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インターネット上で資金を集める方法として、現在さまざまな要素で利用されているクラウドファンディングですが、目標が達成した後に支援のお礼として製品や商品を「リターン」として送付する形が多くあります。
そしてプロジェクト終了後に支援者の方へのリターンの送付が遅れてしまうと、一気に起案者の印象が悪くなり、最悪の場合はSNSなどのインターネット上で炎上してしまうこともあります。そのためリターン商品の迅速な対応が必要となりますが、プロジェクトが大きくなればなるほど、配送に時間と手間がかかってしまうもの実情です。このような事態を避けるために、クラウドファンディング終了後の配送を代理してくれる業者があるのをご存じでしょうか。
今回は、クラウドファンディングで利用できる配送代行業者とクラウドファンディングの詳細についてご紹介します。
クラウドファンディングで利用できる配送代行業者4選
オープンロジ
出典:https://service.openlogi.com/
オープンロジは固定費ゼロ・従量課金で国内はもちろんのこと、海外発送も対応可能な物流アウトソーシングサービスを提供している会社です。
クラウドファンディングサービスの「Makuake」をはじめとする複数の国内クラウドファンディングサイトとの提携を行うなど、クラウドファンディングを行う人に対しても配送代行サービスを提供しています。
有料オプションとして不明個口対応や不明商品対応などもサービスとして提供しており、想定外のことが発生しても柔軟に対応してくれるため、一つのプロジェクトで多くの量を発送しなければならないクラウドファンディング起案者の方にも支持されています。
実際にクラウドファンディングを成功した後、オープンロジを使って発送手配を行った事例もホームページに公開されており、自社で配送していたときよりも返送率が大幅に改善したという声もあります。
国内はもちろんのこと、海外発送に豊富な経験と実績があるオープンロジに依頼することで、専門知識が必要な場面でも物流業務の不安は一掃されるので安心してお任せすることができます。
富士ロジテックグループ
出典:https://www.fujilogi.co.jp/
全国各地に物流拠点を展開し、食品や文書、アパレル、精密機械などさまざまな貨物を取り扱っている富士ロジテックグループは、クラウドファンディングの大手サイト「Makuake」「CAMPFIRE」などと提携を行い、クラウドファンディングのリターンに関する国内配送サービスも提供しています。
富士ロジテックグループが提供しているサービス特徴としては「箱を開ける瞬間を忘れられない素敵な体験にするために」というコンセプトのもと、配送するパッケージを選ぶことができるサービスです。「Canal」というオリジナルパッケージを提供しているサイトとの連携を行っているため、リターン発送者は「Canal 」から専用資材を選んだ後、梱包方法の打ち合わせを行います。ブランディングされたパッケージと梱包方法など細部までこだわることができるため、リターン商品が届いた瞬間から支援者の方へ好印象を残すことができます。
パッケージの細かいところまでこだわることは、ブランディングとしても意味が大きく、支援者の方に大きなブランド体験を提供できます。プロジェクトを一回だけでなく継続してブランド運営を続けていく方にとっては、さらにプラスした価値を配送で提供できます。
セカイロジ
Tokyo Otaku Mode Inc.が提供する物流アウトソーシングサービス「セカイロジ」は国内最大のクラウドファンディングである「CAMPFIRE」との国内外に向けた配送代行連携を行っています。
今はクラウドファンディングは国内だけでなく、海外からも出資を募るパターンも増えている現状から、海外発送を強みとしている「セカイロジ」はさまざまな面でリターン発送者をサポートしてくれます。具体的には、国内発送に比べて割高かつ輸送日数がかかる海外発送において、取扱商品に関する最適な輸送方法やコストやニーズに合わせた対応を提案してくれることが挙げられ。
運営元のTokyo Otaku Mode Inc.が日本のアニメ・マンガ・ゲームなどの「オタクカルチャー」を全世界に送り届けることを目的とし、さまざまなものを海外へ届けるECサービスなど海外向けに展開していることから、これまで130ヶ国以上に配送実績があるのも安心できるポイントと言えるでしょう。そのため、海外へのリターン発送が多い方は一度検討してみてはいかがでしょうか。
