二輪車、マリン製品を主に製造・販売しているヤマハ発動機株式会社様。1955年に設立した同社は現在、世界各国に製品を展開されています。これまで販売会社・販売店を介しての商品販売を主に行っていた同社ですが、昨年より、直接顧客と繋がるDtoC領域にてECに取り組まれています。
既に事業を長年グローバルに展開されている同社ですが新規取り組みの際に課題となったのは物流でした。
今回はヤマハ発動機株式会社の井筒様と尾崎様に、EC取り組みのきっかけやShopify選択の理由、オープンロジ利用のメリットや今後の展開についてなど、詳しくお聞かせいただきました。
ECは顧客接点として重要な手段
貴社についてご紹介をお願いします
【井筒様】私たちヤマハ発動機株式会社は、モビリティ事業(オートバイ、電動アシスト自転車等)、マリン事業(ボート、船外機等)、ロボティクス事業(産業用ロボット、ドローン等)をはじめ、自動車用エンジン、ゴルフカー、発電機、除雪機、電動車いす等、幅広い製品の開発・生産・販売を行っています。
弊社は1955年に設立いたしました。日本楽器製造株式会社(現・ヤマハ株式会社)のオートバイ製造部門を分離独立させてできた会社であり、その歴史は長きに渡ります。ヤマハ株式会社とヤマハ発動機株式会社は別々の会社ではあるものの、同じヤマハブランドを共用しながら事業展開しています。
EC・DtoCへ本格的に取り組むことを決めたきっかけを教えてください
【井筒様】私達は多岐にわたる商品群を束ねるヤマハブランドをグローバルに発信し、幅広い層にブランド認知・想起してもらうことに取り組んでいます。昨年新設された部門に所属しているのですが、そこでは潜在顧客・既存顧客と直接つながる手段としてのECは新規取り組み案として度々上がっていました。
弊社製品は主に耐久消費財であり免許制度なども関係してくるため、購入までのハードルが高く、購入頻度は低いのが特徴です。また、これまで弊社は「物を作って国内外の販売会社やその先の販売店に届ける」までが主な仕事であり、顧客との直接的な繋がりはリアルイベント時など限られたものでした。
そうした中でブランドの世界観を日常使いできるアイテムに落とし込み、ECで直接お届けできれば、タッチポイントが増えることになります。将来的に製品購入検討する際にブランド想起を強める一助になるのでは、といったことを議論していました。
そうこうしているうちに昨年から新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し、モーターサイクルショー、ボートショーなどの主要イベントは国内外でほぼ全て中止になり、顧客と直接関わる場所が無くなってしまったのです。
内部的に議論していたものが外部的要因で待ったなしの状況になり、ECを早急に立ち上げようということになりました。
ECプラットフォームとしてShopifyを選んだ理由は何ですか?
【井筒様】理由は大きく2つあります。
1つめは他プロジェクト・特定市場向けにShopifyをすでに活用しており、Shopifyのノウハウを持つものが社内にいたことです。
そのプロジェクトではお客様に手付金を支払うという形でオンラインストアより車両予約をして頂き、極力店舗に来店する機会を減らして商品を手に入れて貰う、という形でShopifyを活用しておりました。
弊社にはIT部門があるため、自社でストアを構築するという案もありました。しかし、小さくかつスピーディーにECストアを立ち上げたいと考えた場合、現在リモートワークということもあり、自社での構築は難しかったのです。これもShopifyを選択した理由のひとつとなっています。
私たちにとって、ストアをスピーディーに立ち上げることができ、かつクオリティーもしっかりと確保できることは必須条件でした。その条件を満たせるのならば外部のプラットフォームを活用するのも、手段のひとつとして有効だったのです。さまざまなECモールやプラットフォームを比較・検討しましたが、やはり既に社内でノウハウがあるShopifyが最適であるという結論に至りました。
2つめは、越境ECに強いことと拡張性が高いところです。
Shopifyはカナダ発のECプラットフォームということもあり、越境ECに強いといわれています。これから国内外へブランド発信やリーチをかけていくといったところを本格的に実行していきたい私たちにとって、この点は重要なポイントでした。
またShopifyはアプリが豊富に用意されています。必要な機能を後から拡充していくことができる点はストアを構築する上で必要な要素であるため、プラットフォームを選定する際のプラス要素となりました。
スピーディーに事業を立ち上げるには
物流外注は必須だった
物流を外注するにあたり不安はありましたか?
【尾崎様】アウトソーシングしたとしても第三者に任せることで社内工程やシステムとの繋ぎの面で却ってややこしい工程が増え、実際にかかる手間は減らず負担が増えてしまうのではないか、という不安がありました。外部サービスを利用する以上は「いかに効率化を図れるか」というのは大きなポイントだったのです。
あとはコストです。大変な作業を委託することになるので、商品の数量に対して発送費や利用費などのコストがどれくらいかかるのか、といったところは不安に感じていた点でした。
このような不安点をクリアできることはもちろんですが、その他に物流外注の必須条件として「Shopify連携」「物流業務の完全委託」「海外配送」「固定費がかからない」という4つの項目がありました。
この4点を踏まえてさまざまな物流会社を比較・検討させていただいたところ、条件を満たすのがオープンロジだけだったのです。
自社での物流オペレーション構築は検討されませんでしたか?
