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近年、スマートフォンをはじめとしたモバイル端末の普及も手伝って、EC市場のEC化率は飛躍的に高まってきています。EC市場の将来性を見極める意味でも、最近の動向が気になっているという方も多いのではないでしょうか。
ビジネスの形態によっても多少異なるものの、BtoC、BtoB、CtoCのすべての分野においてEC市場は発展し続けています。そこで今回はEC市場のEC化率や日本のEC市場規模について徹底的に解説します。
日本国内のEC化率
日本国内のEC化率は世界に比べるとややゆっくりとではあるものの、着実に上昇しています。ここではBtoC、BtoB、CtoCのそれぞれの事例別に現状のEC市場についてご紹介します。
BtoC|世界と比較すると遅れているが年々上昇傾向にある
経済産業省の調査によると、企業が一般消費者向けに商品やサービスを提供するBtoCにおいて2019年時点の国内のEC化率は6.76%であると発表されています。前年の2018年度は6.22%であり、前年よりもさらに上昇幅を拡大しました。
2017年度から2018年度の上昇幅が5.79%であり、その前年が5.43%であることを考慮すると、伸び率は年々大きくなっているといえるでしょう。
市場規模は19.4兆円を記録し、前年の18.0兆円から7.65%の伸びを見せています。2018年度から2019年度にかけての8.96%増に比べると伸長率は若干緩やかではありますが、着々と成長しており、日本国内におけるBtoCの市場規模は右肩上がりであることが見て取れます。
また、分野別にみると物販系分野が最も高い比率を占めており、10兆515億円となっています。2018年度は9兆2,992億円であり、物販系分野に限ると8.09%の高い伸び率を達成しています。続いてサービス系分野が7兆1,672億円で伸び率7.82%、デジタル系分野が2兆1,422億円で伸び率5.11%という結果が出ています。
物販系分野においては「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」と「書籍、映像・音楽ソフト」がEC化率30%を突破しており、「事務用品、文房具」は40%を超えています。
サービス系分野で特に市場規模が大きいのは旅行サービスで、宿泊予約や飛行機・新幹線などの交通サービスの予約をインターネット経由で行う人が増えたことが要因のひとつとして挙げられます。
参考:https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200722003/20200722003.html
BtoB|市場は拡大傾向にある
企業同士の取引であるBtoBの分野でも、BtoC同様市場は拡大傾向にあります。2019年現在のBtoBの市場規模は353.0兆円であり、前年の344.2兆円から2.5%の増加を達成しています。BtoC市場に比べると伸び率はやや控えめではあるものの、市場規模自体がBtoCに比べて非常に大きいため、十分に拡大していると判断できるでしょう。
BtoBのEC化率は31.7%で、前年比1.5ポイント増加しています。BtoCだけでなく、BtoBの分野でも各企業が積極的にECを活用していることがこの資料からも確認できます。
前年に比べて「小売」「建設・不動産業」「食品」の3つの業種では規模が特に拡大しており、対企業向けの仕入れサイトなどが伸長していることが理由として挙げられるでしょう。
業種別にみるとEC化率が特に高いのは「食品」「電気・情報関連機器」「輸送用機械」の3つの分野で、いずれも50%を突破しています。
卸売は業界全体の規模が縮小しつつある中で、EC市場規模は微減だったもののEC化率自体は28.8%に上昇しています。大手スーパーマーケットでは流通BMSを基軸としたEDIの標準化が進められていることから、卸売業界もこれに対応する必要があり、結果的にEC化率が伸びたと推測されます。
調査対象となっている業種の中で前年よりもEC化率が低下している業種はなく、微増であってもすべての業種でEC化は進んでいます。今後もこの傾向が続いていくとみられ、BtoBでもさらにEC市場規模は拡大していくと予測されます。
CtoC|急速に拡大中