ティーツーケー
岡山県に本社を構え、数々の物流発送代行を手掛けてきた「ティーツーケー」もクラウドファンディングの配送代行の対応を行っています。
多くの配送代行アウトソーシングサービスでは、基本的に長期契約が求められるのに対し、ティーツーケーはピンポイントの大量発送も受け付けているなど、柔軟な対応を行っています。入庫・出庫だけに一時的に倉庫を借りることもできるのは嬉しいポイントです。
そして配送代行を依頼した際には、資材や発送サイズなどの細かいところにも事前に打ち合わせを実施しています。。初めてのクラウドファンディングでなおかつ大量の商品発送の経験がないなど、物流に関して不安がある方もに対して充実のサポートをしてくれるでしょう。
LogiMoPro
EC向けの物流サービスを提供する株式会社清永が運営する物流代行サービス「LogiMoPro」でもクラウドファンディング向けの配送代行サービスを提供しています。
クラウドファンディングのリターン商品は、多くの商品が一般配送で郵送できる小型の商品が多い傾向にあります。しかし、一部自転車や家電などの通常の一般的な配送業者では断られるサイズの商品を提供している場合もあります。そのようなケースに対しても、LogiMoProは物流のプロとして柔軟に対応。ある一定期間にリターンの発送が一気に集中しても対応できるだけの物流体制が整えられているだけでなく、利用に固定費用が発生しないこともあり、スポット的にLogimoProを利用しているケースもあるようです。
そしてサービス自体はクラウド型システムで連携&依頼可能なので、すべてオンラインで手配できるのも、時間に追われる事業者の方に助かるポイントであるといえるでしょう。
クラウドファンディングの概要
クラウドファンディングとは
クラウドファンディングとは、インターネットを通じて自分の活動や製品情報を発信することで、その活動に共感や応援してくれた人から資金を募る仕組みです。
そして一言でクラウドファンディングといっても、いくつかの方法に分かれており、プロジェクト終了後の対応なども変わってきます。下記では主流とされている3つのプロジェクトの進め方についてご紹介します。
購入型
クラウドファンディングの一般的な方法として「購入型」というプロジェクトの起案者が目標金額を設定し、アイディアに共感してくれた支援者に向けて目標達成後にてリターンとして商品やサービスを届ける形のプロジェクトがあります。
スタートアップやこれから起業する方が資金調達を目的でプロジェクトを活用したり、最近では事前に企画した商品がどれぐらいの反響が得られるかを確認するために、テストマーケティングやPRとして利用されることもあります。
購入型でも2つタイプがあります。
「All or Nothing型」は目標達成を行わない限り、発案者が集まった支援金を受け取れない仕組みのプロジェクトです。その場合は主に新しい店舗を作ったり商品開発をこれから始める場合が「All or Nothing型」形で始められます。
「All In型」は募集開始時点ですでに実現することが決まっており、発案者は目的達成の有無にかかわらず支援金を受け取ることができ、支援者もリターンとして返礼品がもらえるがプロジェクトが対象になります。
投資型
投資型クラウドファンディングは以前は日本の法律により実施まで大きく壁がありました。しかし2015年5月に法律が改正されたことにより、2017年以降に日本でサービスが開始されたものであるため、クラウドファンディングの中では比較的新しいサービス形態になります。この投資型は別名「金融型」という名前で呼ばれることもあります。
そして「投資型」はこの中にも「ファンド型」と「ソーシャルレンディング型(融資型)」「株式型」の三つに分類されます。
「ファンド型」は企業が資金調達の方法として、特定のプロジェクトごとに出資を募るものになります。ファンド型は事業の売上に基づいてリターンが決定されるものとなり、売上目標が達成していないと元本割れのリスクもあるものになります。そしてリターンは「利払い」ではなく「配当」で受け取るので、事業の売上に応じて分配金が変動します。そして金銭的なものではなく、商品やサービスとして利用できるチケットをリターンとして設定するところもあります。そして「ファンド型」の中には社会問題の解決などソーシャルグッドに特化したプロジェクトが多いのも特徴です。
