在庫回転率とは?計算式・回転期間・業種別の目安と改善方法【計算例つき】

openlogi2026年10月2日  
openlogi2026年9月24日

在庫回転率とは?計算式・回転期間・業種別の目安と改善方法【計算例つき】

在庫回転率とは、一定期間(通常は1年)に在庫が何回入れ替わったかを示す指標で、「売上原価 ÷ 平均在庫金額」で求めます。たとえば年間の売上原価が6,000万円、平均在庫金額が1,000万円なら在庫回転率は6回で、在庫は約61日で一巡していることになります。
数値が高いほど在庫が早く売れて資金が寝ていない状態を表しますが、高すぎれば欠品のリスクが上がります。業種や商材によって適正な水準は大きく異なるため、他社の平均値より、自社の過去の数値や商品ごとの差を見ることが実務では役に立ちます。この記事では計算式と計算例、回転期間への換算、業種別の目安、改善の手順を順に説明します。

在庫回転率とは?

在庫回転率は、手元の在庫が一定期間に何回売れて入れ替わったかを表す指標です。「回転率」という名前のとおり単位は「回」で、たとえば年間の在庫回転率が12回なら、在庫はおおむね1か月で一巡しています。

在庫は仕入れた時点でお金が商品に変わり、売れるまで現金に戻りません。回転率が低いということは、その分のお金が倉庫の中で止まっている時間が長いということです。保管料や商品の劣化・陳腐化のリスクもその間ずっと発生します。逆に回転率が高すぎると、在庫が薄すぎて欠品や販売機会の損失が起きやすくなります。つまり「在庫が多すぎないか、少なすぎないか」を1つの数字で見るためのものさしです。

なお、財務分析では貸借対照表の棚卸資産を使って同じ考え方で計算した「棚卸資産回転率」という言い方をします。本記事では、EC事業者が日々の在庫管理で使う場面を想定して「在庫回転率」と呼びます。

在庫回転率の計算方法

在庫回転率は「売上原価 ÷ 平均在庫金額」で計算します。平均在庫金額は「(期首在庫金額 + 期末在庫金額)÷ 2」です。金額の代わりに数量で「出庫数 ÷ 平均在庫数」として計算することもできます。

金額での計算方法

◆計算式

在庫回転率(回)= 売上原価 ÷ 平均在庫金額

平均在庫金額 = (期首在庫金額 + 期末在庫金額)÷ 2

売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 − 期末商品棚卸高

分子と分母は同じ基準でそろえます。在庫金額は原価で評価されているので、分子にも売上原価を使うのが基本です。分子に売上高(販売価格ベース)を使うと、粗利の分だけ回転率が大きく出てしまい、在庫の実際の動きより良く見えます。

ただし、後述の公的統計や財務分析では「売上高 ÷ 棚卸資産」で計算しているものが多くあります。他社や統計と比較するときは、相手の数値がどちらの式で計算されているかを確認し、自社も同じ式で計算し直してから比べてください。

金額での計算例

年間の売上原価が6,000万円、期首の在庫金額が1,200万円、期末が800万円の場合を考えます。

平均在庫金額 = (1,200万円 + 800万円)÷ 2 = 1,000万円

在庫回転率 = 6,000万円 ÷ 1,000万円 = 6回

この事業者は、1年間で在庫を6回入れ替えていることになります。

数量での計算方法

◆計算式

在庫回転率(回)= 期間中の総出庫数 ÷ 平均在庫数

平均在庫数 = (期首在庫数 + 期末在庫数)÷ 2

商品ごと(SKUごと)に回転率を見るときは、金額より数量のほうが直感的です。倉庫管理システム(WMS)や物流会社の管理画面から出庫数と在庫数を取り出せば、経理の数字を待たずに計算できます。

数量での計算例

年間の総出庫数が1,000個、期首在庫が60個、期末在庫が20個の商品の場合です。

平均在庫数 = (60個 + 20個)÷ 2 = 40個

在庫回転率 = 1,000個 ÷ 40個 = 25回

この商品は年に25回、約2週間で在庫が一巡しています。

平均在庫は期首と期末の平均を使う

分母の平均在庫は、期首と期末の平均で計算するのが基本です。期末の在庫金額だけを使う方法もありますが、決算期末に在庫を絞る事業者では回転率が実態より高く出ます。

季節変動が大きい商材や、期中に大きく在庫を積んだ期がある場合は、月末在庫を12か月分足して12で割った「月平均在庫」を使います。期首・期末の2点だけでは見えない期中の膨らみを反映できます。どの方法を採るかより、毎回同じ方法で計算して過去と比べられる状態にしておくことが大切です。

在庫回転期間(在庫回転日数)の求め方は?