CtoCの市場規模は2018年度の1兆5,891億円から2019年度には1兆7,407億円に拡大しており、伸び率は9.5%と急速な拡大を見せています。CtoCに関する経済産業省の調査自体は平成28年度から始まっており、BtoCやBtoCの調査に比べて歴史が少し浅いものの、調査されている範囲内だけでも十分に拡大傾向がうかがえます。
CtoCの分野ではフリマアプリの伸長が顕著であり、9.5%の大幅な伸び率にはフリマアプリが貢献したと経済産業省の調査では結論付けています。フリマアプリ自体は2012年頃に登場していますが、スマートフォンなどの普及によって誰でも気軽に個人間の商品の売買が行える環境が整ったことが拡大の理由のひとつといえるでしょう。
以前はフリマアプリの利用者層は10~30代の女性が中心でしたが、最近では男性や高齢者層も積極的に利用するようになったことから、利用者層が広がったこともCtoC市場を拡大させている要因であるとみられています。
海外ではハンドメイド商品のCtoCによる取引が盛んに行われており、日本国内でも今後の市場拡大が期待されるといわれています。
ただし、今後も安定的な成長を続けていくためには「偽ブランドや不正取引が横行しない安全な取引環境の構築」が課題であり、どのように対策に取り組んでいくかが今後の市場規模の拡大にも影響するでしょう。
CtoCプラットフォームの提供者、実際に商品を取引する利用者、行政機関、消費生活センターなどが一体となって安全に取引できる環境を整えることで、CtoC市場がより健全に発展していくことが期待されます。
国内EC市場規模【BtoC】
前述の市場規模の項でも軽く触れましたが、さらに「EC化率の高いジャンル」「市場規模が大きいジャンル」の2つの観点からEC市場を詳しく紐解いていきましょう。
EC化率の高いジャンル
EC市場全体の中で最も大きな取引額を記録する物販系分野の中でも、特にEC化率が特に高いのが次の3つのジャンルです。
事務用品・文房具
事務用品・文房具は物販系分野の中でも特にEC化率が高く、2019年時点で41.75%もの高水準となっています。市場規模自体は2019年が2,264億円であり、2018年の2,203億円から2.76%の微増ではあるものの、前年が+7.57%で引き続き伸長していることを考えれば安定的に拡大傾向にあるといえるでしょう。
事務用品や文房具は単価が比較的安価な商品が多く、事前に用途が分かっているため安心して購入できるものが多い傾向にあります。ペンや消しゴムなど何度もリピートしているものであれば他の商品と併せ買いをするケースもあることなどが、EC化率が比較的高めに出ている要因のひとつといえます。
このカテゴリーのEC化率は2017年には37.38%とまだ30%代にとどまっていましたが、2018年から40%を突破するようになっています。他のカテゴリーと比べると市場規模が比較的小さいこともあり、今後も同様の動きを続けていけば50%を超える日もそれほど遠くないかもしれません。
書籍、映像・音楽ソフト
オンラインコンテンツを除く書籍や映像・音楽ソフトもEC化率の高いジャンルです。2019年の市場規模は1兆3,015億円で、前年比7.48%の市場規模拡大を達成し、EC化率は34.18%となっています。
とはいえ、全国的には出版市場の規模は縮小傾向にあり、2019年の出版業界の市場規模は 1兆2,360億円で前年比に比べて4.3%減少しています。書籍においてもBtoCの市場規模は現在のところ微増を続けていますが、今後は電子書籍が拡大して紙媒体の書籍の売上に影響する可能性も考えられます。
ただし、紙媒体の書籍は自宅で読み、電子書籍は外出先をメインにするなどの使い分けによってどちらの市場も維持されていくケースも想定できるため、市場の動向を注視する必要があるといえるでしょう。
オンラインコンテンツ以外の映像・音楽ソフトについてもBtoC市場は拡大していますが、同時に動画配信や音楽配信サービスも拡大しており、こちらも電子書籍のケースと同様に今後は配信に大きく傾いていく可能性も想定されます。
生活家電、AV機器、PC・周辺機器等
生活家電、AV機器、PC・周辺機器等に関するBtoCの市場規模は前年比10.76%の伸びを記録しており、市場規模は1兆8,239億円に達しています。EC化率は32.75%と全体の約3割であり、物販系分野の中でも特に高い比率だといえるでしょう。
このジャンルにおける販売者はECサイトを専門として実店舗を持たない小売事業者や、家電量販店が市場の中心となっています。食品などは「購入して食べてみて初めて味が分かる」ものであり、購入する際の判断材料が商品画像や説明文しかないECサイトでは購入のハードルがやや高いといえます。
