EMSの関税は誰が払う?税関手続きと2026年の米国向けルールを解説

openlogi2026年10月8日  
openlogi2026年9月1日

EMSの関税は誰が払う?税関手続きと2026年の米国向けルールを解説

EMSの関税は原則として受取人が支払います。ただし米国向けは種別と価格で扱いが変わり、物品・販売品は2,500USドル以下なら100USドル以下でも差出人の事前支払いとDDP表示が必要、2,500USドル超は不要です(2026年9月時点)。書類と100USドル以下の個人間贈答品は従来どおりです。

EMSの概要

EMS(国際スピード郵便)とは?何ができるサービスか

EMS(国際スピード郵便)は、日本郵便が提供する国際郵便で最も速いサービスです。日本郵便の「国際スピード郵便(EMS)」(2026年9月8日取得)には「世界120以上の国や地域に30kgまでの書類やお荷物を安心、簡単、便利に送れる」とあります。

委託できる範囲は次のとおりです。

  • 内容品: EMS(書類)とEMS(物品)の2種類
  • 重量: 最大30kg。ただし国別に上限が異なり、日本郵便の「EMS大きさ・重量制限一覧表」(2026年9月8日取得)ではフィリピン・オーストラリア等が20kg以下、キューバは10kgです
  • サイズ: 長さは標準1.5m以内、長さと横周の合計は標準3m以内(米国・グアム・サイパン・バルバドスは2.75m以内)
  • 付帯機能: 追跡と損害賠償が標準で付きます

内容品の別

通関電子データ

手書きラベル

EMS(書類)

不要

可

EMS(物品)

必須

不可

あて先によっては引受が止まっているため、取扱状況は国・地域別情報(国際郵便条件表)でご確認ください。

クーリエ(国際宅配便)との違いは運営主体と関税支払者に表れます。EMSは各国の郵便事業体が連携して届ける郵便で、関税は原則として受取人の負担です。クーリエは民間事業者が一貫輸送し、差出人が負担する形も選べます。詳しくはクーリエ(国際宅配便)とEMSの違いを5項目で比較とUGXなど郵便系のほかの選択肢をご覧ください。

EMSの関税は誰が払う?【原則と、米国の例外】

EMSの関税は、原則として名あて国の受取人(名宛人)が支払います。配達時または通関時に受取人へ請求されます。この原則が崩れるのが米国向けです。2026年4月14日の引受再開時から、差出人が事前に関税を支払う運用が入りました。

米国向けは「種別×価格」で決まる(2026年9月時点)

日本郵便の2026年4月13日のお知らせ「(続報)米国宛て郵便物の引受再開のお知らせ」(最終更新2026年7月24日)による現行の引受条件は、次の4パターンです。価格だけでなく内容品の種別でも分岐します。

 

内容品の種別

内容品価格

差出できる郵便局

関税の事前支払い

ラベル表示

書状・はがき・印刷物・EMS(書類)・個人間の贈答品

100USドル以下

全局

不要

不要

上記以外(=物品・販売品)

100USドル以下

指定郵便局

必要

DDP

全種別

100USドル超〜2,500USドル以下

指定郵便局

必要

DDP

全種別

2,500USドル超

指定郵便局

不要

—

EC出荷のような販売品は100USドル以下でも事前支払いとDDP表示が必要です。この行を「少額なら免税」と読み替えると、差し出し自体を受け付けてもらえません。なお事前支払いは2026年4月14日の引受再開時から必要で、2026年7月24日に対象の価格上限が2,500USドルへ引き上げられました。

事前支払いは、CBP(米国税関・国境警備局)が認証した事業者のうち日本郵便が推奨するZonos社のアプリで行います。同アプリが「DDP」と13桁の申告番号(Declaration ID)を発行し、ラベルへのDDP表示が必須です。大口出荷向けの運用も別途案内されています(日本郵便 2026年7月17日「(続報3)米国宛て郵便物の引受再開に関するお知らせ」)。

判定時点について、Zonos社の解説「Postal Tariffs to the U.S」(2026年9月8日取得)は取引日ではなく到着日を基準とする旨を案内しています。ただしこの基準は日本郵便の告知には明示されていません。また差し出せる郵便局は限られるため、事前に最寄りの郵便局で取り扱いの有無をご確認ください。

DDPとDDUという用語をどう理解するか

DDPは「Delivered Duty Paid(関税込持込渡し)」の略で、売主が輸入通関と関税を負担する取引条件です。ジェトロの貿易・投資相談Q&A「インコタームズ2020」(2026年9月8日取得)によると、国際商業会議所(ICC)のインコタームズ2020は11規則で構成されます。汎用規則はEXW・FCA・CPT・CIP・DAP・DPU・DDPの7つで、DDUはこの中にありません。

