物流DXとは|概要や物流業界の課題、物流DXへの取組事例などをご紹介

2021年3月23日

物流DXとは|概要や物流業界の課題、物流DXへの取組事例などをご紹介

デジタルトランスフォーメーションを表す「DX」の実現は、人員不足や長時間労働の常態化などさまざまな問題を抱える物流業界においても重要な課題です。物流DXに関心を持ち、自社の物流業務のDX化を図りたいと考えている方もいるのではないでしょうか。

物流業界のDX推進は他業種に比べるとやや遅れている傾向にあり、業界を挙げた対策が急がれています。そこで今回は、物流DXの概要や物流業界における課題、具体的な取り組み事例などについて紹介します。

DXの概要

DXという言葉は聞いたことがあるものの、どのような意味なのかはよく分からないという方も多いでしょう。まずはDXの概要について分かりやすく解説します。

DXとは|最新のデジタル技術を駆使しさまざまな課題を解決すること

DXは「デジタルトランスフォーメーション」を縮めた言葉で、「最新のデジタル技術を駆使して業務上の課題を解決し、新たなビジネスモデルを生み出すこと」を意味しています。

IT化と同じようなものと思われがちではありますが、厳密にはDXとIT化は異なります。IT化は「自社の業務をIT技術によって効率化・自動化して課題を解決すること」ですが、DXは「IT技術によって自社の課題を解決し、自社だけでなくユーザーにとっても利益をもたらすこと」を目的としています。

IT化は単純に既存の業務をIT技術に置き換えることを指しますが、DXにおけるIT技術は手段に過ぎないといえるでしょう。

近年、IT技術は目覚ましい進歩を遂げており、最新のデジタル技術を活用した多様なビジネスモデルが登場しています。変化に付いていけない企業は他社との競争力を失ってしまうことから、社内のIT化を推し進めて安定的に競合企業と渡り合える力を維持することは非常に重要です。

DXを実現するためには、単にIT技術を導入するだけではなく社内のさまざま業務を根本的に見直さなければなりません。IT技術を交えた新たな業務フローを構築することにより、自社にとって安定的に利益を得られる体制を構築することが企業におけるDXの最終的な目標であるとも言えるでしょう。

物流業界においてのDX|他業界に比べて遅れている

物流業界においてのDXは、他業界に比べると残念ながらやや遅れているのが現状です。物流業界では未だアナログな対応が多く、DXの推進による業務の効率化や新たなビジネスモデルの登場は十分に進んでいないといえるでしょう。

物流業界のDX推進が遅れている背景には、日本特有のいくつかの事情もあります。まず欧米においては荷主はコストの最小化を重視する傾向にあり、物流業者には「どこに依頼しても標準的な対応ができる」ことを求めています。そのため、DX推進によってどの業者であっても共通した対応ができるようになることは双方にとってメリットがあるといえます。

一方で、日本の荷主は状況に応じた臨機応変な対応を期待する傾向にあり、物流業者は対応力の高さをアピールしようとします。柔軟な対応を行うためにはIT化による標準化よりもアナログな対応の方が都合が良い面も多く、DX推進に踏み切れないという企業は少なくありません。

さらに、日本では現場主義の風潮が強いため「マネジメント手動でまずはやってみる」という身軽な対応が取りにくい企業が多いといえます。まずは将来的にどのような姿を目指しているのかを明確にして荷主の理解を取り付け、大きく環境を変化させられる状況を作り出すことが物流業界におけるDXの第一歩であるといえるでしょう。

物流業界の課題点

近年、物流の需要はますます高まり、それに伴う数多くの課題が生じています。主な課題点として、次の3つが挙げられます。

人員不足

2020年3月に日銀がまとめた企業短期経済観測調査によると、運送業界は宿泊・飲食サービスに次いで2番目に人手不足が深刻な業界であるという結果が報告されました。2003年以降、現在に至るまで運送業界に携わる人数の大幅な変動はありませんが、少子高齢化による老年人口割合の増加によって働き手は減少していくことが予想されています

