物流業務の工程のひとつとして流通加工というものがあります。流通加工とは商品に付加価値を付けるために施される作業であり、消費者の利便性が高まるだけでなく輸送コストの削減にも繋がる要素があるため、事業者側にもメリットがある作業といえるでしょう。
今回は流通加工について、業務内容の詳細や課題・外注することで生じるメリットやデメリットを詳しく解説します。これから流通加工を含め物流業務を外注しようと検討している事業者様は参考にしてください。
目次
流通加工の業務内容
ここでは流通加工の業務内容について詳しく紹介します。
代表的な流通加工業務
流通加工と一言で言ってもその業務内容はたくさんあり、取り扱う商品によっても異なります。今回は、代表的な流通加工業務をいくつか抜粋してご紹介します。
包装
「包装」はただ商品を綺麗に見せるためだけに施す作業ではなく、商品に合った梱包材や緩衝材を使用することによって外部の衝撃などから守り、お客様の元へ無事に届けるという役割も果たします。
また、昨今では商品そのものの用途だけではなく、商品を注文してから手元に届いて箱を開けるまでといった部分、いわゆるブランド体験も重要視されているため、包装はとても大切な工程のひとつです。ただのダンボールではなくブランドイメージに合ったデザインの箱や緩衝材にこだわるのも、販売戦略のひとつとして注目されています。
丁合い
「丁合い」は複数の書類や雑誌をひとつにまとめることや、折丁をページ順にまとめて一冊の本に製本することを指します。一見、商品が本の場合のみ発生しそうな作業に思えますが、ECの物流ではお客様に向けた冊子・チラシといった同梱物で発生する作業のひとつです。
ちなみに丁合い作業にてページが抜けてしまうことを「落丁」、メージが順番通りに並ばずに製本されてしまうことを「乱丁」といいます。物流作業のミスはお客様の心象に直接つながるため避けたい部分のひとつです。作業を自社で行う場合には、慎重に作業を進める必要があるでしょう。
員数・名寄せ
「員数」とは商品の個数を数えることを指します。お客様からの注文により必要な商品や個数は異なり、きちんと数えて管理しなければ後ほど大きな差異となって問題になりかねません。規模の小さいときならばすぐに間違いに気付くこともできて、ミスも大きくなりにくいですが、事業規模が大きくなり取り扱う商品数が増えれば大きな問題に発展する恐れがあるため、重要な作業であるといえます。
「名寄せ」とは、届け先が同じである商品をひとつにまとめることを指します。お客様によっては一度に複数種類の商品を注文される方もいらっしゃいます。その際、適切な個数・適切な種類の商品をきちんと集めて梱包しなければいけません。
指輪や服といった商品は、一見同じものに見えるものでもサイズが異なったりする場合があるため慎重に作業を行うことが求められます。このように物流の流通加工にはより一層の注意力が必要な作業も存在します。
貼り・付け
「貼り」は商品にバーコードシールや値札を貼り付ける作業のことを指しており、「付け」は値段の記載されたタグなどを商品に取り付ける作業のことをいいます。どちらも細かな作業のひとつですが、商品ひとつひとつにしっかりと作業を施さなければ、商品管理にも影響するだけでなく、お客様の目にも入る表記の場合には自社の評価も下げてしまいかねません。
細かな作業は以外とリソースの消費が激しく、商品数が多いほどに作業の量も比例して増加します。自社内で業務フローを内製してしまうのもひとつの手段ですが、外部に任せてリソースを手放すという方法もあることを選択肢に入れてみるのも有効な方法です。
抽選
「抽選」とは、応募されたハガキなどから商品当選者を無作為に選びだすことを指します。多くの応募者の中から当選者を選びだすのも、なかなか大変な作業です。事業規模が大きく鳴ればその分新たな企画やイベントを行うことが増え、とこのような作業もたびたび発生することが予想されるため、物流外注をした際に合わせて任せることができればとても便利であるといえます。
検品作業も流通加工に含まれる
「検品」は主に商品が倉庫に入荷されたときに行う作業ですが、この作業の流通加工のひとつとしてカウントされている場合があります。検品では「商品にキズや破損といった不具合が無いか」「入荷数は間違っていないか」「正しい商品が入荷されているか」といった部分を細かく確認します。