「DDU(Delivered Duty Unpaid)」は実務上の通称です。着払いに相当する正式な規則は「DAP(Delivered at Place/仕向地持込渡し)」で、輸入通関と関税は買主が負担します。DDUがどの版で扱われていたかという沿革はICCの一次情報で確認できていないため、「DDU(現在の正式規則ではDAP)」と読み替えるのが安全です。

オープンロジがDDPをお勧めする大きな理由ですが、関税の負担者が売主か買主かの違いは購入者の体験に直結します。DDPなら決済時に総額が確定しますが、DAPでは配達時に請求が発生し、受取拒否のリスクがあります。関税を送り主側で引き受ける設計は「DHLなら送り主が関税を負担できる」も参考になります。

一方、DDP側にもリスクはあります。ジェトロの2025年10月27日のレポート「米国デミニミス制度廃止の衝撃(2)」は、デミニミス廃止後の米国向けで、輸入者情報をCBPに登録する必要があると指摘しています。支払者を契約で決める実務は「関税支払者を選べるDHLの契約と実務」で整理しています。

EMSはいまアメリカに送れる?【停止と再開の経緯】

米国宛てのEMSは送れます。2025年8月に物品系の引受が一時停止しましたが、2026年4月14日に再開しました。ただし条件が付き、停止前と同じ手順では差し出せません。

  • 2025年7月30日: 米国政府が全世界向けに少額免税(デミニミス)待遇の停止を大統領令で発表(日本郵便の2025年8月25日のプレスリリースより)
  • 2025年8月27日: 日本郵便が米国宛ての引受を一時停止。対象は小形包装物・小包・EMS(物品)のうち、個人間の贈答品で内容品価格が100USドルを超えるものと、消費を目的とする販売品
  • 停止の対象外: 書状・はがき・印刷物・EMS(書類)、および内容品価格100USドル以下の個人間の贈答品
  • 2026年4月14日: 日本郵便の2026年4月13日のプレスリリース「米国宛て郵便物の引受再開について」により引受を再開。あわせて関税の事前支払いとDDP表示、指定郵便局からの差し出しが必要になりました
  • 2026年7月24日: 日本郵便の2026年7月14日のお知らせ「(続報2)米国宛て郵便物の引受再開に関するお知らせ」により、関税の事前支払いの対象となる価格上限が2,500USドルへ引き上げ

米国の少額免税(デミニミス)はどうなったのか

米国の少額免税は現在も停止中です。2025年8月29日に大統領令で全世界向けに停止されました。その後、米国CBPが2026年6月24日に暫定最終規則を出し、「無期限停止」として制度化されています。規則名は「Indefinite Suspension of the De Minimis Exemption for Mail Shipments and New Postal Informal Entry Process」(連邦官報掲載)です。国際郵便への発効は2026年7月24日です。

課税方式も変わりました。2025年8月29日から国際郵便向けに選択できた1点あたり80/160/200USドルの定額課税は、同規則のサンセット条項により2026年7月24日で終了しています。2026年9月時点の少額貨物は、HTSUS(米国関税率表)10桁分類に基づくMFN税率での従価税です。

2026年9月時点で法形式は暫定最終規則の段階で、最終規則になったかは確認できていません。議会による法定廃止(One Big Beautiful Bill Act)の発効は2027年7月1日で、行政措置とは別建てです。国ごとの枠は越境ECの配送手段を6社で比較をご覧ください。

EU向けは150ユーロ未満のIOSS利用郵便物が引受不可になった

日本郵便の2026年7月14日のお知らせ「国際郵便条件表の変更について」により、2026年7月24日から、150ユーロ未満の物品を包有しIOSS制度を利用する国際郵便物は引き受けできなくなりました。オーストリア・ドイツ・フランス等が対象です。これは日本郵便の引受条件としての変更で、EU側の税制や税額は別の論点です。

関税がかかるのはいくらから?【混同しやすい3つの閾値】

EMSの関税で混同されやすい金額は3つあり、それぞれ「誰のルールか」が違います。日本側の輸出手続きのラインと、輸入国が課す関税のラインは別物です。20万円の根拠は、財務省 税関のカスタムスアンサー6201「外国へ郵便物を送る場合の手続」(2026年9月8日取得)が示す関税法第76条です。免税枠は「越境ECの関税の基本」をご覧ください。

閾値

何の基準か

誰のルールか

20万円

日本からの輸出申告が必要になるライン

日本の関税法第76条

100USドル

米国向けで書類・個人間の贈答品が免税となるライン

米国の制度と日本郵便の引受条件

2,500USドル

米国向けで関税の事前支払いが不要になるライン

同上(この上限は2026年7月24日に800USドルから引き上げ)