在庫回転期間は「365日 ÷ 在庫回転率」で求められ、在庫が一巡するまでの日数を表します。回転率6回なら約61日、12回なら約30日です。

在庫回転期間(日)= 365 ÷ 在庫回転率

         = 平均在庫金額 ÷(売上原価 ÷ 365)

回転率と回転期間は、同じことを別の単位で表しているだけです。ただ、日数にすると「今の在庫であと何日売れるか」「発注してから届くまでの日数(リードタイム)に対して在庫は足りているか」という判断に直結します。EC事業者の実務では、SKUごとの回転日数とリードタイムを並べて見るほうが、回転率の「回」で見るより発注のタイミングを判断しやすいです。

在庫回転率

在庫回転期間

目安

4回

約91日

四半期に1回入れ替わる

6回

約61日

2か月に1回

12回

約30日

毎月1回

24回

約15日

2週間に1回

52回

約7日

毎週1回

在庫回転率の適正値・業種別の平均は?

全業種に共通する適正値はありません。卸売業は高く、製造業や小売業は低めに出るなど、業種で大きく異なります。公的統計(経済産業省「商工業実態基本調査」、売上高÷期末棚卸高)では、中小企業の製造業が12.6回、卸売業が15.9回、小売業が9.5回です。上場企業の中央値で見ると、卸売業は約37日、小売業は約26日で在庫が一巡しています(2025年)。

業種別の目安(公的統計・上場企業データ)

業種

中小企業

大企業

出典・定義

製造業

12.6回

10.5回

経済産業省「商工業実態基本調査」(売上高 ÷ 期末商品・製品棚卸高)

卸売業

15.9回

23.3回

同上

小売業

9.5回

13.5回

同上

 

業種(上場企業の中央値)

在庫回転期間

回転率に換算

出典

卸売業

37.2日

約9.8回

ザイマニ(EDINET掲載の上場企業約3,700社の財務データから算出、2025年)

小売業

26.0日

約14.0回

同上

全業種

50.7日

約7.2回

同上

※「商工業実態基本調査」の数値は1990年代後半の調査結果で、以降この調査は実施されていません。中小企業と大企業を業種別に比較できる公的統計として掲載していますが、水準は当時のものです。上場企業の中央値は売上高ベースで、決算期末の棚卸資産から計算されています。いずれも自社の数値と比べるときは、分子(売上高か売上原価か)と分母(期末か平均か)をそろえてください。

平均値より「自社の過去」と「商品ごとの差」を見る

業種平均は、扱う商材の単価・賞味期限・季節性・仕入れの最小ロットが違う企業をまとめた数字です。同じ小売業でも、日配食品を扱う店と家具を扱う店では回転率が10倍以上違うことは珍しくありません。実務で使えるのは、業種平均との比較より次の2つです。

1つは自社の過去との比較です。前年同期より回転率が下がっていれば、売れ行きに対して仕入れが多すぎたか、売れなくなった商品が在庫に残っている合図です。もう1つは商品ごとの比較です。全体の回転率が良くても、その中に1年以上動いていないSKUが混ざっていることはよくあります。全体の数字は、売れている商品が売れていない商品を隠します。

回転率が高いほど良いとは限らない

回転率を上げるだけなら、在庫を極端に減らせば達成できます。しかし在庫が薄すぎると、注文が入っても出荷できない欠品が増え、購入者の離脱や悪い評価につながります。また、少量ずつ頻繁に仕入れると、1回あたりの仕入れ単価や送料が上がります。

回転率と粗利率を掛け合わせた「交差比率」(在庫回転率 × 粗利率)で見ると、回転は遅いが粗利が大きい商品と、粗利は薄いが回転が速い商品を同じ土俵で比べられます。回転率は単独で追う目標ではなく、欠品率・粗利・保管コストと合わせて見る指標の1つです。

在庫回転率を見るべき理由は?

