在庫回転率とは|在庫回転率の基本知識や求め方のポイントなど詳しくご紹介

2020年1月27日

在庫回転率とは|在庫回転率の基本知識や求め方のポイントなど詳しくご紹介

ECやネットショップを運営していると在庫管理の課題に対面することがあります。在庫管理のなかでも在庫回転率を気にしている事業者様も多いのではないでしょうか。

今回は在庫管理のなかの項目のひとつである在庫回転率に注目して、在庫回転率の基本知識や求め方のポイントなど、在庫回転率の知りたい項目を詳しくご紹介します。在庫管理をするときの参考にしてください。

在庫回転率の基本知識

在庫回転率をいう言葉を知っていても、実際どのように役立てたら良いのか、活用の仕方がよく分からなかったり、実際の在庫回転率の計算方法が詳しく理解していなかったりなど、認識不足の点が多い事業者様も多いです。在庫管理を明確にするためにも在庫回転率についての基本知識は、しっかりと身に着けておきたいところです。

ここでは在庫回転率の基本知識について詳しくご紹介します。

在庫回転率とは|一定の期間で在庫がどの程度出入りしているか表す指標

在庫回転率とは、一定の期間で在庫がどの程度の数量出入りしているのかを表す指標のことを指します。

在庫回転率を明確に算出することで自社の在庫がどの時期にどの程度動いているのか、現状の在庫の動きをしっかりと把握することができます。

在庫回転率はその数値が高ければその分、商品が早いスパンで出入りしていることになります。しかし商品の種類により在庫回転率は異なるため、一概に在庫回転率の数値が低いからといって売上に悪影響を及ぼしていると判断するのは、早計な場合もあるでしょう。

在庫回転率の値は、在庫回転率の特性や適切な計算方法をしっかりと熟知した上で活用することが可能です。この機会にしっかりと理解を深めましょう。

在庫回転率の計算方法

在庫回転率の計算方法は一見難しく見えるものですが、計算方法の仕組みを覚えてしまえばとても簡単で分かりやすいです。ここでは在庫回転率の計算方法を分かりやすく説明します。

結論から言うと、在庫回転率の計算方法は下記になります。

在庫回転率(回転数)=一年間の商品売上金額÷平均在庫金額

在庫回転率はその名の通り、一年間のうちに在庫が何回転したかどうかの数値です。

一年間の商品売上金額もそのままの意味で、年間トータルでの売上のことを指します。こちらの値は出庫金額売上原価という表記が使用されていることもあります。

一年間の商品売上金額ですが販売額で出してしまうのは誤りです。正確な値が出ません。きちんと原価で計算するようにしましょう。平均在庫金額は棚卸資産平均商品在庫高と表記される時もあります。

在庫回転率を算出する基本となるこの数式を覚えておくことで、逆に理想の在庫回転率から平均在庫金額を算出したりするなど応用することも可能です。ぜひ覚えておくようにしましょう。

売上原価と平均在庫金額の算出方法

在庫回転率の計算方法は理解しても、その計算に使用する売上原価と平均在庫金額の算出方法が分からないと、正確な在庫回転率を出すことはできません。ここでは売上原価と平均在庫金額の算出方法をご紹介します。

売上原価と平均在庫金額の計算式は下記になります。

売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高

平均在庫金額=(期首在庫高+期末在庫高)÷ 2

在庫回転率の計算方法と共に、上記2つの計算方法も合わせて覚えておくことをオススメします。正確な求め方を知ることで、在庫回転率や在庫管理の大切さを理解することができます。

在庫回転率を注視すべき理由

在庫管理をするときになぜ在庫回転率を算出しなければならないのか、疑問に思っている事業者様も多いのではないでしょうか。わざわざ難しい数式を使用してまで算出する意味があるのか。その意味を知らないと、きちんと在庫回転率を注視することもできないものです。

理由を明白に知ることで、しっかりと在庫回転率と向き合うことができます。ここでは在庫回転率を注視しなければいけない理由について詳しくご紹介します。

在庫の動きを具体的に把握するため

在庫回転率を注視すべき理由の1つめは、在庫の動きを具体的に把握するためです。

常日頃、在庫の動向をしっかりと見つめておくことももちろん大切です。しかし一定の期間を通して見える在庫全体の動きも決して見逃してはいけません。

在庫回転率を知ることで、どの在庫がどの程度のペースで販売されているか、一定期間中どの程度商品が売れているのかなど、在庫の動きを具体的に把握することに繋がります。

余計なコストを発生させないため

在庫回転率を注視すべき理由の2つめは、余計なコストを発生させないためです。

在庫回転率を把握することで、どの商品がどの程度効率的に売上を挙げているのかを把握することが可能です。在庫回転率のデータを過去のものと比較したとき在庫回転率が落ちていれば、その分余計な在庫を仕入れてしまっていることに気付けます。

余剰在庫を抱えてしまうのは保管料などの余計なコストが発生するばかりでなく、余剰在庫が劣化してしまった場合、破棄する必要あります。このように余剰在庫は、更なるコストの発生を生む可能性があります。

在庫回転率を含めた在庫管理は、事業の経営にも関わる重要な業務のひとつです。きちんと理解するには時間がかかるかもしれません。作業には手間もかかるでしょう。しかし最初のうちに手を抜かずに身につけておくことが事業成功のカギです。

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在庫回転率の求め方のポイント

在庫回転率の求め方を理解したら、次は在庫回転率を求めるときのポイントやコツを知ることが大切です。

ここでは在庫回転率の求め方のポイントを詳しくご紹介します。

在庫回転率は原価で求めるのが常だが数量で求めても良い

在庫回転率は通常、上記でも述べたように原価を使用して求めるものです。しかし実際は在庫の回転率が算出できれば問題ないため、在庫自体の数量で求めてしまっても良いでしょう。