入荷時にきちんと検品しておくことで、後の作業をスムーズに行うことができるだけでなく、入荷前の破損といった輸送業者が起因するミスにも未然に気付くことが可能です。商品が傷ついたり破損してしまった場合、いつ、どのタイミングでといったことが重要な項目になります。責任の所在を明らかにするためにも、検品は重要な作業であるといえるでしょう。
流通加工の課題
流通加工にはいくつかの課題があります。課題を把握しておくことで事前対策が可能です。
課題1:コスト負担が大きい
流通加工は作業工程が多いため、必然的にコスト負担も多くかかることが課題のひとつとして挙げられます。仮に流通加工業務を自社で全て行う場合、多くの人手を要すだけでなく、ある程度のまとまった時間も確保する必要があるでしょう。
人や時間を確保するためには金銭的コストだけでなく人的コストもかかります。流通加工の業務が一定してあれば、ある程度予測して人員を配置することもできるでしょう。しかしECは小規模でスタートすることが多いだけでなく、SNSで拡散されたりテレビなどの公共媒体に取り上げられた際には受注数が急激に増加するといったことも予想されます。
急な物量の変化に対応するためには人手が必要不可欠ですが、状況が落ち着いてしまえば逆に人手が余り、余計なコストが発生してしまうことにもなりかねません。
流通加工は物流業務には欠かせない工程ですが、先を予測して対策を立てたり、こだわりを持って流通加工を行えば、方法によってはコストの負担が上がってしまいます。しかしECを運営していく上での予算は限りがあります。流通加工以外にもストアや集客などコストをかけなければいけない部分は多数あるため、このようなコスト負担はなるべく低く抑えたいところであると言えるでしょう。
課題2:スペース・設備・リソースが不足しがち
流通加工にはさまざまな種類があるということもあり、梱包に使う資材や作業ををするスペースをその分多く確保する必要があります。スペースが狭ければ作業に支障が出るだけでなく、従業員同士がぶつかってしまってけがをしたり商品が傷ついてしまったりなど、思わぬアクシデントが起こる可能性が高まります。
また流通加工を円滑に行うためにはスペースだけでなく、作業をスムーズに行うための設備も必要不可欠です。さまざまな流通加工を施すためにはその分設備も豊富に用意することが求められるでしょう。先述したように流通加工には一定のコスト負担が伴いますが、設備を充実させるためには更にコストが必要です。
それに加えて、実質の作業時間・リソースの負担も増えることを忘れてはいけません。取り扱う商品量が少なくとも、流通加工にこだわり工程が増えればその分消費するリソースは増えます。
スペース・設備・リソース、これら3つの要素は自社で流通加工を行う際に不足しがちな要素のため事前にしっかりと準備することが求められます。その選択肢のひとつとして物流・流通加工をアウトソーシングするという手段があります。
流通加工の外注で得られるメリット
ここでは流通加工を外部に委託することで得られるメリットについて解説します。
メリット1:プロのクオリティを導入でき効率性アップ
流通加工を含めた物流の作業は工程が多く、以外と手間がかかります。物量が少ないときは社内の手隙の人員で業務を済ますことも容易ですが、一気に物量が増えたり規模が大きくなってくるとそうはいきません。自社で物流業務をしっかりと行うためには前述したように人員・スペースの確保が必要不可欠です。
仮に自社で外注業者のような物流体制を構築しようとした場合、人手が足りなくなったり閑散期には逆に人手が余ってしまったりなど、体制の調整はなかなか難しいものです。流通加工を含めた物流業務はEC事業において大切な要素のひとつです。しかしこの業務に時間を取られてしまうのは、他の業務に支障をきたす可能性が高いといえます。
流通加工を外注すれば、自社の負担少なくプロのクオリティを簡単に導入することが可能です。外注先の業者は流通加工を含めた物流作業を専門的に行っているプロの集まりです。そのため専門的なノウハウを持っているだけでなく、物量の変化にも素早く対応できる体制を完備しています。
