

自社から対販売国のお客様へ直接商品を送る方法は、越境ECを小規模からスタートしたい事業者様にオススメの方法といえます。配送方法は主にEMSを使用して行っている事業者様が多いです。自社から直接商品を配送するため、他の方法でかかる手数料などの初期費用はかかりません

しかし自社で全ての作業を行うため、通関に必要な書類を用意したり関税がお客様に請求されたりなど、発生する諸手続きを全て行なう必要があります。これらに対応するためには通関について深い知識が必要です。また配送料金が他の方法に比べると割高な場合が多いです。

いくつかのハードルはあるものの、自社で全て完結するこの方法はスモールスタートしたい事業者様にとっては挑戦しやすい方法でしょう。

顧客満足度にこだわるなら|現地の拠点から商品を配送する

現地の拠点から商品の配送をする方法があります。現地に拠点を構えることで、お客様への商品配送をスムーズに行うことが可能です。しかしハードルも多いです。そのひとつは現地に拠点を構えるためのコストです。

一から拠点を構えなければいけないため、かなり高額な出費が発生します。さらに拠点を構えたあとも、拠点を維持するための管理費や光熱費などのコストが常に発生します。また現地にある程度の在庫を保管しなければいけないため、事前に自社商品を輸出しておく必要があります。

配送日数や送料などのメリットは期待できますが、在庫を現地に抱えたり初期費用や維持費がかかるため、リスクが高い方法です。自社のフェーズと照らし合わせてよく検討する必要があるといえるでしょう。

手間を出来るだけ削減したいなら|物流業務を外部に委託する

物流業務を外部に委託することもひとつの方法です。配送や梱包作業のみ委託し、後の作業は自社で行うといったように、一部だけ委託するのも良いでしょう。しかし手間をできるだけ削減したいのなら物流業務全般を他の業者に委託するのが効率的です。

物流業務の作業工程は多岐に渡ります。そのため業務規模が大きくなり取り扱う商品数が多くなると、比例して物流業務負担が増加します。

物流は売上に直結している業務のため、疎かにすることは当然できません。物流を外部の業者に委託することで、業務負担を減らすことが可能です。

物流の外部委託は、物流効率が上がるだけでなく、人的ミスの減少やコストの削減などのメリットが期待できます。越境ECをスタートした小規模なうちから委託しておけば、後々事業規模が拡大しても物流業務で負担を感じることはありません。

また越境ECならではの通関や海外配送向けの梱包など重要な部分をプロの業者に任せることで、品質や配送クオリティを維持することが可能です。外部に委託することで業務量が減るため、自社の経営などの基幹業務に専念できる環境を整えることもできます。物流業務の外部委託は、メリットが豊富にある方法でしょう。

 

【コラム】越境ECの決済方法とは|決済方法は物流と並ぶ大きな課題

越境ECにおいて決済方法物流と同じくらい重要な項目のひとつです。また越境ECで利用されている決済方法は対販売国によって異なります。そのため決済方法に関しても事前調査は欠かせません。

ここでは越境ECの決済方法について詳しくご紹介します。

購入者・消費者が重要視する項目のひとつ

越境ECを利用するときに購入者・消費者が重要視している項目は、配送スピードなど物流に集中しています。しかし物流と並んで注目されているのが決済方法です。

商品を購入しようとしても、自分の希望する決済方法がなければ購入をやめる消費者は多くいます。カゴ落ちを防ぐためにも対販売国を意識した決済方法を導入することが望ましいでしょう。

多種多様な決済手段がある

越境ECで利用されている決済方法は多種多様です。日本国内では現金やクレジットカードが決済によく使用されています。越境ECでは現金やクレジットの他に使用頻度の高い決済方法があります。

越境ECではPaypalやStripe、AlipayやWechatpayなどのオンライン決済が使用されることが多いです。また、発展途上国では主に現金が使用されています。越境ECの対販売国を発展途上国で検討している場合は、決済方法として代引きを検討することをオススメします。

安全性が求められている

越境ECでは安全性がお客様から強く求められています。住所や氏名、電話番号の他、クレジットカード情報など、越境ECではお客様の情報を豊富に扱います。越境ECを利用するときに、自分の情報が漏洩してしまうリスクは絶対に避けたいものです。

昨今、クレジットカード決済ではなくPaypalなどのオンライン決済が頻繁に利用されています。他国のさまざまなサイトにクレジットカードの個人情報を登録するより、一か所のオンライン決済サービスにアカウント登録する方が効率的かつ安全性があるイメージが強いのでしょう。

越境ECにおける決済方法を検討するときは事業者側の視点ではなく、あくまで対販売国の消費者の視点で考えることが必要です。

越境ECにおける物流の4つのポイント|国内とは違う点に注意が必要

越境ECを成功させるには物流業務をしっかりと押さえることが重要です。

ここでは具体的に越境ECの物流における4つのポイントをご紹介します。越境ECには、国内EC・ネットショップでの物流とは違った点がたくさんあります。的確に押さえて、越境ECを成功させましょう。