在庫自体の数量で求める場合の計算式は下記になります。

在庫回転率=総出庫数÷平均在庫数

では、実際に在庫回転数を算出してみましょう。一年間の総出庫数が仮に1000とします。平均在庫数は平均在庫金額と算出方法は一緒なので仮に期首在庫数60、期末在庫数20を足して2で割り算出し、40とします。この値を在庫回転率を求める公式に当てはめると、

1000÷40=25

となり、在庫回転率は25ということになります。

このように在庫回転率は在庫数で算出することも可能です。金額、主に原価で算出するのが一般的ではありますが、数量で算出する方が現実的に個数から回転率を把握することができるため、数字として実感しやすいというメリットがあります。

適正な在庫回転率は業種・商品ごとに異なるため自社に合った回転率を見つける

在庫回転率の値は、その値が高ければ高いほど在庫回転率が良いといえます。しかしその在庫回転率が適正か否かは業種・商品ごとに異なるため、自社に合った回転率を見つけることが大切です。

では、どのように自社に合った適切な回転数を導き出すことができるのか、疑問に思う事業者様も多いのではないでしょうか。自社に合った適切な在庫回転率を導き出すためには、他社へのリサーチが不可欠です。

自社の在庫の動きを把握することも、もちろん大切です。しかし、自社の内部の動きだけに注目していては、広い視野で在庫を把握することはできません。類似ジャンルを取り扱う他社の在庫回転率や在庫管理状況をネットや自身の持つ情報網を駆使してリサーチし、自社の理想とする在庫回転率を定めることが大切です。

より厳密に算出したい場合は期首と期末の平均値で計算する

平均在庫金額を厳密に算出する場合には、期首と期末の平均値で計算します。しかし、この値ではなく、別の値を平均在庫金額の項に当てはめて在庫回転率を算出する場合もあります。期末のみの商品在庫金額を入れたり、年間の商品出庫合計を12で割った数を当てはめるなど、その値は企業によって異なります。

期末と期首を足して2で割った平均在庫金額は、他の値を使用した算出方法よりも全体の明確な平均値から在庫回転率を算出します。そのため、一番厳密に在庫回転率を算出することが可能であるといえます。

在庫回転率を向上させるポイント

ここでは在庫回転率を向上させるポイントをご紹介します。在庫回転率を上げたいと考えている事業者様は参考にしてください。

こまめに在庫回転率を確認し在庫の動きを把握する

在庫回転率を向上させるポイントの1つめは、こまめに在庫回転率を確認し在庫の動きを把握することです。

在庫回転率は使用する値の範囲を変えることで、1年間の在庫回転率以外にも1ヶ月や1週間単位でも算出することが可能です。常に在庫回転率の変化を注視することで、在庫の動きを具体的に把握することができます。

在庫は会社の売上となる重要なものです。その在庫の動き、つまりは在庫回転率の傾向をこまめにチェックしておけば、わずかな変化にも気付く事ができるでしょう。

在庫回転率は、可能な限りこまめに確認することをオススメします。

目標となる回転率を設定する

在庫回転率を向上させるポイントの2つめは、目標となる回転率を設定することです。

ただ在庫回転率を増やすことを闇雲に目指しても、どの程度の在庫回転率がベストなのかが見えないと、対策をたてる事も難しいものです。目標となる在庫回転率を決定することで明確に状況が見え、仕事のモチベーションアップにも繋がります。

なお目標となる在庫回転率の出し方は、在庫回転率を導き出す数式に目標数値を当てはめて算出することが可能です。

目標となる在庫回転率(回転数)=目標の一年間の商品売上金額÷目標の平均在庫金額

目標の値については、同ジャンル商品を扱うの企業の在庫回転率を参考に決定すると良いでしょう。前述したように目標となる在庫回転率を決めるときには、事前のリサーチをきちんと行うことが大切です。

不要在庫を減らす

在庫回転率を向上させるポイントの3つめは、不要在庫を減らすことです。

余計な在庫を長期間抱えてしまうと、もちろん在庫回転率は悪くなってしまいます。さらに回転率が悪くなるだけでなく、長期間在庫を保管することで在庫自体が劣化してしまい、結果不良在庫となり破棄しなければいけない事態も招きかねません。

在庫回転率を向上させるためにも不要在庫は持たないことが望ましいです。在庫回転率だけでなく在庫管理全体の体制が整っていなければ、把握しきれていない在庫が倉庫に眠っているかもしれません。

在庫管理に不安要素がある事業者様は在庫回転率について考えたこの機会に、ぜひ在庫管理の体制についても今一度見直してみることをオススメします。

在庫回転率を理解して事業運営に活かそう!

在庫回転率の算出方法は一見複雑に見えますが、中身を理解してしまえばとても単純で分かりやすいです。在庫回転率について見識を深めることで、自社の経営状況を具体的に把握することにも繋がります。

在庫回転率は、在庫管理状況を詳しく知るためには欠かせない数値です。事業の規模が少ないうちからしっかりと在庫回転率を算出し把握することで、商品の動きや自社の売上の傾向を掴むことができます。事業規模が大きくなったときに、以前からのデータを活かして経営戦略を立てることもできるでしょう。

この機会に今一度、在庫回転率についてしっかりと理解し、自社のEC・ネットショップ運営に活かしてみてはいかがでしょうか。

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オープンロジマガジン 編集部

物流プラットフォーム「オープンロジ」のマーケティングメンバーにて編成。物流のことはもちろん、ネットショップやマーケティングのことなど、EC事業者に役に立つ情報を幅広く発信していきます。

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