2010年時点では15~64歳が人口の80%を超えていましたが、2030年には68%に低下し、2045年頃には50%を割り込むだろうといわれています。その一方でスマートフォンの普及などによるECサイトを通じた買い物が一般的になるなど、物流需要は年々高まりをみせており、人員不足はますます深刻になっていくことが予測されます。

トラックドライバーの人数自体は大幅な変動はないものの、平成30年4月の物流・運送業の有効求人倍率は2.68倍と非常に高い水準を記録しており、業界の人員不足を浮き彫りにする結果となっています。全業種が1.35倍であり、物流業界が約2倍であることを考えるといかに人手不足が深刻な状況であるか窺えるでしょう。

物流業界に携わる人が増加しない原因のひとつとして、業界の労働条件がなかなか改善傾向に向かわないことも挙げられます。トラックドライバーの年間労働時間は全業種平均を約20%上回っているともいわれており、長時間労働が常態化していることから国を挙げて是正に取り組んでいるものの、思うような成果が上がっていないのが現状です。

現場が忙しくなると新規スタッフを採用するための時間が取れないことも多く、即戦力を求めるあまりに採用できても十分な教育を施せずに現場に出ることになるケースも多いでしょう。結果的に生産性の低下を招き、せっかく人手が増えても期待どおりの成果が表れにくいという負のスパイラルに陥る企業もあります。

参考:https://www.boj.or.jp/statistics/tk/zenyo/2016/all2003.htm/

一人当たりの従業員の負担増

前述の人手不足と後述する需要の増加の双方が影響して、現場の従業員一人あたりの負担はますます深刻になっています。矢野経済研究所が2019年7月に発表した「物流17業種総市場を対象にした市場規模推移」によれば、物流業界の2019年度の市場規模は23兆5,410億円と予測されており、2020年度はさらに2%伸長して24兆80億円が見込まれています。

業界全体が成長を続けて需要が増加しているにもかかわらず、物流に携わる人口が増えていかない現状では、増加した負担が一人ひとりに転嫁されてしまうのも当然であるといえます。

さらに、最近では競合他社との差別化を図るべくサービス内容が複雑化し、従業員は単に商品を届けるだけではなくさまざまなユーザーニーズに対応しなければならなくなっています。このことも従業員の負担増につながっている大きな要因のひとつです。

業界全体の従業員が増えないのであればIT化によるDX推進を急ぐ必要がありますが、前項でも解説したように日本国内での物流業界のDX化は遅れているのが現状であり、直ちに改善することは難しい状況にあるといえるでしょう。

特にドライバーの負担増が深刻な状況ではあるものの、ドライバーを管理する物流のマネジメントに特化した人材や事務員も人手不足が常態化しています。このような状況を打破するためにも、速やかに物流業界全体のDXに対する意識を高めて今後避けられないさらなる人手不足に対応していくことは必要不可欠です。

参考:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2167

小口配送の急激な増加

近年、ECサイトの利用が一般化したことにより、少数の商品を届ける小口配送が急激に増加しています。国土交通省の調査によれば宅配便取扱個数は年々右肩上がりを続けており、2017年に初めて40億個を突破してから、2019年には43億個を数えています。

日本国内のEC化率は2019年度の時点で6.76%にまで伸長し、EC市場規模は19兆3,609億円にまで拡大しました。今後もこの流れは続いていくとみられることから、小口配送の増加も継続的に増加していくことが予想されます。

配送量が増え続ける一方で、小口配送が増加するということは配送一件あたりの単価が下がることを意味しており、物流業界全体の生産性は否応なしに低下しているといえるでしょう。

単価が小さい荷物を大量に運ばなければならず、配送手順も複雑化している現状では増加していく配送件数に物流業界の対応が追いつかない現状では、物流体制が崩壊する「宅配クライシス」がすでに起きているという見方もあります。

小口配送が増加していることに加えて、不在時の再配達も従業員の負担を増大させる要因のひとつです。一度の配達で受け取れなかった荷物を再配達することにより、同じ配送先に何度も訪問しなければならず、最適なルートで配送を完了させることが難しくなって業務効率が大幅に低下します。

