物流コストは、商品の販売において必ず発生する運用コストのひとつです。しかし、具体的にはどのような項目があるのかよく分からない、自社のコストが適正なのか分からないという方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は物流コストの近年のトレンド推移や自社の物流コストの計算の手順、削減方法について詳しく解説します。
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物流コストとは?
物流コストとは|物流業務にかかるコストのこと
物流コストとは、物流業務に関連してかかるコストのことを指しています。商品が入荷してからユーザーの手元に届くまでのプロセスにおいて発生した全てのコストを総称して物流コストと呼んでいます。
倉庫の入荷・出荷作業をするスタッフの人件費や配送にかかるトラックの燃料費、倉庫の保管スペースを維持する費用など、「物流に関わるあらゆるコスト」を表します。
物流コスト比率のトレンド
物流コスト比率とは、売上高に対して物流が占める割合を示した値です。
以下の表は日本ロジスティクスシステム協会による「2021年度物流コスト調査報告書」によると、21年度の物流コスト比率は5.7%でした。物流コスト比率は近年2年ほど上昇しており、過去20年において最も高い売上高物流コスト比率となりました。

日本ロジスティクスシステム協会は近年の上昇トレンドについて、「急激な上昇の要因としては、近年続いている労働力不足などによるトラック運賃の値上げや荷役費の値上げなどが背景にあると考えられる。」と述べています。
物流コストの内訳は?
自社の物流コストを把握するためには、物流に対して発生している費用の内訳を把握する必要があります。物流コストは機能別に5つの費用に分類できます。
輸送費
商品の配送時の運賃や、保管倉庫までのトラックの費用など、配送に関するさまざまな手段に対してかかる費用です。輸送費は、物流コストの中でも高い割合を占めるため、コスト削減を図る際には注目されやすい費用のひとつです。以下は、項目別運賃と費用発生ケース例です。
- トラックの運賃:生産工場から保管倉庫への輸送
- 宅配業者の運賃:倉庫から購入者までの配送料金
- 航空便の運賃:輸入販売や日本から海外への配送
保管費
倉庫に商品を保管するためにかかる費用です。外部倉庫に委託しているのであれば倉庫の賃貸利用料も保管費に含まれます。倉庫の保管料には「寄託保管料」と「坪貸し保管料」の2種類があり、それぞれ支払いの基準とする項目が異なります。
- 寄託保管料:保管する商品の保管日数とサイズや重量、個数などを加味して、料金を算出
- 坪貸し保管料:保管スペースの坪数と坪単価で料金を算出
どちらの契約形態が適しているかは、取り扱っている商品の形状や個数などによって異なります。外部倉庫に委託している場合は、どちらの費用形態で契約しているか確認しましょう。
荷役費
商品を保管している物流拠点に入荷・出荷作業する際の費用です。
- 入庫費:倉庫に荷物が到着した際、倉庫内の所定の場所に配置する作業費用。
- 出荷費:商品注文後、商品を倉庫からピックする作業費用。ピッキング費用とも呼ばれる。
- 流通加工費:商品の梱包時の特殊対応にかかる作業費用。ラッピングやタグ、シール付けなど。
作業効率化を高めることでコスト削減が可能な費用でもあります。マニュアルの改善や物流システムの導入で作業効率を向上させ、物流コストの最適化を図ることができます。
包装費
倉庫や物流センターで商品を梱包する際にかかる費用です。梱包資材そのものの費用や物流スタッフが梱包する作業費などが含まれます。
自社で物流を担う場合は梱包資材も自社で用意したものを使用するのが一般的ですが、外注倉庫などの場合はあらかじめ物流業者が用意している資材を使うように指定されているケースもあります。
物流管理費
物流管理に関わる人件費全般の費用です。入出荷作業や伝票発行作業にかかる業務を表す場合が多く、さらに細かく分けると社内物流費と調達物流費に区分されます。
- 社内物流費:倉庫に届けられるまでの輸送費や保管コスト。
- 調達物流費:原材料を調達するためにかかった物流コスト。
物流コストはどのくらいが適正?比較の仕方を解説
自社の物流コストが適正かどうかを確認するためには、まず自社の物流コストを計算する必要があります。そのうえで、平均値と比較し削減項目の把握が必要です。
自社の物流コスト比率を算出し、平均値と比較
自社の物流コストが適正か確認する方法は以下の手順です。
- 自社の「物流コスト」を求める
- 自社の「物流コスト比率」を求める
- 平均値と比較して高いか低いか確認する
- コスト内訳の割合を平均値と比較し、削減余地のある項目を確認する
手順1. 自社の「物流コスト」を求める
物流コストは上記で述べた、物流コストの内訳の合算[輸送費+保管費+荷役費+包装費+物流管理費]で集計可能です。
手順2. 自社の「物流コスト比率」を求める
物流コスト比率とは、売上高に対して物流が占める割合を示した値で、[売上高÷物流コスト×100]で求められます。
手順3. 平均値と比較する