「ソーシャルレンディング型(融資型)」は「お金を借りたい人」と「お金を貸したい人」を仲介するサービスです。この手法は主に不動産を中心に広がっており、資金調達したい企業と出資者の間にクラウドファンディング事業者が入り、出資を募る形になります。
事業を始めるたい方にとっては銀行以外からの融資が受けられるというだけでなく、出資者のメリットとして高めに金利が設定されていることが多いためにリターンとして高い利回りで分配金を取得できるという点があります。少額からも支援が可能なので参入時のハードルは低いといえるでしょう。プロジェクトごとに支援するファンド型と異なり、ソーシャルレンディング型は、企業に融資する形となります。
「株式型」は未上場の株式会社に投資することで、未公開株を取得できるクラウドファンディングの手法になります。こちらも事業をスタートする方にとっては資金調達の一つの方法となりますが、出資者としては将来取得した株式が大きなリターンとして期待できることがあります。このようなメリットから出資者はビジネスを支援しながら、リターンを狙い投資目的としてクラウドファンディングの出資者となるのです。
デメリットとしては未公開株を取得した先が倒産するリスクや、未公開株の期間が長いことです。したがって当たれば大きなリターンが期待できるものの、リスクも大きくなります。この手法は最先端技術を活用して起業するベンチャー企業が資金調達の一手段として利用するケースが多く、投資家としては未来ある企業を探すエンジェル投資家が多くいる傾向があります。
寄付型
特にリターンなどは設けておらず、寄付のような形でプロジェクトが進められるのが「寄付型」とされる方式です。主にプロジェクト主催側の目線としては、震災などの被災者の方に対するプロジェクト、研究調査活動など公益性の高い目的で進められることも多く、NPO法人や自治体、公益財団法人や学校などが主催となっているものもあります。中には映画制作や音楽ライブの開催などエンタメ系のプロジェクトでファンの方へ寄付を募る物もあり、お礼として写真や経過報告などを受け取れる場合があります。
発案者としてのメリットはクラウドファンディング事業者が達成までサポートしてくれるので、初めてでも簡単に始められるだけでなくリターンが必ずしも求められるものではないので、金銭的な負担が少なくて済みます。支援者としても社会課題の解決に貢献できるだけでなく、寄付先が公益的な団体であれば、寄付金控除を受けることも可能です。
国内でのクラウドファンディングの現状
アメリカから始まったクラウドファンディングですが、日本では2011年に「Ready for」が初めてのクラウドファンディングサイトとしてサービス提供を始めました。
クラウドファンディングの認知度についても、42.0%がクラウドファンディングを認知しており、中でも20代では半数以上がクラウドファンディングを「知っている」と答えているという結果があります。そして実際に支援を行った人の割合を見ても5.4%の方が購入型、5.1%の方が寄付型のクラウドファンディング支援経験をあり、こちらも20〜30代は平均よりも上回る数字が出ています。
「支援した理由」を答える項目を見てみると、年代別で理由が異なるります。
20代では「他では手に入らない商品や新しい商品をいち早く手にできるため」という「商品」に対する理由が回答の比率が高い結果となっていますが、60歳以上では「応援したい人を直接支援できる」「社会に貢献できる」など「人」を理由に支援を行っているのが主な特徴として挙げられます。
市場規模
日本でクラウドファンディングが始まって10年近く経ちますが、クラウドファンディングサイトが増加するのと比例して、年々市場規模は拡大しています。
2020年9月に公開された消費者庁の資料によると、2019年の時点で購入型と寄付型のクラウドファンディングの市場規模は169億円で、2017年の77億円、2018年の115億円と比較しても拡大傾向にあります。
また日本におけるクラウドファンディング市場の金額構成については、取引される金額が大きいこともあり、融資型が全体の86.8%を占めており、購入型が寄付型と含めても12.7%を占めています。
クラウドファンディングのリスク
リスク1:資金が目標金額に達しない