20万円は輸出申告を出すかの基準で、名あて国の関税が免除される金額ではありません。逆に100USドル・2,500USドルは米国向けの引受条件で、日本の手続きには関係しません。

EMSの税関手続きはどう進める?【20万円が分かれ目】

内容品の合計価格が20万円以下なら日本の税関への輸出申告は不要で、20万1円以上は必要です。財務省 税関のカスタムスアンサー6201「外国へ郵便物を送る場合の手続」(2026年9月8日取得)は、根拠として関税法第76条と関連の施行令を示しています。

【画像5: 内容品の合計価格20万円を境に「税関告知書のみ」と「輸出申告+英文インボイス+通関委任状」に分かれるフロー図 / alt: EMSの税関手続きが20万円で分かれることを示すフロー図】

20万円以下の場合、内容品を申告する書類は税関告知書です。この告知書にはCN22とCN23の2種類があります。日本郵便の「税関告知書の書き方」(2026年9月8日取得)によると、国際郵便マイページサービスでラベルを作成すれば自動で作成されます。どちらの書式かの基準は公式に明言されていないため、作成時の案内に従ってください。

20万1円以上の場合は、差出人自身による輸出申告が必要です。日本郵便の「内容品の合計価格が20万円を超える郵便物を海外へ発送されるお客さまへ」(2026年9月8日取得)を参照してください。必要なのは英語で作成したインボイスと通関委任状(輸出)の提示、および輸出申告代行手数料2,800円/件です。同社の「外国あて郵便物の通関手続のご案内」(2026年9月8日取得)によると、申告が必要な郵便物は通関交換局で通関保留扱いとなります。

通関電子データ(EAD)は2024年3月から必須

物品を送るEMSでは、通関電子データ(EAD)の送信が必須です。必須になったのは2024年3月1日からです(日本郵便「国際郵便 通関電子データ送信義務化における差出について」2026年9月8日取得)。すべての国・地域宛ての物品が対象で、手書きラベルでの発送はできなくなりました。手紙などの書類だけなら、引き続き手書きのラベルで発送できます。

登録は国際郵便マイページサービスや郵便局窓口の端末で行います。

EMSの料金・日数・追跡はどうなっている?

EMSの料金は5つの地帯区分で決まり、2kgまでなら第1地帯3,400円から第5地帯8,100円です。日数と追跡は公式ページで確認しましょう。

地帯

主な国・地域

2kgまでの料金

第1地帯

中国・韓国・台湾

3,400円

第2地帯

第1地帯を除くアジア

4,550円

第3地帯

オセアニア・カナダ・メキシコ・中近東・ヨーロッパ

6,700円

第4地帯

米国(グアム等の海外領土を含む)

7,900円

第5地帯

メキシコを除く中南米・アフリカ

8,100円

 

上表は、日本郵便の「料金表(EMS:取り扱い国すべて)」(2026年9月8日取得)の値です。同ページには「第3地帯および第4地帯については、特別追加料金を含みます」との注記があり、掲載額は特別追加料金込みです。内訳と適用日の記載がないため、最新は公式料金表でご確認ください。

何日で届くか(配送日数)

配送日数は日本郵便の「お届け日数表(EMS)」で確認できます。差出地域(東京・関東・近畿・九州等)別に国ごとの日数が掲載され、表の数字は差出日を含まない営業日数です。「2」なら差し出しの2日後の配達です。

同ページには「通関に特別時間を要するもの、名あて地が遠隔地であるもの等は、表中の日数と異なる場合があります」との注記があります。

追跡はどう見るか

追跡は日本郵便の郵便追跡サービスで確認します。同社の「国際郵便の郵便追跡サービスに関するお知らせ」(2026年9月8日取得)によると、追跡番号はアルファベット2文字+9桁の数字+アルファベット2文字の形式です。検索方式は個別番号検索と連続番号検索の2つです。

同お知らせによると「国際交換局から発送」と表示されるまで通関は完了していません。

EMSの補償はいくら?

EMSの損害要償額は、差し出しの際に申し出がなければ2万円です。上限は追加料金で上がります。

上げられる上限は200万円です。日本郵便のFAQ「EMSの損害賠償額はいくらでしょうか?」(2026年9月8日取得)によると、2万円を超えて2万円またはその端数ごとに50円の追加料金がかかります。同社の「EMSの損害賠償制度」(2026年9月8日取得)では、追加料金の最高額は4,950円で、破損や内容品の不足に対し最高200万円を限度とする実損額が賠償されます。

高額な商品では、既定の2万円で良いかを出荷前に判断してください。請求期限は公式ページに記載がないため、最新をご確認ください。

EMSで送れないものは?