軽度の負担でプロの技術を導入することで作業効率は格段に改善されます。急速に規模が拡大することもあるEC事業において物流の作業効率を上げて安定させることは大きなメリットだといえます。
メリット2:コスト負担の軽減
「流通加工や発送作業といった物流業務全般は、自社で行った方がコストの負担が少なくて済む」と考えている事業者様は多くいらっしゃいます。ですがその分「リソースや他の業務への負担が多くかかり大変な思いをして業務を行っている」という現状を課題に抱えている方も多いのではないでしょうか。
自社で物流業務を全て行う場合、商品を保管しておくためのスペース代、光熱費、管理業務を担当する人の人件費や流通加工や発送に使用する梱包資材料金など、多くの細かな費用が発生します。これらは自社の従業員が手隙の際に業務を行ったり、資材を格安なものに変更するなどすれば費用を少しでも削ることは可能でしょう。
しかしその分従業員の負担が増えて他でミスが発生したり、資材の質が悪くなってしまえば、自社のブランドイメージを損なう可能性も否定できません。
流通加工などの物流業務を外注することで業務負担を軽減するだけでなく、コストの負担も自社で業務を運用するより軽減できる可能性があります。一見、外部に業務を委託するのは多くのコストを必要とするように思えます。しかし外部のプロに任せることで自社で商品を保管したり流通加工を行うためのスペースを確保する必要が無くなり、物流業務に従事する人員も削減することが叶います。また必然的に自社のリソースは大幅に軽減され、ストアの経営や新商品開発など、他の基幹業務を充実させることができるようになるのです。
業務を外注を考えたとき、クオリティはもちろんですが同じくらい気になるのはコストでしょう。一昔前まではある程度の規模がなければ外注は難しいものでしたが、今は小規模でも気軽に利用できる外注先がたくさんあります。外注という選択肢を最初から外してしまうのではなく、選択肢として検討対象に入れることをおすすめします。
流通加工の外注で生じるデメリット
デメリットも知っておくことで流通加工を外注する際の失敗を未然に防ぐ手立てにもなります。ここでは流通加工の外注で生じる可能性のあるデメリットについて詳しく説明します。
デメリット1:外注先との連携が取れず物流品質が低下する恐れ
「部に流通加工を任せる場合」と「自社で同業務を担う場合」とでは、比較すると前者ではどうしても現場とタイムラグが生じてしまいます。そのため連携がうまく取れないと、トラブルやアクシデントなどのイレギュラーな事態が起きたときや、業務フローに躓きが生じた際に問題の早期解決ができず、物流のクオリティが低下してしまう恐れがあるのです。
しかし、このデメリットは前もって対策をしておけば未然に防止することも可能です。問題が発生する前に「このような場合はどうするか」といったシミュレーションをし対策を立てておくことで、いざトラブルが発生した際にもスピーディーに解決することができるでしょう。
また外注先と常日頃密に連絡を取り合い、常に現場の状況把握をしておいたり、コミュニケーションを取っておくといったこともひとつの対策になります。双方の風通しを良くしておくことでイレギュラーな事態が起きても連絡に遅延が発生したり行き違いをしてしまうといったことを防ぐことができるはずです。
流通加工を外注することはとても便利な手段ですが、使い方を誤れば物流品質を低下によりブランドイメージを下げてしまう恐れもあります。このデメリットをしっかりと理解し、信頼できる外注先を選定することが大切です。
デメリット2:コストとサービスのバランスが取れず経営が悪化
流通加工を外注すれば確かに業務のリソースは手離れし、現在よりもリソースに余裕が生まれるでしょう。ですが、しっかりと選定せずに外注を利用してしまえば「コストとサービス内容のバランスをうまくとる事ができずにEC事業の経営事態が悪化してしまう」といったリスクも考えられます。
