ECやネットショップを運営していると在庫管理の課題に対面することがあります。在庫管理のなかでも在庫回転率を気にしている事業者様も多いのではないでしょうか。
今回は在庫管理のなかの項目のひとつである在庫回転率に注目して、在庫回転率の基本知識や求め方のポイントなど、在庫回転率の知りたい項目を詳しくご紹介します。在庫管理をするときの参考にしてください。
目次
在庫回転率にお悩みならオープンロジへ
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在庫回転率とは
在庫回転率とは、一定の期間で在庫がどの程度の数量出入りしているのかを表す指標のことを指します。
在庫回転率を明確に算出することで自社の在庫がどの時期にどの程度動いているのか、現状の在庫の動きをしっかりと把握することができます。
在庫回転率はその数値が高ければその分、商品が早いスパンで出入りしていることになります。しかし商品の種類により在庫回転率は異なるため、一概に在庫回転率の数値が低いからといって売上に悪影響を及ぼしていると判断するのは、早計な場合もあるでしょう。
在庫回転率の値は、在庫回転率の特性や適切な計算方法をしっかりと熟知した上で活用することが可能です。この機会にしっかりと理解を深めましょう。
在庫回転率の計算方法
金額での計算方法
◆計算式
在庫回転率(回転数)=1年間の商品売上金額÷平均在庫金額
在庫回転率の計算方法は上記になります。在庫回転率はその名の通り、一年間のうちに在庫が何回転したかどうかの数値です。
1年間の商品売上金額は、年間トータルでの売上のことを指します。 販売額で出してしまうのは誤りですので、きちんと売上原価として出すようにしましょう。平均在庫金額は、期首と期末の在庫金額の平均で計算するのがポイントです。それぞれ以下計算式で算出できるので参考にしてください。
1年間の商品売上金額=[年度初めの商品棚卸高]+[年間当期商品仕入高]-[期末商品棚卸高]
平均在庫金額=[期首在庫高] + [期末在庫高] ÷ 2
在庫回転率を算出する基本となるこの数式を覚えておくことで、逆に理想の在庫回転率から平均在庫金額を算出したりするなど応用することも可能です。ぜひ覚えておくようにしましょう。
数量での計算方法
◆計算式
在庫回転率(回転数)=1年間の総出庫数 ÷ 平均在庫数
このように在庫回転率は在庫数で算出することも可能です。金額、主に原価で算出するのが一般的ではありますが、数量で算出する方が現実的に個数から回転率を把握することができるため、数字として実感しやすいというメリットがあります。
◆実際の計算例
・1年間の総出庫数が1000
・期首在庫数60
・期末在庫数20
上記の場合
1年間の総出庫数 ÷ 平均在庫数
=1000 ÷ [(60+20)÷2]
=25
在庫回転率は25。
平均在庫金額/数は、期首と期末の平均値での算出がおすすめ
「平均在庫金額」は、期首と期末の平均値で計算します。ですが、期末のみの商品在庫金額を入れたり、年間の商品出庫合計を12で割った数を当てはめるなど、その値は企業によって異なります。
一番厳密に在庫回転率を算出したい場合は、期末と期首を足して2で割って算出することがおすすめで、他の値を使用した算出方法よりも全体の明確な平均値から在庫回転率を割り出すことができます。
在庫回転率の適正値・業界ごとの平均値
在庫回転率の値は、その値が高ければ高いほど在庫回転率が良いといえます。しかしその在庫回転率が適正か否かは業種・商品ごとに異なるため、自社に合った回転率を見つけることが大切です。
以下は中小企業の商品(製品)回転率|商工業実態基本調査|経済産業省 より引用した業種ごとの在庫回転率の平均値です。自社の在庫回転率と比較し、大幅に低いなどあれば、見直しを図りましょう。
業種 | 中小企業 | 大企業 |
製造企業 | 12.6 | 10.5 |
卸売企業 | 16.2 | 23.4 |
小売企業 | 9.9 | 14.3 |
在庫回転率を注視すべき理由
在庫管理をするときになぜ在庫回転率を算出しなければならないのか、疑問に思っている事業者様も多いのではないでしょうか。わざわざ難しい数式を使用してまで算出する意味があるのか。その意味を知らないと、きちんと在庫回転率を注視することもできないものです。
理由を明白に知ることで、しっかりと在庫回転率と向き合うことができます。ここでは在庫回転率を注視しなければいけない理由について詳しくご紹介します。
在庫の動きを具体的に把握するため
