物流のIT化のメリット|物流でITが活用される理由や事例をご紹介

2021年4月20日

物流のIT化のメリット|物流でITが活用される理由や事例をご紹介

最近では物流業界にもさまざまなIT技術が登場し、少しずつではあるものの物流のIT化が進められています。従来は人の手で処理しなければならなかった数々の業務をロボットに任せて自動化することにより、業務の効率化を実現して生産性を高められます。

今回は、物流をIT化するメリットについて詳しく解説します。ITが活用されるようになった理由や国内外でITを活用している具体的な事例などもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

物流にITが活用される理由

なぜ物流においてITが活用されているのか、その理由を3つの観点から解説します。

理由1:人員の不足を解消するため

近年では物流の需要が右肩上がりに増加しており、現場の負担はますます重くなっています。少子高齢化による人手不足も深刻化し、どのように業務を効率化していくかは物流において重要な課題になりました。

人員配置の見直しやロケーション管理など、従来の運用をアナログな観点から見直すことで人員不足に対処しようとする現場も多く、実際にそういった対応で一定の成果を挙げているケースもあります。

しかし、運用の見直しによる業務の効率化には限界があり、現場のキャパシティーを超えた受注が発生すると人員を増やして対応せざるを得ない状況に陥ります。処理しなければならない注文が増加したからといってすぐに人員を調整できるとは限らないので、負担は自然と現場で働く一人ひとりに重くのしかかるでしょう。

このような状況を改善するために、ITを活用して業務を自動化する方法が効果的です。ハンディターミナルを導入して入出荷検品や棚卸の手間を削減したり、WMSを導入して在庫管理を自動化したりすることで、これまで人の手で行っていた業務を自動化して最小限のリソースで多くの注文を処理できるようになります。

理由2:作業効率を向上させるため

前述の人手不足に関わってくる部分でもありますが、作業効率を向上させてスムーズに業務を処理することも物流のIT化が急がれている理由のひとつです。

ECサイトなどを通じたインターネットショッピングが身近なものになったことから宅配の個数は年々増え続けている一方で、物流業に携わる人はそれほど増えていないというのが現状です。そのため、多くの物流業者は「以前と同じ人数で増加した注文を処理しなければならない」状況にあり、一つひとつの作業の効率化が必要不可欠であるといえます。

物流にITを活用できる場面は広く、前述のハンディターミナルやWMSの他にも電波を使って一度に複数のバーコードを読み取れる「RFIDタグ」や、輸配送の際に最適な積載方法を予測してトラックに荷物を積み込む「ITシミュレーション」など、さまざまな技術があります。

物流業界では、増え続ける負担から長時間労働が常態化しているという問題も抱えています。入荷から出庫・配送までの各工程にIT技術を取り入れることで作業効率を向上させ、増え続ける需要に対応しつつ長時間労働の是正を図ることも可能になります。

理由3:物流サービスに価値をプラスするため

ITを取り入れることで、物流サービスに新たな価値をプラスして他社との差別化を図ることができます。

例えば、最近ではスポットで倉庫を必要とする荷主がレンタル倉庫を利用するケースが増加しています。そこで、IT技術によって倉庫の空きスペースを貸し出したい事業者と荷主をマッチングし、必要なタイミングで条件に適した倉庫を見つけるためのプラットフォームを提供する事業者が登場しています。

また、物流全体の業務をITによって効率化することで、欠品を防ぎつつ配送がスムーズに行われるようになり、配送リードタイムを縮小することも可能になるでしょう。ユーザーはスピーディーな配送に高い価値を感じる傾向にあるので、他社よりも配送が速いと差別化につながります。

輸配送の面では、宅配便などで使われている会員サービスもIT化のひとつの例です。荷物の到着予定を事前に知らせるサービスや、受け取り日時をオンライン上で指定できるサービスを利用することで再配達を防止し、顧客満足度を向上するとともに配送にかかる工数を削減できます。

このように、ITを活用することで事業者側とユーザー側の双方にメリットが生まれることも多く、利便性の向上と業務の効率化を実現する上でIT化は欠かせない要素であることが分かります。

IT物流の事例をご紹介

実際に物流にITを組み合わせて業務効率やサービス品質の向上に取り組んでいる6つの事例をご紹介します。さまざまな方法でIT物流が実現されているので、ぜひ導入の際の参考にしてみてください。

オープンロジ

https://service.openlogi.com/

オープンロジは荷主から荷物を預かり、受注から配送業務までの物流業務を自動化するフルフィルメントサービスを提供している企業です。

EC事業においては複数のモールやECサイトから受注があるケースも多く、従来、個々の注文を管理するためには一つひとつの注文データをダウンロードして受注内容を処理しなければならないという非常に手間がかかる状況にあったといえます。

