棚卸差異とは|原因や改善方法をご紹介

2021年3月12日

棚卸差異とは|原因や改善方法をご紹介

棚卸差異が発生すると、過剰在庫や欠品を招いてリードタイムの長期化や配送遅延、ユーザーの信頼低下などさまざまなトラブルが起こる可能性があります。少しでも棚卸差異が起きにくい健全な倉庫運営を実現すべく、苦心されている方も多いのではないでしょうか。

棚卸差異が発生する原因は、日頃の倉庫の管理方法やスタッフ間の伝達ミスなど多岐に渡ります。そこで今回は棚卸差異が起こる原因や改善方法について分かりやすく解説します。

棚卸差異の概要

まずは、棚卸差異がどのようなものなのかについて解説します。

棚卸差異とは|帳簿と実際の在庫数との差異

棚卸差異とは「帳簿上の在庫数と実際の在庫数の差異」を表します。例えば商品Aの帳簿上の在庫は20個あるにも関わらず、実際に倉庫にあるのは19個だった場合は棚卸差異が1個発生していることになります。

棚卸差異が起こると過剰在庫や欠品の原因になるため、適正在庫を維持するためには帳簿と実際の在庫数を合わせることが非常に重要です。

例えば前述のケースの場合、帳簿上には商品が20個あることになっているため、ECサイト上で20個までの注文を受け付けられるようになっています。この状態でユーザーが一度に20個の決済を完了すると倉庫には20個の出荷指示がかかりますが、実際の倉庫には在庫が19個しか存在していないため、1個の欠品となり注文通りの出荷ができません。

すぐに入荷できる商品であればリードタイムが多少長くなる程度で済みますが、再入荷が難しい商品や入荷までに時間がかかる商品であれば、注文者に事情を説明してキャンセル扱いにしなければならないケースもあるでしょう。ユーザーからの信頼を低下させる原因になるので、このような現象を引き起こさないためにも棚卸差異を発生させない対策が大切です。

棚卸差異には損と益の2種類ある

棚卸差異には、厳密には損と益の2種類があります。それぞれどのようなものなのかを詳しく見ていきましょう。

棚卸差損

棚卸差損は「帳簿上の在庫数より倉庫の在庫数が少ない場合」です。前述の概要でご紹介したような欠品を招きかねないケースでは「棚卸差損が発生している」と表現できます。

棚卸差益

棚卸差益は、棚卸差損とは反対に「帳簿上の在庫数よりも倉庫の在庫数の方が多い場合」を指しています。例えば帳簿上の在庫が19個であるにもかかわらず、倉庫で商品を数えると20個存在する場合は棚卸差益が発生しているといえます。

棚卸差益はユーザーに対して損害を与えるリスクはそれほど大きくないものの、自社にとってはコスト増の原因になります。倉庫の在庫は保管しているうちに時間とともに劣化していくため、売れずに販売できないほど劣化すると廃棄しなければなりません。

倉庫にある在庫が帳簿上の在庫よりも多いことに気がつかないまま新たに発注すると過剰在庫を引き起こし、在庫が長期間倉庫に残り続ける原因となります。過剰在庫は売上につながらないどころか廃棄コストがかかるリスクを抱えているため、在庫数を見誤って過剰発注しない体制を整えるためにも正確な在庫数の把握が重要になります。

関連記事:棚卸とは|棚卸の詳細や方法、メリットやハードルなど詳しくご紹介

棚卸差異の発生原因

棚卸差異が生じて在庫が合わなくなるとキャッシュフローの低下や過剰在庫による廃棄リスクの増大、欠品に起因する顧客満足度の低下などさまざまな悪影響があるため、原因を知って適切に対処することが大切です。ここでは、主な3つの原因について見ていきましょう。

原因1:現場で発生する作業ミス

第一に、現場で作業ミスが発生するケースが挙げられます。特にシステムではなく手入力で帳簿を管理しているケースでは入力ミスによるヒューマンエラーが発生しやすく、棚卸差益の大きな原因となっていることが多いといえます。

本来「10」と入力すべきところを「100」と入力するだけでも帳簿上の在庫は10倍になってしまいます。明らかなミスであれば別の担当者が確認した際に気がつくこともあるかもしれません。しかし、誰かが気がついて訂正するまでに誤って入力した在庫数に基づいて注文を受けたり発注したりすれば損害は避けられないでしょう。

また、仕入れミスも棚卸差異が生じる原因のひとつです。一般的には倉庫の実在庫をもとに発注数量を決定しますが、正確な在庫数を把握しないまま帳簿上の在庫を信用して仕入れを行った結果、欠品や過剰在庫につながってしまうケースは少なくありません。忙しいからと実在庫の確認を疎かにすることで、コスト増や信頼の低下を招いてしまうので注意が必要です。