一方、家電製品については「事前にある程度使い方や効果が分かる」という性質があるため、実際に商品が目の前になくても購入の判断がしやすいという点が高いEC化率につながっていると推測されます。
また、同じカテゴリーの製品同士を比較するサイトも多数登場しており、機能や価格などの詳細情報について十分な情報をユーザーが容易に得られるという点も影響しているものと思われます。
とはいえ、家電製品は単価が高い傾向にあり、1回あたりの注文が数万円~数十万円になることもめずらしくありません。実際には実店舗を持つ家電量販店へと足を運んで現物を確認し、販売スタッフから詳細な説明を受けた後でECサイトを通じて商品を購入するユーザーも一定数いることから、実店舗の存在も重要であるといえます。
市場規模が大きいジャンル
続いて、市場規模が大きい3つのジャンルを見ていきましょう。
衣類・服装雑など
衣類や服装雑貨などのいわゆるアパレルは、物販系分野の中で最も大きな割合を占めています。2019年のBtoBの市場規模は1兆9,100億円であり、前年比7.74%の伸長をみせて2兆円も目前に迫っている状況です。EC化率は13.87%で決して高い方ではありませんが、それでも少しずつEC市場への参入が進んでいるといえるでしょう。
アパレルは「着てみないと質感やフィット感が分からない」という性質上、従来はECを利用した購入は浸透しにくいという見方が強くありました。しかし、最近では技術の進歩もあってECで衣服を購入するハードルは下がりつつあります。
例えばユーザーが自分の写真を撮影してアップロードし、その写真に商品のイメージを合わせて仮想的に試着ができたり、サイズの変更ができたりする試みが心理的な抵抗感を薄れさせているとみられています。
また、実際に商品が届いた時にイメージと違ったりサイズが異なっていたりする場合に無料で返品・交換を受け付けるなど、安心して購入できるサービスを提供するショップが増えたこともEC化に大きく貢献しているといえます。さらにオムニチャネル化を推進して実店舗とECショップの相互活用が進んでいることも一因であるといわれています。
生活家電、AV機器、PC・周辺機器
前述のEC化率の項でも登場した生活家電、AV機器、PC・周辺機器は市場規模も非常に大きい分野のひとつです。全体のカテゴリーの中では「衣類、服飾雑貨」「食品、飲料、酒類」に次いで3位の1兆8,239億円の市場規模を有しています。
この分野は2019年の市場の伸び率も10%を突破していますが、これは消費増税前の駆け込み需要によるところが大きいとみられています。また、高性能なテレビの需要が高まったり、増税後に実施されたキャッシュレスポイント還元施策によって高額商品を購入する消費者の意欲が増大したりしたことが要因であると資料の中では述べられています。
生活家電はすべての物販系分野の中で最も「ショールーミング」と「ウェブルーミング」の割合が高いという結果が出ています。これは「実店舗で商品を見てからECサイトで購入する」「ECサイトで商品を見てから実店舗で購入する」ことをそれぞれ表しており、オムニチャネル化が有効であるといえるでしょう。
また、今後も同分野が堅調に成長していくためにはオンラインを駆使してアフターサービスの情報などを連携し、トラブル対応やメンテナンスへの需要にスムーズに対応できる環境を整えることが必要であることにも言及されています。
食品、飲料、酒類
実店舗も含めたすべての物販系分野の中で最も市場規模が大きいのは「食品、飲料、酒類」の分野であり、2019年においては個人消費の約4割にあたる60兆円規模であると推測されています。その中でBtoBは1兆8,233億円を記録しており、前年比7.77%となっています。
EC化率は2.89%にとどまっていますが、これは元となる取引額が巨大であることが原因であり、ECにおける市場規模としては決して小さなものではありません。
この分野に参入しているストアはさまざまで、大手のスーパーマーケットのネットスーパーや酒類販売業、菓子製造メーカー、飲料メーカーなど多岐に渡ります。日本国内の共働き世帯が増加していることから買い物に割く時間を節約したいなどの意向もあり、インターネットを通じた食品の購入は年々ニーズが高まっているといえるでしょう。
ネットスーパーは現在のところ10%強程度の利用率にとどまっているものの、今後利用したいと答えた人が30%以上いるという調査結果も出ています。食品分野におけるECの将来性は十分に高いとみられており、今後も堅調に発展を続けていくと予測されます。
