レイバーコントロールについて解説|運用方法やメリット・デメリットをご紹介

レイバーコントロールについて解説|運用方法やメリット・デメリットをご紹介

仕事量に合わせた適切な人員配置を実現できれば、リソースを効率よく活用して人的コストも削減可能です。この考え方は「レイバーコントロール」とも呼ばれており、最近注目されている手法のひとつです。

倉庫管理業務では限られたリソースを適材適所に配置することが特に重視されるため、レイバーコントロールを学びたいという方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、レイバーコントロールの運用方法やメリットとデメリットについて解説します。

レイバーコントロールとは|効率的に人員を配置する手法

レイバーコントロールという言葉に馴染みがないという方もまだまだ多いでしょう。まずは、レイバーコントロールの概要について分かりやすく解説します。

人的資源の運用方法のひとつ

英語での「Labor control」が由来のレイバーコントロールは直訳すると「労働者管理」という意味合いです。このことから、レイバーコントロールは「人的資源を効率的に運用するための労働者管理」を表します。

レイバーコントロールを行うためには業務の種類をあらかじめ洗い出して細かく細分化し、業務別の作業範囲や作業量などを明確にしておく必要があります。出揃ったデータをもとに「どの時間帯に」「どの作業に対して」「どの従業員を」「どの程度作業するのか」を当てはめていくことで、効率的な運用を目指すのが目的です。

物流現場の作業量は常に一定ではなく、曜日や時間帯、時期によっても荷量は大きく変動します。そのため、従業員のスケジュールを柔軟に調整して適切なリソースを投入することにより、作業の無駄を減らして業務を効率化できるのがレイバーコントロールのメリットといえるでしょう。

最近では企業にも働き方改革を含めたワークライフバランスの実現が求められていますが、物流業界は以前として人手不足が原因による長時間労働が発生しやすい環境にあります。少しでも効率的に業務を進められるようにすることで、物流現場の環境を改善することもレイバーコントロールの目的のひとつといえます。

人材派遣サービスを利用してコントロールする企業も多い

物流現場ではさまざまな要因で荷量が大きく変動するため、適切な人員配置を見極めることは非常に難しい作業であるといえるでしょう。繁忙期に必要な最大人数のスタッフを確保し続けると閑散期の負担が大きくなりますが、閑散期に必要な最少人数のスタッフだけを抱えておくのでは、急激に荷量が増えた時にスムーズに対応することができません。

そのような問題を解決するために、人材派遣サービスを利用して適切な人員をコントロールする企業も増えています。自社で抱えるスタッフは一部に絞り込み、基本的には人材派遣会社が紹介するスタッフを活用して人員を調整することで、繁忙期と閑散期や波動への対応もスムーズに行えるからです。

また、自社でスタッフを採用するのであればアルバイト・パート募集の準備や面接対応などが必要になりますが、人材派遣サービスであれば人材派遣会社が適切な人材を紹介してくれるため、採用コストを削減できるのもメリットのひとつです。

レイバーコントロールのポイント

続いて、レイバーコントロールを実践する際のポイントを紹介します。システムを利用して運用する方法もありますが、その際は十分に検討を重ねて自社に合ったものを選びましょう。

データをしっかりと収集し把握する

自社の物流業務がどれだけの作業量なのか明確になっていない状態でスタッフの業務をコントロールしようとしても、どの時間帯にどのくらいの業務を割り振れば良いのか分かりません。レイバーコントロールを行う際は、十分なデータを蓄積して自社の現状を把握することが何よりも重要です

業務フローに基づいて物流に関わるすべての業務を洗い出し、その一つひとつを明らかにしていく必要があります。その作業が開始してから終了するまでのステップ数や、業務の具体的な範囲や作業量、従業員に割り当てた場合どのくらいの作業時間がかかるのかなど、できる限り細かくそれぞれの業務の詳細を浮き彫りにしていきましょう。

また、レイバーコントロールは「自社の売上計画に基づいて行わなければならない」という点には注意が必要です。

事前に立てた売上計画を達成するためにはどのくらいの作業量が必要になるのかを計算できていないと、スタッフのスケジュールを優先してしまい目標の売上に到達できない作業量になってしまったり、不必要な人員を配置して人件費がかかりすぎてしまったりする可能性があります。

とはいえ、売上計画を達成しなければならないからとスタッフの意向を聞き入れないままスケジューリングを行えば、現場の反発を招くリスクがあります。こなさなければならない作業量とスタッフのスケジュールを見極めてバランスよく配置することが大切です。

システムを導入する際は事前に要検討

レイバーコントロールを運用する際に、システムを導入するという方法もあります。主にアルバイトやパートのシフト管理に特化した勤怠管理システムを導入するのが一般的ですが、導入の際は事前に十分な検討を重ねることが大切です。

勤怠管理システムの機能は多種多様であり、単純に勤務時間を記録するだけのものから、シフト管理に対応していたりデータ分析ができたりするものまでさまざまです。やみくもに選んでしまうと、選定したシステムがレイバーコントロールを運用するための十分な機能を有していない可能性があるので機能面はよく確認しましょう。