さらに、伝票を使って商品管理を行っている事業者の場合は出荷後に伝票を処理し忘れて在庫に反映されていなかったり、そもそも伝票に記載されている内容どおりに処理できていなかったりして棚卸差異が発生することもあります。伝票をもとに商品管理を実施するのであれば、作業前と作業後に漏れている伝票がないか慎重にチェックし、処理した伝票の内容が帳簿に反映されていることを必ず確認しましょう。

原因2:在庫管理ルールの煩雑化

倉庫を長く運用しているうちに、在庫管理ルールが煩雑化してしまうケースがあります。スタッフによって在庫管理に対する認識が異なっていると処理のたびに異なる基準で作業が進められるので、最終的に棚卸差異が発生する原因となります。

例えばAさんは「入荷した商品を検品した際に商品の数量を在庫に反映する」、Bさんは「倉庫に在庫をすべて入庫してから伝票をもとに商品の数量を在庫に反映する」というオペレーションに基づいて、残り20個になっていた商品を新たに100個追加する入庫作業を行なっていたとします。

すると、仮にAさんが検品して在庫を20個→120個に反映した後にBさんへ残りの作業を引き継いだ場合、BさんはAさんがすでに入荷分の商品の在庫を反映していることを知らずに入庫後にさらに100個在庫を反映させてしまいます。

結果的に帳簿上の在庫は120個→220個となり、実在庫+100個の棚卸差益が生じます。在庫管理ルールが統一されていないと、このようなトラブルが起こりやすくなるのです。

原因3:請求と出荷の誤差

正しく処理できれば最終的には正しい数値になるものの、納品書や請求書などが遅延している影響で棚卸差異が発生するケースもあります。

仮に納品書や請求書が到着した時点で帳簿上の在庫数に反映する運用方法を採用しているのであれば、すでに100個の商品を出荷している状態であっても帳簿からは在庫が引き落とされていない状態になります。

この場合、仮に実在庫が30個であっても帳簿上の在庫は130個であり、必要書類が届いて正式な業務フローに則った処理が行われれば最終的に棚卸差異は解消されます。しかし、誰かが在庫数が正しく反映されていないと誤認して帳簿に修正を加えてしまうと大規模な棚卸差異の原因となるので注意しましょう。

また、仕入先から送付された伝票の数量が誤っており、その数量に基づいて在庫を反映した場合にも棚卸差異が生じます。このように棚卸差異はさまざまな原因で発生するものであり、適正在庫を維持するためには倉庫内の現状を細かく共有し、基本的なオペレーションをスタッフ全員でよく確認することが重要です。

棚卸差異の改善方法

棚卸差異を改善するためにはさまざまな方法があります。代表的な6つの方法をご紹介しますので、自社に合った方法を取り入れてみてください。

在庫管理ルールの確立・マニュアル化

まずは自社の物流の業務フローを振り返り、在庫管理ルールを確立することが重要です。長く運用を重ねるうちにスタッフ独自のやり方が生まれてしまい、個々の認識が異なっている可能性があるため、あらためて在庫管理ルールを全員で共有しましょう。

ルールの見直しを行う際は、無駄な部分を見直して業務の効率化をはかることも大切です。慌ただしい物流業務に追われる中で業務フローを振り返る機会は貴重なものなので、この機会に少しでも無駄な部分がないかどうかを洗い出すことで今後の運用をスムーズに進められます。

日頃当たり前だと感じながら作業していることであっても、冷静になって考えてみると実は不要なだったり、さらに手順を簡略化できたりするケースは少なくありません。現場の意見も取り入れながら、できるだけ多くの人にヒアリングを行うことで思わぬ発見につながることも多くあります。

在庫管理ルールを確立できたら、口頭で共有するのではなくマニュアル化も忘れずに行いましょう。ルールの策定に携わった人たちは詳細な業務の進め方を知っていますが、明文化しておかなければ新たなスタッフが入ってきた時に誤った作業手順が伝わってしまい、同じことの繰り返しになってしまう危険性があります。

バーコードやタブレット機器の活用

人の手で物流業務のすべての工程を処理するのは非常に手間と時間がかかります。各工程に最新のIT技術を取り入れることで、業務の大幅な効率化とヒューマンエラーの削減を期待できます。

現場に導入しやすい機器のひとつとしてはバーコードが挙げられるでしょう。商品管理を目視にで行うのではなく、バーコードと商品マスタを紐づけてシステム管理することにより、ハンディーターミナルでバーコードをスキャンするだけで正確に在庫管理を行えます。