ポイント1:梱包は厳重かつ頑丈に行う

越境ECにおける物流のポイント1つめは梱包です。日本では配送荷物を丁寧に扱う習慣があり、比較的簡易な梱包でも商品を破損させることなくお客様の元へ届けることが可能です。

しかし他国では荷物の扱いが日本国内よりも手荒な場合が多く、国内配送と同様に梱包してしまうと商品が破損したり、外装が破けてしまう可能性があります。商品が無事に届かなければお客様にマイナスの印象を与えます。また越境ECは国内でのEC・ネットショップを注文するよりも商品到着までに時間がかかっているため、さらに不満が高まるでしょう。

商品の破損を防ぐためにも、しっかりとした梱包を施す必要があります。自社でノウハウを習得するのも良いですが、物流のプロである業者に一任するのも良いでしょう。国内配送よりも厳重かつ強固に梱包し、お客様の手元へ商品が無事届くように対策することが必要です。

ポイント2:対販売国の物流状況をしっかりと把握する

越境ECにおける物流のポイント2つめは物流状況です。国内の物流は比較的安定しています。

しかし越境ECの場合、対象国によって物流状況は違います。物流が安定していない国や、物流のシステム自体が発展途上である国もあります。物流に不安点がある場合、しっかりと事前に対策を練ることが重要です。きちんと対策をしていなければ、お客様のところに商品が届くのが遅くなるばかりでなく、荷物の紛失などの大きなトラブルに繋がることも考えられます。

また他国の物流状況は国の情勢や気候などの外的要因に影響されることがあります。情勢や気候は予測することはできても、唐突な変化が予測ができません。そのため対販売国の情報を常日頃リサーチしておくことをオススメします。

越境ECの対象国を選定するときには、対販売国の物流状況についても事前にしっかりと調べておくことが肝心といえるでしょう。

ポイント3:商品ごとの通関可否を事前に確認しておく

越境ECにおける物流のポイント3つめは通関です。日本国内で行うEC・ネットショップの物流と違い、越境ECでの物流は通関手続きが必須です。取り扱う商品によっては、通関するために事前に書類を準備が必要だったり許可が必要など、条件が付く場合もあります。

また国によって法律は異なるため、商品の輸入自体が禁じられているものがあります。越境ECの対販売国を選定するときにも共通しますが、自社商品が販売国にて販売可能か、通関手続きに必要な書類や項目など、通関の手続きに必要な情報を事前に事前に調べることが大切です。

自社で物流業務全般を行うときは欠かすことのできない通関可否の調査ですが、なかなか骨の折れる作業です。ノウハウを持っているプロの業者に任せれば、物流業務に割いている時間を経営などの基幹業務に割り当てることができます。物流業務を一考した時、自社の負担が大きいと感じた場合は、業者に委託することも検討してみてはいかがでしょうか。

ポイント4:自社に合った配送方法を選択する

越境ECにおける物流のポイント4つ目は配送方法です。越境ECで主に使用されている配送方法は、日本郵便の取り扱っているEMS(Express Mail Service)です。EMSは30キロまでの荷物なら世界120ヵ国以上に荷物を届けることができ、日本からニューヨークまで3日程度で配送可能です。

しかし、必ずしもこの方法が全ての事業者様に適しているわけではありません。自社の状況や取り扱っている商品、顧客のニーズなど、場合によっては他の配送方法の方が向いている可能性があります。

海外への配送方法はEMS以外にもDHLやFedExといったクーリエ便などがあります。各配送サービスごとに配送日数や料金、荷物の受け入れ条件など多くの項目が異なります。国際配送業者を選定するときには視野を広く持ち、自社に見合った配送サービスを選ぶことが重要です。

参考記事:
越境ECの配送手段はどうしたらいい? 各社の配送プランまとめ

越境ECの成功のカギは物流|自社に適した物流の流れを構築しよう

越境ECを成功させるためのカギは物流です。越境ECと国内EC・ネットショップの物流業務は異なります。国内の物流では無かった通関手続きは事前の調査が欠かせません。

また海外では荷物の取り扱い方も異なるため、丁寧で頑丈な梱包スキルが求められます。物流業務をスムーズに運営する方法は自社で行う方法からプロの業者に任せる方法まで、さまざまな選択肢があります。

どの方法を選定するときにも大切なことは自社に適した物流の流れをしっかりと構築することです。自社のフェーズに合った物流の流れを作ることで、越境ECを成功させる一助となります。越境ECを始めるときには、物流業務についてしっかりと見識を深め、慎重に検討しましょう。

 

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オープンロジマガジン 編集部

物流プラットフォーム「オープンロジ」のマーケティングメンバーにて編成。物流のことはもちろん、ネットショップやマーケティングのことなど、EC事業者に役に立つ情報を幅広く発信していきます。

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