この問題は物流業界の努力だけでは解消しきれない面も大きいことから、配送を利用する消費者一人ひとりが意識しなければならない問題のひとつでもあるといえます。

参考:https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000222.html

物流業界のDX化の取り組み内容

物流業界が進めているDXの主な取り組みには、次の4つが挙げられます。主に業務の効率化を後押しするものであり、これらは人員不足や配送量の増加を乗り越える大きな鍵となるでしょう。

在庫管理システムの導入

倉庫に在庫管理システムを導入し、在庫管理を効率化する方法は倉庫業務の負担を軽減する上で有効です。人の手で在庫管理を行うと適正在庫の維持は難しく、時間と手間がかかるだけでなくヒューマンエラーの発生率が高まりやすくなります。

例えばExcelシートで在庫を管理している場合、処理済みの在庫を反映し忘れたり、入力を一桁誤って登録してしまい過剰在庫や欠品を招くリスクが考えられるでしょう。在庫管理システムであればピッキングと同時に自動的に在庫を引き落とすような処理ができるので、入力間違いによる在庫の管理ミスを防止できます。

適正在庫を維持して過剰在庫や欠品を防ぐことで、入出庫や配送をスムーズに進めてリードタイムの縮小にもつながるでしょう。配送量が増加して従業員一人ひとりの負担が重くなっている現状では、在庫管理の適正化による倉庫業務の効率化は必要不可欠であるといえます。

また、ピッキングの導線を自動的に指示する機能も搭載されているので、どの順番で商品をピッキングすれば良いのか迷うこともなくなり梱包・出荷に移るまでの時間も短縮できます。

AIを用いての顧客情報の管理と分析

近年では、AIを用いた顧客情報の分析も積極的に行われ始めています。小口配送が激増して配送担当者一人ひとりが多くの物件を回らなければならない中で、不在による再配達は物流業界にとって大きな課題となっています。

顧客の注文情報や配送状況などのデータを蓄積して分析することにより、自宅にいる可能性が高いとみられる時間帯をAIで割り出して再配達を起こりにくくするという試みも物流DXのひとつといえるでしょう。

中には各家庭の電力使用値を表すスマートメータを活用し、将来の不在予測をして再配達のリスクを軽減させる実験も行わています。2018年9月から10月にかけて東京大学内で実施されたJDSCの配送試験によれば、電力データを参考にしてAIが割り出した配送システムが不在による再配達を9割減少させたという結果もあります。

この技術は実際に複数の事業者が関与して共同研究が進められており、2020年秋ごろを目途に一部地域でフィールド実証の実施を目指しています。電力値を計測するスマートメーターは2024年までに全国的に設置を完了する予定となっており、実用化に向けて着々と準備が進んでいます。

倉庫業務の効率的なシステム構築

倉庫業務のシステムはひとつのIT技術で構成されるわけではなく、さまざまな技術によって構成されています。例えば在庫管理システムや入出荷を効率化するためのハンディーターミナルなどの管理を中心とする仕組みもそのひとつです。

また、コンベアの制御なども倉庫業務を効率化するための重要な仕組みのひとつであるといえるでしょう。一部の業務に対してシステムを導入するだけでも一定の効率化を図ることは可能ですが、複数のシステムを組み合わせて取り入れることによってより効率的に倉庫業務を運営できるようになります

また、自社のDX導入を推進すると同時に他社とのデータ連携やシステム連携も実現できるとさらに業務をスムーズに進められるでしょう。

例えばECモールに出店している事業者は複数のモールの受注データを同時に扱わなければならないケースが多いものですが、すべてのモールに自分でデータを取りに行くと作業が煩雑になり、作業時間も膨大になります。

そこでAPI連携を利用して自動的に受注データを受信できる環境を整えることにより、出荷指示データの作成まで自動化するなど選択肢が広がります。

デジタル技術を利用した従業員の勤務状況の管理

従来の従業員の勤怠管理はアナログで行われることが多く、シフトの作成には多大な労力が必要でした。個々の従業員のスキルなども加味しながら最適な人員配置を行うことは、管理者にとって非常に負担が大きい業務であるといえるでしょう。