ピッキング時は商品をスキャンするだけでシステム上の在庫と実在庫の紐づけが行われるため、入力ミスによる棚卸差異の発生リスクを軽減できます。さらにはシステムの力を借りることによって棚卸の際に数え間違いが起こることを最大限に防ぐ効果も期待できます。

また、タブレット機器も比較的手軽に取り入れられるIT技術です。現場作業が終わってから事務所で在庫を反映すると、処理までのタイムラグが発生して棚卸差異につながるケースはよくあります。現場作業が完了した段階で即座にタブレット機器を通じて在庫に反映し、タイムラグを最小限に抑えるという対策は有効です。

日時棚卸の実施

棚卸を実施するタイミングは企業によってさまざまですが、一般的には前回の棚卸を実施してから次回の棚卸までの期間が開けば開くほど在庫の確認作業は大変になります。そこで毎日決まったタイミングで棚卸を実施する「日時棚卸」を実施することにより、こまめに在庫を把握して常に適正在庫を維持するという方法もあります。

毎日在庫を確認すれば、在庫の変動は基本的には前日から当日の棚卸までの間に出荷された商品の数量のみに限られます。そのため、棚卸の範囲を限定的にできるというメリットがあるといえるでしょう。日次棚卸を実施しつつ四半期に一回や半期に一回など大規模な棚卸を行うことで、棚卸差異を最小限に抑えて日々の倉庫運用を行えます。

「毎日棚卸を行う」と聞くと非常に大変なイメージがあるかもしれませんが、前述のとおり前日との差異を確認するだけなので、一日の終わりの締め作業を行うついでに棚卸をスケジュールに組み入れることでそれほど負担を大きくせずに実施できるでしょう。

ロケーション管理の徹底化

ロケーション管理の徹底は物流業務を円滑に行う上で非常に重要ですが、棚卸差異を最小限に抑える効果も発揮します。

もしロケーション管理が曖昧なままになっていると、商品が入荷した際にどこに入庫すれば良いのかが分からず、複数箇所に同じ商品がまたがって入庫される可能性があります。

すると、どの商品がどこに置かれているのか分からないため正確な在庫数を把握できなくなり、帳簿上の在庫や商品を確認できる棚のみを参照して在庫管理を行うケースが多発します。結果的に商品が不足していると勘違いして発注をかけてしまったり、あるはずだと思っていた在庫が欠品していて販売機会を逃してしまったりするでしょう。

棚卸の際に把握していなかった棚に在庫が放置されていて廃棄しなければならなくなるリスクを避けるためにも、日頃から「どこに何を入庫するのか」を決めておくロケーション管理の徹底は必要不可欠です。あらかじめ商品を入庫する場所を明確に定めておき、在庫の位置を見失わないように意識しましょう。

ロケーション管理方法にも固定ロケーションやフリーロケーションなどさまざまな形式があります。固定ロケーションであればすべての商品の入庫位置が決まっていますが、フリーロケーションであればシステムを導入して管理する必要があることも覚えておくと良いでしょう。

在庫管理システムの導入

人の手で在庫管理を行うことは、多大なリソースを必要とするだけでなくヒューマンエラーの増加にもつながります。ある程度のアイテム数がある倉庫なら、在庫管理システムを導入して管理工程の一部を自動化するのもおすすめです。

Excelシートなどで在庫管理を行うと、桁数間違いや更新漏れなどによる棚卸差異が発生しやすくなります。在庫管理システムを導入すれば、ピッキング時にバーコードを読み取るだけで自動的に在庫の引き落としをかけられるため、処理を忘れてしまったり入力ミスを起こしたりすることによる棚卸差異を回避できます

また、基幹システムと連携すれば、基幹システムから出荷指示データが送られてきた時点で在庫管理システム上から自動的に在庫を引き落すような処理も実現可能です。受注データに基づいて作成した出荷指示データを倉庫へ送信し、倉庫担当者がそのデータをもとに在庫数を修正すると二重の手間が発生しますが、システム連携で自動化すれば同じ作業を何度も繰り返す必要がなくなり、業務の効率化にもつながります。

ただし、在庫管理システムを導入するにはある程度のコストがかかるため、荷量が少ない小規模事業者などでは導入しにくいというデメリットもあります。導入を検討する際は費用対効果を十分に検証することが大切です。