【井筒様】確かに弊社は自社物流機能を保有しており、そこから車両用部品などを発送しています。しかし、自社のリソース・システムを使い新たに物流オペレーションを構築していくには、物流部門だけでなく先述のIT部門も巻き込んで多くの時間・開発工数を必要とします。今回、私たちは小さくスピーディーにECを立ち上げたかったため、その手段を活用するのはなかなか難しいと判断しました。
一方、外部委託であれば既に物流オペレーションは確固たるものが構築されています。こちらの手間がほとんどかからないだけでなく、社内のリソースを大幅にかける必要もありません。スピードと効率、どちらも満たすことができるのは外注という選択肢でした。
オープンロジはシステムだけでなく
サポート体制も充実している
オープンロジを導入して感じたメリットを教えてください
【井筒様】メリットは主に3つあります。
1つめは「管理画面の使いやすさ」です。
オープンロジの管理画面は直感的でとても分かりやすく作られています。管理画面が使いやすいことで、日々のオペレーション負荷が軽減されていると感じています。実際に行っている作業は主に前日までに頂いた受注に関して出庫依頼をかけるといったものですが、住所不備などを修正する程度のため、受注数に関係なく実質トータル数分程度の作業時間で済んでいます。
2つめは「発送完了メールが自動的に送信される」ことです。
オープンロジとShopifyと連携することで、発送が完了した時に追跡番号が記されたメールが顧客に自動的に送信されます。物流業務を外注し、ここまで自動化できるのはありがたいですね。
3つめは「オープンロジのサービス導入・利用は全てオンラインで完結することができる」ことです。
実際に物を扱う業務であるにも関わらず、全ての手続きや作業がオンライン上でできるのは凄いことだと思います。実際、わたしたちはコロナ禍もありサービス導入をしてからオープンロジには一度も訪問せず、オンラインでやり取りが完結しています。アナログな作業と言えば商品サンプル確認、入庫予定品の発送前検品等だけで済んでいます。
新型コロナウイルス感染症が流行しており外出が難しいこの状況下において、ほぼ全ての作業をオンラインで行えるのはとてもありがたいことでした。
オープンロジを利用している中で印象に残っているエピソードはありますか?
【 尾崎様】先日、バリエーションを追加した時に商品の連携が外れてしまったことがあったのですが、カスタマーサポートの方に連絡したところ当日中に対応していただけたことが印象に残っています。
対応にはある程度の時間がかかってしまうだろうと予想していました。そのため連携が外れている状態が続くことで、お客様から頂いた配達指定日以内に商品をお届けすることができない事態も起こり得るだろうと覚悟していたのです。しかし、予想外にもその日のうちに対応していただけたのです。おかげさまで次の日には出庫ができる体制を整えられ、最悪の事態を免れることができたので、非常に助かりました。
ECを運用していると、トラブルなどのイレギュラーな事態は残念ながら必ず起きてしまうものです。しかしこのようなことで販売機会を損失してしまうのは極力避けるべきであり、問題点は早急に解決することが求められます。
オープンロジではカスタマーサポートに問い合わせをすれば解決してもらえることはもちろんですが、マニュアルも大変充実しているため、自分たちで情報を検索して問題解決できる環境も整っています。実際に使用するシステムなどの機能も重要ですが、こういったマニュアルやサポート体制も同じくらい大切なものであると思います。
今後オープンロジに期待されることはありますか?
【尾崎様】これからもさらに利便性を高めていって欲しいです。最近ですとSaaSのシステムなどはユーザーからの要望を受けて実際にその要望を採用して開発をし、標準機能として提供する、といったことをされている企業が増えてきている印象があります。
オープンロジにもぜひ私たちを含めた利用ユーザーからの要望を取り入れて、これからさまざまな機能を標準化していって貰えることを期待しています。
オープンロジは全ての手続きが
オンラインで可能
貴社の今後の展開についてお聞かせください
【井筒様】海外展開につきましては商品によって既に実施していますが、まだ本格的には展開できておりません。海外顧客向けのサイト構築や配送方法・翻訳など、越境ECを一層本格化させていくためにはクリアしていかなければいけない部分がたくさんあるため、これから力を入れていきたいと考えています。
また先述のようにDtoCストアというタッチポイントを通して顧客との距離感を縮めていくことができたらと考えています。現在ファンでいてくださっている方はもちろんのこと、ヤマハブランドをまだ深く認知されていない方や、今は使用していないけれど以前ヤマハブランドの製品などを使用していた方など多くの方に、今までの商品よりも手に取りやすいDtoCストアにあるグッズを通して、ヤマハブランドの世界観・ライフスタイルをお届けできたら嬉しく思います。
最後に、オープンロジの導入を検討されている方へメッセージをお願いします
【井筒様】Shopifyと連携できることはもちろんですが、全てがオンラインで管理可能でありコストも従量課金で使った分だけというポイントは、オープンロジの大きな強みであると思います。
オープンロジの物流サービスはスモールスタートで導入しやすいだけでなく、規模が拡大しても拡張していくことができるため、サービス導入に躊躇する理由が見当たりません。
たとえ自社物流機能を持っていたとしても、それを利用するとなれば社内システムとECストアのシステム連携はどうしても時間がかかってしまうと思います。しかし私たちのような比較的規模があって自前でシステム構築しがちな会社であっても、物流サービスのオープンロジとECプラットフォームであるShopifyへ思い切ってアウトソースすることで手軽に物流システムを導入し、予定通りにECをスタートすることができました。このスピード感は自社物流活用とシステム連携では得ることが難しいと感じます。
【尾崎様】先ほども申し上げましたが、オープンロジはすべての手続きや作業がオンラインででき、短期間で導入が可能です。短い期間で手間なく物流の自動化を実現できることは、ECを検討する事業者にとって心強いサービスであると思います。
ヤマハ発動機株式会社企業サイト:https://global.yamaha-motor.com/jp/
物流のお悩み、お気軽に
ご相談ください
オープンロジについて疑問や不安がある方は、お気軽にご相談ください。自社で導入できるかどうかのご相談も可能です。
各種お役立ち資料もご用意していますので、物流の構築を検討中の方はぜひお役立てください。