参考:https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190516002/20190516002-1.pdf
EC化率上昇の理由とは
近年になってEC化率が高まっている背景には、スマートフォンの普及とコロナ禍による外出自粛などが影響しているといわれています。2つの観点からそれぞれ見ていきましょう。
コロナ禍によりオンライン需要が高まった
2020年初頭に猛威を振るい、長期にわたって世界に影響を及ぼし続けている新型コロナウイルス感染症によって、日本国内の状況も以前とは一変しました。
政府によって企業はリモートワークが推奨され、個人はできるだけ外出を控えるように要請されたことから実店舗へ足を運ぶ機会は劇的に減少したといえます。人々は実際に店舗へ行かなくても買い物を済ませられるECサイトを積極的に活用するようになり、結果的にオンライン需要が高まったことが、EC化率が上昇した要因のひとつであると考えられます。
これまで実店舗の販売を中心としていた企業もコロナ禍によって大きな打撃を受け、従来どおりの営業スタイルを維持するだけでは売上を維持できない企業も増加しました。このことも、ECを活用した販売に舵を切った企業が増え、オンライン化に向かいつつある理由のひとつです。
「巣ごもり需要」ともいわれ、コロナ禍による外出自粛でオンラインを通じてダウンロードできるテレビゲームの販売や、アプリを経由したフードデリバリーサービスなどが好調であったこともオンライン需要の高まりを感じさせる出来事の一端といえます。
スマートフォン経由での需要が増加している
誰もがスマートフォンやタブレットなどを所有する時代になり、一人一台専用のモバイル端末を持つことはめずらしくなくなりました。4G回線が一般化して一部地域では5Gもサービスが開始された現在では、モバイル端末でも高速な通信が可能になり、どこからでも快適にインターネットを楽しめるようになっています。
そのため、スマートフォンを経由したECサイトの需要が増加しているのもEC化率増加の一因といえるでしょう。パソコンを起動してインターネットを立ち上げ、欲しい商品を探して注文情報を入力して決済するよりも、手元のスマートフォンで好きな時間に好きなタイミングで商品を購入できる環境を好む人は少なくありません。
あらゆる情報が高速で手に入るようになった現代においては、欲しいと思ったタイミングで商品を購入しなければすぐに別の情報が流入し、購入機会を逃してしまうことも十分に考えられます。そういった意味でも、購入を決意してから注文までのタイムラグが少なくスムーズに手続きを完了できるスマートフォンは適した媒体であるといえます。
これからECに参入するときに押さえておきたいポイント
ここからは、これからECに参入するにあたって特に押さえておきたい5つのポイントをご紹介します。
ポイント1:EC市場の最新動向に注目する
ECサイトの製作だけに注力するのではなく、EC市場の最新動向にもアンテナを張って常に情報を仕入れましょう。
現在のところEC市場はBtoC、BtoB、CtoCすべての分野で成長を続けていますが、今後何らかの要因でこの傾向がストップしないと言い切ることはできません。情勢が急激に変化した時にスムーズに対応できるようにするためにも、最新情報をつかんでおくことは大切です。
EC市場の中でも伸び率が高い分野と低い分野があり、中には業界自体は縮小傾向にあるケースもみられます。参入する分野を決める際には、その業界には将来性があるのかどうかを業界全体とEC市場の双方の観点からよく検討する必要があるでしょう。
ただし、あえてニッチな分野を狙う方法もあるため、場合によっては縮小傾向にある業界であっても参入する価値があるケースもあるかもしれません。自社がどのような商品を扱って、どういった方向性で事業を拡大していきたいのかを明らかにしてからECに参入することが重要です。
ECを取り巻く環境は目まぐるしく変化しており、次々と新しい技術が登場しています。競合企業に遅れを取らないためにも、情勢の変化を常に意識しておきましょう。
ポイント2:オムニチャネル化を積極的に採用
実店舗やECサイトなど、リアルとインターネットのあらゆるチャネルを活用した販売戦略を積極的に活用することは重要です。例えば自社のWebサイトでクーポンを発行し、そのクーポンを実店舗で提示すると商品が割引になるキャンペーンなど、自社が持つさまざまな媒体を相互に連携させて利益をもたらす仕組みを構築しましょう。