AIを活用することにより、人の手を介さずに最適な人員配置を考慮したシフトを自動的に作成できる環境を整えることが可能になります。一人ひとりのスケジュールを照らし合わせて配置する作業から解放されるため、管理者は他の重要な業務にリソースを割り振れるようになり、作業効率が向上します。

また、倉庫業務に限らず配送ドライバーの勤務シフト管理にAIが活用されるケースもあります。ドライバーの配送負担がなかなか軽減されずにいることは大きな問題となっていますが、同時に運行管理担当者も大きな負担を強いられています。AIを取り入れて負担を軽減することで、業界全体の問題を少しずつ解消に向かわせる効果が期待できます。

また、シフト作成を最適化できることから人員配置の精度が向上し、人件費を削減できる可能性もあります。

物流DX取り組み事例

物流DXといっても、具体的にどのように取り組めば良いのか分からないという方も多いでしょう。そこで、実際に物流DXに取り組んだ4つの企業の事例をご紹介します。

CBcloud

CBcloudでは運送会社から配送依頼が入った際に、フリーランスドライバーに案件を取り次ぐ配車サービスを提供しています。

物流業界では「IT化が進んでいないことで配送ルートが複雑化している」「再配達が増加して業務効率が落ちている」という2つの課題が問題になっていることから、同社は2013年の創業と同時に「PickGo(ピックゴー)」というサービスを開始しました。

これまで荷主がドライバーへ配送依頼をかけるまでにはさまざまな仲介業者が存在し、ドライバーの手元に残る金額は荷主が支払った金額のごく一部に過ぎないケースが一般的だったといえます。しかし、PickGoでは下請け業者を介さずに直接荷主からドライバーへと仕事を発注するため、フリーランスドライバーの単価が上昇して収入の向上が期待できるようになりました。

中間マージンが発生しなくなったことにより、月収が30万円前後にとどまっていたドライバーの月収が100万円にまで跳ね上がったケースもあり、ドライバーにとっては非常にメリットが大きいサービスであるといえます。

また、荷主もこれまでのように荷量が少ない時でも配送車両を確保し続ける必要がなくなり、必要な時に必要な量の車両をスムーズに手配できることから、双方にとってメリットが大きいといえます。配送開始直後からドライバーの所在地を確認できるため、遅延リスクが少ないのも同サービスが重宝される要因のひとつです。

また、再配達の増加による業務効率の低下に対処するべく最適な配送ルートを自動的に算出する「LAMS」というシステムを提供しており、土地に明るくないドライバーでも安定的な配送品質を保てる工夫が施されています。

PickGoは2019年10月末現在、全国各地のフリーランスドライバー約15,000人以上が登録しており、荷主の登録は26,000人を突破しています。

ZARA

ZARAでは「物流コストを削減すること」に注目するのではなく、「製造開始から販売開始までのサプライチェーンを高速化すること」を重視したDXによる社内変革を実現したアパレル企業です。

アパレル業界では大量に生産された季節性の商品が販売時期を過ぎるとセールによって大幅な値下げを行い、それでも売れ残った場合は大量に廃棄が発生するという流れが常態化しています。その中でZARAは「売り切る」ことにこだわって大幅なプロセスの見直しを実施しました。

ZARAは全社的にRFIDをはじめとした電子タグを採用し、POSの販売データやフィッティングを通じて集まったデータなどから必要量だけを生産することで、「必要以上の生産を行わずに売り切る環境」を整えています

「需要予測はせずに、移り変わりの激しい消費者のニーズに的確なタイミングで対応する」ことを目的としてスムーズな生産体制を構築し、3~4週間で売り場に並べられている商品の75%程度が入れ替わる体制を作ることで、消費者に「今すぐ買わなければならない」というイメージを与えることも戦略のひとつです。

一般的なアパレルの年間の新商品は2,000~4,000アイテム程度ともいわれていますが、ZARAは売り切りを前提とした生産スピードの向上によって年間約11,000アイテムを投入して店舗全体の商品の回転を速めています。