また、システム導入にはコストがかかる点にも注意が必要です。レイバーコントロールによるコスト削減と見合うだけの費用対効果が得られるかどうかを検討してから導入を決定する必要があるといえます。

レイバーコントロールのメリット・デメリット

ここからは、レイバーコントロールのメリットとデメリットをご紹介します。業務の効率化に大きく貢献するメリットもありますが、柔軟性が低く作業が偏りやすい側面もあるため、両方を理解した上で導入するかどうか検討することが大切です。

メリット1:生産性の把握・向上に繋げることができる

レイバーコントロールには自社の業務の実態を明らかにする工程が含まれているため、現状の生産性がどのくらいなのかを的確に把握できます。現場の感覚ではスムーズに業務を進められているつもりでも、実際には無駄が多く生産性が低くなっているケースはよくあることから、まずは現状を把握することが重要です。

実態を浮き彫りにした上で適切な人員を割り振れるので、生産性が大きく向上して売上アップも期待できるでしょう。

レイバーコントロールを行う際は、業務フローの見直しも併せて行うことをおすすめします。通常業務に追われる中で、一つひとつの工程をじっくりと振り返る機会はそれほど多くありません。現場で当たり前のように行われていた業務も、よく見ると無駄な部分が多く改善できる点が見つかるものです。現場の声も取り入れながら、業務上の課題を抱えていないかどうかもリサーチすると良いでしょう。

人員の割り振りによって業務を効率化できても、元々の業務フローが見直されないままだと効果は半減してしまいます。現状の業務フローが自社の物流にとって適切なのかどうかを見定めた上で、改善すべき点には思い切ってメスを入れることも重要です。

メリット2:人件費などのコストを削減が見込める

レイバーコントロールによって適切な人員配置ができれば、人件費を大きく削減できる可能性が高まります。

今まで必要だと考えていた人員が本来必要な人員よりも多かった場合は、適正な人員に調整することで今までかけすぎていた人件費を適正に正せるようになるでしょう。物流に占める人件費の割合が高ければ高いほど大きな削減効果を期待できるかもしれません。

企業にとって、利益を確保する方法は売上をアップさせることだけではありません。もちろん自社の商品やサービスを多くの人に届けることは重要ですが、コストの削減も同じくらい利益に直結する要素のひとつです

コストの削減は一見すると効果が見えにくいかもしれませんが、積み重なると大きな差が出てきます。例えば1人あたりのスタッフに1ヶ月30万円の人件費がかかっている場合、1人削減できた時のコスト削減効果は1年間で360万円です。もし適正な人員配置で10人のスタッフを削減できれば3,600万円ものコスト削減につながり、その分は丸ごと企業の利益になります。

商材にもよりますが、削減したコストと同程度の純利益を得るのはそう簡単なことではないでしょう。場合によってはコスト削減が売上を上げる以上に効果的な場面もあることを意識することが大切です。

デメリット1:人員配置の柔軟性に欠ける

レイバーコントロールは常に適切な人員配置を行えることを前提とした手法なので、イレギュラーな対応には弱いという側面があります。スタッフが急に休むことになったり想定外の余剰人員が出たりしても、すぐに対応することは難しいでしょう。

もしスタッフが突然足りなくなれば代わりの人員を手配する必要がありますが、そのための対応コストがかかります。自社でアルバイトやパートを採用している場合は、代わりに出勤してもらえそうなスタッフに連絡して掛け合うなどの業務が発生するでしょう。

どうしても対応できるスタッフが見つからない場合は、自社の他部門の従業員が応援に駆け付けなければならない可能性もあります。それでも手が足りなければ物流業務そのものが滞り、目標としている作業量に到達できなかったり、最悪の場合は配送遅延などのトラブルを起こしてしまったりするかもしれません。

また、波動が起こると事前の計画に基づいた人員配置では対応しきれなくなるケースもあります。あらかじめ予測できる波動であれば準備を整えることもできますが、想定外の要因で急激に注文が増えるなどの事態が起きた場合は十分な人員確保が難しくなるでしょう。

デメリット2:属人化しやすい・社員教育が偏りがち

レイバーコントロールにおいては、すべてのスタッフのスキルは同一の水準にあるものとして考えられます。つまり「1人で1.5人分の作業をこなす優秀なスタッフ」も「1人で0.5人分の作業量にしか対応できない新人スタッフ」も同じ業務をこなせることを前提として配置してしまうため、配置するスタッフによって作業効率が大幅に変動するというデメリットがあります。

レイバーコントロールを行う際は、可能な限り個々のスタッフの能力も把握することが望ましいでしょう。

また、作業量に応じて人員を配置するため得意な作業を中心に割り振られる可能性が高く、業務が属人化しやすいのもデメリットのひとつです。余剰人員を確保するという考え方がないので教育のためのスタッフを十分に確保できず、幅広い業務を覚えさせるのが難しいケースがあります。