クラウドファンディングは個人でも大きな資金を得られるというメリットはありますが、種類によっては、目標金額に達成しなければ資金が調達できない場合が発生します。つまり、90%までプロジェクトが達成していても1円も入ってこない可能性もあるのです。
クラウドファンディング運営サイト「Readyfor」によると、日本のクラウドファンディングの成功率は30%程とされています。したがってクラウドファンディングは確実な資金を調達できる手段ではないので、最初からクラウドファンディングだけを当てにしてプロジェクトを運営するのはややリスクが高いといえます。
そしてクラウドファンディングで目標を達成するには、公開から5日以内に達成率が20%になると成功確率が90%近く、10%近くになると成功率が約70%になるというデータもあります。このようなデータから見ると、クラウドファンディングはスタートダッシュを成功させることが大きなポイントとなるだけでなく、それに関連した準備や施策が求められます。したがって、プロジェクトが始まる前の事前の広報や始まった後はSNSなどでの発信はもちろんのこと、最新情報を積極的に更新するなど細々とした対応ができるかどうかが、成功の鍵を握るといえるでしょう。
リスク2:ネガティブな意見を受ける可能性
クラウドファンディングは積極的に発信することがプロジェクトの成功に繋がるなど、SNSとの結びつきがとても強いものになります。したがって、プロジェクトの目的があまりにも個人的な事情に基づくものであったり、記載内容が倫理的に問題がある内容であったりする場合は、SNS上などで批判を受ける可能性もゼロではありません。
クラウドファンディング運営サイトに投稿するときには投稿前に審査があるところもありますが、一度掲載許可された後にプロジェクトが炎上してしまうと達成が難しくなり、最悪の場合プロジェクトそのものも実行できなくなるという事態も考えられます。
クラウドファンディングを成功させるためには、多くの人からの支援を頂く必要があるため、プロジェクト自体に共感を得る必要があります。掲載サイトに詳細を記載する際にはプロジェクト自体の細かい内容はもちろんのこと、積み重ねてきた思いなどを丁寧に伝える必要があります。そして掲載する前に本当に資金を提供してもらうにふさわしいプロジェクトかどうかなど、一歩引いた目線で考えることも大切になります。
そしてクラウドファンディングはプロジェクトの目標が達成すると、キャンセルができません。プロジェクトの途中で失敗に終わった場合も、多くの批判を受ける可能性があります。プロジェクトをスタートする場合は、プロジェクトが最後まで遂行できるかどうかも検討した上で慎重にプロジェクトを始める必要があるといえるでしょう。
リスク3:リターン配送時のアクシデント
リターンが設けられているプロジェクトの場合は、プロジェクト終了後に支援者の方へ商品を発送する必要があります。しかし、起案者が発送まで手間取ったり時間がかかったりすることで「商品が未だに届いていない」などとSNSで炎上してしまったり、起案者と支援者間でのトラブルに発生するケースが過去に発生しています。
このようなトラブルを防ぐために、起案者はプロジェクト終了後はすぐに支援者の方へのお礼とリターンの発送予定について、連絡を行いましょう。このときにいつぐらいに手元にリターンが届くかも一緒に記載することで、支援者の方に安心を与えることができます。
商品自体が開発途中である場合は、随時現状を共有するのもおすすめです。そしてどちらの場合でも余裕を持ってリターンの送付時期を設定するのも重要になります。ちなみに大手クラウドファンディング運営サイトの「Makuake」によるとプロジェクトから半年以内に届けるように推奨しています。
そして予想を超える支援が集まった場合などリターン品の送付が膨大な数になり、発送作業に時間がかかる場合もあります。そのような事態を防ぐために配送代行業者などを使って、プロに物流作業をお任せするのも、アクシデントを避ける一つの手段となります。
クラウドファンディングはこれからの伸びしろに期待できる領域
ここ10年で急速に普及してきた資金調達の方法であるクラウドファンディングですが、今もなお市場が拡大しているだけでなく、個人でも大きな支援金を集めることができることができるため、使い方次第では大きな可能性が広がるものになります。
クラウドファンディングを行う場合は、事前にメリットデメリットを正しく把握した上で、自分の目的達成のために上手に活用しましょう。