同社では、注文があった時点からスピーディーにお店に配送するためにデザインを起こした段階で生地が手配済みの状態になるような生産管理を行い、注文されたエリアが遠隔地であっても38時間以内に配送が完了するような仕組みが出来上がっています。世界各国であってもスピーディーな生産工程は変わらず、48時間以内にはお店に届くのがZARAの強みです。

菜鳥ネットワーク

新型コロナウイルスの流行により世界中で渡航が禁じられ、物流が寸断されて多くの事業者が倉庫の閉鎖に追い込まれました。海外との行き来が難しくなったことから越境ECは事実上停止状態になり、海外からの受注キャンセルが相次いで大規模な損害を被った企業は少なくありません。

また、倉庫の運営を継続できないために従業員が休業せざるを得ず、配送予定のない在庫が長期的に倉庫に滞留することで劣化して廃棄しなければならなくなった商品も数多くあります。物流業界は今回の問題によって大きな打撃を受けた企業が多く、事業の継続が困難になった例も多いでしょう。

そのような状況の中で、菜鳥ネットワークは自社独自の物流ネットワークを通じて毎日数十万点の商品を世界に向けて届け続けることに成功しています。特に北米やヨーロッパは新型コロナウイルスによる影響が著しい地域ですが、苦境に立たされて物流の大半を閉鎖せざるを得なくなった地域への輸出網も途切れることなく、安定的な配送を継続しています。

菜鳥が所有する国際物流ネットワークの特徴のひとつに「物流のインテリジェント化」が挙げられます。配送のスタート地点からゴール地点まで、輸送方法から商品を保管する倉庫の選定に至るまでのさまざまな要素を独自のアルゴリズムによって最適化して、輸送効率を大幅に向上することが可能です。

配送状況は可視化されており、店舗と消費者が配送開始から商品の到着までの全工程を追跡できるようにして安全性と信頼性の高さを担保しています。混乱によってECサイトが不安定になることもなく、常に安定的に商品を販売できる体制を整えて顧客満足度を向上させることに成功しています。

配送ルートや手段の効率化によって削減できた物流コストを製品価格に反映し、消費者に安価に販売できるようにしているのも強みです。

同社は新型コロナウイルスがもたらす物流への影響が特に強かった3月と4月に約200機のチャーター機を用意し、チャーター便の航路を新規に開設したり国際トラックネットワークを活用したりすることで、自社の国際物流を維持して苦境を乗り越えています。

JDL京東ロジスティクス

京東JDL京東ロジスティクスのサプライチェーン改革は「ボーダーレス・ロジスティクス」という考え方をコンセプトに展開されており、AIやビッグデータの活用が非常に進んでいることで知られています

同社には「X事業部」と「Y事業部」の2つの事業部があり、X事業部ではAI技術を活用した無人車や無人店舗、ドローンなどの「無人配達技術」を研究する部隊となっています。実際にこれらの研究成果からいくつかサービスの実用化も始まっています。

一方のY事業部ではAI技術によるサプライチェーンの効率化がミッションです。AI技術を自社の物流に取り入れてサプライチェーンの業務効率を向上させたり、コストの圧縮を達成したり、それに伴うユーザーへのさまざま利益を生み出したりすることを目指しています。

京東JDL京東ロジスティクスには物流の中核を担うジンドン・スマート・サプライチェーン・コントロール・タワーというシステムがあり、AI技術をはじめとした最先端のIT技術を駆使して自社の物流をコントロールしています。このシステムにより最適な配送ルートの算出やリードタイムの縮小などさまざま業務の効率化を達成しています。

【コラム】これからはサプライチェーンからサプライウェブの時代

物流が多様化する現状において、これからはサプライチェーンではなくサプライウェブの時代が到来するともいわれています。その理由を複数の観点からご紹介します。

サプライチェーンとは

サプライチェーンとは、「商品が生産されてから一般消費者に届くまでの物流全体の流れ」を指しています

例えばパソコンを製造・販売する場合、スタートはパソコンを構成する各パーツを製造するための原材料を扱う企業になるでしょう。

原材料を仕入れた企業がパーツを生産し、メーカがパーツを仕入れてパソコンを組み立て、アプリケーションをインストールして使用できる状態にして販売を開始します。場合によっては家電量販店などの小売店がメーカーからパソコンを仕入れて販売するケースも考えられます。