レイバーコントロールの運用方法

レイバーコントロールは入念な準備が成功のカギを握ります。ここでは、実際に運用する方法について具体的に解説します。

各部署の平均勤務時間を算出・設定する

まずは各部署別に平均勤務時間を算出しましょう。例えば物流管理部門のスタッフが30人いて、1ヶ月間の1人あたりの平均労働時間が200時間だった場合、この平均勤務時間をもとにして削減後の平均勤務時間を何時間に抑えるのか設定します。今回のケースでは10時間削減して190時間を目標とするなどが考えられるでしょう。

1ヶ月の目標勤務時間を決める前に、1日あたりの平均勤務時間を算出しておくことも大切です。1ヶ月の平均労働時間が200時間であれば、週5日×4週=20日間出勤しているスタッフの1日の平均労働時間は10時間となります。

この数値が判明したら「現在の平均労働時間で何日間出勤すると目標時間をオーバーするのか」も併せて算出しましょう。今回は190時間が上限なので「190時間 ÷ 10時間 =19日」となり、19日が出勤数の上限です。

また、この段階で具体的な業務内容なども洗い出して、自社に存在する業務をひと通り把握し関係者間で共有します。

着地労働時間を明確にする

平均労働時間を把握できたら、最終的な着地労働時間を明確にします。前述の平均勤務時間は過去のデータから算出したものであり、すでに目標からオーバーした値です。労働時間をコントロールしやすくするために「現時点であと何時間働くと目標値を上回るのか」を日常的に算出する必要があるでしょう。

前述の例を利用して考えてみましょう。例えばスタッフのYさんが13日間出勤した時点で140時間働いているとすると、現時点の総勤務時間は140時間、1日の平均勤務時間は10.76時間となります。1日の平均勤務時間が10時間の状態で19日まで出勤できるので、このままの状態で働き続けると「6日×10時間=60時間」が労働時間に加算されます。

しかし、このままでは1ヶ月の平均勤務時間は「140時間(すでに働いた時間)+60時間(これから働くと予測される時間)=200時間」となり目標の値を超えてしまいます。

Yさんは目標値を超えないように10時間分の労働量をコントロール必要があるため、管理者に事情を伝えて残りの7日間で勤務時間を短くするなどの対応が必要になります。

全社員分の勤務時間データを記録・共有

前述の内容を算出できたら、全社員分の勤務データをリストにまとめて記録します。勤怠管理システムなどを利用している場合はCSVファイルなどをダウンロードできるものもあるため、Excelなどで加工するとスムーズにリスト化できるでしょう。

特にシステムを利用していなくても、勤務時間の情報を転記して計算するだけなのでそれほど苦労はしないでしょう。少しスキルがあるなら、関数やマクロなどを使ってある程度作業を自動化するのもおすすめです。

日常的に行う業務なので、できるだけ効率的に作業を行うための工夫をすると負担になりにくいといえます。業務が圧迫されると長続きしにくいので、短い時間で完結できるのが望ましいでしょう。

リストが完成したら、関係者全員で情報を共有します。部門内や全社などで定期的に発信することで、現状を的確に把握して個人の意識付けを促せます。

情報を共有し適宜対応

関係者間で共有した情報をもとに、状況に応じて適宜対応していきます。1ヶ月に1回などの長期スパンではなく、1日に1回状況を報告し、1週間の結果をあらためてまとめて、最後に1ヶ月間の成果を伝えるなどこまめに情報共有を行いましょう。

目標値をオーバーしている人に注意したり、勤務体制を見直したりするなどの対応で目標の勤務時間に収まるように少しずつ是正していきます。

何度も状況を確認することで個々のスタッフに勤務時間を目標値に抑える意識が生まれるだけでなく、組織全体にレイバーコントロールの意識が浸透します。最初の1ヶ月では十分な成果がみられないかもしれませんが、2ヶ月、3ヶ月と続けるうちに目に見える形で成果が表れてくるでしょう。

レイバーコントロールは関係者全員が一丸となって取り組むことが重要であり、そのためには「なぜレイバーコントロールを行う必要があるのか」をスタッフにしっかりと周知することが大切です。一方的に指示するだけでは理解を得られにくいため、押し付けにならない形を模索しましょう。

レイバーコントロールはこまめな見直しが運用のポイント

業務量に応じて適切な人員配置を行うレイバーコントロールをうまく運用できれば、コストを削減しながら生産性も向上させられます。なんとなく目標を設定するのではなく、事前にデータを収集して十分な分析を重ねてから運用することで、精度を高められるでしょう。

人員配置を柔軟に行うことが難しかったり、業務が属人化しやすかったりするデメリットはありますが、長時間労働に陥りやすい物流業務を効率化させられるのは大きな魅力といえます。

自社のスタッフだけで調整しようとすると、繁忙期や閑散期の兼ね合いもありバランスを取るのが難しい面もあります。人材派遣会社などをうまく活用することで、柔軟性の低さなどにもある程度対応できるでしょう。

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