理由は2つあります。在庫の動きを数字で把握することと、余剰在庫にかかるコストを早い段階で止めることです。

在庫の動きが数字で見える

日々の出荷件数を見ているだけでは、「今の在庫量は売れ行きに対して多いのか少ないのか」は分かりません。回転率は出庫と在庫の比率なので、売上が伸びていても在庫がそれ以上に膨らんでいれば数値が下がり、仕入れ過多に気づけます。月次でSKU別に出しておくと、季節商品の仕入れ時期や、販促をかけた商品の在庫が想定どおり減ったかの検証にも使えます。

余剰在庫のコストを止められる

売れていない在庫には、保管料・棚卸の手間・値下げや廃棄による損失が積み上がります。物流を外部に委託していれば保管料は在庫1点・1日単位で請求されるので、回転しない在庫は毎日コストを生み続けます。回転率が前期より下がったSKUを早い段階で見つけて、値下げやセット販売で動かすか、仕入れを止めるかを決めることで、この積み上がりを止められます。

在庫回転率を改善するにはどうすればいい?

在庫回転率の改善は、SKU別に月次で数値を出す、目標値を決める、動かない在庫を処分する、発注の方法を見直す、の4つを順に進めます。全体の回転率を眺めているだけでは手を打つ場所が決まらないので、まず商品ごとの数字を出すことから始めます。

1. SKU別・月次で在庫回転率を出す

年間の全体値だけでなく、期間を1か月や1週間に区切り、商品ごとに計算します。期間を短くするときは、分子の出庫数(または売上原価)もその期間に合わせ、年換算するなら12倍・52倍します。倉庫管理システムや物流会社の管理画面で出庫履歴と在庫数が見られる状態なら、表計算ソフトに出力して計算できます。

2. 目標となる回転率を決める

目標は「業種平均に合わせる」より、「自社の過去の良かった時期の水準」や「リードタイムから逆算した在庫日数」で決めるほうが実行に結びつきます。たとえば発注から入荷まで14日かかる商品なら、在庫回転期間が14日を下回ると欠品するので、安全在庫を加えた20〜30日を目標の回転期間にする、という決め方です。

目標の平均在庫金額 = 年間売上原価(見込み)÷ 目標の在庫回転率

上の式で、目標回転率から逆算して「持つべき在庫金額」を出しておくと、仕入れ予算の上限として使えます。

3. 動かない在庫を処分する

一定期間(たとえば90日、180日)出庫のないSKUを抽出し、値下げ・セット販売・アウトレット販路への移動・廃棄のいずれかを決めます。売れる見込みがない在庫を持ち続けると、保管料がかかるだけでなく、回転率の分母を押し上げて全体の数字を悪くし続けます。処分による損失は一度で終わりますが、持ち続けるコストは毎月発生します。

4. 発注の方法を見直す

回転率が低いSKUの多くは、1回の発注量が多すぎるか、発注のタイミングが売れ行きと合っていません。売上の大きい順にA・B・Cの3グループに分けるABC分析を使うと、管理に濃淡を付けられます。Aランク商品は欠品させない水準の安全在庫を持ちつつ発注頻度を上げ、Cランク商品は発注量を絞るか取り扱いをやめる、という分け方です。「在庫がこの数を下回ったら発注する」という発注点を決めておくと、担当者の勘に頼らずに済みます。

在庫回転率の管理に必要なデータをそろえる|オープンロジの在庫管理

回転率を継続して計算するには、SKUごとの出庫数と在庫数が、いつでも同じ形で取り出せる状態になっていることが前提です。オープンロジは、倉庫・配送・資材といった物流パートナーをシステムでネットワーク化し、EC事業者に従量課金型でフルフィルメントサービスを提供する物流プラットフォームです。在庫・入荷・出荷の履歴とステータスは、Web管理画面でリアルタイムに確認できます。