日本ロジスティクスシステム協会による「2021年度物流コスト調査報告書」によると、2021年度の全業種の物流コスト比率では、5.7%でした。2. で求めた自社の物流コスト比率と比較して、平均値よりも高いか低いか確認しましょう。
手順4. コスト内訳の割合を平均値と比較
同報告書によると、物流の機能別構成比は、輸送費が 54.3%、保管費が17.0%、その他(包装費、荷役費、物流管理費)が 28.7%でした。業種別の割合については、「2021年度物流コスト調査報告書」を参考にしてください。
1.〜4. で、自社の物流コストが平均値より高いのか低いのか確認できます。さらに内訳の割合と比較することで、どの項目に削減余地があるのか見当をつけられます。
物流コストの4つの削減方法
近年上昇傾向にある物流コストですが、現状の運用を見直し効率化を図ることで削減できます。以下では4つの削減方法について解説します。
1. 倉庫の業務フローを見直す
物流全体の業務フローを見直して効率化を図ることは、物流コストの削減に重要です。
- ピッキングの導線は最適か
- 出荷ミスが起こりやすいチェック体制になっていないか
- 保管場所が作業スペースから遠すぎないか
上記のような「出荷ミスが発生しない体制」か「作業時間の効率化ができているか」の2点の対策ができているか確認しましょう。業務フローの最適化が図られていないと、人件費を増加させるだけでなく、返品や再出荷処理の発生で物流コストが大幅に増加してしまいます。作業の流れの確認や、二重のチェック体制、ハンディターミナルなどの機器を導入したり、できるだけミスを起こさない体制づくりを心がけましょう。
2. 自社に適した保管方法に切り替える
商品の保管費用は比較的大きな割合を占めるため、削減しやすい項目でもあります。自社で物流を担っている場合、外部に委託している場合それぞれ商品を効率的に保管できているかどうか確認しましょう。
【自社で物流を運用している場合】
物流コストの削減のためには、自社倉庫の維持費用が適正であるかの見直しが重要なポイントです。倉庫の保管スペースの効率化が測れていないと、保管費用もそれだけ増加してしまいます。以下は、保管スペースが効率化できない運用例です。
- それほど出荷量が多くないにもかかわらず、広大な専用倉庫を保有している
- 閑散期と繁忙期の売れ行きの違いにより、閑散期の倉庫スペースが余りがちである
このような課題がある場合は、自社倉庫の縮小化や外部の委託倉庫に切り替えて自社倉庫を手放した方がコストを削減できるかもしれません。
【外部で物流を運用している場合】
外部で委託する場合の保管費用の形態として「寄託保管料」「坪貸し保管料」があります。
寄託保管料
保管する商品の保管日数とサイズや重量、個数などを加味して、料金を算出
向いている事業者
・月間の出荷量が1,000件未満
・シーズンによって売れ行きが異なる
坪貸し保管料
保管スペースの坪数と坪単価で料金を算出
向いている事業者
・商品のサイズが小さく保管数が多い場合
・月間の出荷量が1,000件以上
商品や出荷量によって適切な費用形態は異なります。一度運用会社に相談、もしくは外部委託先の切替も視野に入れた上で、別会社の見積もりを取ってみるのもおすすめです。
3. 物流拠点を集約・分散するか見直す
物流運用の選択肢の一つに、複数の物流拠点の保有があります。複数拠点は配送料のコスト削減になる一方で、拠点の数だけ維持費用がかかります。事業者の出荷量や商品サイズによってコスト削減に繋がるかどうかが異なるので、自社がどちらに適しているか確認しましょう。
【拠点の集約におすすめな事業者】
・月間の出荷量が1,000件未満
・商品サイズが小さく輸送の際の積載率を上げられる
【複数拠点保有におすすめな事業者】
・月間の出荷量が1,000件以上
・商品サイズが大きく、配送料金が高い
4. 物流をアウトソーシングする
コスト削減に取り組んでも思うように物流コストを抑えられないと感じた時は、外部への委託も検討してみましょう。物流アウトソーシングでは以下のような費用メリットがあります。
- 物流費用の可視化
- 内訳可視化によるコスト改善
- 人件費や倉庫維持費用の削減
さらに物流会社によっては、商品の注文された時点から梱包作業を開始する「物流自動化」で、事業者の物流業務の負担を大きく削減することもできます。
また、継続的にコストの見直しを図りたい場合は、事業者との運用形態と合わせて運用改善・物流コストの見直しを測っていけるような「物流パートナー」を選ぶことが重要です。
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まとめ
物流のコストについて、本記事のまとめです。
- 物流コストは近年上昇しており、21年度の物流コスト比率は5.7%
- 物流コストの内訳は5つ
- ①輸送費 ②保管費 ③荷役費 ④包装費 ⑤物流管理費
- 自社の物流コスト比率の求め方は「売上高÷物流コスト比率×100」
- 物流コストの削減方法は4つ
- ① 倉庫の業務フローを見直す
- ② 自社に適した保管方法に切り替える
- ③ 物流拠点を集約・分散するか見直す
- ④ 物流をアウトソーシングする
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