そこで、オープンロジではクラウドによる倉庫管理システムを開発し、API連携を利用して複数の注文元のデータを一括管理し、一連の業務を自動で処理できる機能を提供しています。ShopifyやeBay、Yahoo!ショッピングなどをはじめとした大手ASPやモールだけでなく、自社の基幹システムとの連携も可能です。

出店中のモールやサイトと連携して受注情報を一元管理できる状態を作り出すことで、人の手で処理しなければならない部分を大幅に削減でき、自動登録されたデータを確認するだけで倉庫への出荷指示を作成・送信できます。

ごく少数の荷物でも倉庫に配送業務を委託できるので自社で物流を受け持つ必要がなくなり、人件費の削減や物流業務の効率化を実現できるのがメリットです。

委託中の荷物の状況はシステムを通じて常に確認でき、トラブルがあればすぐに対応できる工夫も為されていることから、荷物が荷主の手を離れた状態で管理されることへのデメリットも解消されています。

Infinium Robotics

https://www.infiniumrobotics.com/

Infinium Roboticsは倉庫作業における在庫管理をITでサポートするためのドローンを提供する企業です。元々は無人航空機システムを開発する目的で2013年に創業しており、エンターテインメント分野に応用可能なドローンや、飲食店で配膳サービスを代行するドローンなどを開発していましたが、徐々に活躍の場を移すこととなりました。

現在では「Infinium Scan」という倉庫の在庫管理用ドローンの開発をメイン業務としており、IT物流で庫内業務を効率化するためのさまざまなドローン製品を提供しています。

ドローンの導入には規制も多く、特に屋外利用の場合は法律で定められた多くの規制を遵守しなければなりません。カメラを通して映像を監視したり記録したりできるタイプ喉ローンであれば、プライバシーの保護などの観点からも厳しく管理されます。そのため、屋外でドローンを活用したサービスを提供するにはあらゆるハードルを解消する必要があるといえます。

しかし、在庫管理にドローンを活用するのであれば庫内利用がメインとなるため、法令による規制やプライバシー問題への対応はそれほど厳しくありません。そこで同社は屋内倉庫でドローンの業務を完結できる在庫管理システム「Infinium Scan」をメインに据えることとなりました。

Infinium Scanの主な役割は、倉庫内にある在庫確認業務です。倉庫内の在庫に付属するバーコードをドローンが読み取ることにより、既存の在庫と照らし合わせて在庫差異がないかどうかを確認できます。これまで人の手で行われていた棚卸作業をドローンが代行すると考えると分かりやすいでしょう。

ドローンはGPSを頼りに位置情報を確認するケースが多いものの、倉庫内ではGPS信号が弱くなることも少なくありません。そこで、同社の独自技術を駆使してドローン自体が機体の位置情報を認識できる技術を搭載しています。

GreyOrange

https://www.greyorange.com/jp/

GreyOrangeは倉庫の自動化ロボットを開発している企業です。創業者は当初人型ロボットの研究を行っていたSamay Kohli氏で、機械工学の分野でロボット開発に取り組んでいました。しかし、ロボットをよりビジネスに活用できる業界を調査した結果、物流業界でサービスを展開することを選んでいます。

現在でもまだまだ物流業界はアナログな面が多く、十分にIT化が進んでいるとはいえない業界のひとつです。少しずつ広がってきてはいますが、ロボットをはじめとしたIT技術を持つ企業が参入できるチャンスは数多くあるといえるでしょう。そこで同社は物流業界に注目し、ロボットで物流の自動化をサポートしようと考えたのです。

GreyOrangeでは、近年EC事業が世界的に発展して配送業務がひっ迫している点に着目し、EC物流の庫内作業を自動化するロボットの開発を行っています

提供しているロボットは「Butler」「Sorter」の2種類で、それぞれ異なる役割を持っています。Butlerは倉庫内の在庫を棚ごと作業者の目前に運び、ピッキング作業の大幅な効率化を図るロボットです。作業者が自分で棚を探しに行く必要がないことから、移動時間の短縮につながります。

Sorterは在庫に付属するバーコードを読み取ることで自動的に荷物の仕分けを行うロボットです。商品別や発送先別など用途に応じて振り分けを決められます。日本国内ではニトリホールディングスがButlerを導入しているなど、大手企業でも導入されているサービスです。

Intangles Lab

http://www.intangles.ai/

Intangles Labはあらかじめ配送車両にセンサーを装着しておき、センサーを通じて集めたデータをAIで分析するモニタリングシステムです。リアルタイム性の高さが特徴で、車両の状況や運転時の行動を逐次チェックできます。

創業者はAnup Vishwas Patil氏で、元々は旅行予約サイトの運営やITコンサルティングなどに取り組んでいました。それらの事業の次に手掛けたのがIntangles Labです。