実店舗とECサイトで会員情報を統合し、どちらで買い物をしても共通のポイントが貯まるシステムを採用している企業もあります。この取り組みはユーザーにとって利便性と顧客満足度を向上させ、ユーザーの囲い込みに役立ちます。
オムニチャネルのチャネルとして使われる代表的な媒体としては、ECサイトや実店舗の他にSNSや屋外広告、カタログやマスメディアなどが挙げられるでしょう。
テレビで特集されたお店が「〇〇の番組を見たと伝えてくれたら先着〇名様にプレゼントを差し上げます」などの企画を行っているのを見たことがある方もいるかもしれませんが、これも広義にはオムニチャネル戦略のひとつといえます。
他にも「チラシに掲載されているクーポンコードをアプリ上で入力するとお会計から割引される」「SNSのフォロワーが〇人以上の方が写真を掲載してくれる場合はお料理1品無料」など、オムニチャネルはアイディア次第で幅広い戦略を実行できます。
ポイント3:モバイルコマースを意識したストアを作成
最近では、ECサイトのショッピングはスマートフォンを利用する人が圧倒的に多くなりました。全体の7~8割の人がECサイトで買い物をする時はスマートフォンから閲覧するともいわれており、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末で商品を購入する「モバイルコマース」を意識したストアの作成は必要不可欠であるといえます。
ECサイト製作の際は、パソコンからだけではなくモバイル端末からでも見やすく使いやすいサイト作りを心がけましょう。閲覧する端末の画面サイズに応じて自動的に表示を最適化する「レスポンシブ対応」もモバイルコマースには有効です。
スマートフォンで閲覧した際にも商品画像を鮮明に閲覧できるかどうかを確かめて、購入の導線をしっかりと設計することが大切です。
従来は存在しなかったモバイル決済サービスも数多く登場しており、場合によってはモバイルコマース特有の決済サービスに対応する必要もあるでしょう。中にはキャリアの通信費用と合算して代金を支払えるキャリア決済などもあるため、決済システムも十分に検討する必要があります。
ポイント4:WEBマーケティングのトレンドを押さえる
ECの世界はWEBマーケティングのトレンドの移り変わりが激しいため、現在は最先端の手法であってもすぐに廃れてしまう可能性があります。トレンドを押さえて、最新の手法をうまく取り入れながらユーザーに訴求することが大切です。
例えば日本においてもSNSは非常に多くのユーザーを抱えていますが、SNSの中でもWEBマーケティングの手法は少しずつ変化しています。
最初の頃は企業が運営するSNSアカウント上で商品の宣伝やキャンペーン情報を発信するだけに過ぎなかったのが、最近では「ライブコマース」と呼ばれるライブ配信を通じた販売手法なども少しずつ浸透してきています。
ライブコマースでは配信中の質問などを通して双方向のコミュニケーションをはかれるなど、現状では企業とユーザーの距離がより近づいているといえるでしょう。また、Instagramでは写真が投稿から24時間で消える「ストーリーズ」の機能なども登場し、企業の中にはその機能を活用したマーケティング戦略を採用しているケースもあります。
刻一刻と変化するトレンドを押さえてユーザーの興味・関心を引き付けるWEBマーケティングを行うことが、売上の向上を実現する近道です。
ポイント5:物流の課題を意識
EC事業を始めるにあたって切り離せない問題のひとつが物流です。自社のECサイトを開設したらどのようにユーザーに商品を届けるのか、あらかじめ慎重に検討しておく必要があります。商品の販売を開始してしまってからトラブルが起こると自社の信頼を大きく低下させてしまうため、円滑な運営のためにも事前準備を万全にしておくことが大切です。
物流を自社で用意する場合はどこに拠点を設置するのか、設備はどの程度整えるのか、スタッフは何名くらい採用するのかなど、考えなければならないことはたくさんあります。スタッフもアルバイトやパートを活用するケース、一部のスタッフを人材派遣会社から調達するケースなど、さまざまな選択肢を選べるでしょう。
また、商品はどのような保管方法にするのか、配送ルートをどのように設定するのかなどもスムーズな物流業務の遂行には重要です。トラックの手配先を決める作業などもあるので、十分な時間をかけて一つひとつの要素を確認しながら立ち上げを進める必要があります。
【コラム】物流はECのキーポイント?
