越境ECといえば中国やアメリカを対象国と考える事業者様が多いですが、越境ECのターゲット国として台湾を視野に入れている事業者様も多くいらっしゃいます。中国やアメリカを対象にして行う越境ECにそれぞれ特徴があるように、台湾を対象にした越境ECにも押さえておきたい特徴やポイントが多数あります。
今回は越境ECの中でも台湾に注目し、知っておきたいメリットや市場規模、押さえておきたいポイントや台湾で人気の越境ECモールなど、台湾を対象国とした越境ECについて詳しくご紹介します。台湾を対象国として越境ECを検討している事業者様は、ぜひ参考にしてください。
台湾越境ECの基礎知識
ここでは台湾越境ECについて押さえておきたい特徴や気になる市場規模について、詳しくご紹介します。
台湾越境ECの特徴
中国やアメリカに特徴があるように、台湾の越境ECにも台湾ならではの特徴があります。
特徴1:親日家が多い
台湾は言わずと知れた親日国です。
そのため日本製品の人気が高く、ひとつの製品に対してのリピーターも多くいます。日本へ訪れるインバウンドも年々増加傾向にあるため、日本を訪れたことをきっかけに日本製品を購入する消費者は、これからも増えていくことが予想されます。
※出典:JNTO 訪日旅行データハンドブック2019年
特徴2:日本製品への目が肥えている
台湾は既に日本製品を身近に使用している消費者が多いため、日本製品への目が肥えていることも特徴に挙げられます。
国によっては日本製品というだけで購入を促進する効果があります。しかし台湾では日本製品というだけではなく+αで商品の魅力や性能を伝えることが必要とされます。
特徴3:インターネット環境が整備されている
台湾はインフラが充実しています。インターネット環境が整備されているため、ECサイトを利用する消費者が多いのも特徴として覚えておきたいところです。
越境ECを行うにあたりインターネット環境は重要な項目のひとつです。インターネット環境が整っていないとEC自体を利用する消費者が少ないため、対象国にして進出したとしても利益を望むことが難しいのです。
台湾は公共の施設な観光地などの場所に無料のWifiが設置されているところが多く、インターネットのインフラが充実しています。イ
台湾越境ECの市場規模
ここでは台湾越境ECの市場規模について紹介します。
※出典:台灣電子商務金額預估,資策會(2015)
台湾越境ECの市場規模は年々拡大の一途をを辿っています。インバウンドも年々増加しているので台湾の市場規模はこれからさらに拡大していくことが予想されます。
中国やアメリカもこれから規模拡大が期待できる市場ですが、その二か国に並んで台湾も期待できる市場なのです。
関連記事:
越境ECとは|越境ECの基本や市場規模、メリットやデメリットなどを詳しくご紹介
台湾越境ECのメリット
ここでは台湾越境ECを行うことによって得られるメリットについて詳しくご紹介します。
メリット1:日本製品の人気が高いため売上に期待ができる
台湾越境ECのメリット1は、日本製品の人気が高いため売上に期待ができることです。
台湾は親日家が多いことが特徴です。また日本製品への好感度も高く、利用している消費者が多いです。事実、日本を訪れた台湾の観光客の1人あたりの支出額で最も多いものは、買い物代という統計結果が出ています。
※出典:JNTO 訪日旅行データハンドブック2019年
自国に戻ってからも越境ECを活用して日本製品を繰り返し入手しているリピーターも多く、日本製品を使用しているリピーターを越境ECの顧客として定着させることができたら、安定した収益を望むことができます。
メリット2:可処分所得がしっかりとあるため収益が望める
台湾越境ECのメリット2は、可処分所得がしっかりとあるため収益が望めることです。
日本政府観光局(JNTO)の資料を参考に見てみると、日本と台湾の可処分所得の傾向は金額に差はあるものの、類似していることが分かります。
※出典:JNTO 訪日旅行データハンドブック2019年
台湾の平均賃金は低いのに、なぜ可処分所得が発生するのか疑問に思う事業者様も多いのではないでしょうか。台湾は日本より平均賃金は低いですが、物価自体も低いこともあり、可処分所得が発生するのです。
発生する可処分所得の金額は日本よりもやや低い金額ですが、2008年のデータと比較すると充分に発生しているため、台湾で人気の高い日本製品を購入する人が多いことの裏付けになると言えます。
メリット3:距離が近く越境EC進出の足がかりに最適
台湾越境ECのメリット3は、距離が近く越境EC進出の足がかりに最適なことです。
台湾は日本の南側に位置しており、中国やアメリカよりも物理的に距離が近いです。近距離にある国なので、外国といえどアメリカなどの遠距離にある対象国と比較した場合、配送料などのコストが安価で済みます。
また距離が近いため、トラブルがあった場合でも遠方の国を相手に対応するときよりも、短期間で問題を解決することができます。
そのため越境ECにチャレンジしてみようとしている初心者の事業者様には、越境EC業界に進出する足がかりに最適な国だといえるでしょう。
台湾越境ECの押さえておきたいポイント
台湾を相手にした越境ECでは、いくつかの押さえておきたいポイントがあります。
ここでは、台湾越境ECの押さえておきたいポイントをご紹介します。台湾を対象国にした越境ECを開始しようとしている事業者様はぜひ参考にしてください。
現地のニーズに合わせた支払方法を導入しよう
対象国によってポピュラーな支払方法は異なるため、現地のニーズに合わせた支払方法を導入する必要があります。
とても魅力的な商品があったとしても、消費者の希望に合った支払方法が用意されていなければ、カゴ落ちを招くことになりかねません。一度購入しようと思った消費者の心を離さないためにも、支払方法を定める時には、必ず現地の支払方法を事前にリサーチしましょう。
台湾越境ECでポピュラーな支払方法は日本と同じくクレジットカードや銀行振込です。その他にも代金引換やコンビニ払いなど、多種多様な支払方法が利用されています。