外注業者といってもそのサービス内容や料金はさまざまです。高いか安いかといった料金の違いももちろん重要ですが、どこまでの業務を行ってくれるのかといったサービス内容も大切な要素です。もちろん全ての流通加工を含めた物流業務を委託することも方法のひとつでしょう。しかし任せる内容が多いほどに比例して利用料金は高まります。自社の状況によっては一部の業務のみを外注するのが望ましいかもしれません。
適切に外注を利用するためにも、まずは自社にとってどの業務をどれだけ外部の業者にまかせたら良いのか明確に洗い出す必要があります。現在自社にとってどの部分が課題となっているのか、または事業をまだ開始していない場合はどのようなことが物流のボトルネックや負担となるのか、事前にしっかりと外注先に任せたい部分を洗い出すことで、求めるサービス内容を明らかにすることができます。
外注を利用してから「こんなはずではなかった」と後悔するのは避けたいところです。流通加工を外注する際には慎重に検討を重ねましょう。
【ご紹介】オープンロジは流通加工も柔軟に対応
オープンロジでは物流代行サービスを提供しており、流通加工も柔軟に対応しています。
ユーザー様に合わせたサービスを提供
オープンロジではただ物流業務を代行するだけでなはなく、ユーザー様それぞれに合わせたきめ細やかなサービスを提供しています。流通加工では梱包や包装、封入作業の他にも独自資材の組み立てから商品の小分けといった作業も対応可能です。また異なる商品を組み合わせるセット組も提供しており、イベントやセールにも臨機応変に対応できます。
検品作業は6種類の検品方法を用いて商品を特定し、数量の確認だけでなく商品サイズの測定を承ることも可能です。ここに記載している作業方法以外にも更に細かな部分の要望がある場合は、遠慮なくお問い合わせ・ご相談ください。出来る限りの対応をさせていただきます。
またオープンロジでは独自資材を制作から一気通貫して請け負うサービスも提供しています。昨今のECにおいては「資材からブランディングをしっかりと行う必要性」が高まっています。ですが独自資材は小ロットですと作成が難しく、断念していた事業者様も多いのではないでしょうか。オープンロジでは小ロットからでも独自資材を制作可能です。
独自資材の導入を検討している事業者様はぜひ一度、オープンロジにご相談してみてはいかがでしょうか。
固定費ゼロ・使った分だけの従量課金制
流通加工を含めた物流業務を外部に委託したいけれど、コストがネックとなって委託を諦めている事業者様は多く見受けられます。オープンロジは導入費やシステム利用料金といった固定費は一切かからず、サービスを使った分だけの従量課金制を採用しているため、無駄なコストを消費することはありません。
初めて物流外注を導入する際に初期費用が膨れてしまうのは、ややリスクがあるといえるでしょう。また代行業者によっては言い値でサービスを提供しているところもあり、見積もりの際に料金が明確にされず不安が残るといったこともあるのが実情です。
オープンロジのサービスならばシステム利用料0円、倉庫利用料0.2円~(商品1点)、配達料金370円~(1個口)といった明確な料金形態のため、発生するコストがはっきりしています。コストが見えることで事前に自社内で発生コストのシミュレーションも可能です。サービスの導入リスクの不安を解消することもできるでしょう。
なお、月間1000件以上の出荷がある事業者様にはボリュームディスカウントも承っておりますので、お気軽にご相談ください。
流通加工はEC事業に必須の業務
流通加工はECの物流に欠かせない工程のひとつです。ひとことで流通加工といってもその作業内容はたくさんあり、包装や抽選、検品など多岐に渡ります。これらの業務はもちろん自社の従業員で行うのも方法のひとつです。しかし、物量が増えればリソースやコストの負担が増大するというリスクを伴う作業だということもも忘れてはいけません。
自社の負担を軽減するための方法のひとつとして流通加工を含めた物流業務の外注という手段があります。外部の業者に業務をアウトソーシングすることで効率よく自社の業務負担を軽減するだけでなく、実質かかるコストを減らすことも期待できるため、一考してみる価値はあるといえます。
既にECを始めている方も、これから始めようと思っている方もぜひこのタイミングで物流の外注を検討してみてはいかがでしょうか。