ECサイトを運営するにあたって、物流業務をどれだけスムーズにこなせるかは重要なキーポイントになります。なぜ物流が重要なのか、3つの観点からご紹介します。
近年、配送スピードや荷姿など商品以外の要素が重要視されている
かつてはインターネットを通じてショッピングを行う機会はそれほど多くなく、現在のように誰もが日常的にさまざまなショップから荷物を受け取ることはありませんでした。そのため、速達のような有料サービスを除けば配送日数よりも正確に届くことが重要であり、荷姿にもこだわるユーザーは決して多くなかったといえるでしょう。
しかし、近年では数え切れないほどのECサイトが登場しており、他社との差別化をはかるにあたって配送の品質も重要視されるように変化してきています。
ユーザーは同じ商品を購入するのであれば1日でも早く商品が届くショップを選ぼうとする傾向にあるため、物流業務をスムーズに処理して配送のリードタイムを短くすることで顧客満足度を高められます。また、従来のような「商品が届けば良い」という考え方は変化して「きれいな状態で届くかどうか」もチェックされる項目のひとつになっています。
商品によっては、箱も含めて商品の魅力を表現しているものもあります。せっかく届いた商品の外箱が傷ついていたり破損していたりすれば、中身の商品が無事であってもクレームの原因になるでしょう。
このように現在の配送は「早く正確に、きれいな荷姿で」商品を届ける必要があり、ユーザーの期待に応えるためには高品質な物流を用意しなければなりません。
自社物流は課題が多く発生しがち
自社で物流体制を整えようとすると、さまざまな課題が発生しやすい傾向にあります。まずは「物流に割かなければならないリソースが多すぎてメイン業務が疎かになりがち」という問題です。
特に小規模事業者に多くみられますが、物流業務とその他の業務を並行して担おうとすると荷量の変動に振り回されやすくなるという欠点があります。
物流は日々同じ量の注文が入ってくるわけではないため、急激に注文が増加するとメイン業務に割ける時間が激減し、集客や広告施策などのマーケティング活動が滞ったり、新商品の企画がままならなかったりするリスクが考えられます。
また、スタッフを増減しにくいという問題もあります。自社で採用した物流スタッフは簡単に増減することが難しいため、波動による注文の増加に対応しきれず配送遅延や出荷ミスを招いてしまう可能性もあるでしょう。
逆に、閑散期で余剰人員が発生しているにも関わらず、繁忙期に同じ人数のスタッフを確保できるかどうかが分からないため同じ体制を維持しなければならないケースも少なくありません。さらに、まだ事業を始めたばかりで手元資金がそれほど多くない事業者にとっては設備投資の費用を捻出するのが難しいという懸念もあります。
物流外注を検討するのも手段のひとつ
自社でスムーズに物流業務を処理するには、十分なスキルやノウハウを持ったスタッフと豊富なリソース、さらには設備投資費用も必要になります。万全の物流体制を整えるのが難しいと感じた時は、物流の外注を検討するのも手段のひとつです。
物流業務に振り回されてメイン業務に集中できない環境から解放され、より生産性の高い業務に注力できる環境を整えることで、結果的に自社の売上拡大にもつながるでしょう。
自社で物流を用意する場合はスタッフを採用し教育するプロセスが必要になります。しかし、外注であれば豊富な経験を持ったプロのスタッフが対応するため、自社でマニュアルを用意したり研修を実施したりする必要はありません。
経験の浅いスタッフに業務を任せるとヒューマンエラーが起こりやすくなりますが、外注してプロに任せることで物流の品質を維持できるため、美しい荷姿を保ったまま迅速にユーザーのもとへ商品を届けられます。
何らかの原因で注文が急激に増加した場合でも柔軟にスタッフを増やして対応できるため、慌てることなく日々の業務に取り組めます。