物流アウトソーシングの導入

棚卸差異を発生させないことは重要ですが、そもそも物流業務に割けるだけの十分なリソースを確保できないという事業者も多いでしょう。スタッフを十分に用意できずに日々の業務に追われ続けるのではヒューマンエラーの発生率も上がり、業務の効率化を考える余裕もなく、在庫管理にまで手が回らなくなってしまいます。

また、自社に物流のノウハウが蓄積しておらず、運用に不安を抱いているというケースもよくあります。経験値の少ないスタッフだけで物流業務を進めようとすると作業の抜け漏れが発生したり、急激な受注量の変動に対応しきれず配送遅延を引き起こしてしまったりするリスクも考えられます。

物流を滞りなく運用できるだけのリソースを確保するのが難しいと感じた時は、思い切って物流アウトソーシングの活用も検討しましょう。プロに任せることで無理に自社で物流を担うよりも高品質な物流を維持できる上に、空いたリソースを自社の重要な業務に割り当てることも可能になります

さらに、アウトソーシングなら外注先の倉庫で必要に応じてスタッフを柔軟に調整できるため、急激な受注量の変化にもスムーズに対応できます。システムを導入する費用をかけられない場合は、アウトソーシングによって物流コストを大幅に圧縮できる可能性も高いといえます。

【ご紹介】オープンロジはモール・ECプラットフォームとの連携が可能

オープンロジではモールとECプラットフォームの連携が可能なクラウドサービスを提供し、物流の自動化を実現するお手伝いが可能です。ここでは、多くの企業にご利用いただいているオープンロジのサービスを簡単にご紹介します。

Shopifyやネクストエンジンとの連携で日々の物流業務を効率化

一般的な基幹システムでは複数のECサイトの受注データを一元管理することは難しく、それぞれのECモールからの受注データを個別のExcelシートで管理しているという事業者もめずらしくありません。

複数のモールの受注データを統合的に管理できないと、在庫の引き落としをシステム上に反映するには各Excelシートの受注データを手入力で転記する必要がありますが、この作業には膨大な手間と時間がかかります。

CSVの取り込みに対応しているケースでもモールの数だけ取り込みと反映を行わなければならないので、手入力に比べていくらか時間を短縮できる程度に留まるでしょう。

オープンロジが提供するクラウドサービスでは、ShopifyやネクストエンジンなどさまざまなECプラットフォームやAmazonをはじめとした大手モールとAPI連携(一部CSVにのみ対応)が可能です。自動的に受注データを取り込んで一元管理し、モールやプラットフォーム別に管理する手間を削減できることから受注処理の自動化を実現します。

また、倉庫への出荷指示データも簡単に作成できるため、日々の物流業務を大幅に効率化できます。

独自資材もお任せ!資材作成から一貫して物流業務を自動化可能

物流業務をアウトソーシングする場合、資材は委託先の業者が指定したものを利用したり、荷主が完成済みのものを持ち込んで梱包に用いたりするのが一般的です。

そのため、自社のブランドを押し出した資材を使いたくても資材作成が難しいがゆえに業者指定の無地のダンボールを使わなければならなかったり、資材の作成だけを別の業者に依頼したりしなければならなかったりするといった課題が発生します。

しかし、オープンロジでは資材作成から一貫して物流業務をお手伝いさせて頂きますので、ワンストップですべての工程を自動化できます。自社オリジナルの資材を作成できることから、ブランド力をさらに高められます。

ユーザーにとって外箱は商品が届いた時に真っ先に目に入る部分なので「どこから届いた荷物なのか」がひと目で分かることは安心感にもつながるでしょう。

複数の業者とやり取りすると必要工数が増加し担当者のリソースが削られたり、それぞれの業者とスムーズに連携が取りにくくなったりする可能性があります。その点、オープンロジではワンストップであることの利点を活かし、資材作成からすべての工程を踏まえて理想的な物流をご提案できます。

棚卸差異は改善可能!自社に合った方法を見つけよう

棚卸差異が生じることによって適正在庫を維持できなくなると、正確な在庫管理に支障をきたしてあらゆるトラブルの原因となります。棚卸差異が発生しないようにするには、社内の在庫管理ルールを確立してロケーション管理を徹底し、時にはIT機器の導入も検討すると良いでしょう。

とはいえ、在庫管理システムの導入には一定のコストがかかるという事情もあり、事業規模や予算の問題などで導入が難しいケースもあります。自社で効率的な物流を維持するのが難しい場合は、アウトソーシングに切り替えるのも手段のひとつです。

オープンロジではShopifyやネクストエンジンとの連携が可能なクラウド型プラットフォームを提供しており、独自資材の作成から一貫して物流業務を自動化できます。物流業務の効率化をお考えの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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