EMSでは航空危険物と郵便法上の禁止品を送れません。航空危険物に分類されるのは、火薬類・高圧ガス・引火性液体・毒物類・放射性物質などです(日本郵便「国際郵便として送れないもの」2026年9月8日取得)。麻薬類・生きた動物・わいせつな物品は郵便法に基づく禁止品です。

具体例は次のとおりです。

  • スプレー缶
  • 香水
  • 花火・クラッカー
  • 日焼け止め
  • マニキュア
  • ヘアトニック
  • アルコール飲料
  • 電子タバコ
  • モバイルバッテリー

リチウム電池は単体では送れませんが、同ページには「機器に取り付けられたリチウム電池(一定の条件を満たすものに限ります。)は、国際郵便で差し出すことができます」とあります。

あて先自体が送れない場合もあります。日本郵便の2026年6月25日のお知らせ「国際郵便物の引き受け変更について」によると、2026年6月26日からイランとキューバはEMSの引受が停止です。国別の禁制品は国・地域別情報(国際郵便条件表)でご確認ください。

よくある質問

Q1. EMSの関税は誰が払いますか? 原則として名あて国の受取人が支払います。ただし米国向けは内容品の種別と価格の組み合わせで、差出人による関税の事前支払いが必要になります(2026年9月時点)。

Q2. EMSでアメリカに送れますか? 送れます。2026年4月14日に引受が再開しました。ただし物品・販売品は、Zonos社のアプリで関税を事前に支払い、指定郵便局から差し出す必要があります。

Q3. 100USドル以下なら米国向けも免税ですか? 書類と個人間の贈答品は100USドル以下なら事前支払いもラベル表示も不要です。それ以外の物品・販売品は100USドル以下でも事前支払いとDDP表示が必要です。

Q4. 20万円を超えるとどうなりますか? 内容品の合計価格が20万1円以上になると輸出申告が必要です。日本郵便に英文インボイスと通関委任状(輸出)を提示し、代行手数料2,800円/件を支払うと代行してもらえます。

Q5. EMSは何日で届きますか? 日本郵便の「お届け日数表(EMS)」で国別にご確認ください。表の数字は差出日を含まない営業日数で、通関や遠隔地の事情で変わります。

Q6. EMSの補償はいくらですか? 申し出がなければ2万円です。2万円を超えて2万円またはその端数ごとに50円の追加料金を支払うと、最大200万円まで上げられます。

Q7. 手書きのラベルで送れますか? 物品を送る場合は送れません。2024年3月1日から全世界宛ての物品で通関電子データの送信が必須になりました。手紙などの書類だけなら手書きのラベルで発送できます。

Q8. EMSとクーリエはどちらを使うべきですか? 関税を受取人に負担してもらう前提で少量を安く送るならEMSが向きます。関税を自社で負担して購入者の追加負担をなくすならクーリエが向きます。判断軸はクーリエ(国際宅配便)とEMSの違いを5項目で比較で確認してください。

まとめ|EMSの関税は「原則受取人支払い・米国は種別×価格で例外」

  • EMSの関税は原則として受取人が支払います
  • 米国向けは種別と価格で扱いが変わり、物品・販売品は2,500USドル以下なら100USドル以下でも差出人の事前支払いとDDP表示が必要、2,500USドル超は不要です(2026年9月時点)。書類と100USドル以下の個人間贈答品は従来どおりです
  • 米国向けは指定郵便局からの差し出しに限られるため、事前に取り扱いの有無をご確認ください
  • 日本側は20万円が分かれ目です。20万1円以上は輸出申告が必要で、代行手数料は2,800円/件です(2026年9月時点)
  • 物品を送るEMSは2024年3月1日から通関電子データの送信が必須で、手書きラベルでは引き受けられません

配送手段の比較は海外発送の手段と料金もご覧ください。EMS・DHL・FedExなどの国際配送キャリアと連携した越境EC向けの物流代行は、オープンロジの越境EC支援で確認できます。

記事監修者紹介

監修者・有田秀夫のイラスト 本人の写真NGでしたのでイラストです。こんな顔をしています。

有田 秀夫(ありた ひでお)

某大手物流企業にて業務設計や法人営業を経験後、老舗通販物流企業にて20年近く数多くのクライアントの物流課題を解決に導いてきた物流のプロ。

現職のオープンロジではその経験を活かし、物流ネットワーク開発に携わっている。

 

 

参考文献・出典

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オープンロジマガジン 編集部

物流プラットフォーム「オープンロジ」のマーケティングメンバーにて編成。物流のことはもちろん、ネットショップやマーケティングのことなど、EC事業者に役に立つ情報を幅広く発信していきます。

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