しかし台湾は日本ほどクレジットカードが普及していないため、現金で支払いたいというニーズも見捨てることはできません。できる限り数多くの支払方法に対応することができるのが望ましいでしょう。また商品の受け取り方法はコンビニ受け取りを選択する消費者が多いのも、台湾越境ECの特徴です。
関税の手続きが複雑なため事前の下調べが重要
関税の手続きは複雑で、すぐに手続きを完了できる程単純なものではありません。いざ商品を発送するときに手間取ってしまい、消費者にストレスを与えてクレームに繋がることは避けたいところです。
関税については、事前にしっかりとリサーチをし、手続きにつまずいたり、お客様への周知内容に不足がないよう、きちんと準備を整えておきましょう。
関連記事:
越境ECの関税について|関税の基本知識や中国・アメリカ各国の関税の詳細を詳しくご紹介
高品質な商品とサービスのクオリティを維持しよう
台湾には親日家の人が多く、日本製品の人気も高いです。しかし、日本製品だからといって必ず売れるというわけではありません。
台湾の消費者は普段から多くの日本製品にふれているため、高品質なものとはどういったものなのか、ということを熟知しています。日本で作っている商品だから売れるはずと油断して品質の低い商品を販売したところで、すぐに見抜かれてしまうでしょう。
台湾越境ECに参入し商品を販売する場合は、他の国を対象国とするときよりもさらに高品質な商品とサービスのクオリティを維持することを意識する必要があります。
台湾で人気のECモール5選
国内にあるECサイトやモールを使用して越境ECに参入することももちろん可能です。しかし台湾越境ECに参入することを検討したとき、台湾の人気モール利用を考える事業者様も多いでしょう。
ここでは台湾で人気のECモールを激選して5つご紹介します。
労働者をターゲットにしたいなら「Yahoo奇摩」
台湾で人気のECモール1つめは「Yahoo奇摩」です。
台湾版のYahooともいえるサイトですが、検索エンジンが違うなどの相違点もあるため、厳密には日本のYahooとは異なります。
Yahoo奇摩で狙えるターゲット層は労働者であり、男女問わず働いている消費者をメインターゲットにしていきたいと考えている事業者様に合っているといえるでしょう。
商品もジャンルにとらわれず多種多様なものがそろっているため、ジャンルに特化した戦略を立てないのであればYahoo奇摩はオススメのモールです。
台湾ECサイトの中でも商品取扱数は最大級の規模「PChome」
台湾で人気のECモール2つめは「PChome」です。
台湾のECモールのなかでは最大級の規模を誇るモールとして有名です。商品もジャンルに関わらず様々なものを扱っており、台湾のECモールを利用して越境ECを始めたい事業者様もチャレンジしやすいでしょう。
どこのECモールを利用しようか迷ったときには安心感のある大手モールのPChomeを利用することを視野に入れるのもひとつの方法です。
女性からの人気が高い「momo購物網」
台湾で人気のECモール3つめは「momo購物網」です。
このECサイトは主に女性をメインターゲットとしているため、自社の商品のターゲット層が女性の事業者様にオススメです。
幅広くターゲットを定めているモールは集客人数が多いですが、momo購物網のようにメインターゲットを絞っているモールですと、ピンポイントで消費者を狙う事ができるため、明確に顧客対象がすでに定まっている事業者様にとってはメリットとなるでしょう。
書籍販売に強い「博客來」
台湾で人気のECモール4つめは「博客來」です。
博客來は書籍の販売に特化したモールであり、書籍以外にもCDやDVD、日常用品なども販売することが可能です。事業者様の中には書籍の販売に力を入れていきたいと検討している人もいるのではないでしょうか。
博客來は、書籍を中心とした商品を取り扱っていきたいと考えている越境EC事業者様にオススメのモールです。
配送スピードの速さが人気「ASAP4.0」
台湾で人気のECモール5つめは「ASAP4.0」です。
このECモールでは特に配送スピードに力を入れており、台北市内なら5時間以内に配送してくれるサービスも取り扱っています。また、台湾国内なら24時間配送をしているため、時間に捉われずに商品を注文して受け取ることができるのも、消費者には嬉しいポイントとなります。
越境ECにおいて物流は重要な項目のひとつです。ASAP4.0は物流の面に力を入れたい事業者様にオススメのモールです。
台湾は越境ECの足がかりにオススメの対象国
親日家が多く日本製品の需要が高い台湾は、距離も近く日本と消費傾向が似ているため越境EC初心者にもオススメの対象国です。
インフラが整っており日本へのインバウンドも多いため、これから台湾越境ECの市場規模は拡大していくことが予想されます。台湾の越境ECは関税の手続きがやや複雑ですが、しっかりと事前準備を行えばつまづくことはありません。
また支払方法も多種多様な方法が選ばれる傾向があるので、できる限り多くの支払方法を提供することが望ましいです。台湾越境ECは事前準備こそ手間がかかりますが、越境EC事業をスタートするときのおすすめの対象国です。越境EC参入を考えている事業者様は、ぜひ台湾も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
【参考文献】
・JNTO 訪日旅行データハンドブック2019年
https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/jnto_databook_2019.pdf
・台灣電子商務金額預估,資策會(2015)
https://info.taiwantrade.com/biznews/%E8%B7%A8%E5%A2%83%E9%9B%BB%E5%95%86%E5%85%A8%E7%90%83%E6%A6%82%E6%B3%81-%E4%B8%8A-1101939.html