韓国は日本と近くインフラも充実しているため、越境EC事業を行う時の対象国として候補に挙がる国のひとつです。
韓国越境ECはハードルが高い印象が強いです。しかし特徴やポイントを事前にしっかりと押さえておけば、決して進出できない国ではありません。今回は韓国越境ECについて市場規模や知っておきたい特徴など詳しくご紹介します。韓国を対象国とした越境EC事業を考えている事業者様はぜひ参考にしてください。
韓国越境ECの概要
韓国をターゲットにした越境ECを始めるときにまず知っておきたいことは、韓国での越境ECの詳細や実際の市場規模です。ここでは韓国の越境ECの概要を詳しくご紹介します。
韓国での越境EC事情
韓国の越境ECはどのような状況なのかは、韓国をターゲットとした越境ECを考えている事業者様が気になるポイントのひとつです。韓国では越境ECが盛んに行われています。先進国のためインフラが充実しており、これからも越境ECが成長していくには充分な環境が整っています。
ですが韓国のEC事業は中国やアメリカと比べるとあまり話題に挙がらない印象があります。その理由は独自サービスが発展していることと、関税や出店条件などクリアしなければならない項目が多い点が挙げられます。
韓国ECに出店するためには、さまざまな課題について前もって検討し対策をたてることが必要です。
韓国越境ECの市場規模
越境ECを行うときに重要な検討ポイントは市場規模です。ここでは韓国越境ECの市場規模についてご紹介します。
韓国では一見、越境ECの普及率が日本と同じもしくはわずかに上回っている程度に見えます。しかし実際韓国の消費者が越境ECを利用している頻度は、日本よりも高く浸透しています。また韓国からの日本国内へのインバウンドも多く、インターネットを使用する消費者も少なくないため、これからさらに越境ECの利用頻度が高まっていくことが予想されます。
中国やアメリカと比べると市場拡大規模は小さめですが、韓国の市場規模も年々拡大傾向にありこれからの成長に期待できることは間違いないでしょう。
出典:
平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)報告書
韓国ECの特徴
韓国でのECには特徴があります。しっかりと特徴を押さえておくことで韓国越境ECへ参入するための適切な手段が見えてくるでしょう。
ここでは韓国ECの特徴を詳しくご紹介します。
特徴1:大手ECモール以外にも多様なECサイトが多く存在する
韓国ECの特徴1つめは、大手ECモール以外にも多様なECサイトが多く存在することです。
ECサイトと言えば大規模なECモールを想像しがちですが、韓国では大手ECモール以外の個人で経営しているECサイトが数多く存在します。大手ECモールではファッションや雑貨など、ジャンルに捉われずさまざまな商品を取り扱っています。
一方、個人ECサイトでは主にファッションなど一分野に特化したECサイトが多くターゲットが絞られています。さらにファッションと一言で言っても女性向け男性向けなど、さらに細分化されています。
日本ではECといえば大手モールが有名です。しかし韓国は日本とは違い、大手モール以外の個人経営のECサイトも充分認知されていることが大きな特徴として挙げられますです
厳密には越境ECと国内ECは異なりますが、韓国の国内ECの状況を知っておくことで、韓国の消費者がどのような趣向なのかを把握することに繋がります。韓国越境ECを始める前にぜひ押さえておきましょう。
特徴2:先進国のためインフラが整っておりECが普及している
韓国越境ECの特徴2つめは、先進国のためインフラが整っておりECが普及していることです。
先進国である韓国は、発展途上国に比べてインターネットなどのインフラが整っています。またインターネット利用率が他の国と比べても高く、ECが普及しています。
ECの市場規模が拡大する要因のひとつとして考えられているのが、インターネットの普及です。韓国のインフラの充実度は、EC市場がこれからますます発展することを示唆していると考えても大げさではありません。
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越境ECとは|越境ECの基本や市場規模、メリットやデメリットなどを詳しくご紹介
特徴3:サイト構造やポイント制度など独自のサービスが発展している
韓国ECの特徴3つめは、サイト構造やポイント制度など独自のサービスが発展していることです。
どの国でもサイト構造やサービス内容などにはある程度の独自性があるものですが、韓国では他国と比べても独特のサービスが発展しています。
サイト構造では先述したようにジャンルごとに細分化されているのが特徴のひとつです。
日本ではECサイトといえば情報が一画面上に多く含まれていますが、韓国のECサイトは基本的にシンプルな作りです。また日本のサイトではランキングを多用していますが、韓国ではランキング形式で表示していることが少ないです。
独自のポイント制度で集客を図っているECサイトも、韓国では多く見られます。