在庫回転率を注視すべき理由の1つめは、在庫の動きを具体的に把握するためです。常日頃、在庫の動向をしっかりと見つめておくことももちろん大切です。しかし一定の期間を通して見える在庫全体の動きも決して見逃してはいけません。
在庫回転率を知ることで、どの在庫がどの程度のペースで販売されているか、一定期間中どの程度商品が売れているのかなど、在庫の動きを具体的に把握することに繋がります。
余計なコストを発生させないため
在庫回転率を注視すべき理由の2つめは、余計なコストを発生させないためです。在庫回転率を把握することで、どの商品がどの程度効率的に売上を挙げているのかを把握することが可能です。在庫回転率のデータを過去のものと比較したとき在庫回転率が落ちていれば、その分余計な在庫を仕入れてしまっていることに気付けます。
余剰在庫を抱えてしまうのは保管料などの余計なコストが発生するばかりでなく、余剰在庫が劣化してしまった場合、破棄する必要あります。このように余剰在庫は、更なるコストの発生を生む可能性があります。
在庫回転率を含めた在庫管理は、事業の経営にも関わる重要な業務のひとつです。きちんと理解するには時間がかかるかもしれません。作業には手間もかかるでしょう。しかし最初のうちに手を抜かずに身につけておくことが事業成功のカギです。
関連記事:
在庫管理とは|在庫管理方法の詳細や適切な在庫管理で得られるメリットをご紹介
在庫回転率を向上させるポイント
ここでは在庫回転率を向上させるポイントをご紹介します。在庫回転率を上げたいと考えている事業者様は参考にしてください。
こまめに在庫回転率を確認し在庫の動きを把握する
在庫回転率を向上させるポイントの1つめは、こまめに在庫回転率を確認し在庫の動きを把握することです。在庫回転率は使用する値の範囲を変えることで、1年間の在庫回転率以外にも1ヶ月や1週間単位でも算出することが可能です。常に在庫回転率の変化を注視することで、在庫の動きを具体的に把握することができます。
在庫は会社の売上となる重要なものです。その在庫の動き、つまりは在庫回転率の傾向をこまめにチェックしておけば、わずかな変化にも気付く事ができるでしょう。在庫回転率は、可能な限りこまめに確認することをオススメします。
目標となる回転率を設定する
在庫回転率を向上させるポイントの2つめは、目標となる回転率を設定することです。ただ在庫回転率を増やすことを闇雲に目指しても、どの程度の在庫回転率がベストなのかが見えないと、対策をたてる事も難しいものです。目標となる在庫回転率を決定することで明確に状況が見え、仕事のモチベーションアップにも繋がります。
なお目標となる在庫回転率の出し方は、在庫回転率を導き出す数式に目標数値を当てはめて算出することが可能です。
目標となる在庫回転率(回転数)=目標の一年間の商品売上金額÷目標の平均在庫金額
目標の値については、同ジャンル商品を扱うの企業の在庫回転率を参考に決定すると良いでしょう。前述したように目標となる在庫回転率を決めるときには、事前のリサーチをきちんと行うことが大切です。
不要在庫を減らす
在庫回転率を向上させるポイントの3つめは、不要在庫を減らすことです。余計な在庫を長期間抱えてしまうと、もちろん在庫回転率は悪くなってしまいます。さらに回転率が悪くなるだけでなく、長期間在庫を保管することで在庫自体が劣化してしまい、結果不良在庫となり破棄しなければいけない事態も招きかねません。
在庫回転率を向上させるためにも不要在庫は持たないことが望ましいです。在庫回転率だけでなく在庫管理全体の体制が整っていなければ、把握しきれていない在庫が倉庫に眠っているかもしれません。
在庫管理に不安要素がある事業者様は在庫回転率について考えたこの機会に、ぜひ在庫管理の体制についても今一度見直してみることをオススメします。
在庫回転率を理解して事業運営に活かそう!
在庫回転率の算出方法は一見複雑に見えますが、中身を理解してしまえばとても単純で分かりやすいです。在庫回転率について見識を深めることで、自社の経営状況を具体的に把握することにも繋がります。
在庫回転率は、在庫管理状況を詳しく知るためには欠かせない数値です。事業の規模が少ないうちからしっかりと在庫回転率を算出し把握することで、商品の動きや自社の売上の傾向を掴むことができます。事業規模が大きくなったときに、以前からのデータを活かして経営戦略を立てることもできるでしょう。
この機会に今一度、在庫回転率についてしっかりと理解し、自社のEC・ネットショップ運営に活かしてみてはいかがでしょうか。