このような流れをサプライチェーンと呼んでおり、従来、製造工程から販売工程までの流れを示すサプライチェーンは基本的に一方通行でした。しかし、最近ではサプライチェーンのような一方通行の物流ではなく「サプライウェブ」と呼ばれる双方向の物流が注目を集めています。

サプライウェブとは

サプライウェブとは「さまざまな仕入先や納品先との自由度の高い取引を実現する、新たな物流プラットフォーム」のことです。サプライチェーンにおいてはそれぞれの取引先と1対1のやり取りが基本でしたが、サプライウェブにおいては「チェーン=鎖」から「ウェブ=網」に形を変えて、あらゆるプロセスの垣根を取り払うことが重要になります。

インターネットの普及により誰でも手軽に情報と接することができるようになった時代においては、商品やサービスの流れは単に「一般消費者が販売者から購入すること」だけには留まらなくなっています。

例えばこれまでは商品を購入し、使い終えれば捨てる、という流れは当たり前のものでした。しかし、これからは「商品を使い終えたら返却する」という流れも捨てることと同じくらい当たり前のものになっていくでしょう。このように「販売者から一般消費者へ一方的に商品が流れていくのではなく、双方向にモノが行き交う状態をスムーズに実現すること」がサプライウェブの考え方です。

また「不要なプロセスをなくすこと」もサプライウェブの重大な課題のひとつといえます。従来のように特定の仕入れ先から大量に商品を仕入れるのではなく、あらゆる仕入先から少しずつ商品を仕入れた場合、ロットが小さくなって物流の効率は低下します。この問題を解決するためには、物流を提供する事業者が一丸となって共同配送に取り組むなどの工夫が必要になるでしょう。

究極的には「発注しなければ商品が手に入らない」ことによって過剰在庫や欠品が生じるのであり、常に最適な在庫を自動的に補充できれば無駄な手間を省けます。物流データを多くの事業者の間で共有してどこに何があるかを把握できる状態になれば検品や棚卸も不要となるなど、「相互に物流の状況を把握して、最大限に効率化すること」もサプライウェブには必要不可欠であるといえます。

コロナウイルスの流行によりサプライチェーンの課題が顕在化

2020年初頭に発生した新型コロナウイルスの影響で、サプライチェーンは多大な影響を受けることとなりました。外出自粛による需要の減少で注文が大幅に減少した事業者もあれば、マスクをはじめとした衛生用品など急激に需要が増大した事業者もいます。

特定地域では需要の減少によって工場の閉鎖を余儀なくされ、生産体制をはじめとして物流を根本的に見直す必要が生じたケースも少なくありません。

今回のコロナウイルスのような予測不可能な事態に対処するには、サプライチェーンを柔軟に組み替えられる環境が重要になります。必要に応じて仕入先を変更したり、生産数を増減させたりする対応がスムーズにできる環境になければ、状況の変化に適応できずに運営が立ち行かなくなる可能性は高まります。

しかし、現状のサプライチェーンは決して柔軟性が高いとはいえず、かねてから指摘されていた課題がコロナウイルスの流行で顕在化する形となりました。今後もこのような不確定要素でサプライチェーンが混乱する可能性は常に付きまとうため、早急なDX化による対応を急ぐ必要があるといえます。

物流のDX化を適切に取り入れ業務効率を高めよう

自社の業務を最新のIT技術を用いてデジタル化し、それによって新たなビジネスモデルを生み出して自社だけでなくユーザーにも利益をもたらすDXは、アナログな運用によって負担増から抜け出し切れていない物流業界にとって必要不可欠です。

物流DX化は倉庫管理システムの導入やAI技術の活用などさまざまですが、物流業務の効率化を図って少しでも負担を軽減する上で重要な役割を果たすといえるでしょう。

現行のサプライチェーンはコロナ禍をきっかけに課題が顕在化し、今後はサプライウェブへの移行が多様化する物流に対応するカギになるといわれています。少しでも早く個々の企業においてもDX化を進めて、物流業界全体の業務を効率化することが大切です。

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