在庫と入出荷履歴を管理画面で確認できる

商品ごとの現在庫と入荷・出荷の履歴を管理画面で確認できるため、計算に必要な出庫数と在庫数を月次の締めを待たずに取り出せます。Shopify・楽天市場・Yahoo!ショッピングなどのECカート・モールとのAPI連携は無料です。連携すると注文データの取り込みと出荷後の在庫反映が自動になり、複数チャネルの出庫を1つの在庫データで追えます。

保管料は1点・1日単位なので、余剰在庫のコストが見える

オープンロジの料金は初期費用・固定費が無料の従量課金で、保管料は商品1点・1日あたりポスト便サイズ以内0.2円、60サイズ以上1円〜(税別、2026年8月時点)です。在庫1点ごとに日割りで保管料がかかるため、回転しないSKUがいくらのコストを生んでいるかを金額で把握できます。料金は変更されることがあるため、最新は公式サイトでご確認ください。

在庫量の増減に倉庫側が合わせる

セール前の在庫積み増しや、処分後の在庫縮小のたびに倉庫スペースの契約を見直す必要はありません。全国の提携倉庫ネットワークから商材・出荷量に合う倉庫を選び、在庫の増減に応じて保管スペースを拡張・縮小します。導入アカウント数は14,000超(2026年3月末時点)です。

在庫回転率に関するよくある質問

在庫回転率の計算式は?

「売上原価 ÷ 平均在庫金額」です。平均在庫金額は「(期首在庫金額 + 期末在庫金額)÷ 2」で求めます。数量で計算する場合は「期間中の総出庫数 ÷ 平均在庫数」です。

在庫回転率と在庫回転期間の違いは?

回転率は一定期間に在庫が何回入れ替わったかを「回」で表し、回転期間は在庫が一巡するまでの日数を表します。「365日 ÷ 在庫回転率」で回転期間に換算でき、回転率12回なら約30日です。

在庫回転率は高いほど良いですか?

在庫にお金が寝ている時間が短いという意味では高いほうが良いですが、高すぎると欠品や少量発注による仕入れ単価の上昇が起きます。欠品率・粗利率・保管コストと合わせて判断してください。

在庫回転率の平均はどのくらいですか?

業種で大きく異なります。経済産業省「商工業実態基本調査」(売上高÷期末棚卸高)では、中小企業の製造業が12.6回、卸売業が15.9回、小売業が9.5回です。上場企業の中央値では、卸売業が約37日、小売業が約26日で一巡しています(2025年)。自社と比べるときは計算式をそろえてください。

在庫回転率を上げるにはどうすればいいですか?

SKU別・月次で数値を出し、一定期間出庫のない在庫を処分し、ABC分析と発注点で発注量と頻度を見直します。目標はリードタイムから逆算した在庫日数で決めると実行に結びつきます。

まとめ:回転率は「全体で1つ」ではなく「SKUごとに月次で」見る

「売上原価 ÷ 平均在庫金額」という単純な式で求まる指標ですが、全体で1つの数字を年に1回見るだけでは、売れている商品が売れていない商品を隠してしまいます。SKUごとに月次で出し、リードタイムから逆算した目標日数と比べ、動かない在庫を処分する。この繰り返しが回転率を改善する実務です。

そのためには、出庫数と在庫数がいつでも同じ形で取り出せる状態が要ります。物流を外部に委託するなら、在庫と入出荷履歴を管理画面で確認でき、保管料が在庫1点単位で見える仕組みを選ぶと、回転率の計算と余剰在庫のコスト把握を同時に進められます。

参考情報

記事監修者紹介

監修者・有田秀夫のイラスト 本人の写真NGでしたのでイラストです。こんな顔をしています。

有田 秀夫(ありた ひでお)

某大手物流企業にて業務設計や法人営業を経験後、老舗通販物流企業にて20年近く数多くのクライアントの物流課題を解決に導いてきた物流のプロ。

現職のオープンロジではその経験を活かし、物流ネットワーク開発に携わっている。

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オープンロジマガジン 編集部

物流プラットフォーム「オープンロジ」のマーケティングメンバーにて編成。物流のことはもちろん、ネットショップやマーケティングのことなど、EC事業者に役に立つ情報を幅広く発信していきます。

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