このような国内で独自に発展したサービスは、消費者にとっては馴染み深く利便性が高いでしょう。しかし越境ECで新たに参入しようとする事業者にとっては、高いハードルとなります。
ハードルは、しっかりと内容を理解して対策を立てることで越えることができます。臆することなく状況を理解して、韓国越境ECに取り組みましょう。
韓国越境ECで押さえておきたいポイント
韓国の越境ECは、乗り越えなければならないハードルが多数あります。しかしきちんと注意すべき点を押さえ対策を講じれば、韓国での越境ECに参入することは不可能ではありません。
ここでは韓国越境ECで押さえておきたいポイントを詳しくご紹介します。
ポイント1:検索エンジンはNAVERが主流。集客方法に工夫が必要
韓国越境ECで押さえておきたいポイント1つめは、検索エンジンはNAVERが主流なため集客方法に工夫が必要であることです。
日本で使用されている検索エンジンはGoogleやYahooがポピュラーですが、韓国は異なりNAVERが主流です。そのため、日本で行っているようなSEO対策をしても一切効果がありません。
そのため検索エンジンからの集客を狙いたい場合は、リスティング広告を積極的に打ち出すことが重要です。リスティング広告は無料ではないため一定のコストがかかります。しかし韓国ではリスティング広告の集客力が高いため、地元のEC事業者が良く利用する集客方法のひとつです。
韓国をターゲットにした越境ECを行いたい場合は、NAVERのリスティング広告を利用することを強くオススメします。
ポイント2:モール出店は現地の法人格が必要な場合があるため事前調査が必要
韓国越境ECで押さえておきたいポイント2つめは、モール出店は現地の法人格が必要な場合があるため事前調査が必要であることです。
韓国での越境ECは、他の国での越境ECよりもやや条件が厳しいです。大手モールの中では越境ECに対応しているところも存在するため、制度などが整っているモールでなら越境ECを行うことは比較的容易です。
しかし自社にて越境ECサイトを立ち上げて、事業を開始しようとしている場合は注意が必要です。韓国で個人もしくは越境ECに対応していないモールで越境ECを始める場合、原則韓国に法人格が必要であり、越境EC事業を開始することは困難を極めます。どうしても行いたい場合は、現地の法人代行業者を利用するなど工夫が必要でしょう。
韓国越境ECを行う場合には、条件などをしっかりと調査してから慎重に行うことが大切です。
韓国越境ECの人気モール
韓国ではよって越境ECに対応していない場所もあるので注意が必要です。
ここでは韓国越境ECに対応しているモールの中でも人気のECモールをご紹介します。実際に韓国で越境ECに対応したモールを探すときの参考にしてください。
韓国最大手ECモール「G-Merket」
韓国越境ECの人気モール1つめは、「G-Merket」です。
G-Merketは韓国最大級のモールでファッション・コスメ・食品などさまざまなジャンルの商材を取り扱っています。韓国語以外にも英語や中国語にも対応しているため、韓国以外の人へのアプローチができるところもG-Merketの魅力のひとつです。
また2016年2月に日本の楽天市場と協業を開始したため、G-Merketを通して越境ECが手軽にできる環境が整いました。韓国を対象国とした越境ECを始めてみたい事業者様にとって利用しやすい状況のため特にオススメのECモールです。
これからの伸びに期待「Tmon」
韓国越境ECの人気モール2つめは、「Tmon」です。
このモールは利用人数は他の大手モールと比較すると少ないですが、近年伸びが大きいモールのため、これからの成長が期待できます。通常の商品も取扱いがありますが、食品のデリバリーや旅行予約などモノではない商品の販売も行うことが可能です。
また定期的にセールを実施しており価格を気にする消費者からの人気が高く、集客力にも期待ができるでしょう。
定期的なタイムセールが魅力「11番街」
韓国越境ECの人気モール3つめは、「11番街」です。
規模が大きく商品の取扱点数も多いことが特徴の11番街は、定期的にタイムセールを行っているところも大きな特徴です。タイムセールの価格はさまざまですが、定期的に行われているためこのセールを目当てに訪れる消費者が多いです。
タイムセールを利用した集客や販売戦略を取り入れて行きたいと考えている事業者様にぴったりのECモールといえるでしょう。
韓国の越境ECは事前準備と対策が重要
韓国は中国やアメリカと比較すると越境ECの市場規模は小さいですが、インターネットなどのインフラの基盤がしっかりとしておりEC利用率も高いため、これからの成長が期待できる市場です。
また韓国を対象国とした越境ECは、ECモールへの出店までの条件などハードルは高いです。しかし日本と物理的な距離が近いため、中国や台湾と並んで越境ECにチャレンジしやすい立地であるといえます。
韓国の市場規模やECの状況をしっかりと把握し、自社の状況や取扱商品などの条件を踏まえて、韓国を相手にした越境ECに参入するか慎重に検討しましょう。