Intangles Labのメイン機能は「車両の故障予測」「パーツの交換時期の検出と通知」「運転状況のモニタリング」「AIデータに基づくレポート作成」の4つあります。

車両の故障予測では、取り付けたセンサーから車両の状態を分析して、「15日以内に車両が故障する可能性」を知らせてくれるという機能です。事前に車両のリスクをチェックできるので、故障の危険性がある場合は早めに点検したり配送車から外したりすることが可能になります。

パーツの交換時期の検出と通知も同様で、スムーズなパーツ交換によって配送業務を効率化するとともに、安全性を高めることができるでしょう。運転状況のモニタリングは運転の安全性が低かったり荒い運転をしたりするドライバーを検出する仕組みで、注意喚起や査定などの情報源として活用できます。

また、収集したデータをAI分析した結果をレポートで出力することにより、最適な車両管理を実現して業務の効率化を図り、コスト削減も実現できます。

RFルーカス

https://rflocus.com/

RFルーカスはRFIDシステムを活用したIT物流を提供している企業です。RFIDとはRFタグを電波を利用して読み取ることにより、大量の商品データを接触することなく認識できるシステムのことで、庫内業務の大幅な効率化が期待できます。同社は精度の高いRFタグによって、商品の位置情報を正確かつ素早く特定を可能にする技術を提供しています

創業者の上谷氏は、元々ITベンダーでRFID事業に携わっていたことからRFID事業に将来性を見出しました。アパレル分野などで広く使われるようになった経緯もあり、成長の可能性を感じたようです。

従来のRFIDは精度がそれほど高くないものも多く、商品の位置を特定する精度に時には数メートル程度の幅が見られるケースもありました。棚卸には正確性の高い位置の特定が必要不可欠であり、在庫管理に転用するのは難しいという課題を抱えていたといえます。そこで、RFIDの精度を高めて在庫管理が可能な状況にすべく、RFルーカスで開発を開始しました。

同社が提供しているRFタグを活用した位置情報検索システムは、3Dを駆使して商品の詳細な位置情報を特定する技術を採用しています。この技術は国内でも初めてのもので、これまで数メートル単位で発生していた位置ずれを大幅に縮小して数センチメートル単位で位置を割り出すことが可能になりました。

RFルーカス単独のシステムだけでなく、大日本印刷やPALなどの大手企業とも協業してより精度の高い位置特定が可能なRFIDサービスも開発しています。

CBcloud

https://cb-cloud.com/

CBcloudは軽貨物ドライバーと荷主のマッチングサービスである「PickGo」を運営しています。Pickgoは元々「軽Town」というサービスが前身であり、自身の配送ドライバーとしての経験を通じて「軽貨物のドライバーは非常に非効率な運用をしている」と感じたことから同サービスの開発に至ったという経緯があります。

これまで、軽貨物ドライバーが荷主の荷物を引き受ける際には双方を引き合わせるための仲介業者が存在していました。仲介業者の存在により荷物を引き渡すまでに手間や時間がかかってしまうだけでなく、手数料などのマージンが発生してコストが増え、ドライバーの手元に残る利益が少なくなってしまうという課題があります。

スポット案件を依頼したい荷主はすぐに動けるドライバーを探しているケースも多く、仲介業者に依頼してドライバーを探すよりも「今すぐ荷物を預けられる荷主と出会いたい」と考えている方は非常に多いといえるでしょう。

そこで、PickGoでは仲介業者を介さずに直接ドライバーと荷主をマッチングし、中間コストの削減に成功しています。マージンがなくなることでドライバーの利益率は向上し、報酬が手元に入るまでのリードタイムも短縮できるようになりました。

継続の業務に加えて、手が空いた時間を使ってPickGoを利用したスポット案件の受注も可能になるなど、働き方の柔軟性も向上させる効果ももたらしています。「最短15分以内に荷物を預けられるドライバーを見つけられる」という点で荷主にもメリットがあり、双方に利益が大きいサービスとして多くの人に愛用されています。

物流にITを取り入れて効率を向上させよう

物流業界のIT化は飛躍的に進んでいるといえる状況ではないものの、以前に比べると大きく進歩しています。これまではアナログな管理が行われていたさまざまな分野にAIやロボットなどで自動化が適用され、従業員の負担は大きく軽減されつつあるといえるでしょう。

労働力不足がさらに深刻化するといわれている現代において、物流の効率化は必要不可欠な課題であるといえます。IT化を促進することで物流全体の効率化を図り、増加し続ける物流需要に対応できる体制を整えることが大切です。

IT化によって、物流サービスにも新しい価値をもたらすことも可能になります。社内の業務を振り返って、導入できそうな部分から少しずつIT技術を取り入れてみることをおすすめします。

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