【ご紹介】オープンロジなら独自資材から物流まで一気通貫で対応可能
オープンロジではお持ち込みの独自資材の活用から物流の自動化まで一気通貫で対応可能です。ここでは、弊社のサービスについて簡単にご紹介します。
商品の温度帯に関係なく物流を外注できる
温度管理が必要不可欠な商品を取り扱っていると、自社で物流を構築する難易度は格段に上がります。コールドチェーンは一つの温度帯に対応すれば良いわけではなく、商品の性質によってさまざまな温度帯があるため、個々の商品に合わせた適切な温度管理が必要です。
商品が入荷した時点で速やかに所定の場所へ入庫し、入荷時の品質を落とさないようにモニタリングし続けなければなりません。このことから、一般の倉庫に比べると管理者に求められるスキルは高くなる傾向にあります。
また、設備への初期投資も一般的な倉庫と比較すると大がかりになるため、まとまった予算を用意しなければならないでしょう。単に商品を保管しておくだけでなく、冷凍・冷蔵し続けるための温度管理にかかる電気代も考えると、ランニングコストは常温の商品を保管する倉庫に比べて大幅に上がる可能性が高いといえます。
オープンロジではあらゆる温度帯の商品に対応したコールドチェーンを用意しているため、小規模事業者やスタートアップ企業など、自社で冷凍冷蔵商品を扱うのが難しい場合でも商品ごとに適した温度帯で物流の自動化を実現します。
「売りたい商品があるにも関わらず設備面で諦めなければならない」とお悩みの方も、まずはオープンロジにご相談ください。
独自資材も小ロットから作成可能
商品を配送する際にそのお店独自の外箱で届くと、ユーザーに特別感を感じてもらえます。他にも自社が展開するキャンペーンに合わせて期間限定のデザインで配送するなど、状況に応じて自社の独自資材を使いたいという希望をお持ちの方も多いでしょう。
オープンロジでは「他社と差別化できるオリジナルの資材を使いたい」というお客様のご要望にお応えするために、独自資材サービスをご用意しています。
これまでは一定規模以上の荷量がなければ独自資材をお引き受けするのが難しい状況にありましたが、提携倉庫を用いることで比較的小ロットでも独自資材を活用できるようになりました。自社のロゴマーク入りの外箱でブランド力を高めるなど、使い方次第でさまざまな効果を発揮します。
配送されてきた商品を開封する時に真っ先に目に入る外箱は、ユーザーにとって小さな楽しみのひとつであり、企業にとっては自社をアピールする機会でもあります。
これまでまとまった荷量がないことを理由に独自資材の利用を諦めた経験をお持ちの方でも、オープンロジであればお引き受けできる可能性があります。ロゴマーク以外のデザインについても応相談でお受けしておりますので、自社の要望を取り入れたい場合もまずは諦めずにご相談ください。
EC市場は未だ急成長中!しっかりと情報を把握することが大切
EC市場は急成長を続けており、これからの参入でも非常に魅力的な分野であるといえます。世界と比較すると成長はやや緩やかではありますが、まだ成熟しきっていない市場だからこそ今後の成長も十分に期待できます。
特にアパレルや食品、家電製品などの物販系分野は市場規模も大きく、参入済みの企業もバラエティーに富んでいます。オムニチャネル化やモバイルコマースに留意しながらECサイトを製作することで、大きく販路を拡大するチャンスをつかめる可能性はあるといえるでしょう。
EC市場に参入するなら、物流は重要なキーポイントになります。スムーズに商品を配送できる体制を整えるのであれば、自社で物流を担うのではなく外注を検討するのも手段のひとつです。オープンロジでも温度帯に関わらず利用でき、独自資材にも対応可能な倉庫をご用意していますので、物流の外注をご検討の際はお気軽にお問い合わせください。
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